異世界日記~ファンタジーはいらない~ 作:kohet(旧名コヘヘ)
64日目
昨日は理不尽に屈せず妥協してしまった。何たる邪知暴虐なギルド長である。
(異世界で)出会った中では初めて逃げの選択肢しかないような強者だった。
あれ程の強者が魔王軍の略奪を止められないのを見ると中々興味深かった。
という感想を仲間2人に正座させられて吐かされた。
仲間全員がC級となったのはノルド高原の村長の推薦であったことも説明した。
現在、魔法使いがレベル15、ヒーラーがレベル12なので実力も問題ない。
二人は魔王軍やらモンスター等で経験値を稼いだ為、急激なレベルアップをしていた。
なお、自分はスキル【弓兵】や【軍師】とかいうのを取得したがレベルは上がっていない。
レベル20のままである。スキルのステータス等の補正値で強くなっているが。
仲間二人が急激なレベルアップもあり、スキルについて共有しようということになった。
秘密にしたいことは言わなくても良いということにして今日は色々話すことにした。
スキルは大別して一般スキルと専門スキルに分類されるらしくその確認も兼ねた。
『メモ』
・自分:一般スキル【裁縫】、【詩人】、【解体】、【推理】、【経理】
専門スキル【隠密】、【狩猟】、【サバイバル】、【薬学】、
【測量】、【鍛冶師】、【弓兵】、【軍師】
秘匿したスキル【ホスト】(一般スキルと思われる)、【扇動家】(専門スキルと思われる)
・魔法使い:一般スキル【裁縫】、【茶人】、【推理】
専門スキル【黒魔導士】、【法律家】、【薬学】
・ヒーラー:一般スキル【料理】、【芸術】、【瞑想】、【舞踊】
専門スキル【白魔導士】、【僧侶】、【薬学】
※二人とも隠したいスキルがあるらしいのでそれは詮索していない。
こちらも同様で女性陣の前で【ホスト】というのは何か嫌だ。
…
65日目
昨日色々とスキルを公開した結果、自分が農家ではないと指摘された。
二人には言いたくない事の一つや二つはあると誤魔化したが。
…適当にでっち上げた経歴的にスキル【農家】がないのはおかしいらしい。
スキルまで暴く類の検査機に引っかからないように自分専用の家を借りることにした。
農学関係の知識はあるので家庭菜園をしばらくしていればスキルが生えて来ると思われる。
仲間二人に関しての厄ネタは冒険者ギルドで対処するように契約している。
色々あったが、仲間二人の安全は確保されたこともありC級冒険者昇格祝いを行った。
二人共亡くなった仲間達と祝いたかっただろうが、そこは一旦棚上げした。
自分と違って二人は経歴的にもレベル的にも文句のない昇格である。
【扇動家】スキルとその場にいた店の客の奢ることで大分盛り上がった。
また、纏まった金も入ったので一週間程度自由行動にすることを提案した。
二人共了承してくれたが、自分が何をするつもりか尋ねられた。
自分専用の借り屋を探すつもりだと説明したところ急に周りが静かになった。
二人曰く、パーティの結束がどうとかで纏まった拠点にしたいと提案された。
個室があれば最悪良いので頷いた。…圧力に屈したわけでは断じてない。
…
67日目
辺境伯を脅…良き隣人に提供させた貸家を見物した。
悪霊が取り憑いていることもあり、自分が死んだ後に返してくれれば良いらしい。
良き隣人に感謝である。
ヒーラーが悪霊を祓ったので極めてスムーズに引っ越しが完了した。
元々下級冒険者なので荷物は少ない。森で作って置いて来た物を持ってきたくなってきた。
なお、二人がこんな拠点を誰から借りて来たのかと詰め寄って来た。
…C級ならば4~5人用の貸家はギルドで貸して貰えたが自分の要望には達しなかった。
庭園が欲しかったのだが、そこまでの物件はB級以上でないと駄目だった。
大体、一人用の庭園付ならあったのに二人が来たので予定が狂った。
昨日の件もあり少しイラついてしまったが問題ないと思われる。
なお、レベルが21に上がった。
…
68日目
大掃除をした。黒魔法と白魔法は掃除に便利であった。
掃除に魔法を使わせるなと怒られたが、家を用意したのは自分なので文句は言わせない。
広い家を掃除する為、地球の自動掃除機を模倣した物を作成することにした。
家庭菜園の間に【鍛冶師】のスキルの習熟度を上げることにもなる。
この際、魔法使いからスキル被りが多くないかと指摘された。
魔法使い曰く、スキルは一つとったらそれを応用させるのが普通らしい。
それを言うのならヒーラーも被っているスキルが多くないかと返して誤魔化した。
