なくても楽しめるようにはしましたが、ないとところどころ意味不明なものになります
読み物としてかなり面白いのでこんなもん読んでないでDMwikiの背景ストーリー纏めを読んだ方が100倍マシだと思います
「我が父ブルースがそうしたように、今度は私が持てるすべての力で貴殿を復活させよう。アリス!再び我らアウトレイジの誇りを守りカツキングを救うべく戦ってくれないか……」
「ふざ……巫山戯んじゃないわよ!!!私が!あのあと!!どれだけ苦労したと思ってんの!!!!*1」
文句をつけようにも相手は既に死んだ身。きっと届くことはないだろう。
ブルースに生き返らさせられたあと、あちこち弄くり回してこういう時にテスタが生き返るように仕込んでおいたというのに
「いたぞ!!アウトレイジの生き残りだ!」
「え?」
見たくもない。考えたくもない。けれど見える。だから考えついてしまう。
目の前に広がるのはかつてのようにオラクルに支配された世界。
「違う。何かが違う」
けれど何かがおかしいと、私の体験してきたあらゆる戦いが、経験が、知識が全力で叫ぶ。
「しつこい!!」
逃亡しながら観察し、そして気付いた。
彼らは人形なのだ。いや、デスパペットではない。普通に生きている人間ではあるのだがまるで“オラクル”という役割を着せられてその通りに動いている人形だ。
ならば対処しようはある。
「単調なのよ。やっぱり脳みそ詰まってないようね」
違和感の正体には気付いた。ならばまくのは容易い。路地裏に誘い込み意識導線を引いてから外れてやれば単純なバカは一瞬で見失った。
現状探るべきはなぜこんなオラクルモドキが世界を支配しているのか。カツキングとブリティッシュの決闘のあと姿を表した黒幕──イズモとカツムゲンが戦い、後に和解しアウトレイジとオラクルは互いに手を取り合えたはずだ*2。
いや、ここは逆に考えるべきだ。オラクルによる再支配は結果ではなく過程。であればこの過程を通って誰が結果を───
爆音が鳴り響く。
巨大な怪物が暴れたか世界がゆらぎ、建物が倒壊する。
そして同時に誰がどんな結果を求めたのか理解した。
「何やってんのあのバカ……」
そこにいたのは強欲に支配されたかのように暴れるカツキングの姿。いや、あれをカツキングと呼んでいいものか。かつて無類の強さを誇ったその体は機械へと置き換わり、お世辞にも強靭とは呼べない。そして何より───
「あんた程のアウトレイジが何かに支配されちゃ駄目でしょ」
何より自由を愛し、自由を求めて戦ったアウトレイジが、エグザイルが、強欲に支配されていいはずがない。もしテスタがここに居たらきっと同じ意見だろう。
「ねえ」
背後から声をかけられた。いやに聞き覚えのある声。
「……なんで貴女がここにいるのよ、コットン*3」
「それはこっちの台詞なのだわ」
なんでって言われても……なんでかよく分からないし。カツキングを救ってくれと頼まれたのだからあいつを倒すなりすればいいのだろう。状況が分からない限り無理そうだが。
「とりあえず貴女もオラクルでしょ。こんなところで油売ってていいの?」
「あんな奴らをオラクル扱いしてほしくないのだわ」
同感。私達が戦っていたオラクルはあんな連中じゃなかった。
「他のオラクル……貴女の仲間は?」
「オラクルの皆はいないのだわ。でもアウトレイジの人は何人かいて、それからレクスターズの皆がいるのだわ」
「レクスターズ?」
聞いたこともない組織。カツキングがあんなことになっている時点で予想はしていたがここは私の知らない未来か別の世界だろう。
「レクスターズはディスペクターに対抗すべく結成された組織なのだわ」
「ディスペクター?」
「そこから説明しないといけないのだわ」
曰く、ディスペクターとはこの世界にいきなり現れた過去の英雄の体をむりやり繋ぎ中にその魂を押し込めた存在らしい。そしてレクスターズはそのディスペクターに対抗すべく絆の力で英雄の魂を宿し立ち向かう者たち。
「………水文明に行かせて」
全ての知識は水文明に眠っている。情報を整理するには丁度いいだろう。
*
「なんなのだわ、これ………」
