HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜 作:伝説の超三毛猫
今年も、この連載をよろしくお願いいたします。
ここからまた、ネタ回が始まりますよ!! まぁ年明け一発目は新鮮なヒフナギだけどな!くらえ!!
それは、冬に近づきつつある日の中でも、比較的温かい小春日和のことだった。
「ナギサ様ー、お待たせしましたー!」
ティーパーティーのナギサの執務室に、一人の少女が入ってきた。
阿慈谷ヒフミ。ナギサの親しい友人のひとりである。補習授業部の件やエデン条約調印の件では様々なゴタゴタがあったものの、今は良好な仲に戻っている。
「あれ…?」
その日、ヒフミはナギサに用事があったものの、ナギサを見つけることは叶わなかった。
思い当たる部屋には全て行ったが、影も形もなかったのである。
「おかしいなぁ……ここにいなかったら、どこにいるんだろう…?」
ここまで探しても見つからないのなら、シャーレにでもいるのかもしれない…そう思って先生に連絡を取ろうとした、その時。
ヒフミは気付いたのだ。足元に蠢くそれに。
「みー!みー!」
「おや…」
それは、ベージュ色のメンダコだった。
つぶらな瞳に真っ白な羽…それがついた両掌大の生物が、甲高い声で鳴きながらヒフミに近付いてくる。
それを見たヒフミは、目を輝かせてこう宣ったのだ。
「可愛いタコちゃんですね!」
「み!?」
流石はペロロ様なる珍妙なものを好きになったのファンクラブを務めるだけはある。
ヒフミはそのまま、メンダコを抱き上げて、愛情たっぷりに抱き寄せた。
見た目に反してヌメヌメしておらず、柔らかくて温かい感触だった。
「この子…誰かのペットなのでしょうか?
それとも……トリニティに迷い込んだだけなのでしょうか…?」
「みー!」
「とりあえず…ペットだったら飼い主さんを探さないといけないですね!」
「みー!?」
見つけたメンダコを、トリニティに迷い込んだ誰かのペットだと思ったヒフミは、メンダコを抱き上げたまま執務室を後にした。
そこからまっすぐに向かったのは補習授業部の教室だ。自分の最も信頼する仲間達に話をするためである。
「飼い主を探している?」
「この子なんですけど…」
「みー」
目を丸くしてヒフミが連れてきた生き物を見つめる、補習授業部の面々。不可思議な生物を連れてきた頼れる部長を前に、最初に口を開いたのはコハルだった。
「ヒフミ、それは……生き物なの?」
「みー!」
「わっ、喋った!?」
「ナギサ様の執務室で拾ってきたんですが……どうやらこの子、迷い込んじゃったみたいでして…」
「見たことのない生き物ですねぇ…」
「みー!みー!」
何かを訴えかけるように鳴くメンダコ。
触手をペシペシとヒフミに叩きつけるさまを見て、ハナコが妖しく笑い、ノボリとユマが笑い声をあげた。
「まぁ!こんなところで触手プレイなんて…♡」
「ヤってるっすねー!!!」
「大胆ですね、メンダコちゃん♡」
「あんたらは何バカな事を言ってるのよ!エッチなのは駄目!死刑!!」
「しかし、何を訴えかけているんだ……?
お腹が減った、とかか…?」
「そ、それは大変です!
