異世界日記~ファンタジーはいらない~   作:kohet(旧名コヘヘ)

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異世界日記⑤権利の為の闘争

57日目

略奪目的の蛮族の襲撃から一夜明けた。

正直、かなり粗雑な足止めだったが効果はあった。

ぬかるみ程度なら問題ない身体能力だったが、魔法使いによる強化とヒーラーの洗脳魔法の組み合わせは想定外だったと思われる。

敵はゴブリン21人、トロール3人、指揮官1名戦死。こちらは負傷者のみだった。

ヤギの下半身の魔族(サテュロスというらしい)が下級指揮官だったようであり、他は有象無象だった。勘でしかないが、何らかの確信を以て略奪しに来ていたと感じた。

 

故に、サテュロスは生け捕りを提案していたのだが、冒険者志望の少年が殺してしまった。

更に、先走った少年に巻き込まれて四人重傷になってしまった。

仕方がないので自分が助けたら横取り野郎とか言い出した。

村長から叱責を受けていたが、全く反省していない様子だった。

少年に巻き込まれた被害者達が村長に罰を促した結果、少年は死刑となった。

少年は命乞いをしていたが、現地の法であることと依頼人の判断なので止められなかった。

ゴブリンとトロールの装備で被害者達が処刑人であった。

現地の法執行として記録しておくが気分の良い物ではない。

 

最終的に、戦死1人負傷者多数の戦いとなった。…仕方がないとはいえ命が軽い。

魔法使いとヒーラーは疲れて寝ていたが、戦死者は許容範囲内だろう。

 

…

58日目

戦死者を悼みつつ朝を迎えた。

魔法使いは勘付いているようだが、騒がないところを見ると現地では少年の死刑は普通らしい。

 

村長から四散していった魔王軍が退散したか軽く周囲を見て来るように依頼された。

村長の経験則的に相手は下級魔族なのでほぼ確実に逃げたとのこと。

サテュロスは中級魔族なので生きていたら半々だが、しばらくは問題ないらしい。

最前線で戦っている村長の見識は中々勉強になった。

 

手ごろな巨大モンスターがいないのでモンスター馬車での捜索は無理だった。

ついでに帰りの馬車代わりになりそうなのがいたら捕獲したいと言ったら、仲間2人から叱られた。

村長も引き攣った顔をしながら自分を説得してきたので仕方がなく辞めることにした。

 

周囲の魔王軍の足跡等から調べた結果、全力で退却したと思われる。

少年が足を引っ張らなければと思ったが、死者に対してどうかと思い反省した。

余力をサテュロス確保に使った為、捕虜がいない。

情報がないと今後の方針を立てるのに支障が出る。

とはいえ敵は全力で逃げたのでしばらくは大丈夫なのは村長の見立て通りだと思われる。

 

…

60日目

本来の予定である冒険者ギルドからの増援が来た。F級7人D級2人の計9人だ。

レベルアップした仲間2人と大体同じくらいの戦力足り得るとは思う。

村長が冒険者ギルドへ送った改定依頼と入れ違いになったようである。

村長曰く、明日C級冒険者チームが転移してくるらしい。

 

想定外の魔王軍襲来が原因だと思われる。それで何をするかは聞かないが。

それに加えて自分達3人分の依頼料を払うとなるとかなり厳しいだろう。

明日の冒険者チームと入れ替わりで自分達は撤収することを提案し、受け入れられた。

村長から依頼料を満額で支払うと言われたが、日数割でお願いして満額は不要と断った。

仲間2人も文句はなさそうだったが、自分の取り分から引いて強引に受け取らせる予定である。

 

…

61日目

例のC級冒険者チームが転移でやってきた。

自分達はモンスター馬車で帰ることにした。

騒ぐ仲間二名を気絶させ、村長達に別れを告げた。

モンスターを捕まえるのに苦労したのだから拒否は許さない。

 

…

63日目

冒険者ギルドに着いたところ、C級冒険者に格上げされた。

仲間二人は兎も角、日の浅い自分はおかしいと冒険者ギルドに直談判した。

副ギルド長が出向いて来て直々に押し付けて来やがった。理不尽の極みである。

 

先程自分がギルド前で磔にした猿共を見せ、ああいう風に虐められたくないと懇願した。

だが、か弱い自分に対して憐れむどころかそういう虐めは絶対ない等と否定された。

拒否されたので、ギルド長を出せとギルドの床に座り込みをすることにした。

他二名が床から引き剝がそうとしてくるが、現在進行形で全力を以て抵抗している。

これは権利の為の闘争であり、負けるわけにはいかない。

 




・ノルド高原村長
レベル35のレンジャー。元B級冒険者。
冒険者ギルドに戦略的な視点で献策してくる冒険者について報告した。
今すぐC級以上にして逃さないようにすべきだという内容。
現役時代の自分よりも優秀なレンジャー…どころではないので、色仕掛けでも何でも良いから囲えと強く主張した。
なお、少年への死刑に関しては将来の害だと確信したので一切躊躇いはない。

・副ギルド長
虐められる奴は格上を磔にして冒険者ギルド前に並べたりしない。
いつの間にか築いたコネクションを利用し、磔被害者の届を差し止めたりしない。
D級冒険者の身分で辺境伯にガチで恐喝もしない。
本気で辺境伯が恐怖している。…本当に何をしたのかわからないので怖い。

・仲間2名
被害者筆頭だが、放置できないので野郎を監視している。
監視していて気が付いたが、自分達以外の無関係な女性に対しては紳士的なので腹立つ。
滅茶苦茶はやるが、自分達の希望は最大限尊重している…ように思えたがモンスター馬車とか普通にやるので割と定期的にキレている。
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