HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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前々から考えていたものを投稿します。
ギャグは少なめですので、ご容赦ください。


HENTAIの野望/Zero・前 プリンスメロンが生まれたワケ

「今日のプレアデス性団の活動だけど……悪い!

 俺、今日はちと、参加できそうにねぇ!!」

 

 セラ達に手を合わせ、頭を下げる。

 突然の告白に目を白黒させながら、セラが答えた。

 

「え、そ、それは、一体なぜ………?」

 

「スマねぇな。今日はかなり大事な先約が入っててさ」

 

「先約?」

 

「あぁ。すっぽかすワケにはいかないんだ」

 

 今日ばかりは、行かないといけないんだ。

 この日は…特別な日だから。

 

「そういうことでしたら……構いませんが」

 

「ありがとう!早速行ってくる!」

 

 部員たちに心で詫びながら、俺は必要なものを取りに行った。

 今日ばかりは付き合えなくてゴメン。その埋め合わせは必ず明日以降に絶対にヤるから、と。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 そんな気持ちをつゆ知らず。

 プレアデス性団のメンバー達はスバルの背が見えなくなったタイミングで、一斉に目を合わせ、口を開いた。

 

「お姉様……いったい、何があったのでしょう…?」

「今日どなたかの誕生日でしたっけ?」

「いやー…ジブンの知る限り、今日は誰の誕生日でもなかったと思うんスけど…」

「あ、アレじゃない?モモフレのお店のバイト!」

「それだったらあんな誤魔化し方はしないハズだ。多分あそこじゃないぞ」

 

 ああだこうだ、あれじゃないこれじゃない、と議論を続ける。

 やがて、メンバーの一人……スバルをお姉様と慕う2年生・セラがある考えを思いつく。

 

 

まさか―――水商売でも始めたのでは!!?

 

「「「!?!?」」」

 

 自分らの部長に対してこんな考えが浮かんでしまうあたり完全に染まり切っている。

 しかもそれに対して「イヤそうはならんやろ」ってツッコミよりも先に「その説があるか…!」といったような確信を得たような表情が出るあたりもうヒドイ。

 もちろん、他の意見も出てくる。

 

「水商売か……そうなると関係するのは金だ。

 もしや…何者かに脅されているのでは…?」

 

「しかしアギト先輩、スバルさんを脅迫できるなど、片手で数えられるかさえ分からないレベルですよ?」

 

「じゃあさー、シンプルに誰かに会いに行ったとかは?」

 

「一理ある」

 

「でも、誰に?

 あの人が私達を誤魔化してまで会いに行く相手なんて、相当ですよ」

 

 そうして話しているうちに、このままでは埓があかないと気付いたのだろう。

 プレアデス性団はスバルの行き先を調べることになった。

 

「よし、それじゃあ早速スバルさんを尾行して―――」

 

「待て、ノボリ」

 

「え?アギト先輩?」

 

「スバルは気配を察知できる。尾行したら、間違いなく気付かれるぞ」

 

「あー……それもそッスねぇ…」

 

 とはいえ、尾行を行おうものならほぼ確実に気づかれる。隠れた相手を気配だけで探すなどスバルにしか出来ないが、だからこそその高い探知能力が仇になる。

 

 即座に出来そうなものといえば、心当たりのありそうな相手に事情を話して詳しく訊くしかない。

 そうして行動を始めたプレアデス性団。真っ先にスバルの秘密の逢瀬の相手*1として浮かんだのはシャーレの先生であった。

 

「うーん…今日はスバルと会ってないよ?」

 

「今日は?」

 

 先生を尋ねてシャーレに行っていたのは、ユマ・ノボリ・アギトの3人。

 彼は、スバルとは会ってないと答えたが、答え方に引っかかりを覚えたノボリは、更に先生の意図について尋ねる。

 

「最近会ったことあるんスか?」

 

「実は、昨日花屋にいたのを見たんだ」

 

「「「花屋??」」」

 

 スバルからは想像もつかない出会い方を昨日した、という先生。

 詳しい事を尋ねれば、先生は昨日起こった事を、事細かに話していく。

 

