HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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プレアデス性団のイメージCVを紹介するぜ!

鞠瑠璃ノボリ:潘めぐ○
朝陽ユマ  :○橋李依
鮫洲アギト :三澤紗○香
雷久保ユララ:小泉○香
六星セラ  :上田○奈
龍崎クオン :戸○遥

今回は実装するメンツ(存在しない記憶)だけだ!スバルはもうどこかで紹介済みだぞ!!


バレなきゃイカサマじゃねえんだぜ

 ミレニアムサイエンススクール。

 キヴォトスの三大マンモス校のひとつにして、最先端の技術の本場。

 現在そこのテーブルの一角では、道ゆく人も目に止める勝負が行われていた。

 片や、ミレニアムの生徒会・会計を担当する早瀬ユウカ。

 片や、トリニティから遊びに来ていると思しき金髪少女・間島スバル。

 5枚のトランプを持った二人の勝負は―――佳境を迎えていた。

 

「(この手札より強い役が出る可能性は…限りなく低い!)」

 

 手札の中に並んだ、三つのジャックを流し見るユウカ。

 相手のスバルは、手札とユウカを交互に見ながら、不敵な笑みを一切変えようともしない。

 よほど強い役が出来たのか? はたまたただのハッタリか? ……いや、いずれにせよ、やることは一つだけ。

 自分の計算結果を、信じるのみ!

 

コール! ジャックのスリーカードよ!

 

「ンンン~~、良いなぁ、強い手だ。俺は―――」

 

 ユウカの手札に対して、スバルは……

 

フルハウス。俺の勝ちだな

 

「なぁっ―――!!!?」

 

 4の札3枚と10の札2枚をテーブルに叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 事の発端は、間島スバルがミレニアムを訪れ、ゲーム開発部でポーカーを始めたことであった。

 モモイとミドリ…そしてアリスが、ポーカーで自分達を圧倒したスバルのことを、他のミレニアム生に話して回ったのだ。

 それから、手持ち無沙汰のミレニアム生に何度も勝負を挑まれたが、スバルはことごとくこれに勝利した。

 たった1日のことだったが、無敗のトリニティ生の噂はセミナーにも届き、ユウカも仕事の合間にスバルの様子を見に来ていた。

 その鮮やかなカード捌きに勝負を挑んだ結果がこれである。

 

「あ、ありえない……!

 フルハウスは出る確率が0.14%しかない強力な役なのに……!!」

 

「確率ねぇ……」

 

 目の前で起こった結果が信じられないユウカ。

 俺はそんなユウカを笑みで返す。

 

「確率だけでギャンブルに勝てると思うなよ~?」

 

「馬鹿な……ギャンブルは確率の勝負だったはず…」

 

 ハッハッハ。

 甘いなぁ早瀬くん。お汁粉に砂糖を大盛り三杯ブチ込むくらい甘いわ。

 確かに、大富豪とかババ抜きとかで普通にカードを配れば確率が絶対的なものになるのだろう。

 だが………それはそういう()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の話だが、な。

 

 そもそも、ギャンブルという行為が普通ではない。

 賭けているものがあろうがなかろうが、ここぞという時に思いもよらない結果を起こすなど当たり前なのだ。

 それは、確率の計算などでは到底測れない、謎の雰囲気、人の心理の世界である。それらを総称して、人は「魔物」と呼ぶ。そして、そいつらを忘れた時、たいてい人はその魔物にやられるものだ。

 

「………イカサマしてない?」

 

「なんのことだ? 心当たりでもあるのか?」

 

「いやね、少し前に先生とポーカーしたのよ」

 

「へぇ。先生と?」

 

「その時も今回みたいに連続で負けて…やたらツイてるなって思ったらあの人、袖の中にカード隠してたのよ!」

 

「成程……」

 

 あぁ……なんか、そんな絆ストーリーあったな。

 先生が使ったのは確か、袖の中にカードを隠すってイカサマだろう。手軽な反面バレやすいヤツだ。

 勿論、イカサマはそれだけじゃあないが、俺はミレニアムでポーカーするにあたって、袖の中にカードを仕込むような真似はしていない。

 

「それで俺の袖を警戒してたのね。

 安心しな、()()()()()()()()()()()()()()()

 何なら、今ここでじっくり調べてみるか?」

 

「むむむ……」

 

 なにがむむむだ!