水文明らしい一帯が海に沈んだ光景。そして水文明らしからぬ暑さ。海の水がボコボコと沸騰し、水中を泳いでいたリキッド・ピープル達が蒸発していく。
「O.V.E.R.Evoが起動している……ううん、違う。そんなものじゃない。これは──」
「ああ、水文明に封印されている12のプログラムが暴走している。お陰で水文明全てのコンピューターが熱暴走を起こしこの惨事だ」
なるほど、水文明中のコンピューターが暴走しているため水温が上昇しリキッド・ピープル達が蒸発しているの。
「暴走してないコンピューターは?」
「チームウェイブの持つ
動かせるコンピューターがあるならそれでいい。ハッキングは私の得意分野なのだから。
「ところで貴方だれよ」
「今更だな。僕はググッピー。未来の覇王だ」
「神託少女コットンなのだわ」
盛りすぎ。信心深きあたりで留めておきなさい。
「私はアリス。早速で悪いけどそのインスタントウェーブとやらの詳細を教えて」
インスタントウェーブはチームウェイブに入ると使える
そしてインスタントウェーブは三つのスーパーコンピューターによる合議制で管理され、かつてそのうち二つがハッキングされたことで対策が強化されているとか。
「面白いじゃない。強固なセキュリティで守られたスーパーコンピューターを二台同時にハッキングなんてやったことなかったわ。いや、二台と言わず三台全部乗っ取りましょうか」
手元には数多のキーボードが、周囲には無数のウィンドウが浮かび上がる。なに、黒幕に対抗するために《記憶の眠る王墓》から全情報をぶっこ抜いてぶちまけた時よりは簡単な仕事だ。
「
常人では……そこいらのコンピューターでは追い切れない程の量の文字と数字の羅列が流れていく。当然、私がいた世界と違うのだから未知の
永遠を刹那に押し込めた攻防の後インスタントウェーブを管理する三基のスーパーコンピューターの内二基《電脳のデガーノル》、《歓楽のタギャースツ》をハッキングし主導権を握ることに成功。こうなってしまえばあとはヘビに睨まれたカエルの如く残る一基《知識のノギューゾ》もすぐに陥落した。
「乗っ取ったわ」
「凄いな。あの三基をホントにハッキングしてしまったのか」
「アリス、貴女なんかぼんやりして消えかかってたのだわ」
ちょっと苦戦したから。さすがにプラチナハッキングを使う程ではなかったけれど、それに近い状態までに追い込まれたのは事実。少しなめすぎたけど……
「まだ終わってないわよ。その足りない頭で考えなさい。私達がすべきことは?」
「それはスーパーコンピューターをハッキングして……あ、そうか。12のプログラムはインスタントウェーブとは関係ないから止まってはいないのか」
そう、この水文明を襲っている惨状は解決していないのだ。
幸い、O.V.E.R.Evoによるサバイバーの無限進化を止めたサファイア・ミスティのプログラム“
「今から12のプログラムに対抗出来るプログラムを作る。全力で抵抗されるだろうから守って」
「僕たちでか?」
「二人で守るのは無理なのだわ!!!」
「仲間呼びなさい。呼べるのならね」
“
「無理無理無理なのだわ!!!」
うるさい。無理でもやれ。
「確かこんな感じ……違う。ここのコードに引っかかる。なら導線はこうでそうね、そっちの方が───」
このスーパーコンピューター達が優秀で助かった。私の抜けた記憶を予測し補完してくれるのだから。
「まだ20%……」
遠い。けれど早急に完成させなければこの水文明は滅びてしまうだろう。
「あ、おおおおおおおおおおお!!!!!終わった!!!やった、やったぞ!!!」
突如として歓声を上げるググッピー。その理由は明白だ。ディスタスが消え、海の沸騰が突然なくなり穏やかな波へと変わったのだ。
《歓楽のタギャースツ》が伝えてくる情報によればレクスターズのリーダーであるモモキングが五体のディスペクターの王の内一体、禁時混成王ドキンダンテXⅫを打ち倒し、その結果ドキンダンテが捻じ曲げた過去が元に戻ったのだという。例えばフィオナの森は燃えなかったし、12のプログラムは起動することはなかった。
