HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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前回のお話で、実際に色覚に問題を抱える方からの感想がありました。
幸いクレームのような類ではなく、むしろ共感を示してくれた内容で非常に嬉しいのですが、それと同時に前書きに注意喚起をするのを忘れてしまいましたことを皆さんにお詫びしたいと思います。

さて、とうとうこの時がやってきた。
スバルが人類史上最古にして強力な武器を手に入れてしまいます。


プレアデス性団

 それは、俺が授業が終わった直後に起こった事だった。

 移動教室で映像授業を見た帰りのこと。コハルが授業中に「エ駄死!!」を叫んだせいで授業妨害を疑われ、担当のロボ教師に説教される事が確定したので、先に帰ることにしてマリーと一緒に廊下を歩いていた時のことだ。

 

「コハルさん、大丈夫でしょうか…」

 

「知らん。まぁ何とかなんだろ。そもそも授業中にエッチな事を考えてるのが悪い」

 

 事実は、少し違う。

 授業時、俺はコハルの隣に座ったんだが、実験の流れを説明する映像の中から、エロそうで全然エロくない言葉をコハルに囁いたのだ。

 その結果、エロを連想したコハルが自爆。彼女だけ先生に叱られたという流れだ。

 ああなるだろうと思いながらやったものの………だからといって、「メスシリンダー」や「下方置換法」に反応するとは思わんだろ普通。

 コハルさんはナニを連想したんですかねぇ(福山ヴォイス)………???*1

 

「でもスバルさん、コハルさんに何か言ってませんでした?」

 

「あぁ、授業の単語に決まってんだろ。授業中にそれ以外の雑談しないわ」

 

「すみません、少しよろしくて?」

 

「「!!」」

 

 その時、第三者から声がかかった。

 俺がそちらを向くと、どう見てもモブにしか見えないトリニティの生徒が、俺に声をかけたのが分かった。

 

「間島さんにお話があるのですが…」

 

「! ……マリー、悪いが先に行っててくれ」

 

「で、ですが…!」

 

「俺なら大丈夫」

 

 こうやって呼び出されるのは初めてではない。

 俺を目の仇にするヤツが、呼び出す事もザラだった。まぁ全て返り討ちにして再起不能の憂き(とんでもなく面白い)目に遭わせてやったがな。

 そいつの後をついていく。辿り着いたのは、手入れの行き届いた美術室であった。

 中に入ると、既に待ち伏せされていたのか、多くの女子生徒が溜まっていた。

 ざっと、10人ちょいか。全員が全員、俺に向けた視線に敵意が1ミリも感じないのは謎だが、その程度の人数で俺に勝てると思ったら大間違いだ。

 だが……こっちから手を出すのは違う。敵対が決定的になった瞬間、即座にボコして……

 

 

「ええと、間島さん…いえ…………」

 

 最初に案内した女子生徒が、深呼吸をして…

 

スバルお姉様!!!

 

お姉様ァ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 今日一ビックリした。

 え、なんで?なんでお姉様?お姉様ナンデ!?!?!?

 君ら同級生か上級生よね!!? ナンデ!?!?!?!?!?

 

「な…何を言っているんだ?

 どうしてそんな言い方……」

 

「私達はお姉様の……いいえ、こう呼ばせていただきます。

 ()()()()()()()()()の漫画を読んで、ファンになった者です!!」

 

「………ほう?」

 

 彼女曰く、俺の今まで描いてきたエロ漫画……「幼馴染シリーズ」や「JK華ちゃんシリーズ」、「砂漠の国のハーレム」を読んで、その本を好きになった者たちがここに集まったのだという。

 つまり、ここにきて敵意が一切感じられなかったのは、俺が憧れの「プリンスメロン」だと知っていたからか。

 その情報自体、秘匿性はそこまで高くないから、その気になれば調べられるんだろうが……まだ分からないことがある。

 

「…それで、わざわざ人を集めて俺をここに読んだ理由は何だ? サインが欲しいってんなら、わざわざここまで手の込んだことをしなくても、定期的にサイン会を行っているが…?」

 

「先生には、あるお願いをしに来たのです」

 

「お願い?」

 

 サインなどではない、彼女達からのお願い。

 俺を呼んで、この美術室を使ってまでするお願いとは…?

 

「先生には、新たに立ち上げるサークルのトップになって欲しいんです!」

 

「!! それってつまり……()()か!!?」

 

「はい!」

 

 その要求は、なかなかにド派手なものであった。

 トリニティに、漫研だと!?

