HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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前回のコラボ、ありがとうございます。
今回は、スバル以外の視点をちょっと掘り下げてみようかなと思います。


スバルに影響を受けた者たち

 

 

 杏山カズサは、昔のことをふと思い出していた。

 

 中学時代……彼女は、スケバンだった。

 つっかかってきたレイサ始め敵対した奴らを全員ぶちのめし、「キャスパリーグ」とまで呼ばれるほどに名を馳せた。

 しかし。彼女が唯一勝てなかった存在がいた。

 

『「擬・波動拳」っ!!』

 

『がはっ―――』

 

 一撃だった。

 これまで引き分け等勝敗のつかなかった事こそあれど、瞬殺レベルで負けた事のなかったカズサには、その完敗は強烈な経験だった。

 

 負けず嫌いだった当時のカズサは、それに懲りることなく何度もそいつに挑んだ。

 

『「擬・昇竜拳」!』

 

『うわぁぁぁっ!?』

 

『「擬・覇王翔吼拳」!!』

 

『きゃぁぁぁ!?』

 

『「擬・鉄山靠」!!!』

 

『う、あ―――』

 

 連戦連敗。

 何度挑んでも、彼女のトンデモ戦闘力に沈んでいった。いくら対策を練っても、必ずその上を行く。挙句の果てには前回では見なかった技術――しかもハイレベルだ――でねじ伏せられた。

 ここまで負けがかさむと、最早勝てないのではないか。そう思ってしまえる程に、そいつの壁は高かった。

 しかし、カズサは諦めなかった。たとえ負けても、また対策を立て、自分の実力を上げて、再びそいつに挑むのだ。

 そうして何度も挑んでは負け、対策を練る日々を送っていた。気が付けば、そいつとの戦いが日常になっていったのだが………

 

 ……ある日を境に、カズサの世界は一変した。

 スイーツを頬張り、幸せそうに過ごす同級生。それを見た途端、カズサ曰く「今までの自分が馬鹿馬鹿しくなった」らしい。

 

 

 

「…杏山カズサ? なにをぼーっとしてるのですか?」

 

「……宇沢」

 

 そこまで思い出そうとして、現実に引き戻された。

 カズサの前には、中学校からの腐れ縁・宇沢レイサがパンケーキを頬張りながら座っている。

 嗚呼、確か放課後スイーツ部で最近発売された話題のスイーツを食べようとしたら、こいつにバッタリ会って、何故かこいつと店に入ったんだっけ、などと思い出した。

 

「………まぁ、ちょっとね」

 

「ちょっと、なんですか! 隠し事なんて水臭いですよ!」

 

「あーもう、うざったいっつーの」

 

 カズサにとって、スケバンだった過去とはすぐにでも埋めたい黒歴史である。

 放課後スイーツ部の面々にはもう知られてしまっているし、目の前のレイサも「キャスパリーグ」に執着していた張本人であるとはいえ、積極的に過去を話したいかというと違うのがお年頃であった。

 

「今更だぞカズサ。我々はもう秘密を共有した仲ではないか」

 

「一方的にバラされただけだけどね!? 言わない、言わないから!」

 

「なにおーっ! 是が非でも吐いて貰いますよ杏山カズサ!」

 

「ちょっと! 食事中なんですけど!?」

 

「み、みなさんその辺に……」

 

 カズサの意味ありげな誤魔化しが気になるナツとレイサに絡まれ、抵抗するカズサ。

 そこには、ありふれていながらも愛おしい、騒がしくも楽しい、お菓子を食べて友人とふざけあう日常の風景があった。

 

「あ……あ、あの人でしたか………あぁ、成る程…どうりでメチャクチャ強いわけだ…

 

「? 宇沢、あいつのコト知ってるの?」

 

「あ、いえ……なんでもない、です」

 

「…♪ ねぇ、それはちょっとないんじゃない? ヒトの過去を好き放題掘り返しておいてさ」

 

「ひっ!?」

 

 ちなみに、「キャスパリーグ」だったカズサの勝てなかった相手―――間島スバルの話を聞いたレイサは、小動物のように震えだし、そこをカズサが隙を見つけた猫のようにつついて話をさせようとする、などという一幕もあった。