何か作ってあげた方が良いのかな…?」
「でも、その……タコ?虫?は一体、何を食べるのよ?」
メンダコはみーみーと鳴くが、ヒフミ達には、このメンダコが何を訴えているのかが分からない。
ひとまずお腹が減ったのかと予想しているが、そもそもこの生き物が正式にどんな生き物かが分からないと餌付けのしようがない。
何かあげなければお腹をすかせてしまうが、下手に何かをあげたとして、それがメンダコのようなこの子にとって毒でしたとあったら最悪だ。猫や犬にチョコレートや玉ねぎを与えるなどといったような事故を起こさない為にも、迂闊な行動は起こせない。
「姿で一番近いのはメンダコですね」
「なんて書いてある?」
「『主に、ヨコエビなどの小型の甲殻類を食べています』……だそうです」
「小型の、甲殻類、ですか…」
「流石にそんなモン、ここにはないっスねー…」
「みー!」
ハナコが似た姿の生き物から予測して検索したが、トリニティの補習授業部にとってすぐに用意できない代物が出てきてしまった。用意のいいユマやノボリでも、懐からお菓子用の小エビの干物を出す、などというマネは出来ないようだ。
結局あのまま話し合っても埒が明かないということで、ヒフミ達は別れて行動を開始した。
コハルとハナコとユマは、メンダコ(?)のエサになりそうなものの買い出し。ヒフミとアズサとノボリは、トリニティ内で聞き込みを行っていた。
飼い主が見つかればそれで良し。見つからなくても、メンダコらしきこの生命体の情報を得られれば御の字だという方向性が決まり、三人で聞き込みを開始する。
「え、なにその生き物?」
「知らないわねぇ…」
「少なくともウチらは何も知らないよ」
「きへへへぇ…………私の周りに、そんな生き物を飼っている人間はいない」
「申し訳ございません。お力になれそうにはありませんわ…」
「あたくし達も初めて見ましたわねぇ、こんな生き物…」
しかし、状況は芳しくなかった。
空振りに空振りが重なるこの状況。
もう駄目かと思ったところで、ヒフミに声をかけてくる者がいた。
「お、いたいた。ノボリ!ヒフミとアズサも!」
「……スバルちゃん?」
「ノボリから事情を聴いて駆け付けたんだ」
「ノボリが?」
「あ、あはは……ここまで手がかりナシだと、流石に三人で探すのもキツイかなーって思ってですね……ちょっと、スバルさんに相談したんスよ、モモトークで」
「そんで、ノボリから呼ばれてここに来たんだが……何があったんだ?」
ノボリが呼んだ助っ人・間島スバル。
補習授業部のメンバー以外で、ノボリが信頼できる人物のひとりである。
事情を3人から聞いたスバルは、ヒフミの腕の中にいるメンダコに目を向けながらこう言った。
「分かった。俺達プレアデス性団でも、各方面に聞き込みをしてみよう。
俺も、その生き物について知ってそうな人を当たってみる。
それでもダメだったら……まぁ、そん時は一緒に考えようぜ」
「ありがとうございます!!」
スバルはそう言って、電話をかけ始めた。
他のプレアデス性団の団員も、アズサからメンダコの写真を貰って、各部活に聞いて回ってくれるそうで。
ヒフミやアズサは、心強い味方を得て、ハナコ達が帰ってくるまで、情報収集を続けたのであった。
⋆
結論から先に言えば、ヒフミ達は、有益な情報を得る事が出来なかった。
救護騎士団でもシスターフッドでも、メンダコについて詳しい情報を得る事は出来なかったのだ。それは誰が悪いでもない、ただヒフミが拾ったメンダコについて詳しく知る者がいなかったのである。ティーパーティーに至っては、書類作業の中核を担っていたナギサが急に連絡が取れなくなったと騒いでいて、情報収集どころではなくなっており、聞き込みそのものが不可能だった。
「こ、ここまで捜査網を広げても何も情報が手に入らないなんて……」
「ティーパーティーは酷かったッスねぇ…いくらトップがいないからって、門前払いするこたぁないでしょうに」
「ナギサ様、ご無事でしょうか……モモトーク*1に連絡しても既読がつきませんし…」
「み、みー…」
「………………そこら辺は向こうさんに任せて良いだろう。
一応、俺が他校生から聞いたことも返信が来ているから、目を通しておいて欲しい」
スバルも、モモトークの画面をスクショしたものを補習授業部各自に送り、説明を始めた。