「はぁ?無駄だったってこと!?」
ムカついた。“
「無駄ではないだろう。こうして共に戦えた時間が──」
「うるさい。時間と知識は同義なの。そして知識と命もね。私達は今僅かに命を失ったも同然よ」
ああでも無意味ではないか。こうして“
「ごめんなさいなのだわ。アリスは昔からこうだから」
「いや、構わない。こういう物言いには覚えがある。きっと誤解されやすいが根は優しいのだろう。シャークウガ様もそうだった」
「いや思ったことをそのまま口に出すから根っこもアレなのだわ」
うるさい外野を無視して指を動かし続ける。
98%……99%……よし。
「完成」
まあ12のプログラムが停止した以上使うことはないが。むしろ使われる方が危険なので三つに分割してそれぞれのスーパーコンピューターの奥底に流して置こう。12層のセキュリティを施して、起動コードは、そうね“ev0Lev0L4550R4t5eT”とでもしておこう。直感的にそれがいいと判断した。
あとついでにアウトレイジとオラクルの皆の能力でも書いておこうか。ディスペクターが過去の英雄の肉体と魂を利用するものなのだから役に立つかもしれない。5000GTとかカツドンDASHあたり*6は何かしら役立つだろう。
「特にこれといった情報はないわね」
書き込みがてらディスペクターやディスタスについて情報を収集していたが新しい情報はなかった。強いて言うなればモモキングとやらは超獣王来烈伝とやらに描かれた11の王のうち、ディスペクターにされた10体の王の魂を取り返すために戦っているということくらいか。
まあ戦いながら写真取ったり呟いたりする余裕はないだろうから仕方ないといえば仕方ないのかも───
一つの投稿が目に止まった。ディスペクターが現れたばかりの頃の投稿だろう、火文明らしい人型クリーチャーとディスペクターが戦う動画。火文明の男の攻撃はディスペクターの体を確実に貫いたのに、致命傷が一瞬で回復した。まるで命が二つあるかのように。
「まぁ、考えてみればそうよね。二体のクリーチャーを無理やり繋ぎ止めて、その中に二つの魂を封じ込めているのだから命が二つあるようなもの。最初に聞いた時に思いつくべきだったわ」
「なんの話なのだわ」
「……コットン、ググッピー。聞いて。私があいつ……勝災電融王ギュカウツ・マグルを一回殺した上で弱らせる。私の尻拭いさせるみたいで悪いけどあいつを倒して」
「それじゃまるで君が───」
死ぬみたい、ですって?
そうね。死ぬわ。あいつが機械の体を手に入れたのなら私のプラチナハッキングは致命の一撃になるだろう。代わりに私の体が全て情報に置き換わって死ぬ。まあでも、テスタもいない時代だし別に………
「アリス?」
「……そうならないように何か些細なことでもいいから情報をちょうだい」
「そういえば12のプログラムが起動する前に行った水文明の奥底にある前時代の遺跡に記された過去の文字に気になることが書いてあったな。“12番目の王” “禁断竜” “5体の太古の龍”と…それから、何かがはまっていた様な大きな窪みがあった」
ギギギギギ、っと音を立てて首を捻る。我ながら生身の肉体がよくそんな音を立てられたものだと関心した。
「それもっと早く言いなさいよ!!!!」
なら話は変わってくる。三つのスーパーコンピューターを最大限駆使して今しがた撃破されたばかりの禁時混成王ドキンダンテXⅫについて先程よりも詳しく調べ上げる。
新たに判明したことはドキンダンテの必殺技、禁時王秘伝エンドオブランドの性質。起こりうる限り最悪の未来を切り取って固定し、そこから不可逆の攻撃を仕掛けるというもの。こんなの食らってよく耐えられたわねモモキングとやら。
「方針は決まったわ。少し辛いだろうけど勝ちなさいモモキング」
恐らくドキンダンテ撃破後もエンドオブランドの効果は残り、最悪の未来が訪れることは確定している。ならその未来をある程度誘導してやろう。
「プロジェクト名はそうね、
「今不穏な言葉が聞こえたのだわ!!」