 確かにトリニティは結構なマンモス校の割には、その生徒の数多くが、ほとんど大手の部活に持っていかれる。

 シスターフッドと正義実現委員会(風紀委員会)、そして救護騎士団(保健委員会)にトリニティ自警団。あ、あと放課後スイーツ部もあったっけか。

 とにかく、その大手の影響で新たに部活を創るよりも、既にある部活に加入する生徒の方が一般的だ。ゆえに新たな部活はなかなか生まれない。でもそこに、漫研が生まれる………!?

 

「私達は、有志で創作活動を行いたいと思って集まった面々ですが…皆、その根底にはプリンスメロン先生の存在がいて…………先生!!?」

 

「な、泣いているんですか!?」

 

「やっぱり急すぎたんじゃあ……」

 

「違うよ……違うのだ………!」

 

 この時、俺の心から生まれたのは、打ち震えるほどの感動。

 涙が抑えきれず、堰を切ったかのように止まらない、歓喜。

 

「一流のシェフの料理に感動した人間が、己も料理の道に進むように。

 最高の音楽に心を動かされた人が、楽器を取ってまだ見ぬ音楽を奏でていくように。

 俺のエロ漫画を読んでエロに目覚めた君達が、新たなエロを生み出す事をケツイした瞬間。

 その、歴史的瞬間に立ち会えた事に―――とても、感動しているんだッ!!」

 

「「「「先生……!!」」」」

 

「あと、いい加減俺も俺以外の描いたエロ本が読みたかったんだ。

 トリニティ外から取り寄せると金も時間もかかるし、何より俺にもジャンルの好みがある。

 描いてと言われても食指が動かないヤツもあったしな…………!」

 

「「「「せ、先生………」」」」

 

「だが…分かった!!漫研のサークル長の話………受けようではないかッ!」

 

「「「「ワァァーーーーーーーーーーーッ!!」」」」

 

 トリニティはきっと、この瞬間を以て、少しずつ変わっていくだろう。

 俺は、確かにその確信を持っていた。

 

 

 

 

 トリニティで部活を創設すること自体は、制限自体はあるが…それはそこまで厳しい話じゃない。

 人数と活動場所さえ申請書類に書いて提出すれば、部活として認められる。

 部活動としての最低部員数は……4人か。放課後スイーツ部超ギリギリやん。

 まぁ俺ら漫研は軽く10人超えてるからそこは問題ナシ。まぁ。これでもトリニティの部活としては小さい方だけども。

 

 で、提出方法だが、書類をティーパーティー直属の生徒に出して、最終的にホストの誰かからOKが貰えれば部活として認可されるという。

 だがこの手の審査って、下からバカ真面目に提出していくと、アホほど時間がかかる上に「ここの字が読みにくい」だの「ペンのインクの色が正式じゃない」だの、ウルトラどうでも良い事で突き返されるのが見え見えなので、ホストのいるテラスに直接向かう事にした。他の部員たちは、俺の説明を聞くと「確かに」と理解を示してくれたのである。

 

「申し訳ありませんが、ホストの皆様に会う際はアポ………ヒィィッ!!!? 間島スバルッ!? ま、魔王が何故ここにッ!!?」

 

「落ち着け。ただの部活申請だ」

 

 震え上がって使い物にならなくなった側近をさり気なくどかしてドアを開ければ、テラスのテーブル席に座っていた一人の少女と対面した。

 ミカでもナギサでもない。キツネのような長い耳と長く余った長袖……いわゆる萌え袖が特徴の、小柄な女の子だった。

 

「…本当にアポイントを取らずに訪問とは、随分な作法じゃないか。本当にトリニティ生かい?」

 

「連絡したら即拒否られる未来が目に見えたんでな。今回は健全で大真面目な話である分、逃げられるワケにはいかなかったのよ。えー……ティーパーティーのナギサでもミカでもない人」

 

「芸能人の「じゃない方」みたいな呼び方は止めたまえ。私には百合園(ゆりぞの)セイアという歴とした名前がある」

 

「間島スバルだ。………とはいえ、俺の方は分かり切ってるかな?」

 

「………まぁね」

 

 そう言って、空いている椅子にどっかと座り、ティーパーティーのホスト…セイアを見る。

 俺に色々言った割には、平静を保っているように見える。まるで、俺がここに来るのを分かっているかのような……

 

「あー、早速本題に入ろう。

 俺がここに来た理由だが……」

 

「その手に持った、新部活創設の申請書のことだろう?」

 