 なァーに、()()()()()()()とも。

 ユウカの気が済むまで俺の袖を調べさせ、やはり何もないと認識させる。

 本人も納得がいってないご様子だが、イカサマの証拠を取り押さえない限りは告発はただの言いがかりとなる。

 

「さて、どうする? 続ける?」

 

「当然よ!まだ始まったばかりだもの」

 

 そうしてゲームは再開される。

 シャッフルした山札からカードを5枚ずつ配る。

 それぞれが自分の手札を確認したあと、カードを一度だけ交換する。

 ユウカは2枚、俺は1枚交換する。しかるのちに、手札を公開する。何も賭けてはいないから、レイズは無しだ。

 

エースと10のツーペア!

 

「あっぶねぇ……6のスリーカード。

 確かに強いツーペアだったが…それ(ツーペア)より強い手が作れれば問題ない」

 

「くっ……!」

 

「ふぅ……気が抜けないぜ。もう少しで負けるところだった」

 

 もう一度のゲーム結果は、またしても俺の勝ち。

 とはいえ、お互い何も賭けていない(その手の行為は案の定目の前の会計さんから禁じられた)から、得られるものは勝利しかないんだがな。

 さて、そろそろお暇したいところだ。あんまり目立ちすぎるとメンドくさそうだからな……

 

「どうして!? 計算上は私が勝っている筈なのに!!」

 

「イッたはずだぜユウカ。確率の計算だけじゃあポーカーには勝てないってな」

 

「そんなはずない! カードが途中で増えたり減ったりしない以上、確率論で済ませられる―――」

 

「ユウカちゃん、かなり熱中していますね?」

 

「「!!!」」

 

 そこにかけられた新たな声。 

 振り向くと、そこには銀の長い髪をストレートに下ろした美少女がいた。

 俺はこの子を知っている。かつてガチャで当てた彼女の恵体とガラスに書いた文字のメモロビを知っている!

 あとシャーレで先生やユウカと話した時に小耳に挟んだことがある!

 

生徒会(セミナー)書記……生塩(うしお)ノア……」

 

「ご存じでしたか。トリニティ総合学園1年、プレアデス性団団長…間島スバルさん」

 

「ノア! どうしてここに!?」

 

 セミナーのノアさんだ。

 注意力と観察力、あと記憶力の化身で、先生すらタジタジだった。

 そんな彼女が、何をしに来た? ユウカほど真面目キャラでもなかったから、回収しに来たで済まない気がするが……

 

「ユウカちゃんを探しに来たんです……が、あそこまで熱中するなんて思ってもみませんでした♪」

 

「なっ……!? み、見てたの!?ならそう言ってよ!!」

 

「いえいえ、あんなに楽しそうにしてるユウカちゃんですもの。

 声をかけて無理に連れ戻そうなんて、とてもとても♪」

 

 楽しそうにからかうノアと、もう!とぷんぷん怒るユウカ。

 う~~~~~~ん、これはいい百合。大事に記録して、俺のネタに使えるように計算しつくしたいですねぇ。

 『百合園に咲く萩』もひと段落ついたし、『砂漠の国のハーレム』を完結させたら、本格的にノアユウで百合ものでも描いてみるかな?

