HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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はい。もう説明不要かと思います。


特別取材!未確認生物・トリニティのメンダコの謎を追え

 風巻(かざまき)マイは、クロノススクールのアナウンサーであり記者である。

 あらゆるニュースをキヴォトスに報道する「報道部」に所属している。主な仕事は、現場での取材やインタビュー、レポート。同じクロノス報道部の後輩・シノンと共に取材をすることが多い。

 

 そんな彼女だが、その日は―――トリニティ自治区のあるホテルの一角にいた。

 

「時間バッチリ……今日こそあの噂を確かめる…!」

 

 その目的は、ある噂の裏付け。

 トリニティ総合学園のティーパーティーで、未確認生物を飼育しているという噂。

 事実関係を暴いた上で記事を作れば、間違いなくトップ記事になれる。マイの記者魂はそう叫んでいた。

 そのために、必要になってくるのが……

 

「桐藤ナギサ……ふふふ、いくら隠してもクロノスの目からは逃れられないですからね…!!」

 

 ティーパーティーの中枢・桐藤ナギサ。

 マイはこの日、ナギサをパパラッチのごとくつけ回し、決定的瞬間をすっぱ抜くつもりでいた。

 すべては……トリニティが秘蔵する、未確認生命体をカメラに収めるために。

 

 その為に、マイは桐藤邸を確認できるホテルの部屋にチェックインをしておいたのだ。

 そうでなければ、バカ高い使用料を払ってまでここに来るものか。

 むしろ、もしここで激写が決まれば、この出費も報われ、クロノスの名も売れ、自身の記者の腕も認められ……なにより、世界の歴史が進む。

 未確認生物が周知され、キヴォトスのあらゆる分野の学問に火が付くだろう。

 そう―――すべては、その為に。

 

「いつでも来なさい…!」

 

 カメラを構えて、機を待つ。

 そして、その時は来た。

 

「!! 来たッ…!」

 

 桐藤邸の玄関の大きな戸が開けられる。

 カメラ越しに、緊張が走る。

 そして……渦中の人物・桐藤ナギサが登場した―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――棺に納められた状態で。

 

「し、死んでるゥゥゥゥーーーーーーッ!?!?」

 

 マイは隠し撮りのパパラッチらしからぬ声をあげた。

 無理もない。狙っていた人物が棺に入った状態で、お抱えのメイドらしき少女達に運ばれて出てきたのだから。

 これでは、学校に登校しにいくというよりも火葬場に出棺されにいくかのようだ。

 

「イヤなんで!? 死んだなんてニュース聞いてないんですけど!?

 ま、まさかつい先ほど何らかの理由で死んだんじゃあ……」

 

『パカッ』

 

「出てきたーーーーーッ!?

 どういうこと!!? 死んでたんじゃないってこと!!?」

 

 超・速報で死んだのかと思ったマイだが、カメラ越しにナギサが棺の蓋を開けて出てきた事に驚愕。

 予想外の展開が続いたせいで平静さがなくなっていく。死んだのか?それとも死んだのではないのか?それさえ分からない。

 

 ちなみに、事実関係の方だが、この時ナギサは寝起きで手に取ったスマホが落ちて、顔に当たったダメージで死んでおり、メイドによって復活したのだが、そんな事マイにわかる訳がない。

 

「(た、たぶんアレだ……寝坊かなにかをしたのでしょう…! 棺で寝るとかちょっと趣味が悪いケド、それ以外に考えられない…!)」

 

 いちおう、こういう言い訳をしてみる。

 やや苦しい点はあるものの、死んだ死んでないなど分かるわけがない上に、今は一人であるため、誰も不自然な意見を指摘する者はいなかった。

 ナギサがトリニティ総合学園の方向に向かうのを見て、マイは身支度をし、尾行を始める事にした。

 

 しかし、おかしいのはここからであった。

 登校中のナギサを尾行するマイは、彼女の移動中の異変をありのまま目撃することになる。

 

 

『バウッ!バウッ!』

『ア゛ッッッッッ』

『ナギサ様っ!』

 

「え…犬に吠えられただけで倒れなかった!?」

 

 通りすがりのロボが連れていた犬(我々の想像するタイプの普通の犬)に吠えられては倒れ

 

 ガンッ

『ぐふぅ…』

『大丈夫ですか!?』

 

「ぽ、ポストに当たっただけで大袈裟な……」

 

 ポストの脇を通ろうとして失敗し、ポストの角に当たってそのまま致命傷を受けたかのように蹲り

 

『ガフッ』

『ああっ!また…!』

 

「!!? な、なんですか今のは!?