「恐らくだけどディスペクターの裏には黒幕──ああ、イズモじゃないわよ。普通の意味での黒幕がいるわ。それが多分12番目の王、禁断竜、5体の太古の龍のどれか。そして、そいつの能力には限界がある。無ければ全てのディスペクターを王クラスに強くするはずよ。5体の王を操るのが限界ならばより強いディスペクターが出れば王をそっちに切り替えるはず」
まあ既に倒された聖魔連結王と禁時混成王の分のリソースを回されれば最強の王を1体プレゼントすることになるけど。でもそれが出来るなら既に新たな聖魔連結王が産まれていないとおかしくなるのでリソースは使い切りなのだろう。
この仮説が正しければ新たな王を操るためにはギュカウツのリソースを回収しなければならず、そうすると必然ギュカウツが弱くなる。
モモキングさんには後で謝ろう。私はいなくなるからこの二人が、だけど。
一応いっておくとこの会話、思考ですら
「っ!なんだこの気配は………」
上手く行った。《歓楽のタギャースツ》にされた投稿によると、無事に新たな王の誕生に成功したらしい。
名前は禁断竜王Vol-Val-8*7。禁断竜と12番目の王のディスペクターだろうから黒幕は5体の太古の龍か*8。
「ごめんなさい。後で必ず助けに行くから今はただ耐えて」
届かないだろうけど、今最悪の王と戦っているモモキングに謝罪する。もっと別の形の最悪の未来があったかもしれない。それがいい方か悪い方かは分からないが私が介入したせいで歴史の裏側に封じられていたらしい存在と戦うのだ。
勝てるかどうかは分からない。でも負ければ世界が滅ぼされる。
そんな重圧を押し付け、自分は友を助けに行く。私は最低だ。
「戻ろう。あの偽物の街へ」
*
偽オラクルの街。いまだにギュカウツが暴れているがその力は弱々しいものになっている。
けれど黒幕の支配から外れ完全に我欲に溺れ暴れまわる姿を見て、感動というか何かが浮かび上がってきた。
「いつも誰かのために戦っていたアンタが自分のために戦ってる…それは喜ばしい。けどアンタが、テスタが、私達が戦って守ってきたものは誰かのために拳を振るう強さでしょうが!!!」
将器も才気も失った文武の極致、勝災電融王ギュカウツ・マグル。いやもう王じゃないか。
勝災電融ギュカウツ・マグルとの戦闘が始まった。
こちらに気付いたのかギュカウツ・マグルが右手を振り抜く。まるで何かを引き抜く様な軌道が光となり時空が裂かれる。そこから現れたのは懐かしい顔。
「ジャッキー…アンタまで」
無限皇ジャッキー*9。かつて私を蘇生させた不死帝ブルースのライバル。カツキングとブリティッシュの台頭前では彼を慕うアウトレイジは多く、彼の一声で何体ものアウトレイジが並ぶ程。
私とも相性がよく、何度か肩を並べたことがある。テスタと違い命を捧げる程ではなかったけど。
「コットン、ググッピー!!私は使い物にならなくなるから足止めと止め任せるわ!!!!」
「わかった!ジャッキーとやらの相手は僕が努めよう」
キーボードとウィンドウを展開する。私がすることはただ一つ。
「そんな貧弱で繊細な機械の体、アンタじゃ使いこなせない!!」
逆であれば打つ手はなかったかもしれない。けれど今は脳筋バカの頭に機械の体。
「全ての情報は私の手の内にあるの。貴方の足りない脳ミソの中身も全てね!!」
機械の体など選んだのが間違い。
「
自身を情報に置き換えて電脳の海を揺蕩い、対象の、世界の情報全てをハッキングする命懸けの技。世界が揺らめく量子、0と1と0かつ1の三つの状態へと変わっていく。
崩れ行く目で、情報へと置き換わった世界を見て……
「なにこれ……」
忍び込もうとしたギュカウツ・マグルの体が正体不明のヴェールに覆われている。伝説の正体を包み隠す様な完全不明のヴェール*10。
これを抜かない限りギュカウツ・マグルには触れられない。何か、手立てを考えなければ時間が来てしまう。何か、伝説の正体を隠すヴェールを剥がす方法を。
「アリスが頑張っているのだから、私の運命力も頑張って高めるのだわ!!!」
コットンが杖を掲げる。一信徒に過ぎない彼女に出来ることなんて──
「予言のイザナイコットンの名において宣言するのだわ!現れるのは私たちの信仰のドラゴンにして新たな神の形!