「少し、生徒に頼まれ事をされて、教材を買いに行っている途中の花屋に、スバルが入っていくのが見えてね。花束を抱えて出てきた時に聞いてみたんだ。なにをしてたのって。

 そうしたら、スバルは『自室に飾る用にお花を買った』って言っていたんだけど……」

 

「じ、自室に飾る?」

 

「おかしな話ッスね……スバルさんが花を飾るタマっスか?」

 

「見た目で判断しない方が良いが……この前見舞いに行った時、部屋には花を飾るどころか花瓶も見当たらなかったな」

 

 先生から聞いた、花を買うスバルの様子。

 普段のスバルを知っているプレアデス性団の面々からしても、意外すぎる一面であった。

 これまでエロ漫画一点に全身全霊を注ぎ込み、また桁違いの修行を積んでいるスバルが花とは、どうしても似合わなかったのだ。

 ガーデニング系の趣味に目覚めたと言ってしまえばそれまでだが、それにしてはきっかけが一切ないのはおかしい。

 そこについて、プレアデス性団には無駄な忖度がない。

 

「スバルさんからは花の話はしたことがありませんでしたね…」

 

「ほらユマ先輩、やっぱスバルさんと花は縁がないんスよ!」

 

「ノボリ、お前な…」

 

「(そういえば……あの時のスバルが買った花束……菊の花が入ってたっけ)」

 

 ちなみに、先生はセンセイオンナタラシであるためそこまでのことは言わない。

 言わない……が。

 

「(まさか、ね)」

 

 思いついた可能性について口にしたらどうなるかを考え、黙ったままでいることも出来るのだ。

 なぜならそれは……容易に話していいものではなかったから。当たっていようが外れていようが、空気が良くなることは決してないからだった。

 

「…む、電話だ。少し待ってくれ」

 

 話はアギトのスマホに電話が来ることで中断される。

 それは、スバルの行動の謎の解明……そこに一気に近付く報せであった。

 

 

 

 

「あの…やはりやめませんか?」

 

「どうしたんスか副部長、急に?」

 

 アギトに連絡が入ったのち。

 プレアデス性団の全員が合流してから、トリニティ自治区の郊外……田舎も田舎。そんなある場所へ向かう最中。

 そんなことを言い出したのは、副部長の六星セラであった。

 

「この先に行けば、スバルさんがいるんスよ?

 ここまで来て、やっぱやめたはちょっと遅すぎじゃあないッスか?」

 

「だからですよ」

 

 先程、アギトに来た連絡は……スバルの位置が分かった、という連絡。

 プレアデス性団の中で最もネット関係に詳しい雷久保ユララが、スバルの携帯の電波を辿って、ようやくつかんだ情報であった。

 もうすぐスバルが何をしているか分かるというこの状況で、引き返す判断を求めたセラに、ノボリは納得いかない様子だ。

 そこに、セラは理由を告げていく。

 

「この辺りの地図を調べたのですが……ここから先、人に会う為の施設などありませんでしたわ。

 ほんの少しの住宅と田畑…あとは海岸くらいしかありませんもの」

 

 声を震わせながら、セラは続ける。

 

「これは、本当にやっていいことなのでしょうか?

 私たちは、取り返しのつかないことをしようとしていませんか?」

 

「え……イヤ、そんな事」

 

「ない、と言い切れる根拠は何ですか?」

 

「「「………」」」

 

 言われてみれば、と顔を見合わせるプレアデス性団の面々。

 そもそも、スバルが何をしているのか調べる、という名目で始まった調査。

 最初こそスバルが水商売してるかもしれない、誰かと会う約束をしているかもしれない、という心配から始まった出来事である。

 

 だが、別の可能性があるのではないか、とセラは気付いてしまったのだ。

 例えば、ここにスバルがどうしても隠したい秘密があったとしよう。

 それをもし、プレアデス性団のメンバー達が尾行して見つけてしまったら?

 それがもし、スバルにとってデリケートな問題で、誰かにバレたことで傷つくことであったなら?

 

「もし私達が動くことで、お姉様が傷つくことがあったのなら……私はこれ以上進めません」

 

 そういった理由もつけて、セラは一人ひとりの顔を見た。

 苦楽を共にした仲間。自分の仲間たちを救ってくれた先生。

 その、ひとりひとりに、確かめるように眼差しを向けていく。

 どうか自分の言いたい事を、言ってくれと言っているかのように。

 

「みなさんは、どうお考えですか?

