HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜 作:伝説の超三毛猫
※要注意!今回のお話では、ある人物のキャラがこれでもかと言うほど粉みじんに破☆壊されます!それが嫌な人は読まないことを強く勧めます!
それは、アリウススクワッドがベア……マダムに命じられて調印式会場を襲撃する数週間前。
ヒヨリは、訓練――といっても、どこよりも過酷で実戦と勘違いする程であるが――の途中、ある本を拾ったのである。
『これは……?』
本の名前は、「俺の優雅な幼馴染」………
無論、アリウスで偏った教育を受けたヒヨリがそれを知る筈もない。好奇心に負けた彼女がいつも雑誌を拾うかのようにその本を拾い、中を開いて……
……そして、気付けば意識を数分飛ばしていた。
『―――はっ!!?』
傍らには、開きっぱなしの18禁本。ぐっしょりと濡れてしまった三角形の布。
ヒヨリも思春期真っ只中の10代半ば。いくらアリウスで禁欲生活をしていたからとはいえ……初めて知ってしまったものに抗える筈もなかった。
その結果、知り合いに見られたら自分の名誉がゼロを通り越してマイナスに突入するかのような惨状を、自ら生み出してしまったのだ。
『え……えへへぇ……気持ちよくても、結局はそれも終わっちゃうんですね…辛いですねぇ…苦しいですね…』
誰かに言い訳をするかのように身支度を整え直して、訓練に合流することになる。もちろんその際、プリンスメロンの同人誌を拾う事も忘れない。アリウスでは物資は早い者勝ち。落ちている物は使えれば拾うべきなのだ。
―――そんな一幕があった後。今度は、条約の調印式場での戦いで、間島スバル本人と出会う事になる。
といっても、突如目の前に現れたスバルによって……
「『擬・雷霆』ッ!!!」
一面が真っ白に塗りつぶされる程の雷を伴う掌底を受けて一瞬で沈められただけなのだが。
この雷撃を受けながら、ヒヨリは確かに感じ取っていたのだ。
意識が失われていくさなか……突然、走馬灯のように自身の脳裏を駆け巡っていく―――
―――
……かつて、マダムと呼ばれる大人がアリウス自治区を統治する前。
所かまわず、あらゆる場所が戦場だったそこで、子どもが1人で生きていくのは困難であった。
そこで彼女達は…身を寄せ合って、力を合わせて細々と生きていた。
ヒヨリもそんな孤児のひとりであったが……彼女は…否、彼女達は他とは違いやや幸運なことに―――
『ヒヨリィッ!! まーた余計なモン拾ってきたのかお前はァ!!』
『ひぇぇぇぇぇぇぇっ! ごめんなさい!ママ!』
その少女は…当時身寄りのなかったサオリ・ヒヨリ・ミサキ・アツコの4人を引き取り…面倒を見つつ、協力して暮らしていた。
『お前なぁ……モノを拾ってくる鼻はきくんだから…もっとこう、役に立つものを集めなさい』
『…ごめんなさい……』
『じゃ、その雑誌はそこに並べときな』
『え…捨てないの?』
『あったり前だろ、せっかくヒヨリが拾ってきてくれたんだ、捨てるワケねーだろ!』
『ママ…!』
その少女―――スバルは、ヒヨリ達にとってはイイ親であった。
物事の道理をわきまえ、叱る時は理由をつけて、理不尽を押し付けることもない。
そんな親代わりの少女のことが、みんな大好きであった。
『お母さん…これ見て』
『それは……花か!』
『いつか、もっと綺麗に咲くといいな…』
『よし!じゃあ母さんも大切に育てるの手伝うよ!』
『…ほんと?』
『種が取れれば、それをまく。またそこから種が増えて、更にそれをまく。繰り返していけば…いつか、一面の花畑になるぜ!』
『…!!』
アツコとは、花の話題で意気投合していた。
二人でいつか、大きな花畑を作ろう、と…そのような約束もしていたっけ。
『母さん、何をしているんだ?』
『これはな、今の物資の確認をしているんだ。
……そろそろ、調理用の油が切れそうだな…』
『私も、見てもいいかな?』
『もちろん。サオリはいつも手伝ってくれて、助かるよ…』
『そんなことない。母さんはいつも私達の為に大変な思いをしてるかもしれないから…』
『大丈夫だよ、サオリ。
俺はな、子ども達の為の苦労なら何ともないのさ!』