 

「それで、ノア先輩はどうしてここに―――」

 

「あら、『ノア』で良いですよ。ユウカちゃんも先輩抜きで呼んでたじゃありませんか」

 

「そう言えば、そうだわ。あなた1年なら、どうして私を先輩抜きで呼ぶのかしら?」

 

「いや……なんかこう、ユウカはユウカって感じがして…先輩呼びすんのはなんか違う気がしてな」

 

「どういう意味よ!!?」

 

 だってしょうがないだろう。

 ユウカは先生の初めての女*1なんだぞ。

 それに、俺が『ブルアカ』初めてからずっと軽装備相手のタンクとして重宝しまくってたんだぞ。

 更に、ユウカは先生との関係性が良い。良すぎる。感情豊かな面はもちろんのこと、ナチュラルに財布の紐を握る手際の良さに面倒見の良さ………それだけでヒロインになりうるのだ。砂狼シロコ(我がシスター)よりも強く。

 う〜〜ん。あのイケメン先生が「ユウカすき……確定申告して…」とでも言ったら、何だかんだ文句言いつつやってくれそう。

 

「うふふ。ユウカちゃん、好かれてますね?」

 

「えぇ…コレに好かれても…」

 

「さて。私がここに来た理由ですが……スバルちゃんと、ポーカーで遊びにきました」

 

「マジすか?」

 

「はい。マジです♪」

 

 そう来たか。

 ユウカすら下せる俺に興味でも持ったか?他の理由でもあんのか?

 まぁいい。挑戦を受けるのはやぶさかではないが、少し普通のポーカーに飽きてきたところだ。

 

「構いませんが……チップを作ろう」

 

「ちょっと!お金を賭けるのはダメよ!!」

 

「分かっています。流石に現金じゃありませんよ」

 

 そう言って俺が取り出したのは、拳銃の弾。

 スピードローダーにくっつけていた6発を外してバラにする。これを3回。

 

「ホントはオモチャのコインとかの方が良かったんですが……これをチップ代わりにしましょう。

 最初に互いに持つのは9発ずつ。ベットやレイズで使っていって、先に弾がなくなった方が負け。そういうルールは如何でしょう?」

 

「…成る程。このゲームでのみ使えるチップですね。それなら構いませんね、ユウカちゃん?」

 

「え、えぇ…まぁ…」

 

「ちなみに勝った方が負けた方になにか命令出来るってのはどうです?」

 

よりによってあなたがソレは絶対だめ!!!!

 

「常識の範囲内なら構いませんよ」

 

ノア!!?

 

 スバルの追加ルールは兎も角、勝った人の命令権はユウカは拒否した。負けたら間違いなくエロ同人のネタにされちゃう!! エロ同人のネタにされた張本人はそう思ったからだ。

 しかしノアは、スバル相手に勝算でもあるのか、ノアはそれに同意した。

 

「良いね、そうこなくっちゃ。

 さっそくだ、始めようじゃないか」

 

 ノアは、にこにこしながら、ユウカと席を代わる。俺のエサになりつつあると知らずに。

 このゲーム限定ではあるがチップが使えるようになったこと。これによって、ポーカーは複雑な心理戦へとメガ進化した。

 記憶力や観察力にどれだけ優れているかは知らないが、俺のエロ同人のネタにしてくれるわ。

 

「最低ベットは弾一発。それで始めましょうか?」

 

 トランプの束を切っていく。

 1回、2回、3回………リフルシャッフル*2でカードが適度に混ざったら、次は配るフェーズ。

 

「ノアへ…」

 

 と、デッキからトランプを一枚、ノアの方へ滑らせる。

 

「俺へ…」

 

 と、もう一枚のトランプを今度は俺の手元に置いていく。

 

「ノアへ…」

 

 ユウカが息を呑む。

 ノアは、相変わらず可愛い笑顔を浮かべたままだ。

 

「俺へ……」

 

 二枚目、三枚目、四枚目…と配っていく。

 そして、最後の五枚目をノアに配ろうとした―――次の瞬間!

 

「ノアへ―――ッ!!?」

 

ガシィッ!!

 

「の、ノア!?」

 

 なんと、彼女が突然、俺の左手…つまりトランプの山を持っている方の手を掴みかかってきたのだ!