 …この際です。嘘偽りのない意見を、いただけますか?」

 

 

 このセラの発言に、顔を見合わせていた部員たちもセラを見つめ、各々の答えを出さんとしていた。

 

「ジブンは、このまま行ってもいいと思うッスよ。

 スバルさんが、バレたくない隠し事をしてると決まったワケじゃあないし」

 

 ノボリが。

 

「私としては…一旦引き返して、他のアプローチを勧めてもいいかもしれない、と思う。

 万が一があったら、プレアデス性団内に溝が出来かねん」

 

 アギトが。

 

「いやー、あーしはね。このまま行きますよ?

 スバルさんのスマホの電波傍受しちゃったし、毒を食らわば皿まで的な…?」

 

 ユララが。

 

「私は、様子見を提案します。

 隠し事でなければそれで良し。もし何かを隠していたならば、私たちに隠す程のことですから、慎重に進めるべきでしょう」

 

 ユマが。

 

「あたしは、スバルさんのことを知りたいです。

 もしそれであの人が傷ついちゃったら…謝りますから!」

 

 アキが。

 

「スバル様の機密事項……そそるわね…」

「スバルのことだ、私たちに仇なす企みはしていないと思いたい」

「あぁ。私も部長のスバルのことは信じるぞ」

「別に良いぜ、俺の用事も終わった事だし、頃合いを見てお前らに話さないとと思っていた所だ」

 

 そして、他の部員たちも。

 各々の言葉をセラに聞かせていく。

 やがて……全員の視線は、同行していた先生に向いた。

 自分の番だと思った先生は、しばらく考えてから……口を開いた。

 

 

「私の意見としては、何よりスバル本人に確認するべきだと思うんだけど……」

「大丈夫だって。良いって言ってるだろ」

「そんなこと言って、勝手に決めて良いワケ―――」

 

 

 そこまで言って、全員が固まった。

 視線が、一つにまとまったからだ。

 1人の、少女…………さっきまではいなかった、黒メッシュ入りの金髪に、夜空を切り抜いたかのような片翼の少女に。つまり、間島スバルに。

 

 

「よう」

 

お姉様ぁぁ!!!?

「「「「「スバル(さん)ッッッッ!!!!?」」」」」

 

 

 全員が、吹き飛ぶかのようにのけぞった。

 まさか件の人間がちょうどこのタイミングでまんま聞いていた、なんてことがあるだろうか?………いや、ない。

 

「い、いいいいいいつの間にィ!?」

 

「ついさっきだ。用事が終わって戻ってきたら、全員で集まってるから何事かと思ったよ」

 

「…つまり、ここが帰り道だったってこと?」

 

「そういうことになりますね」

 

 あまりに自然に紛れ込んで登場したスバルは、うーんと考えてから、何かを思いついたのか、頷きながらこう言った。

 

「しかし、そうか…俺のこの用事のこと、みんな気にしてたんだな」

 

「も、申し訳ございません……わ、わたくしは」

 

「良いって、セラ。他のみんなも、黙っててすまなかったな」

 

 セラの発言を遮り、スバルが真っ先にやったのは謝罪であった。

 自分の用事を、詳しく言おうとしなくてすまない、と。

 傲岸不遜さを常に漂わせているスバルからは考えられない発言に、一同は息を呑んだ。

 

「この用事をみんなに話さなかったのは……俺が踏ん切りがつかなかったからだ」

 

「お姉様……」

 

「なにせ、俺の、大事な思い出が関係しているからな………もう聖域と言ってもいい」

 

「そ、そんなに!?」

 

「あぁ。だから、というと言い訳だが。

 どうしても話すきっかけを持てなかったというか、話そうと思えなかったというか……」

 

 どうやら、スバルの用事とは、それは本人にとってかなり重要なものであったようだ。

 セラが思いとどまっていなかったら、その“聖域”に土足で踏み入ることになっていたかもしれない。

 にも関わらず、そのことを責めず、スバルは「自分に勇気がなかったからだ」と言って、非を譲ろうとしない。

 