 レイサにとってスバルは、かつて自警団任務中に初めて出会った際の戦いで、完膚なきまでにボコボコにされた上にトリニティの校門前で犬神家にされたトラウマの元凶であり、それをちょっと引きずっている事がカズサによって引きずり出されそうになっているのは、完全に余談である。

 

 

 

 

 正義実現委員会・静山マシロ。

 彼女は今、シャーレのオフィスで『当番』をしていた。

 

「先生、書類の整理が終わりました」

 

「ありがとうマシロ。そこに置いといて」

 

 終わらせた書類をどっかと置いてもなお、マシロの気分は晴れない。

 心当たりは……ある。間島スバルが百鬼夜行へ行ったあの日、盗聴器で聞いた「正義の味方」の物語が、確実に尾を引いていた。

 

「…マシロ?」

 

「っ!!?」

 

「わ、驚かせちゃった!?

 ごめんね、ちょっと思いつめてそうな顔してたからつい……」

 

 そんなマシロを見抜くかのように、先生は心配の眼差しを向ける。

 補習授業部を退学から持ち直した事で噂が持ちきりの先生になら、話しても良いのではないかと思えるのである。

 先生の手腕を知っていたマシロは、話してしまってもいいんじゃないかなと思っていた。

 

「……少し、長い話になります」

 

 そう前置きをすると、「じゃあコーヒーを淹れてくるね」と大人の気配りを忘れない先生である。

 

 

 

 

 

 マシロは、その話を聞いたきっかけも含めて全てを話した。

 任務のこと。スバルとクオンのこと。その中で聞いた衛宮切嗣の生涯の事。その全てをだ。

 

「私は、キリツグの話を聞いて、正義が分からなくなりました。正義実現委員会、失格かもしれません…」

 

 先生は、マシロの話を聞いて、まずこう思った。

 

「(スバル〜〜!!? なんて事してるんだ!? 監視役にこの話を聞かせて味方に引き込むなんて………この前お説教したばっかりなのに…なんか余罪が増えてきてない!!?)」

 

 そう頭を抱えながらも、思ったことはある。

 何故スバルは、その話を知っているのか……否、その物語をどこで知ったのだろうか。自身が寡聞にして存じないだけかと思ったが、マシロも知らなかった辺りそれだけじゃない気がする。

 それだけではない。先生もまた、衛宮切嗣の話に思うところがあった。大多数の為に、死ぬしかない少数を殺す。実際に似たような在り方を見てきたからこそ、切嗣の正義に賛同は決してしないが、ならば正義とは何か、について重く考えさせられるものだった。

 

 例えば、調月リオ。

 彼女は、ミレニアムの為にアリスを処分しようとした。アリスの正体――名も無き神々の王女――とその役割を知れば、その暴挙に出る心境も分かるには分かったが……到底黙認できる行いではない。キッチリお説教させて貰った。

 例えば、桐藤ナギサ。

 彼女もまた、「トリニティの裏切り者を探す」という大義の為に、補習授業部の6人を吊し上げて退学させようとした。幸い、あの部の全員は、退学を免れたものの……あわや取り返しのつかない事態になりかねなかったのだ。その辺りも、近いうちに話そうと思う…………騙すような真似をした事を、しっかり詫びた上でだ。

 

 先生はその辺りの事を踏まえた上で、目の前の悩む少女の力になるべく、口を開いた。

 

「そうだね、まず何から話そうか……

 えーと……マシロ。君は、キリツグの正義をどう思ったんだい?」

 

「……寂しいと、思いました。

 正しい事をしている筈なのに、周りの人がいなくなるんです。親しい人達も、キリツグは躊躇わずに手にかけて……」

 

「そうだね。じゃあさ、どうしてキリツグは、そんな“寂しい正義”に走って行っちゃったんだと思う?」

 

「……?」

 

 先生の問いかけに、マシロは固まった。

 頭の中が真っ白になったかのように、答えが出てこなかったからだ。

 しかし何か言わねば。そう思ったところで、先生の優しい眼差しと目が合った。

 

「焦らなくて大丈夫」

 

 まるで陽だまりのような、その暖かい言葉に、マシロは緊張感で固まった全身がほぐれていく。

 落ち着きを取り戻したマシロは、呼吸を整えた後、先生の問いに答えた。

 

「……やはり、シャーレイの経験がキリツグをあの道に走らせたのだと思います。

 初恋の人の…『殺して』を無視して、誰かに助けを求めた……その結果、村が全滅した事が、トラウマになったのではないかなと…」

 