 あまりに突然で、しかも敵意のない、攻撃ですらない、素早い行動だったから、俺の『覇気』にも引っかからなかった。

 しかし…これは、マズい! 配る瞬間、その指の動きを手全体で抑えられたのはヤバい!

 振りほどくなんて不自然。なんてこった、()()()()()を取り抑えられるとは!

 

「な、何してるのよあんた!?」

 

「うふふ……スバルちゃん。駄目ですよ、()()()()()()()()()()()()

 

「「!?!?!?」」

 

 確信を持ったその宣告に、俺は内心でしまった、と舌を打つ。

 こいつ……まさか、ある程度「俺がイカサマをすること」を頭にいれてディールを見ていたのか?

 そうでなきゃ、こんな芸当は出来ない!!

 

「い…イカサマですって!どこで?

 普通に配っていただけじゃないの!?」

 

「ユウカちゃん、スバルちゃんが持っているトランプ…良く見てください」

 

「!!! こ、この2番目から出ているカードは一体…!?」

 

「今、私に配ろうとしたカードです。

 上から1番目から順番に配るフリをして、実は上から2番目を配る。

 つまり、1番上のカードが自分の元へ来るように操作して……」

 

 ノアは、スバルの手札とトランプの一番上のカードをめくる。

 盤上のカードは…スペードの2、7、10、キング。そして、山札の1番上は………スペードのクイーン。最初の手札だけで、フラッシュ*3が完成していた。

 

「最初の時点で自分に強い手を招き入れる………いわゆるセカンドディール、というテクニックですね。

 スバルちゃん。これ、()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「………」

 

 やりましたね?という疑問系だが、ノアの中ではどうやらほぼ確証を得ているかのような言い方と自信の持ちようだ。これ以上は誤魔化せないようだ。なら、下手に誤魔化すのは逆効果。

 二人に向けた表情が、SNSで見たレジライ*4のような極悪人フェイスになっていくのを感じる。

 

()()()()()()()……!

 流石だよノア。まさかこうもあっけなく見破られるとはね」

 

「ちょ、あなたねぇ!それってさっきまで私相手にもズルしてたって事じゃない!」

 

「ユウカ。勘違いしてると思うからイッておくがな。

 イカサマは、見抜けなかった奴が悪い。理不尽かもしれないけどな………『バレなきゃイカサマじゃねえんだぜ』と……そういう風に考える大人はごまんといる。なんなら、そういう奴の方が多いだろ。

 勿論、先生は違うだろうけどな。だが、世の中の大人全員が先生みたいな聖人なわけがない。見極めが大切だし、練習が必要だ………そういう意味では、俺がイカサマしたことも、ユウカが騙されたことも決して悪いことじゃあないはずだ」

 

 現ナマを賭けないギャンブルでイカサマをし、指摘されたらちゃんと素直に認める俺など可愛いモンだ。

 どっかの、不正がバレそうになったらしっぽ切りを敢行し、我関せずを貫く腐敗しきった企業なんて見てみろ。

 その手の連中がやることは認めることじゃない。身内を売ることだ。責任の所在云々とかいえばもっともらしい理屈だろうが、残念ながら誠実なやり方じゃあない。それこそ責任の所在を言うならば自分の分はしっかり背負うべきだろう。

 

「それは…」

 

「―――でも、スバルちゃんがイカサマをした事実は変わりませんよね?」

 

「…………そうっすね。ギャンブルの大原則……『イカサマがバレた場合、自動的にソイツの負けになる』…。

 たった今賭けたゲームの参加料は、全てノアのものとなるわけだ」

 

 ……まぁ、それはそれ、これはこれなのだが。

 俺はたった今賭けていたチップをノアに渡す。いわゆる不戦敗というやつだ。これで現在(チップ)数は俺が8発、ノアが10発。だが勝負は始まったばかりだ。

 ちなみに、ノアはこれ以上、俺がカードを配るのを許しそうにない。イカサマしたんだから仕方ないのだけども。

 

