HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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はい。というわけで今回はスバルのメモロビ回です!
イベントスチルの脳内準備は出来ましたか?
…それでは、どうぞ。


絆ストーリー/特別な世界の景色

 シャーレにしては珍しく――非常に珍しいことだが――書類仕事が正午で終わったある日。

 先生のスマホが震え、モモトークの通知を知らせた。誰からだろうとアプリを開くと―――

 

 

 


 

スバル

『先生』

『今大丈夫ですか?』

 

既読『うん、もちろん』

既読『どうしたの?』

 

スバル

『いつだったか、俺の見る世界が

 見てみたいとか言ってたじゃあ

 ないですか』

 

既読『そうだったね』

 

スバル

『今からならそれを見せられると思うんで

 来てくれますか?』

 

既読『分かった!』

既読『どこにいるの?』

 

スバル

『トリニティの花畑の入口で待っててください』

『あそこ広いんで、案内しますよ』

 

既読『うん、お願いね』

 

【スバルの絆ストーリーへ】

 


 

 

 トリニティの花畑……庭園の入り口に行った先生は、そこでスバルと出会う。

 先生を見つけると、嬉しそうに手を振って呼んでくれた。

 

「待ってましたよ、先生!

 今日は()のネクタイ付けてるんですね、イカしてますよ~」

 

「え?」

 

 スバルの言葉に違和感を覚えた。

 先生は今日、緑色のネクタイなどつけてきていない。

 

「普段通りの()()のネクタイだけど?」

 

「え?……あっ!!」

 

 先生の言葉で、スバルは何かに気付いたようにバツの悪い表情を見せた。

 …どうやら、先程までは()()()()()()()ようだ。

 

「しまった…『()()()()()()()()()()わ、さっきまで描いてたから」

 

「大丈夫だよ、スバル。気にしないで」

 

「……そう言ってくれると助かります」

 

 そう。間島(まじま)スバルは、正しい色覚を持っていない。普通の人なら本来見える色が、スバルには見えないのだ。

 3年前、まだスバルが弱かった頃。彼女は、トリニティの陰湿な嫌がらせに巻き込まれ、けしかけられたチンピラにボコボコにされたことがあった。目を執拗に殴られ、重体ともいうべき大怪我を負ったそうだ。

 命は無事ではあったものの……それ以降、スバルの正常な色覚は失われてしまった。青や黄色を見ることができなくなり、オレンジやピンクを正しく認識できなくなったという。

 そんな彼女だったが、『見聞色の覇気』を覚えてからは、それを目に纏わせることで一定期間中は正しい色覚を取り戻すことに成功したという。その間にどれだけの凄まじい苦労があったか……そんなものは、先生には計り知れない。

 

「さぁ、行きましょうか」

 

 スバルが先導して歩いていく。

 入り口をくぐれば、その先にあるのは植物園だ。色とりどりの花たちが、先生を出迎えている。

 これがトリニティの庭園だったとは、流石はお嬢様学院、スケールが違うようだ。

 

「こっちです、先生」

 

 しばらくスバルのあとをついていく。

 するとそこにあったのは、一面に広がるアスターの花畑。

 赤、赤紫、白、青……色鮮やかな花たちが先生を迎えた。

 

「…あ!いっけね、まだ描いてないところがあったわ」

 

「?」

 

 そして、その花畑の前に置いてあったのは、背丈の半分ほどあるキャンバス、水の入ったバケツ、アウトドア用の小さな組み立て椅子……そして、油絵用の木製パレットに、ペインティングナイフ、絵筆………

 

「先生、ちょっと待ってろ。そっこー完成させるわ」

 

 そう言って、ベレー帽を被ったスバルがパレットと絵筆を手に取ると……

 

 

 

~ ~ ~

 

 ぺたぺた、さっさと、筆にのせた絵の具を、キャンバスにのせていく。

 きっと、それが仕上げだったのだろう。軽く筆を走らせたら、スバルは満足そうな笑みで頷いた。

 そして完成したばかりのそれを先生に見せるように、スバルは身体をどかして見せた。

 

「よっし! 完成だ!」

 

 キャンバスには、目の前のアスターの花畑が、油絵具独特の立体性を生かした状態で描かれていた。

 一見とても巧妙に描かれている絵に見えるが……よくよく見てみると、ちょっと違う点が見受けられる。

 まず、花の葉や茎だが…実際の光景では鮮やかな緑が、絵の中ではややくすんで見える。空の色も違うようだ。見上げれば薄い青色…文字通りのスカイブルーが広がっているのに対して、キャンバス内に広がっているのは、白を混ぜ込んだ、薄くて鮮やかな緑色である。