 きゅ、急に血を吐きだした!?!?」

 

 道端で高級ポケットティッシュを配る人がスルーしただけでナギサがダメージを受けブッ倒れた

 理解不能なことが次々と起こる。しかも、それは大抵ナギサがなんの前触れもなく血を吐いて倒れ、その度に隣にいた召使いが水筒の中身を飲ませる、といったものであった。

 

 

「な、何でですか……!?

 桐藤ナギサは…彼女の身体に一体何が起こったのですか……???」

 

 あまりに現実離れした光景に混乱してくるマイ。

 自分がおかしいのかとも思い始めているが、これがちゃんとした価値観を持った人間の極めて普通な反応である

 そうとも知らず、混乱が解けないまま、まだまだ裏があるのではないか、と調査を続ける。

 

 

「(いや…! まだ尾行は始めたばかり! 彼女についていけば、彼女自身のことも未確認生物のことも分かるハズ……!!)」

 

 

 ゾンビのごときしぶとさで尾行するマイは、ナギサが誰かと出会った瞬間を目撃した。

 その誰かを見た瞬間、マイは息を殺す。気付かれてはならないと思ったからだ。

 

 

「(あれは……聖園ミカに百合園セイア! ティーパーティーの3トップがここで揃うとは! 今まで以上に注意を払わないといけませんね…!!)」

 

 ミカはその常軌を逸した戦闘力から。

 セイアはその類まれなる直感能力から。

 己がつけている事を悟られてはならないと襟を正し気を引き締めた。

 

 ソレが功を奏したのか、或いは単純に距離が空いていたのか………3人は何も気付くことなく学園に向かっていく。

 そして……

 

『――――!』

『――――』

『―…―――』

 

「(会話が聞き取れない…まぁ無理もない。近づき過ぎて気付かれたら元も子もありませんからね…)」

 

『―――』

『――っ!』バンッ

『ッッッ』スラァ

『!?』

 

「(と、溶けたーーーっ!?!?)」

 

 何か癪に触る事を言われたのだろう。

 ミカがナギサの背を叩いたのだ。

 すると―――なんと、ナギサが痙攣したと思ったら溶け出した。まるで熱した鉄板に乗せられたバターの塊のように。

 

「(完全に人間のなせる業じゃないんですけど!化け物なんですけど!? え、死んだよね?死んでませんアレ!?)」

 

『―――』

『―――』

 

 完全に動揺しているマイとは裏腹に、急に溶け出したナギサを前にしたミカとセイアには、マイほど動揺した様子は見られない。

 それどころか、二人はナギサが溶けたのを確認すると、荷物からペットボトルを取り出すと、キャップを開けて中身を溶けたナギサにかけだした。

 

「(それでどうにかなるワケないだろ!? 完全に救急車案件ですよ! いや、救急車でもどうにもならないかもしれないけど!!)」

 

 ミカは マリマージュフレーノレ をつかった!

 セイアは ホートナム&メイリン をつかった!

 なんと ナギサは 生き返った!

 

「生き返ったっーーー!?

 ちゃんと人間の形になったぁーー!!?

 なんでェ!!?」

 

 ビデオの逆再生のように、溶けた状態から人の形に戻っていくナギサに、悲鳴をあげるしかないマイ。

 現代医学に真っ向から喧嘩を売る形で変形したさまを生で目撃した彼女は、もう何がなんだか分からないようであった。

 それでも、是が非でもこの正体を掴んでやると言う心持ちだけで、盗撮(取材)を続けていく。

 

 

 

 しかし。

 その後も、理解不能な事態を目撃するばかり。

 

『―――』

『――』

『―――』ジュッ

『グフッ』スラァ

『!!?』

 

こ、紅茶に口をつけただけで死んだぁぁぁーーー!!?