「そういうことなら、ユウカちゃんがカードを配ってください」

 

 ディーラーをユウカに変えて、ゲームを再開する。

 ユウカが公平に配る以上、こっから先は運と心理のガチンコ勝負だ。

 配られたカードを一通り確認してから、ノアの方を見た。ノアは、相も変わらずにこにこしながら、手札を手に納めていた。

 

 

 

 

 ミレニアムで突如起こった、トリニティの魔王VSセミナー書記のポーカー対決。

 この人知れぬ大勝負を、ミレニアム学園2年生、セミナー会計・早瀬ユウカ(16)は、のちに多くの人々にこう語ったのであった。

 

「ノアや私に限った事じゃあないんだけど、ミレニアム生って、ゲームは精通しているんだけど…

 その反面、こういう実際に道具を使って面と向かって行われるアナログゲームって滅多にやらないから、勝手が違うのよ。

 それでも、ノアの観察眼と記憶力は確かだったわ。スバルのイカサマも見破っていたし」

 

『カードのチェンジの宣言は?』

 

『二枚チェンジだ』

 

『こちらは一枚交換でお願いしますね』

 

 ユウカがディーラーを務める以上、間島スバルのイカサマが入り込む余地がなくなった第一ゲーム。

 順当にカードを交換し、勝負に乗るかどうかの確認を行う。

 

『どうです?イイ手は揃ってます?』

 

『ご想像にお任せします♪』

 

『フーン………ま、ここは様子見で(チップ)を一個だけ賭けようかな』

 

『コール』

 

『(降りなければ、1ゲーム最低3発は必要なのね……)』

 

 ミレニアムに沈黙が流れる。

 その空間に聞こえるのは、呼吸音だけだ。

 そして、賭け金(ベット)が揃い、お互いのカードが開かれる。

 

『―――キングのスリーカード

 

『―――ストレート

 

 第一回の勝負―――スバルの勝ち。

 イカサマの疑いは、先程言った通り、ない。

 強運を手元に手繰り寄せたような一手に、ユウカをはじめとした、ミレニアム生にどよめきが走った。

 

「ストレートは、スバルがイカサマで出してきたフルハウスやフラッシュよりも弱い手だけど、その出る確率は、約0.4%……

 狙って出そうと思っても出せない組み合わせよ。一枚外せばハイカード*5の危険性しかない役だから、それをイカサマなしで出せるスバルは、イカサマなんかに頼らなくっても、十分運が良いんじゃないかしら。

 それで……ノアが早速負けたことで、私も焦っちゃって……つい聞いちゃったのよ。大丈夫なのって」

 

 最初の勝負が終わり、変動後のチップ数は……スバルが11、ノアが7。イカサマを見抜いた事で生まれたわずかなリードが、あっさりと覆されてしまった。

 だが、ユウカの心配は、ノアにとっては杞憂だった。

 

「そうしたらノアにね、落ち着いてって諭されちゃったわ。ゲームをプレイしているのはノアなのにね」

 

『ユウカちゃん。負けが大きいのは相手も同じです』

 

『でも…!』

 

『簡単な計算ですよ。1ゲーム勝負するなら弾が3発必要で、元々持っていたのは9発ずつ……なら、先に3ゲーム連続で負けた方が敗北する。これは、元々そういうゲームなんです』

 

『だから聞いているんじゃない! 大丈夫なのって!?』

 

『分かりません。まだ2ゲーム勝負できますが、カードは全部運次第ですのでなんとも……』

 

「流石にもうちょっと緊張感持って欲しかったけど……今思えば、あれでも結構緊張していたのかもしれないわね。ノアってほら、昔から何を考えてるか分かりにくいところもあったし……」

 

 チップが9発ずつ、降りなければゲームの参加には3発ずつ必要。負け続けたら最大で3回しか勝負できない。6発ずつにしなかった分だけまだ有情だったのかもしれないが、それでも負ければ負けるほど、チップが減りプレッシャーがかかる。