 極めつけは、描かれた花たちだ。赤はある。白の花もある。だが紫色と赤紫、そして青色の花が描かれていない。代わりに描かれているのは、渋い茶色の花と、鮮やかで美しい緑色の花だ。

 

「見てください!これが…俺の景色ってやつですよ!」

 

 全体的にピンクがかったその絵は、今まで見たことのないものを見たかのようで、先生は言葉を失っていた。

 それを肯定的なリアクションじゃないと踏んだのか、スバルはこう続ける。

 

「…やっぱり、こういう絵は描かないほうが良かったのかな……? ま、もともと欠けた色覚だからな…

 もし覇気がなかったらと思うと、ゾッとしない……」

 

 そんな言葉を聞いた先生は、大慌てで否定した。

 スバルの絵に言葉が出なかったのは、絵がつまらなかったからではない。むしろその逆だ。

 

「え………そんなことはない?幻想的で良いだと?

 …そういうもんなのかなぁ?」

 

 褒められたことに全く実感が湧いていない様子のスバルに、先生は言葉を続ける。

 

「だってそれが、スバルの見てる特別な景色でしょ?」

 

「ん?……まぁ、そうですけど」

 

「たとえそれがどんな色でも、それはスバル以外には見えないものだから」

 

 いつもみたいに自信を持っていいんだよ。

 私に、そんな特別な景色を見せてくれてありがとうね。

 そういう風に締めくくると、スバルの頬が赤らみ、口元がにやけだす。

 

「…ハッハッハッ、まさか先生、そんな言葉を他の子にもかけてんじゃあないでしょうね?」

 

 まるで部屋に隠してたオモチャを見つけたときの猫のような反応。

 先生は、イキナリ変わった話題についていくことができない。

 

「いつか女の子に刺されそうですよね、先生♪」

 

「どういうこと!!!?」

 

「安心してください。俺は先生が女の子を何人口説いても咎めませんし、ハーレム■■■(ピッーーーー)も許しますとも!」

 

「そんなコトしないよ!!?」

 

 どこでそんな言葉を習ったのやら。

 性に奔放すぎる彼女の爛れた発言に面食らいながらも、年と淑女相応の貞淑さというか、自重というか、しなさいと注意しようとした時、先生より先にスバルが笑いながらこう言った。

 

「…前々から、なんとなく『先生なら分かってくれる』とは思っていたんですが……いざ、そうやって肯定してくれると、本当に嬉しいです、先生」

 

 スバルの見え方は、スバルにしか見えない。

 だからこそ、それを表に出す事に抵抗があった。

 「一部の色を認識できない」ことは、スバルとある程度親しければなんとなく分かることだ。しかし、『どう見えているか』はなかなか分からない。言葉で説明しても、説明を受けた者が普通の見え方をしている限り想像がしにくいだろう。

 だからといって、実際に見せる、とまでは行動に移せなかった節がある。受け入れてくれるか分からない(勿論スバルはプレアデス性団をはじめ自身の友を信じているが)し、仮に分かってくれても必要以上に心配されるかもしれないという想いがあった。今は『擬・見聞色の覇気』で正常にものを見れる、なら問題ないだろう、とも考えていた。

 

「気が向いたら、またこういう形で、俺の世界を描いてみてもいいかもしれないな!」

 

 だが今は違う。こういった、絵という形で自分の見えるものを描いてみてもいいのかもしれない。

 そう思って笑顔を浮かべた。それを見た先生には、もうスバルに注意しようなんて気は起こらなかった。

 

~ ~ ~

 

 

 

 

 さて、俺の約束も……先生がいつか言っていた、『俺だけの世界を見たい』という約束も済んだんだ。

 あんまり引き止めても悪いから、早く帰してやらねーとな。

 

「忙しいだろうに、時間貰っちゃって悪かったな」

 

「大丈夫だよ。今日は珍しく仕事なかったしね」

 

「仕事が無かったァァ!!? 嘘だッッ!

 どうせあったけど見送ったとか気付かなかったとかそんなんだろ!!」

 

「いやいやいやいや!ホントになかったんだって!?」

 

 シャーレでお仕事が無かっただと!?

 そんなことありえるワケがないだろう!

 どーせ先生のことだ、仕事がイヤすぎて「仕事なんてなかった」なんて現実逃避を始めちゃったに違いない!

 こうなったら引きずってでもシャーレに戻しに行くぞ!