「…いやに話が早いな。知ってたのか?」

 

()()したものだからね」

 

「予知だと?」

 

「私には少し先の未来が見えるのさ」

 

 セイアは語る。

 それは、いつだったかから身に付いていたと。

 そして、見た未来は必ず当たると。不都合な未来を避けようとしても必ず当たってしまうと。

 そんな内容をセイアは、なんだか何かを……というか全部を諦めたかのような顔でそれを語っていた。

 部活創設の申請をしに来ただけだったのに、いち個人の重要情報を聞いちゃった俺は、申請書をテーブルに置いてから尋ねた。

 

「…つーかそもそもそんな事俺に言っちゃって良かったのか?」

 

「全て見た未来だったからね。君がアポなしでここに来るのも、部活申請の為だけにここに来たという目的も、そして…そこで私の予知能力がバレてしまうコトもね」

 

「あー、そう」

 

「随分リアクションが薄いな」

 

「なんせ俺、未来どころか目の前の正しい色さえ見えないんでね。セイアの髪って何色?」

 

「金髪だが……嗚呼成る程、色覚異常か。それはそれで苦労するだろう。

 で………あぁそうだ、部活申請の話だったね」

 

 俺がテーブルの上に置いた申請書を「拝見しよう」と言って手に取り読みだすセイア。

 萌え袖で紙を掴むのポイント高いな、と思いつつ書類を読むセイアをじっくり観察する。

 『覇気』を目に通して見てみたり、あえて『覇気』を解除してみたり、そしてテーブルに置かれていたクッキーの美味そうなのを、ちょろまかして食べたりと。

 そんなことをしているうちに、セイアは申請書を読み終えたようだ。

 

「……うん。意外としっかり書いているじゃあないか。

 この完成度なら、わざわざ我々の元へ直接出しに行かずとも良かったのではないか?」

 

「時間とマンパワーの無駄で意味が無いと思ったからここに来たんだよ。

 どーせ1人目は『あとの人達がマジメに見てくれるからヨシ!』っつって、2人目も『次の人が見てくれるからヨシ!』っつってそれが続いて。で、最後のヤツも『今までの全員がOK出したからヨシ!』っつって許可出すんだ」

 

「それは君、偏見が過ぎないかい?」

 

 お役所仕事なんてそんなモンだろ、トリニティは特に。

 本当に馬鹿ばっかなんだから、いつか裏切り者(某聖園なんとか氏)に転覆させられるぞ?

 そんな事までは言わないが、俺の現場猫から得た杜撰な仕事イメージをセイアに苦笑される。

 だがセイアは、申請書を返すことはしなかった。

 

「とりあえず、書類に不備はないし、設立条件も満たしている。私が許可を出そうではないか」

 

「ありがとよ、セイア! お礼に完成品の俺の漫画を」

 

「それは遠慮しておく。今朝の予知夢で君の作画風景を見たんだが…精神が壊れるかと思ったよ。

 あろうことかナギサからヒフミを寝取る女子生徒を描くとか、本当に何を考えているんだ」

 

「イヤどんな予知夢を見たんだよ!?」

 

 いずれ描こうと思っていた漫画の内容を言い当てられ、俺はセイアの不憫さを悟った。

 もし見ていたのがハードルの低い、純愛ものの幼馴染シリーズだったら彼女のメンタルも無事だったというのに。

 まったくセイアの予知能力も、セイア本人に対してドSが過ぎるな。

 俺だってエロ同人初心者の最初の一冊に寝取り百合は勧めないぞ。

 

 まぁそれは兎も角だ。

 許可を得た以上、ここに長居する理由もない。

 ここにナギサが戻ってきたら、面倒そうなことになりそうだし、ミカが戻ってきたらリアルファイトが始まって、トリニティの校舎が何割消し飛ぶか予想できない。

 だが帰る前に、だ。セイアに言いたいことがある。

 

「セイア、今日はこの辺で失礼する……が、最後に1個だけ言っておきたいことがある」

 

「? 何だい」

 

「人が今日を生きるのは、未来が見えないからじゃあない。

 諦めないからだ。全ての欲望を、望む未来を」

 

「欲望と、未来を…?」

 

「例え俺に予知能力があって、その予知が絶対100%当たるものだったとしても。俺は俺の欲望と未来を叶える為に動くぞ」

 

「スバル…」

 

「もしかしたらその予知がボインゴのトト神みたいに歪んだ解釈でイイ感じに実現するかもしれねーからな」

 