「……本当は、どう思っているの?」

 

「他の連中だったら、キレてたでしょう。

 でもこいつらは、信用できる。こいつらだから、信じられる。

 俺を語る上で、欠かせないことだから、いつか話そうとは思っていたんです。けれど……」

 

 先生の確認に、スバルはそう言って、視線を奥へ向けた。

 恐らく、「用事」があった方角だろう。

 

「……先生がいなかったら、きっとその『いつか』は、来なかったかもしれません」

 

 そう言って、スバルは歩き出した。

 まるで、来た道を戻るかのように。

 

「皆、ついて来てくれ。この際だ、紹介したい()がいる」

 

「……いいのかい?」

 

「もちろんです。

 というか、これを逃したら多分言い出せないだろうなって思って……」

 

「それは、本当に大丈夫なの?」

 

 スバルはどうやら、皆が気になっていた「用事」が何かを教えるつもりのようだ。

 急に思い立ったような判断に、先生はそれで良いのかと念を押した。

 先生の言葉を聞くと、スバルはやや恥ずかしそうに、だが何かを覚悟したかのように、答えた。

 

「思い立ったが吉日なら……その日以降は全て凶日、ってやつなんでしょう。少なくともこれに関しては」

 

 そんな様子のスバルに、何て言えば良いのか。

 心配の言葉をかけるのは簡単だ。でも、他に言うべきことがあるんじゃないか。

 先生は、ずっとそう感じていた。

 

 

 

 

 先生とプレアデス性団のみんなを連れて、俺は戻ってきた。

 

「良いか。今から話すことは……俺にとってはすんごい大切な事だ。

 誰かに話すのは初めてだ。それはつまり…それだけ信頼している、と思ってくれていい」

 

 ここに来ていることは、古い付き合いのコハルさえ知らないことだ。

 あんまり誰かに吹聴する、なんてことが無ければいいと思っているが、念のためにな。

 

「……本当に良いのか?」

 

「俺が決めたことだ、クオン。俺の決心は揺らがない」

 

「あの…スバルさん?」

 

「どうしたノボリ」

 

「ここ……墓場、ッスよね?」

 

「そうだ」

 

 辿り着いたのは、崖の上に立った墓地である。

 海が良く見え、潮風がここまで届いてくる。

 そこに立ち並ぶ墓の前を次々と通り過ぎていき、墓の数がまばらになる程奥まで足を進めた先で。

 ひとつの墓標を見つけ、その前に皆を並ばせた。

 

 墓標は、俺が手入れしてるのにも関わらず――そもそもの石が良くないだけかもしれないが――石の光沢がなくなりつつある。

 脇の花瓶には、買ったばかりなのだろう、新鮮な花たちが咲き誇っている。

 墓石には、『泡辺家ノ墓』という文字が、明朝体で彫られていた。

 

「こ、れは」

 

「…まぁ、ビックリしますよね。

 紹介したい()って言いながら、墓の前に連れてこられちゃあ」

 

「ま、待て……とにかく、スバルがその人?を紹介したいのは分かった。

 だが…その彼女?彼? は何者だったんだ?私たちにも教えて欲しいんだが」

 

「そうだね。私にも教えて欲しいかな」

 

 わかりました、と先生とクオンの声に、スバルは掌で墓を指した。

 

 

「彼女の名前は、泡辺(あわべ)サザナミ

 今から3年前に亡くなった、元オデュッセイア海洋高等学校の生徒。

 そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――この間島スバルが、『プリンスメロン』として漫画を描き始めたきっかけをくれた人だ

 

「「「「「!!!!」」」」」

 

 そうして、俺はサザナミさんとの出会いを、今の部員たちと先生に語る事にした。

 

*1
表現に叡智な悪意があります





Tip!
泡辺サザナミは、オデュッセイア海洋高等学校に在学していた元生徒だぞ。
海に出る夢があったようだが、卒業を待たずして病気で亡くなっていたらしい。享年18。
スバルとどこで会ったのか?どういう関係だったのか?……それについては次回までのお楽しみってコトで。


最終章、どこまで書こうか…?

  • 変わったところだけ書く
  • 長すぎず短すぎず書こう
  • 選ぶな、全部書け
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