 

 

 ティーパーティーの事務作業を始めようとしたナギサが、ティーカップの紅茶に口をつけただけで死んだ。

 紅茶を淹れた者が温度調節を間違えたのだろう。熱々の紅茶と知らずに口に運び……そして唇を火傷したのだ。

 しかし、それを見たフィリウスの生徒らしき人々は、蜂の巣をつついたように騒ぐこともない。

 

 何故かある棺に、溶けたナギサだったものを詰め。

 

 それに今淹れた紅茶を無造作に投げ入れて。

 

 蓋をしたかと思ったら、モモフレンズのペロロのぬいぐるみを置いて。

 

 そのまま、仕事を再開した。

 

 

イヤその人君らの上司ーーーーーーーーーーーーッッ!!?

 なんで全員揃って扱いが雑なの!? そういう立ち位置なの!? というか溶けたことについては全員無視!?なんでだれもなにも言わないのよ!?」

 

 

 ナギサに対する部下のあまりにもな扱いに衝撃を受け。

 

 

 

「や、やっと仕事がひと段落ついたみたいね…

 なんて激務なんですかティーパーティー……さて、桐藤ナギサはっと……」

 

『ナギちゃん、一緒にお昼食べに行かないー?』

『みー!』

『まったく、またそんな姿になって……相当ストレスだったんだな』

『えー、最近セイアちゃんより弱くなってないー?』

 

消えたッッ!?!?あり得ない、ちょっと目を離しただけなのに……

 ―――というかあの生き物は何!!? さっきまで影も形もなかったのにどこから現れた!?!?!?

 

 

 桐藤ナギサを見失ったと思ったら、見たことのない生き物を目撃したり。

 

 

 

「お昼の後、まっすぐ学園に帰らず、どこへ……あぁ、お貴族様御用達のスーパーか。

 聖園ミカと百合園セイアは入っていくようですね…あれ?桐藤ナギサは?」

 

『あらナギサちゃんじゃない』

『あ、どうも』

『最近お仕事はどうなの?』

『先生とは上手くいってるのかしら?』

『ウチの息子紹介しましょうか?』

 

「オバチャン達に絡まれてるー!?」

 

『やめなさいよアンタ、ナギサちゃんは先生とくっつくんだから、出歯亀するんじゃないの』

『せっ、せせせ先生とぉ!?』

『あら〜照れちゃって』

『若いわねぇ!』

『わわ、私なんかが…先生となんて……はぅぅ』スラァ

『こ〜ら、はぐらかさないの!』

 

そして死んでるーーーー!?!?

 ミカとセイアについてはこのナギサは無視しちゃうの!? 気付かないフリしてるのそれが優しさなのーー!!?」

 

 

 オバチャンに絡まれ詰められただけで溶けていくナギサを目撃したりと。

 カメラに収めたものの尽くがマイの常識の範疇を超えていた。

 自身のこれまでの常識、当然、現実……それらが音を立てて崩れていくような……そんな錯覚がした。

 それと同時に、マイには確信したことがある。

 

 

「いろいろトンデモ映像が取れてしまった……!

 でも間違いない………トリニティは、もうアレに……()()()()()()()()()()()()()……ッ!!!

 

 少しずつ、得た情報を元に考えを整理していく。

 

 

「まずあの生き物……何度も死んでは生き返るなんて人間じゃありえない…

 つまりアレは……寄生型の生命体か変身できる生物がナギサに成り代わっている…!しかもアレは、洗脳か認識阻害の能力を持っている……!

 そう考えれば、あの珍妙な生き物にも、他の皆がやけに冷静だったことにも納得がいく……!」

 

 人間、常識に囚われると時にトンでもない結論を出してしまうものである。

 今のマイの結論だってそうである。「人間は一度しか死ねない」という思い込みに囚われた結果、桐藤ナギサを地球外侵略生物か何かだと思い込んでいる。ソロで取材に来たため、訂正する者は誰もいない。

 

「こ、この情報、慎重に扱わないといけないですね………下手をすれば、トリニティと全面戦争になるかもしれません…!」

 

 トリニティのトップが人間ではなかった。

 そんなことが判明したら、トリニティ系統に大きな衝撃が走り、下手をすればトリニティ総合学園がなくなるかもしれない。

 革命の狼煙にせよ破滅への序章にせよ、慎重に慎重を重ねていかなければならない。そうでなければ、いつか暗殺されるかもしれない。

 手元に入った情報が、トンでもない大爆発を引き起こす爆弾に見えてくる。

 