「え、なんだって?」

 

 それだけ言うと、振り返らずにテラス席をあとにした。

 ドアの前で待っていた部員たちに、両手で丸を作る。

 それの意味するところを理解した彼女達はワァァァッと互いに抱き合い、喜びを分かち合った。

 

「これで、トリニティの漫研……」

 

 名前は、部員たちが勝手に決めていたが、俺も悪い気はしなかったし、語呂が良いので、賛成した。

 トリニティの部活にはそれなりに洒落た名前がある。救護騎士団しかり、シスターフッドしかり……それは、我ら漫研も同じこと。

 新しく産声をあげる漫研。冠する名は―――

 

『プレアデス性団』の爆誕だ……!!

 

「「「「「やったぁー!」」」」」

 

「これより、トリニティは新たな歴史の転換点を迎えた。

 美術室に向かおう。最初の仕事を始めるぞ!」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 この「プレアデス性団」誕生が歴史の転換点とか嫌である。

 もしそれが事実であれば、清楚な淑女の集まるトリニティが、清楚(意味深)な淑女(意味深)の集まりになってしまう。

 だが、恐ろしいことに間島スバルが部長であればあり得ない話でもない。

 そのことにティーパーティーが気付くのは、もう少し後である。

 

 

 

 

『人が今日を生きるのは、未来が見えないからじゃあない。諦めないからだ。全ての欲望を、望む未来を。

 例え俺に予知能力があって、その予知が絶対100%当たるものだったとしても。俺は俺の欲望と未来を叶える為に動くぞ』

 

 スバルが帰った後。

 セイアは、スバルが残した言葉をリフレインする。

 

 スバルの言った事は、忖度なくいってしまえば部外者の戯言だ。

 真に予言を身に受け、それがどれだけあがいても変わらなかった絶望も諦観も、全てセイア以外には共有できないものである。

 だが、スバルに直接会って、言葉をかわすことでセイアは確信した。少なくともスバルは、噂通りの極悪人ではない事を。そんな彼女の言葉と瞳と……彼女の宿した力。

 それをもってすれば、もしかしたら………

 

 絶対にあり得ないことなのに、そう考えてしまうのは何故だろう。

 そこは考えても分からない。分からないが……

 

「……言えなかった」

 

 ほんの少しでも、可能性を感じたのだ。

 だからこそ、というべきか。

 スバルの予知夢を全て、言えなかったのである。

 

 ひとつは今日ここに来てセイアと言葉を交わす未来。もう一つはスバルの漫画の制作風景。

 そして、もうひとつ。1週間前に、セイアが見た光景とは。

 

「……アレは、言えないな。

 『いずれ大魔王を名乗り、トリニティを滅ぼす』なんて」

 

 自らを「大魔王」と称し、トリニティは滅んだと宣言するスバルの姿であった。

 

 

*1
スバルのこの行動のことを、世間一般では「確信犯」という。





Tip!
まだセイアは襲われる予知を見ていないから、時系列はエデン条約編が始まる前だぞ!また、最後の予言は「大魔王を名乗り、トリニティは滅んだと宣言するスバル」だけしか見ていないぞ!


おまけ
スバル「―――っつーワケで、トリニティに漫研が出来ます」
コハル「はあああああああ!!? あんたが部長の漫研とか絶対エッチな本出すでしょ!駄目!死刑!!」
ハナコ「まぁ、楽しみですね♡」
コハル「あんたも乗るな!」
スバル「これよりトリニティは清楚(意味深)な淑女(意味深)の楽園(意味深)に生まれ変わる!」
コハル「意味深を連呼するなぁ!エッチなのは駄目!死刑!廃部!」
ハナコ「良いですねぇ♡どんな淑女の方々が集まるのでしょう?」


※お知らせ
今回はアンケートの他に、「プレアデス性団の部員のペンネームと好きなタイプ・シチュや描くジャンル」を募集したいと思います。あなたの妄想した同人誌を私の作品に登場させられるチャンスです!ただし感想欄に書くと運営=サンにBANされるので、活動報告のページにご応募ください。URLはコチラ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=297270&uid=246937


遂に生まれた漫研・プレアデス性団。コハルもビビった驚きの初部活内容とは!?

  • ハナコを呼んで裸をスケッチ
  • 己の男の趣味について意見交換
  • スバルをネタにエロ本を描いていいか聞く
  • 漫画・小説を集めた創部誌発行
  • 美術室をプレアデス仕様に大改造
  • 初の大スケッチ(意味深)大会
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