 

「もーーいい。電話してやる。今日の当番は誰だ?」

 

「スバル!お願いだから話を聞いて!!?」

 

 そうして俺は、先生をシャーレに送り返すべく、しばらく携帯を取り合った。

 

 

 

 

 ちなみに、先生に最初に見せたあの絵だが、プレアデス性団の部室に飾り付けることになった。

 事情を話したところ、「是非あの部室に飾り付けよう」という話になった。

 

「良いのか? いや、お前らが良いって言うんならいいんだが…」

 

「そんな勿体ないことを仰らないでくださいお姉様!

 このような素敵な作品を飾らないなんて……!」

 

「そう、ですよ……スバル様……!

 芸術にも、センスを発揮するとは、流石は私の…」

 

「素晴らしいと思います、スバルさん」

 

 部員たちに抱きつかれる。

 うーん、みんなエロい。正統派お嬢様と根暗系美少女と小動物系美少女に同時にハグを受けるとか、前世で相当徳を積まないとできないぞ。

 良い光景だし、素敵すぎるハーレムだ。俺が男だったら全員抱き潰してた。だがそれはそうと……

 

「セラ、レイ、アキ。そろそろ離れてくれ。暑い」

 

「あら、申し訳ございませんお姉様。今から離れますね、わたし以外が」

 

「えぇ……セラとアキが離れなさいよ…スバル様は私のものなのよ」

 

「イヤです。あたしは絶対に離しません」

 

 俺の言葉を受けても、誰も離れる気配がしない。仕方のない奴らだ。そうするのなら、俺にも考えがある。

 

「コハルーー!!! スケベだ!スケベが現れたぞ!!」

 

何ですってぇ!!? スケベはダメ!死刑!!

 

「お、お姉様!?」

 

「な、何を!?」

 

「や、やめっ!?」

 

 そう。コハル召喚だ。

 アイツはエッチなもの(笑)に反応して襲い掛かる(笑)習性(爆)があるからな。

 こうすれば、俺にくっついてる3人を剥がしてくれる………ん?

 なんか、俺にまで猫の目を向けてきて……

 

「ってか一番のスケベはあんたじゃないの!

 いっつもいっつもエッチな本を描いて売って!かと思えば女の子はべらせて!!

 最近はトリニティがその…え、え、エッチな子がいる学園だって、噂もされてるんだからね!!!!」

 

「あれー?」

 

 なんか俺まで修正対象に入ってない?

 俺…コハルに何かしたっけ?*1

 このままでは、俺まで被害を被るぞ!?

 

「コハルを呼んだのは間違いだったか……すぐに逃げ―――」

 

「―――あれ? こんな絵、前あったかしら?」

 

 襲い掛かってくるかと思ったが、コハルは俺の描いた花の風景画に目を奪われていた。吸い込まれるように、絵画へ歩み寄る。

 そうして、何秒経っただろうか。じっくり見ていたコハルが、俺の方を向く。さっきまでの猫の目はしていなかった。

 

「…これ、誰が描いたの?」

 

「俺だ」

 

「スバルが……」

 

 そうして、また絵画を見る。

 まるで美術館に置かれたそれでも見ているかのように、コハルの横顔は超珍しいことに真剣で。

 その顔で、何を考えているのだろうか…………そう思える位に、鑑賞をしていた。

 やがて、二度目の鑑賞が終わる。まるで神妙な話をするかのような、はたまた尊敬も入り混じっているような、そんな表情でコハルは言った。

 

「あんた、普通に芸術家目指しても良いんじゃないの?」

 

「「「!?!?!?!?」」」

 

 プレアデス性団のみんなに動揺が走る。

 それも気に留めないかのように、コハルは続けた。

 

「これ…さ。どうして、こんな色使いしてるか分からないけど……なんか、こことは違う世界に咲いているかのような…そんなものを見てる気分だわ」

 

 まぁ、そうだな。色覚がひとつ欠ければ、世界が変わるといっても過言じゃあない。

 そう言う意味では、こことは違う世界の花、というのは間違いないかもな。

 

「これ、ひょっとしてさ。スバルがいつも見てる風景がこんななの?」

 

「…そうだ。元々は青と紫の花だが……覇気のない俺の見る景色に、青色は存在しない」

 

「そうなんだ……これが、スバルの見る花なんだ……」

 

「……題名が降りてきた。俺にしか見れない花、誰も見れない花……そんな感じの名前にしよう」

 

「スバル……」

 

 意を決した、とでも言うかのように、まっすぐこちらを見つめるコハル。

 

「あのっ! あの、さ…!