「じゃあ、キリツグはさ。シャーレイのそのお願いを聞けば良かったのかな?」

 

「それは………」

 

 そんな訳がない。

 いくら本人から頼まれているからって、自らの手で大切なものを摘み取る事が、正義になっていいわけがない。

 正義とは、むしろその逆………己の大切なものを守るためのものではないのか。

 そう思ってしまえるマシロは、まだ純粋な少女であった。

 しかし、その想いを守り、「責任を持つ」のが大人である。

 

「私はね。キリツグがそんな凶行に走ったのはね。

 ―――彼が、孤独だったからだと思うんだ」

 

「孤独……?」

 

「いや、文字通り1人だったわけじゃないよ?

 確かに彼には協力者がいたし、奥さんや娘がいた」

 

 でもね、と先生は続ける。

 

「……彼には、心の底から信頼できる…一緒に戦える、仲間がいなかった。

 1人じゃなかったけど、駒でしかなかったり、徹底的に相いれなかったり、守るべき対象だったりで………いざっていう時に、背中を預ける『仲間』がいないように感じたんだ、私には」

 

「仲間、ですか……」

 

「うん」

 

 言われてみれば、そうだったのかもしれない。

 スバルがクオンに語った話の中にも、切嗣に仲間のような存在はいなかった。

 切嗣の陣営は何人かいたが……信頼しあえる関係はあっても『戦友』は確かにいなかったような気がする、と。

 

「それだけじゃないと思うけど……もし、キリツグに寄り添いながらも、本当に信頼しあって、一緒に戦うだれかがいたなら、彼は……少しでも正しい“選択”が出来たのかもしれないね」

 

 そういって締めくくる先生に、息が漏れた。

 彼の言うコトは、なんというか、まるで半分近く欠けたパズルに、いくつもピースがはまったように腑に落ちた。

 しかし、まだパズルが完成しきっていないように、マシロは知りたい事があった。

 

「では、これからの正義はどうすれば良いのでしょうか」

 

「それは、マシロ自身が探すべきなんじゃないかな。

 少なくとも、誰かが言った正義では、君自身を納得させることは難しいと思うよ」

 

だから性欲=正義の意味が分からなかったんですね

 

それはたぶん分からなくていいことだと思うよ

 

 とんでもない正義と言う名の暴論をキッパリ否定した先生。

 この時点とマシロが衛宮切嗣の話を聞いた経緯から、この暴論の主を0.03秒で特定できた。

 その点について、変な主張の主とは後でOHANASHIすることに決めた先生は、思いっきり脱線した話のレールを戻す。

 

「と…とにかく、だ。

 楽な道に逃げず、悩み続けて、誰かとこの話を分かち合ったり、時には休んだりしてさ。

 いろいろ経験していくことが、マシロの知りたい『答え』を、見つける助けになるんじゃないかな」

 

「成程」

 

「私からは、これくらいしか言えないけど…」

 

「いいえ、とても参考になりました。ありがとうございます、先生」

 

「マシロの助けになれたなら何よりだよ。

 また何かあったら訊いてね」

 

「はい」

 

 こうして、マシロは先生との正義の話を終えた。

 しかし、その目は、見失ったものを見つけ出せたかのように、もう迷ってはいなかった。

 今はまだ小さな種だ。しかし、いずれ成長し大きなものとなるだろう。この会話は、小さな種の殻にほんの少し、芽を出すきっかけになる傷をつけたかのような出来事である。

 

 

 

 

 浦和ハナコにとって、トリニティは監獄だった。

 試験は試験の意味を為さず、あらゆる組織から取り込もうとする動きが絶えない。自らに媚びて取り入ろうとする同級生・上級生があとをたたず、苦痛でしかなかった彼女は、トリニティを去る事さえ考えていた。

 

 ―――あの日までは。

 

『…初めまして。俺は間島スバル、1年生。

 好きな男のタイプは、胸板と身長(タッパ)がデカい大人です』

 

 エロ本を出しながらそう自己紹介をした彼女―――間島スバルとあっという間に親友になったハナコは、スバルのエロ本を読ませてもらったり、スバルの絵のモデルになったり、果てはムッツリな後輩とミレニアムまでエロ本を売りに行ったり……………刺激的(意味深)で、開放的(意味深)で、自由(意味深)な学園生活を送っていた。