神聖龍エモーショナル・ハードコア!!*11」
な
に
そ
れ
。
杖の先に描かれる白光の魔法陣から現れるのは法衣を纏う白いドラゴン。
エモーショナル・ハードコア自体は知っている。オラクル裏教祖とやらに成り代わろうとしていたゾロスターの野郎を罰するべく信者達が光臨させたというオラクル・ドラゴン。信者たちの信仰によって生まれたのだからオラクリオンでもある。
問題は信者が何人も集まってようやく呼べたはずのエモーショナル・ハードコアをコットンが一人で呼んだこと。
『告げよ。汝らの信仰を阻む者の名を』
「勝災電融王ギュカウツ・マグルなのだわ!!」
『では、宣告する。勝災電融王ギュカウツ・マグルよ。その全てを白紙に帰せ』
消えた。正体不明のヴェールが。
これなら届く。あいつに取ってのデビル・ハンドが。
「とど───」
かない。一向に距離が縮まらない。伸ばす手は遠く引き伸ばされる影を掴めない。こんな芸当が出来るのはこの場にただ一体。
「ジャッキー!!!!」
あいつ味方だと頼もしくて敵だと厄介極まりないわね。
ジャッキーの持つ呪文を唱えるのに無限のマナを要させる技。
自らを情報へと変換した今の私は呪文そのものと言ってもいい。それ故ギュカウツ・マグルの元へ辿りつくのに無限の距離を要求させるのだ。
「済まない!僕の力不足だ」
「いい!攻撃がこっちに飛んでこないだけでもありがたい!!そのまま止めてなさい!!」
ジャッキーの技も完璧ではない。抜け道はいくつかある。
そう、例えば───
「危ないのだわアリス!!!」
例えば相手から触れて来たとき。
情報の塊となった私の身はギュカウツ・マグルの一撃を受けて散らばっていく。けれど触れられたのならなんでもいい。デビル・ハンドなどと表したが手でなく体の一部でも触れたのなら起動する。
「さしずめシールド・トリガーってところね」
私の身に纏い、私の体が情報に置き換わって即座に分解されるのを防いでいた
私が外殻として纏っていた情報が血の様に飛び散り、中に収まっていた私本体の情報が腕を伝って体に入る。
ここまでくればもう勝ったも同然。私の情報を馴染ませて対象をハッキング。機械の体を乗っ取り、浸透し、情報に置き換えて吸収し、私諸共霧散する。対象を情報に落とし込み破壊する不可避の一手。復活するとはいえ私という余分で脆弱な存在の情報を取り込んだのだから弱体化は必至。
「宣言!