 やっぱり、エッチな漫画……描き続けるの?」

 

「コハル…」

 

「スバルが絵が上手いのは、知ってる……

 でも、それを、他の分野で生かそうと思わないの?」

 

 プレアデス性団のざわめきが大きくなった。

 それは、スバルに対する挑戦に他ならなかったからだ。

 そしてスバルは、かつてそのような事を嫌味ったらしく言ってきたトリカスの数々を、別次元の必殺技でオーバーキルしてきた。

 誰もが、数分後のコハルが無残な目に遭うと予感していた。

 

 

「こ、こんなに綺麗な花をいっぱい描けるんだもん!

 え、エッチな本にこだわらなくったって、スバルなら―――」

 

ム☆リ☆

 

 

 

「―――え?」

 

 ……答えは、果てしなく腹の立つ顔芸だった*2

 

「いや、だからね。

 ム☆リ☆って言ったのさ。

 コハルさんよぉ~、何を言うかと思えば、今更俺がエロ漫画家やめるワケねーだろ?

 そりゃぁーよォ、スーパーマリオブラザーズでマリオが引退するってくらい無理だわ」

 

「」

 

 まぁ、こんな変態に今更何を言ってもエロ漫画描くのやめさせるなんて出来るワケないよね!

 残念でもなければ、ある意味当然。略して残当であった。

 その言葉を受けて、プレアデス性団の面々も胸を撫でおろした。

 

「それでこそ、お姉様ですわ!」

 

「ですね。ブレないからこそスバルさんです!」

 

「うふふ…一生推せるわ、スバル様…!」

 

「………………~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!」

 

 あまりにもウザすぎるスバルの顔芸。

 そして、それに全力で便乗するプレアデス性団。

 その2コンボに、コハルの堪忍袋の緒が、切れた。

 

 

「あ~~~~~ん~~~~~~~た~~~~~ら~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」

 

「おっと、コハルがもう限界だ!逃げるぞお前ら!」

 

「「「了解(です)!」」」

 

 この1秒後、コハルとプレアデス性団の鬼ごっこが始まったのであった。

 鬼ごっこは正義実現委員会の数割を巻き込んで、一時期トリニティ内で盛り上がるイベントと化し、最終的にナギサが寝耳に水の情報で頭が爆発して死んだり、救護騎士団の団長がスバル以外を救護(物理)に回ったりする大騒ぎになるのだが、それはまた別の話だ。

 

 

 

 

 そんな鬼ごっこイベントがあった夜。

 スバルが寮内の部屋に帰ってくると、机の上に見覚えのない手紙……といっても短すぎて書き置きレベルのものだが……が置かれていて。

 

 ―――名も知れぬ、そなたにしか見れぬ花。私はあの芸術と、それを生み出したそなたに敬意を表する。

 

「……いつどうやって絵画(アレ)見たんだよ、マエストロ」

 

 スバルのそんな呟きだけが、空いた窓から夜空へ出ていき溶けていった。

*1
過去の話を全て読んできた方々からすれば、ツッコミどころしか存在しないやらかしようである事は間違いない。

*2
ボボボーボ・ボーボボのム☆リを参照。





Tip!
スバルのメモロビを見た先生方は、「メモロビで規制音使うなや!」「ヨースターさん!?!?」「〇〇〇さん(スバルの声優)にアレ言わせても良いんだ…」等の反応があったそうだぞ!なお、このメモロビはスバルの絆ストーリー5で解放されるぞ!



おまけ・今回登場したプレアデス性団

闇泥(やみどう)レイ……2年生。ヤンデレものを描く『狂愛卿』。本人もスバルガチ勢なところがある。
小百合(さゆり)アキ……2年生。身分違いのかなわぬ恋、『慰みはティータイムの後で』シリーズを描いた『白百合アワビ』。ガチ百合にしてスバルガチ勢。実は最初の頃に既に登場しており、「どんな男がタイプだ?」という問いに「男の子より女の子派」と答えている。探してみよう!

応募してくれた方、ありがとうございます!



ベアおば抹殺編に望むシリアス度合いは?※分かりやすさ重視のため、ブルアカキャラを使います

  • サオリ(真面目にやりなさい!)
  • アズサ(そこそこ真面目に!)
  • ヒフミ(シリアスも入れて!)
  • アリス(ギャグ多め)
  • アル(もっとハジけろYO!)
  • スバル(スレ民の脳を壊せ)
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