 ポーカーとは究極的に言ってしまえば確率の世界なのだ。スバルはそこにこのゲーム限定のチップを導入することで、心理戦を持ち込んだ。だが現金を賭けるなどユウカが許すわけがない。そこで現金ではなく、代わりに弾丸をこのゲーム限定の仮想チップとし、勝敗を決める指標のみと限定した。

 そうすることで、ユウカが許さない現金を交換したチップを使わずに、かつ確率の戦いだけでなくすることに成功した。

 ノアやユウカがそのことに気付いたのは、この第一の勝負が終わった後だった。

 

『さて、気を改めて…ネクストゲームとしましょうか?』

 

『ラストゲームになるかもしれないがな?』

 

『…ちなみに、スバルちゃんは勝ったら私に何を要求する気ですか?』

 

『あー…まぁ、安心させる為に先に言っておこう。

 新作の漫画の取材……それに協力して欲しい…!』

 

『(絶対負けられないヤツだわ……!!!?)』

 

 スバルの要求を聞いて、尚更負けられないとユウカが判断した第二ゲーム。

 カードを配り終えたところで、動きに変化が現れた。

 

「レイズ……って知ってるわよね? ポーカーなんかで、賭け金を上げるアクションのこと。

 ノアがね、先にレイズをしたのよ。賭け金が減ってるあの状況でよ?」

 

『レイズ。弾丸(チップ)を1個上乗せします』

 

 計4枚の賭け…!

 敗北すれば、ノアの弾丸(チップ)は3枚にまで減少…!

 後には引けなくなる、決して無視できないベットである……!

 親友のレイズに、ユウカは動揺を隠せなくなる。

 

『の、ノア!? 本気なの!!?』

 

『宣言は変えません。レイズ、1個追加、です』

 

「その時のノアは本気だった。けれど、相手も……スバルも、ノアを仕留めるために大きく動いたの。ギャンブルにおいては…前代未聞の一手を打った」

 

 ノアによる決死のレイズ。

 それに対してスバルは、まるで世間話でもするかのように、カバンを探りながらこんな話を振る。

 

『ところで先輩。もしあなたが勝ったとして……俺に、何か要求とかありますか?』

 

『そうですね…アイスでも奢ってもらいましょうか? ……それも、バーゲンダッツ*6のお高めのやつを』

 

『……良いだろう。ノアのレイズに残り全部の弾丸(チップ)でコールだ』

 

 そこから、スバルはカバンから新たな弾丸のついたスピードローダーを取り出し、テーブルに叩きつけるかのように置いたのだ。

 そして、こう宣言したッ!!!

 

『更に俺は―――バーゲンダッツのアイス3カップ……それも、ロストコ*7サイズのやつでレイズする』

 

はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!!?

 

「コレを聞いた時は…流石の私も最初に私の耳と脳を、次にスバルの神経を疑ったわ。

 勝負後の景品を上乗せしてレイズするなんて、聞いたことないわよ。カジノで例えるなら、自分の銀行から、お金を引き落として賭けるような蛮行だわ」

 

 前代未聞の賭け方。

 それを聞いたミレニアム生は、もう大混乱だ。左右の誰かと話し合う声、驚きの声、興奮が入り混じった声で、一時騒然となる。

 

『これだけのモンを賭けたんだ。そっちにも相応のものを賭けてもらうぜ』

 

『ちょ、ちょっと待ちなさい! ふざけないで間島スバル!