ヒーラーが申告してきた芸術、舞踊や瞑想、僧侶などは被っている。
なお、ヒーラーはスキルの上下関係等を魔法使いに解説していた。
魔法使いは知らなかったので、教会関係者はそういったノウハウがあると思われる。
スキルの優先度や上下関係はあまり一般的ではないのかもしれない。
…
70日目
家庭菜園を作る前に庭の手入れをしていたら【庭師】のスキルを取得した。
日本庭園とまではいかないが、それなりに手入れしていたら取得してしまった。
恐らく森での生活である程度習熟度があったのだと思われる。
知識と行動が伴い実地で使用できるのならばスキル取得条件を満たすようである。
庭の手入れを手伝ってくれたヒーラーは【庭師】スキルを取得していない。知識が不足しているのだろう。
だが、幼少期それなりの家にいたと聞いている。
ヒーラーは【芸術】スキルの補助もあり、今後も庭の手入れを手伝ってくれれば取得できそうではある。
そんな感じの予測を昼食事に二人に語ったところ恐ろしい勢いで食いついて来た。
…一般スキルでも何でもスキル持ちであれば優遇されるとのこと。
やはりというべきか、この世界でスキルとは資格に相当する物と判明した。
こういう細かい常識は現地視点がないとわかりにくい。
魔法使いは恐らく【経理】スキルを取得できるので経理のテキストを書いて投げ、ヒーラーには季節の代わりで庭の手入れを変えていく等の過程を教えてみた。
自分は魔法使いから手持ちの法律辞典を投げて寄越された。
魔法使いから見て自分が【法律家】スキルがないのはおかしいらしい。
…
72日目
先日のスキル取得の検証を兼ねた勉強&実践から二日が経過した。
ヒーラーは【庭師】のスキルを取得できた。自分も同様に【法律家】のスキルを取得できた。
…魔法使いの法律辞典にあった欄外の書込みが分かりやすかった。
他で読んでいたこの世界の法律学の本等の知識と合わさった結果だと推測される。
今更ながら魔法使いがノルド高原で戦死した少年の処遇に何も言わなかったのも【法律家】スキル持ちだったのも大きかったと思われる。
魔法使いに渡した経理テキストは魔法や法律と微妙に異なるので取得は難航しているようだ。
魔法使いの様子を見たいので経理の勉強をやって貰うことにした。
本人もやる気が凄いことになっている。スイッチが入ったらしい。
冒険者ギルドでヒーラーと二人で受けられそうな依頼を受注した。
領内の森で採取した薬草等を用いて【薬学】で回復薬作成し、納品する仕事だ。
何気にC級以上でないと受注できなかった仕事らしい。
D級以下でも使用する分だけ自作したり個人の自己責任で販売する程度は問題ないが、ギルド納品までは信頼度が低いので受注できないという。
採取して以降は内職となり、魔法使いも勉強の気晴らしに手伝いをしてくれたりもした。
【サバイバル】と【薬学】の相乗効果で採取量が想定以上となっているので有難かった。
今更ながら三人とも【薬学】持ちというのは恐らく他にも中々いないような気がする。
…
73日目
冒険者ギルドに回復薬を納品した。…想定以上の量を持って来られたらしい。
回復薬の質も良好なので薬師ギルドを紹介するかと言われた。
判断に迷うので保留にした。後、ついでに冒険者ギルド長に挨拶してきた。
案の定、辺境伯にバレないようにグリオス公国の問題に対処したいらしい。
ギルド長には明日まで何とかしてくると伝えてきた。
貸家を与えて来る程度には知っている間柄。どう脅…説得すれば良いか知っている。
一日外すと二人に伝え、辺境伯邸に直接乗り込むことにした。
・仲間二人
何か知らない間に訳アリとはいえそれなり以上の屋敷を借りて来たので困惑。
誰を脅したのか追及するも逆ギレされた。
野郎のスキル取得方法がやや歪なことに気が付くが、追及はしていない。
【薬学】スキルは毒殺防止の為に取得したが、仲間に使う程度しか使ってなかった。
故に回復薬作成は結構楽しかった。73日目に野郎がどっか行った後、薬師ギルドに顔を出すことにした。
魔法使いは【経理】を取得したので、報告に来たのだが入れ違いになりご立腹である。
・ギルド長
また来ますと言われ、丁度困ったタイミングで野郎に来られた。
エクステーロ辺境伯との伝手が何故かあることを知っているのと急いでいるので渋々頼んだ。
D級冒険者になる前から繋がりがあったのではと思い、野郎の背景の推理ができない。
流石に屋敷まで即座に提供される程の繋がりとは思っていなかった。
・エクステーロ辺境伯
来ないで