『宣告する。
ハッキングが止まる。吸収が戻る。電脳の存在から物質の存在へと引き戻され、落とされる。
「アリス!!大丈夫なのだわ?」
「っ、はぁ、はぁ……何をして」
今ここで止めたら殺しきれなくなる。
一度は私が殺した。再生に合わせて私が取り込まれることで内側から弱らせ、そこを叩くはずだったのに───
「アリス、アリス。もう倒れてるのだわ。だからそんな怖い顔しないで欲しいのだわ」
見れば倒れ伏すギュカウツ・マグルの姿が。まだ辛うじて生きているが、その傷が再生する様子はない。
エモーショナル・ハードコアに名前を呼ばれたものはその能力を失う。
ディスペクターの二つの命もディスペクターとしての能力だったのだろう。だから一度で殺すことが出来た。
『すまんなぁ、また助けられたわ』
「ならあの世でテスタに謝んなさい。あいつはアンタの為に命を落としたのに変なものに利用されて。もし次に同じことがあったら貴方の存在を歴史上の全ての情報から消してあげるからね、カツキング*12」
何処まで聞こえていたのか分からない。最後までは聞こえていなかっただろう。それでも彼は約束を違わない。もう二度とこのようなことは起きないだろう。
「終わったな。お疲れ様」
「ググッピー。ジャッキーはどうなったの?」
「消えたよ。ギュカウツ・マグルが倒された時に。それとモモキング殿の方も終わったと思う。僕があの人に共鳴して禁断王ドキンダムXの持つ禁断のフィールド、D2フィールドの力を得てスター進化したから間違いないだろう」
聞き覚えのない情報を羅列するのはやめて欲しい。
それはともかくとして、
「良かった。ほんっとうに良かった」
「アリス?泣いてるのだわ?」
カツキングが悍ましい姿にさせられていたこと。モモキングに重責を押し付けたこと。テスタではなく私が蘇ってしまったこと。それら全てで私の心は限界を迎えていたらしい。戦いで押し付けていた蓋が跳ね上げられ、中身が溢れかえったのだろう。
けれど、私は泣いてはいない。もう泣けない体だから。
「ああ、涙が出てる。これで拭くといい」
「違うわ。これは涙じゃなくてヒビよ。顔に入ったヒビ」
テスタを助けた時に記憶の眠る王墓にプラチナ・ハッキングを使ってあらゆる情報をぶちまけたあと無理やり形取った時にもこうなった。その時は不安定で一瞬で消えてしまったけれど、今はギュカウツ・マグルの一部を取り込んだからかかなり安定している。
「うわあ!!本当にヒビが入ってるじゃないか!!大丈夫なのか?」
「大丈夫。痛くない。ただ、もうプラチナ・ハッキングは使えないわね。私はもう
必殺の技がなくなるというのは結構辛い。かなり心細い。
一応ハッキングの腕はまだ残っているみたいだけれど。
「ごめんなさい。多分私のせい」
真っ白なワンピースを来た白髪の少女が頭を下げる。
いや誰?
「エモーショナル・ハードコア様なのだわ」
は?
「えっ?エモーショナルって……えっ?」
は?えっ?
「なんで女の子になってるの?」
「信仰、願望?よく分からない。けど、望まれてたから」
「誰が望んだのよ」
本当に誰が望んだのよ。オラクル?だとしたら変態過ぎるでしょオラクル共。テスタが早々に抜け出せてよかったわ。
「オラクリオンは信者たちが“ゼロの力”で作り出したオラクルだけの神。私が信者たちの影響を受けるのは十分あり得ること」
オラクル連中は変態*13。
どうせイズモやヨミ相手に……なんならゾロスター相手にも変な感情抱いてそう。
「とりあえず解決したということで一回モモキング殿と合流しようじゃないか。僕も一旦レクスターズの皆と合流したい」
「そうね。私も謝ら───」
「何か来る。構えて」
空が裂け、5体の巨大なディスペクターと無数のディスタスが舞い降りてくる。ギュカウツ・マグルの様にクリーチャーとクリーチャーをくっつけたディスペクターではなく、クリーチャーと建物をくっつけたかのような姿。そしてそのクリーチャー側は皆見覚えがある。
「チームエグザイル……」
ロビンフッド、グローバル、ミケランジェロ、ブリティッシュ、そしてハリケーン。このハリケーンは私たちが大恩あるクロスファイアがエグザイルになったもの。
「まだ、戦えっていうの」
ディスタスの顔ぶれも見知った者ばかりだ。メイプルにキナコ、ゾロスターまでいる。
そして、見つけてしまった。見たくもない顔。見たくなかった顔。
その特徴的な右腕を陶器に変えられ、魂なき器へと貶められたそいつ。
「テスタ…?」
魂なき器に浮かぶ笑みは、彼を示す熱血ではなく冷たい嘲笑。意志なき肉体は、私には微笑まない。*14
この世界線のギュカウツはジャストダイバーついてるってことで何卒(ジャストダイバーついてると思ってた)
続きはありません
本家の方でもここから先の話はモモキング視点しかなく、次にテスタ・ロッサが登場するのは全部終わったときなので
覇王への道篇いつか補完されるんですかね
DisコットンとDisケラサスについては見なかったことにする。鬼の歴史のディスタスっぽいし