 ノアには、もう賭けられる弾丸(チップ)がないのよ!? それなのに、一体なにを…』

 

『ノア……お前に、セミナー()()の漫画取材の許可を出してもらう

 

『ぜ……全員んんんんんんんんんーーーーーーーーーーーッッ!?!?!?!?』

 

 ひっくり返るような声を出すユウカ。

 そりゃそうだ、それはすなわち、ユウカも、コユキも、他のセミナー会員も、スバルの……ひいてはプレアデス性団の漫画のネタにすることを許可すると言っているようなものだからだ。ミレニアムの中枢が、トリニティのいち部活相手に陥落する………とは流石に言い過ぎだが、バリエーション豊か(意味深)な噂の的になることには間違いないのである。

 いくらなんでも、そんなの許容できない。他のを出してもらわないと。この時ばかりは、ユウカもそう思った。

 

「…え?『もし負けたらそれは許可するのか』って……?

 できるワケないでしょ。プレアデス性団の噂ならウチにも届いているんだから、ウチがその餌食になるのはごめんよ。

 でもね。このスバルのぶっ飛んだレイズに対してノア、なんて言ったと思う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「『―――コール』」

 

「…って言ったのよ」

 

 スバルの、賭けられるチップを大幅に越した禁断のレイズ。

 それに対するノアの答えは、まさかのコールだった。

 懐から書記の決裁(MP17)を取り出し……抜き取ったマガジンを、そのままテーブルに立てたのだ。

 これは流石のスバルであっても、予想外の即答であったらしい。

 

『は……いま…今なんつった?』

 

『聞こえなかったんですか? 賭ける(コール)と言ったんです』

 

『そういうことを聞いているんじゃあないッ!! どうして即答できると聞いているんだッ!!』

 

『そ、そうよノア!! いくらなんでも、賭けてくるものが大きすぎる!私達が勝手に賭けて良いものじゃないわよ!!?』

 

『………大丈夫です、ユウカちゃん。この勝負、勝てます』

 

 断言してみせたノア。観客たちのどよめきが更に大きくなる。

 そこから、すぐに静かになったのはユウカとスバルであった。

 ユウカは、ノアの目を見た。「勝てる」と言った自分の親友の、動じる事のない瞳。それを見たユウカは、ノアが心の底からビビっていないことを悟って、確かめるようにこう聞いた。

 

『…信じて、いいの?』

 

『私は、()()()()()()()()()()()()()

 

『! …ノアがそう言うなら相当ね。なら、私も賭けるわよ?』

 

『ありがとうございますユウカちゃん』

 

 ノアの言葉を理解したのか腹を決めるユウカ。特に理由もないのに賭けられる(コユキ)。緊張を精一杯誤魔化すように笑顔を繕うノア。

 それに対して静かになったもう片方………スバルは、ノアのコールを受けて……ノアとユウカを交互に見たまま、何も言葉を発しないままだ。 

 それは、勝負に身を任せているようで。その表情からでは、勝ちと負けのどちらを確信したのかまでは読み取れない。

 

「私も腹を決めて、最後の勝負札をめくったのよ。

 ……呆れちゃったわ、私。2人そろって、こんな弱い役にあんなにベットしてたの? って感じで」

 

 

『……え? ジャックのワンペアと、7のワンペア……?

 って事は―――ノアの勝ち!!?』

 

『―――っふぅ……ふふふ…』

 

『クッソォ…! なんであそこまでやって降りないんだよ…!』

 

 ノアはネクタイを緩めながら息をつき、スバルは大きく項垂れた。勝負が決まった瞬間である。

 

「どうも、スバルがあそこまでめちゃくちゃなレイズをしたのは、ノアが賭けから降りるのを狙ってたからっぽかったわ。

 つまりただのブラフでノアに勝とうとしたみたいなのよ。でも……親友の私が良く知ってるんだけど、ノアってよく見てるし、忘れないからね…」

 

『スバルちゃんの役が本当に弱くって良かったです……これでひとつ、確信が持てましたので』

 

『確信?』

 

『スバルちゃんって…イカサマやハッタリを使う時、独特なクセがあるんですね…』

 

『なっ!?』

 

 ノアはセミナーの決定事項や会議内容など、一度見聞きした情報をほぼ完璧に暗記できる非常に優れた記憶力を持つ。いつ何時、なにを発言したのかさえも覚えていることが出来るのだ。問題児たる黒崎(くろさき)コユキもノアを誤魔化すことは出来ず従うレベルである。それは、各々の発言や行動、ちょっとしたクセまでもをよく観察していることにも繋がる。

 そこに、ミレニアムの問題児と渡り合うしたたかさを加えればどうなるか………その結果が、このスバルとのポーカー対決である。スバルが巧妙に仕掛けてきたイカサマやハッタリを見抜き、勝利をもぎ取ったのである。

 

『ちょ、ちょっと待て!聞いたことないぞ!