 

 気がつけば、トリニティから出ていきたい……などとは、思わなくなったのだ。

 進級や退学のかかったテストでは、わざと退学するために赤点を狙って取っていたが………スバルとの交流が出来て以降は、退学・悪目立ち両方を避けるためにボーダーラインギリギリの点を取っていた。

 それでも、普段の言動がイキすぎて補習授業部に入れられたが……それはそれで、かけがえのない仲間を手に入れたハナコは、トリニティに入ってから一番幸せであった。

 

 そして、彼女の楽しみは、他にも出来ていて。

 

「こんにちは〜」

 

「あら、浦和さんいらっしゃい!プレアデス性団へようこそ!!」

 

「またお邪魔しますね、六星さん」

 

 間島スバルの立ち上げた部活・漫画研究部『プレアデス性団』に入り浸り、部員と談笑する日々を送っている。

 

「わぁ、催眠ものですか?こういうのはトリニティにありませんでしたね」

「それ、私が描いたものなんですよ」

「えっ、若良瀬さんがですか? 絵上手ですね……内容も……ふふっ♡ とっても刺激的です!」

 

「おや、こちらは……ふた○りですか」

「ハナコちゃん、そういうの好き?」

「シノブちゃんもですか? 成る程…とてもエッチに書けていますね、この■■■■(ティンティン!)

「でっしょ〜? 自信作なんだ♪」

「おぉ〜っと待った!■■■■(ティンティン!)の作画なら私も自信あるよ!見るがいいこの巨(ティン!)を!」

「うわ出たホマレ。流石は巨(ティン!)フェチだね」

「シノブのふた○りも良いけどね〜!負けてられないよね!」

 

「よ、良ければその、浦和先輩もどうです?体験など…」

「あら、貴女はシスターフッドの……」

「四葉マナです。いつか、サクラコ様に読んでもらう本を描くため、ここで修行しています」

「ありがとうございます、マナちゃん。でも大丈夫です。私はもっとこう、描くより脱ぐ方が好きなので!」

 

「「「「「「おおぉぉぉ〜〜っ!」」」」」」

 

 プレアデス性団の団員の漫画を読み、話をし、時には自ら制服を脱いで水着姿となり、スケッチの対象になる。

 そこには、年相応のイキイキとした笑顔のハナコがいたのであった。

 

 

 ……………なお、はたから見た絵面は、一切考えないものとする。

 

 





Tip!
他にも、コハル・ヒフミ・正義実現委員会・アビドス等々、トンデモない(悪)影響をスバルは与えているぞ!
また、今回のプレアデス性団のメンバーも、読者様からの応募からネタを頂いているぞ!ありがとうございます!
若良瀬(わからせ)サイミ…1年生、催眠解らせものを描く豪傑
犬塚(いぬづか)シノブ…2年生、ふたなり好きの漫画家
常喜(つねき)ホマレ…2年生、大きなチ○ポが好きなニッチな性的趣向を持つ
四葉(よつば)マナ…1年生、シスターフッドと兼部している。四六時中エッチな妄想をするムッツリ2号。サクラコに自作のエロ漫画を読ませることが目標。



おまけ・ブルアカ特定勝利ボイス

スバル「俺達の武器は!パワーと!」
ハナコ「エッチと♡」
アズサ「ゲリラ戦だ」
ヒフミ「良いのかなぁ…」

条件:スバル・ハナコ・ヒフミ(水着可)・アズサ(水着可)を同時に編成し、一人も撤退せずにクリアする

スバルの(悪)影響を最も受けたのは?

  • エロの親友!浦和ハナコ
  • ん、無敵の超姉妹・砂狼シロコ
  • とばっちり幼馴染・下江コハル
  • モモフレ仲間・阿慈谷ヒフミ
  • 責任は私が取る()先生
  • 男の趣味を言わされた空崎ヒナ
  • 脳味噌スペランカー・桐藤ナギサ
  • 志に集った者達・プレアデス性団
  • スバルは物知りです!天童アリス
  • エロ同人初めての女・早瀬ユウカ
  • 色を知った転移看護師・鷲見セリナ
  • 正義を見定めた者・静山マシロ
  • 特に理由なく戦わされるダークライ
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