サオリは、常にやりくりに苦労していたスバルを手伝っていた。
スクワッドのリーダーで、隊員を少なからず気遣える性格も、この頃から形成していたのだろう。
『げほっ! ゲホッゲホッ!!』
『大丈夫かミサキ。ほら、薬』
『いらない…どうせ、世の中は苦しいことばっかり…』
『病人がバカなこと言ってんじゃないよ!』
『!!』
『余計なこと考えてるから悪くなるんだ。
ほら、黙って薬のんで寝る!!!』
『で、でも…』
『分 か っ た?』
『は、はい…』
体調を崩した時は、つきっきりで看病してくれた。
特に風邪をひきがちだった当時にミサキは、何度も彼女の世話になっただろうな、と。
ミサキも口ではいろいろ言っていても、最後にはスバルの言う事を聞いてくれたのであった。
だが……その幸せも、長く続かなかった。
『ぐぅぅぅっ!!!』
『ママ!』
『母さんッ!』
―――それは、恐ろしく強い異形の襲来だった。
次々とアリウスの猛者を屠ったそいつを相手にした時、母は決めたのだ。
子供を…未来を生かすための選択を取る事を。
『来るんじゃねぇッ!!!』
『え…!?』
『お前らは生きて…ここを出ろッ!』
『でも、母さんは!?』
侵略者相手に子供を逃がす判断をしたスバルは、振り向かないまま、こう告げた。
『コイツ倒したらすぐ戻ってくる。
それまではサオリ……お前がみんなの面倒を見るんだ』
『そんな…!?』
『行け!!』
『くっ…うわああああああああああっ!』
緊迫した様子で急かすスバルに、幼いサオリ達は、逃げ出した。逃げ出す事しか出来なかったのだ。
そして……それから今まで、侵略者がアリウス自治区を支配しても、そして『すべては虚しい』の教えが蔓延っても……スバルが帰ってくることはなかった。
―――目覚めたヒヨリは、その瞬間に周りにサオリとアツコがおらず、ミサキしかいないことに気が付いた。
『…ミサキちゃん』
『ヒヨリ!』
『アツコちゃんは…リーダーはどこですか!?』
『……それが…』
ヒヨリは知った。
自分が意識を失った後、マダムによってアツコが攫われた事。
取り戻したければ先生を殺め、『ある人物』の身柄を捕まえてくる事。
そして…他のアリウス生の追撃から逃げる最中に、サオリともはぐれてしまった事。
アリウススクワッドに降りかかったかつてないピンチ。ミサキはもう既に諦めきってしまっている様子だったが、ヒヨリは違った。
思い出したからだ。自分達にはまだ、探すべき人がいることを*1。
『ミサキちゃん…私達もうおしまいなのかもしれません……』
『………』
『でもどうせ死ぬならせめてママを見つけてじたばたしてからにします!!』
『……え? ヒヨリ、今…なんて』
『こうなったら即行動です!ママ〜〜〜っ!!』
『は、はぁっ!? ちょっ、待ちなさいヒヨリ!!』
ミサキの引き止める声などどこ吹く風。
ヒヨリは、自分達を育ててくれた母親*2を求めて、トリニティ自治区内を爆走し始めたのであった。
*
―――そして、今に至る。
ようやく母を見つけた*3ヒヨリは、満面の笑みで顔を綻ばせて抱きついた……のだが。
当の間島スバルから言わせれば、理解不能状態だった。ヒヨリがこうなった経緯について一切心当たりがないため、戸惑うことしか出来ない。隣で戦っていた白洲アズサも同様である。
「えへへへ……やっと会えました…ママぁ…」
「す、スバル…!? ヒヨリに何をした…!!?」
「ま、待て! 俺が何かしたこと前提で話を進めんな!? コイツの身に何があったのか、俺が知りてーよ!!」
アズサに人格を疑われているかのような眼差しで見られているが、俺にこんなの予想出来るワケねーだろ。
考えてもみろ。ある日、産んだ覚えも育てた覚えも無いヤツに『ママ』と言われるんだぞ?
心当たりがあろうが無かろうが、理解出来なさ過ぎて恐怖さえ湧いてきそうだわ!! つかちょっと怖いわ!
「ママ…?」
「ヒュッ」
「私達のこと、忘れちゃったんですか…?」
「え?」
「うわぁぁぁん! やっぱり忘れちゃったんです!
私達が悪い子すぎて見捨てられちゃったんですぅぅぅ!!」
忘れちゃったんですかって何だ。そもそも覚えがないんだよ!!