 俺のクセって何なんだよ!? 教えてくれノア!』

 

『あ、あふぅ…ゆ、揺らさないでください……

 あなたとの賭けで疲れたんです! しばらく休ませて…』

 

『そうよ! ノアに突っかかってないで、早くロストコでバーゲンダッツ買ってきなさい!』

 

『げぇっ!? 酷いぞ!それはズルだろユウカ!!』

 

『イカサマした人に言われたくないですー!』

 

 こうして、ユウカとノアは勝利のバーゲンダッツ(500ミリリットルバケツ3杯分)を手に入れ………スバルは、しばらく財布が軽くなったのであった。

 

「―――え?その後のバーゲンダッツはどうなったって?

 …まだセミナーの冷凍庫を占拠してるわ。私達だけじゃ食べきれなくって……セミナーの仕事手伝ってくれるなら、少し分けてあげるわよ?」

 

 ちなみに。

 ノアはあの勝負の後、チップを賭けたポーカーという名の心理戦にはもう懲りたとユウカに弱音を吐いたそうなのだが、それは、ユウカとノアの心の中だけに秘めた内緒の出来事である。

 

*1
メモロビ的な意味で

*2
左右の手にカードを持ち、親指でパラパラと交互にカードを落として混ぜ合わせる方法。

*3
5枚のカードが全て同じマークをした役。

*4
Fate/Grand Order、通称FGOに登場するサーヴァント。正式名称レジスタンスのライダー。極悪人のような顔芸が有名。

*5
なんの役も揃っていないポーカーの手札のこと。ブタともいう。

*6
キヴォトス版○-ゲンダッツ。アジアにおける生産拠点は日本であり輸入によるコスト増がある中国、韓国では日本の2~2.5倍の価格になるため、元ネタとブルアカの開発国的に考えるとちょっとどころではない高額アイスの模様。

*7
キヴォトス版コス○コ。元ネタと遜色なくあらゆる商品がアホみたいにデカく単価的に安いことで有名。





Tip!
ノアが見つけた、「スバルがウソやハッタリを仕掛ける時に出ちゃうクセ」はホントに些細なものだぞ!それこそ、ノアでないと見つけられないレベルである!


おまけ・その後のコユキ

ノ ア「コユキちゃーん、いますか?」
コユキ「げぇっ、ノア先ぱ…い!? えっ、バーゲンダッツ持って何しに来たんですか?」
ノ ア「コユキちゃんに差し入れです。良ければどうぞ~」
コユキ「ありがとうございます! でもどうして急に…?」
ノ ア「ちょっとしたお礼と言いますか、勝手にお名前や諸々賭けたお詫びと言いますか…」
コユキ「えっ何!? 賭けたってどういう事ですか!!? 怖い!でもアイスはいただきます!!!」




ユウカってポーカー弱そうよね。
確率と計算を信じすぎて心理的盲点をめちゃくちゃ突かれそう。ゲームでも先生の袖の下イカサマに片付けるまで気付かなかったから、バービー君(わざと)あたりと勝負したらあっという間に負けそう。
じゃあ逆にポーカー強そうな子って誰?ってなったら、間違いなくノアかなと思ったワケです。それでこの話が爆誕した。原作に合うかどうかは知らん。

一番えっちぃのは?~ミレニアム編~

  • ユウカ
  • ノア
  • コトリ
  • ウタハ
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