 だがマイはソレを手放したりしない。

 たとえ持っているだけで命に関わるような大スキャンダルであったとしても、報道の自由は守る。

 引っ込んでしまえば、言論の弾圧の第一歩になりかねない、そんな局面。ブン屋として、選択を間違える訳にはいかない、ということなのだろう。

 

 なお、すべてマイの勝手な思い込みであるが。

 

 

「ですが…報道の自由のため、この情報は持ち帰らせて頂きましょうか……

 想像以上過ぎて逆に恐ろしいですが……これは誰にも負けない大収穫でしょう!」

 

 ほくほく顔で、帰り支度を始めるマイ。

 だが、彼女は知らなかった。……否、知ってはいたが実感はなかったのだ。

 ここがトリニティ自治区であることを。それが、何を意味するかも。そこで、出会ってはいけない人物がそうである所以も。

 だからだろう。クロノスの記者としてそれなりに経験のあるハズの彼女が……引き際を間違えたのは。

 

「それでは、これにて失礼させていただきましょう!」

 

「遠慮すんなって。もっと撮ってもいいだろうに」

 

「いえいえ!流石にこれ以上ご…迷…惑、を―――」

 

 独り言に対して、返ってくるはずのない返答。

 それが聞こえたマイは、油の切れかけたブリキ人形のようにゆっくりと、振り向いた。

 そこにいたのは―――一人の少女。黒いメッシュの入った金髪に、夜空を切り抜いたような翼。勝気な笑顔。

 流石のマイも、彼女のことは知っていた。

 

「まっ…間島―――」

 

「ドーモ、イヤラシイ芸能カメラマン=サン。間島スバルです」

 

 間島スバルと出くわしたマイは、スバルに盗撮がバレたと理解した瞬間、逃走を敢行した。

 そして、その0.0086秒後に捕まった。

 

 

 

 

 その日、プレアデス性団の部室内で、クロノススクールの制服が目撃されたという。

 また、その日の部活動は、裸体のスケッチだったそうだ。部員が描いていたのは、眼鏡をかけた、スレンダーな女子の裸婦画。

 画力を上げる為に描かれたその絵の数々は、エロチックさと芸術性が感じられたという。

 間島スバルは、この絵画を連邦捜査部シャーレに寄付。先生はその絵の扱いに困り、倉庫にしまわざるを得なかったそうな。

 なお、クロノススクールでは………

 

「た、ただいま…」

 

「おかえりなさ~い…あれ?マイ先輩どうしたんですか? そんなにやつれて…」

 

「じ、ジノン゛~~!」

 

「へ?」

 

「わだじも゛う゛お゛嫁に゛い゛げない゛~~~!!!!」

 

「先輩ッ!?!?!?」

 

 ―――といったやりとりが行われたんだとか。

 

 

 ちなみに、桐藤ナギサを収めた映像は編集部によって削除された。

 マイの決定的瞬間を激写した傑作ではあったのだが、満場一致で消去という判断が下されたのだ。

 大事なコトだが、歴史的瞬間を消し去った編集部に罪はない。ヘイロー持ちであろうがなかろうが、人間は普通犬に吠えられた程度で死なないし紅茶で復活もしない。

 




Tip!
これ以降、クロノス報道部において、桐藤ナギサと間島スバルについてはブラックボックス……「絶対取材しちゃアカン」リストに追加されたぞ!当然、本人たちは何も知るよしなどないが!!



おまけ・ブルアカカバーソングアルバム:Gehenna①

1.お料理行進曲/給食部
2.ハレ晴レユカイ/美食研究会
3.愛しのナポリタン/黒舘ハルナ&赤司ジュンコ&鰐渕アカリ&獅子堂イズミ&愛清フウカ
4.残響散歌/便利屋68
5.オリオンをなぞる/銀鏡イオリ&火宮チナツ
6.リトルソルジャー/空崎ヒナ
7.New Story/天雨アコ
8.恋は渾沌の隷也/空崎ヒナ&棗イロハ&陸八魔アル&黒舘ハルナ
9.SAKURAスキップ/丹花イブキ&棗イロハ&夜桜キララ&旗見エリカ

最終章、どこまで書こうか…?

  • 変わったところだけ書く
  • 長すぎず短すぎず書こう
  • 選ぶな、全部書け
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