その言葉は、ヒヨリの上目遣いの涙目によって喉から出てこない。
ど、どどどどどどうすればいいんだ。ヒヨリにこれ以上悟られないようにアズサに目を向ける。
「(あ、アズサ…助けてくれ! これどうすればいい!?)」
「(わ…私に訊くな…)」
この薄情者め! お前、後で乱○総受けモノのヒロインにしてやるからな。絶対。
…仕方ない。俺一人でなんとか受け答えるしかない。見たところ本気で俺の事をママだと思っているようだ。
精神の状態は明らかに普通じゃあない。普通の状態のヒヨリなんざ詳しく知らんけど、下手に否定とかするのはヤバそうだ。となると、俺がやるべき答えは………
「……………忘れるワケないじゃないか。お前は私の子だよ」
「えへへへっ! やっぱりママだぁ…」
「す、スバル!!?」
―――出来るだけ全力でお母さんを遂行する。これしかない。
アズサが信じられないモノを見る目を向けるが、これ以上メンタルダメージを与えない選択肢がコレなんだよ……と、説明したらいちおう理解はしてくれた。
無論、このまま済ませるわけにはいかない。協力者を募り、この事態をなんとかするしかないだろうな。
「そういうことか。つまりさっきの対応は時間稼ぎと……確かに、先生の方がなんとかなりそうではあるけど…」
「なんでこうなったんだか、そこ探らないと治すなんてできねーだろ? だったら……」
「アズサちゃん、スバルちゃ………え」
「「あ」」
アズサと今後を話していた矢先、また古聖堂跡地にヒフミやコハル、ノボリ、ユマ、ハナコ先輩にユララ先輩……補習授業部が勢揃いしてしまっていた。しかも、俺がヒヨリに抱きつかれているところもバッチリ目撃された。
「ちょ、ちょっと…! そいつ、この前襲ってきたアリウス生じゃないの!!」
「お、落ち着けコハル。これにはちょっと、かなり複雑な事情があってだな―――」
「? ママのお友達?」
「「「「「ま、ママ?」」」」」
この野郎、またあっさりと俺を「ママ」呼ばわりしやがった。
そのせいで、理解できない事象に出会ったかのような顔を全員がしたのだ。
こうなったら説明せざるを得ない。理解してくれるかは分からないが、やるしかないのだ。
「なにか誤解をする前に言っておく!
この状態になったのには理由があった…というか理解を超えているんだが………あ、ありのまま起こった事を話すぜ!
――『俺はここでアズサと戦っていたと思ったら同年代の娘ができていた』………
…な、何を言っているのか分からねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった……
頭がどうにかなりそうだった………催眠術とか認知の書き換えとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わった…いや、現在進行形で味わってるぜ!!?」
「い…言っている意味が分からない……頭がイカレたんじゃないの…?」
駄目だった。
他のみんなも、脳裏に宇宙が展開されているかのような表情をしていた。
どうやら、かの有名な構文には、人を説得させられる力はないらしい。おのれポルナレフ。
―――しばらくしてみんなが平静を取り戻した後、俺はヒヨリに訊いてみた。どうして俺に会いに来たのか、と。
「! そ、そうだった! 聞いてママ!
姫ちゃんが……アツコちゃんが、マダムに攫われちゃったんですぅ!!」
彼女の話をまとめると、こうだ。
もともと、彼女達アリウススクワッドは、マダムという支配者から、アツコが生贄になるのを防ぐためにはエデン条約を奪ってゲヘナとトリニティを征服しろと言われていたらしい。
だが先日の襲撃の失敗を受けて、アツコは儀式の生贄にされつつあるとか。
更にヒヨリ達は、襲撃を受けて他の仲間ともはぐれたらしい。
ただし、ヒヨリはマダムに「サオリの居場所を伝えれば、自治区に戻れるよう便宜を図る」と言われていたそうだが……
「……断るつもりか? サオリとやらを売れば助かるというのに」
「だって…『彼女』の言葉がホントとは限らないし…リーダーたちとは、もう運命共同体ですから……。
私だけ助かっても、何の意味もない………みんなでアツコちゃんを助けたい……だから……お願い……ママ…
頼れるのは、もう………ママしか、思いつかなくって。
だから、だから………」
―――助けて。
土下座をしながらの最後の言葉は、俺にしか聞こえてなかったんじゃないかってくらいに、か細かった。
これで、俺達は彼女達の事情を理解した………相変わらず、俺がママと認識されている理由は、分からなかったケド。
その事情の説明を聞いていた皆は、その全員が困ったような表情を浮かべていた。助けたくないワケじゃないが、先日のテロリストだろお前……とでも言っているかのような。大なり小なりそんな顔をしていた。
俺は、顔をあげたヒヨリが仲間たちの顔を見るより先に、膝をついてヒヨリを抱きしめた。
「スバルさん、何をっ―――」
「先生だったら。きっと、こうするぜ」
「「「「「「!!!」」」」」」
俺がそう言えば……皆、思うところがあるのか、それ以上は何も言おうとはしなかった。
ただまぁ、その思いが良い事とは限らないので、補足はしておこう。
「それに……コイツがこうなったのは、俺の責任だ。
―――責任は、
その言葉は、確かにみんなの耳に届いた。
しばらく沈黙が流れて……そして、数秒後に斬り裂かれた。それは、コハルがため息をついたからだった。
「あんたねぇ、私達がさっきまでの話を聞いてなんにも感じないやつだと思ってるの!? そこまで冷酷になった覚えなんてないんだけど!!」
「こ、コハル……何を言っている?」
あっけに取られていると、他の声も聞こえてきた。
「そうです! 私…バッドエンドは嫌いだって知ってますよね?
例え敵だったとしても…スバルちゃんがそう決めた以上、ここでヒヨリちゃんを見捨てたら…後味が悪すぎます!!」
「私は、スバルさんの思うがままに付き合います。それこそ、メイドの誇りですから」
「ジブンに出来る事なら、なんでも言ってください!」
「さっきスバルには言ったが…アリウススクワッドは家族だ。例え別々の道を行った後でも……手を貸さない理由にはならないと思う」
「うふふ……もしかしたら、スバルちゃん。あなたは…とんでもなくすごいことを、しようとしているかもしれませんね♡」
「…なにさ。これであーしだけ拒否ったら、あーしだけワルモノじゃん」
お……お前ら。お人好しにも程が無いか? 一体いつから、そこまでの聖人になったんだ……!?
ここまで純粋だと、逆に俺が恥ずかしくなるレベルだぞ。
俺はただ、ベアおばを抹殺できる口実として、形だけでもヒヨリに寄り添っていただけだぞ。未だに、自分を母親として慕ってくるヒヨリの精神も分からなかったというのに。
そんな羞恥心に耐えながら、俺は。
「……………ありがとな」
皆にそう言うと、腕の中のヒヨリに目を向けた。
「―――と言う事らしい。ありがたいことに、味方は案外多いみたいだぞ」
すすり泣く声が、わずかに聞こえる。
俺に抱きついてくる腕の力が、より強くなった。
⋆
その頃。サオリと先生はというと。
「先生、どうしたんだ?」
「スバルから連絡があったんだ。えっと……」
スバル
『先生、助けてください』
『娘ができました』
「…………」
「先生?」
苦笑いを浮かべるスバルと、満面の笑みを浮かべるヒヨリのツーショット写真と共に送られてきた意味不明な文面に、先生はサオリにどのように説明すべきか迷いに迷った。
無事なのは何よりなのだが、スバルの『娘が出来た』宣言の意図がまったく分からないのだ。これを、どうやってサオリに話そう。
だが時間がないし、サオリは先生の顔を不安そうに見つめるばかりだ。
「…サオリ。ヒヨリが見つかったみたい」
「本当か!!?」
「うん。スバルが見つけてくれたみたいだよ。ただ……」
「ただ?」
「…これ見て分かる?」
迷った挙句、モモトークの画面を直接サオリに見せることにした。
不思議そうな顔で先生のスマホを受け取ったサオリは、しばらく画面を眺めて―――
「………??????????」
「や、やっぱり分からないよね…」
脳裏に宇宙と猫が鮮明に展開されたのであった。
Tip!
ヒヨリが見たあの記憶は、
おまけ・スバルとヒヨリの秘密の会話
スバル「時に、聞きたいんだが。お前、マダムの容姿は知ってるな?」
ヒヨリ「は、はい…」
スバル「そいつは……赤い肌に白いドレスを着て、複数の目が顔についている大人の女……で合ってるか?」
ヒヨリ「!!! ママ、マダムに会った事あるの!?どうして知ってるの!?」
スバル「知っていては何か問題か?アツコを救うため、急ぐ必要があるんだろう?」
ヒヨリ「そ、そうですね…それが最優先ですね……!!」
スバル「(よし、確証が持てた。原作通り、アリウスに行けばベアおばがいんだな…!)」
一番えっちぃのは?~アリウス編~
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サオリ
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ヒヨリ
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ミサキ
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アツコ
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アズサ
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バルバラ
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アンブロジウス