スバルは、これまで知り合ったほぼ全ての他校生――ゲヘナ、ミレニアムをはじめレッドウィンター、百鬼夜行、アビドス、
そして、コハルとハナコとユマの買い出し組が帰ってきたところで、説明を始めた。
「まずゲヘナだ。風紀委員会と美食研究会、あと温泉開発部と便利屋68にも聞いた。でも結果は空振り。みんな『この生き物は見たことがない』と答えたよ」
「え、そうだったんですか!?」
「百鬼夜行と山海経の生徒も似たりよったりな回答だ。飼い主の情報はおろか、このメンダコを見たことがあるって情報は皆無だった」
「ダメじゃないの!」
「いいえ、コハルちゃん。案外そうでもないかもしれませんよ?」
ゲヘナ・百鬼夜行・山海経の3つで情報の収穫無しという報せに意味を感じられなかったコハルだが、ハナコはそれは違うという。
だがそれにピンとこないのか、コハルだけでなく、その発言を聞いたアズサとヒフミ、ノボリもまた頭上に?マークを浮かべていた。
「はーい、ちょっと聞いてくれ」と手をパンパン叩くスバルに、一同の視線が集まる。
「ゲヘナと百鬼夜行には特に幅広く聞いたんだが、『この生き物は見たことがない』ときた。
それはつまり……この生き物が、ゲヘナ地方及び百鬼夜行地方、あと山海経地方には生息している可能性はほぼないということだ」
「! 成程、
「その通り。
つまりこれから先、この生き物について調べる時は、ゲヘナ・百鬼夜行・山海経以外の場所を探せばいい、ということになる」
「なるほど! やみくもに探し回るより、探す範囲が狭まったという事ですか!!」
アズサとヒフミの閃いたような言葉で、ようやく全員の理解が及んだ。
情報がないとは、無駄骨を折る事とは限らない。今回のような情報収集の場合、スバルは地元に住む学生の知見を最大限に借りた結果になる。
蛇の道は蛇……というとアレだが、ゲヘナについては全体を取り仕切る風紀委員会に、そこを根城とする有名な部活に尋ねた。百鬼夜行については連合の運営を取り仕切る陰陽部に尋ねた。それらから情報がない今回の場合、情報がないことが情報になり得る。ならばそこ以外を探せばいいだけだ。
更に、美食研究会にも尋ねた結果、「部員の誰も見たことがありませんわね」という返事を貰ったのだ。よって、この生き物は新種か食用ではないことの裏付けとしても十分である。そう締めくくった。
「す、すごいわねスバル……
あんた、普段はエッチなことばっかりなのに、どうしてこういう時だけ頭が回るのよ…」
「そうでなきゃ生き残れなかったからな。そんじゃ、次の報告にイクぞ」
「それより先に、この子に謝ってください。
スバルちゃんが「食用」って言葉を出したせいで、怯えちゃったじゃありませんか」
「みー………!」
「お、おう……すまなかった」
メンダコらしき生物への謝罪ののち、次にスバルが取り上げたのが、アビドスとミレニアムからの連絡の結果。
アビドスには現在アビドスに学籍を置いている学生全員に話を聞いたところ、アビドス生徒会の副会長(ホシノ)から、「メンダコちゃんに似ているよ(要約)」という証言が得られた。
ミレニアムから聞き出した結果得られた情報はもっと精細なもので、「メンダコっぽいな」と証言した生徒が数人いた。また、かの「全知」の生徒に尋ねた結果、メンダコに関する論文をモモトーク越しに得る事に成功していたのだ*3。
だが、メンダコに近い可能性があるという情報は固まったには固まったのだが……
「む、ムズいっス…」
「わ、わけわかんないわよぉ…」
「知っている単語が一つもない…」
「えーと…??????????????」
「あはは……私もこれは流石に…」
「…しまった、知能のレベルを計算に入れてなかったわ…」
手に入れた論文を解読できる人間がほぼいなかった。
補習授業部とプレアデス性団の殆どの人間が開始早々にギブアップを宣言。
ヒフミでさえお手上げな有様だ。補習授業部にブチ込まれた愛すべき馬鹿どもは勿論のこと、ブチ込まれなかったプレアデス性団の成績普通~上位組のメンバーも論文の解読に難航。スバルでさえ、あまりの長文に心が折れそうになった。
「メンダコの飼い方……についての論文、だよな?」
「えぇ…水槽の条件や日ごとの様子が事細かに記録されておりますね」
「こんな長ったらしく書く事ねーだろ………読み込むだけで1週間はかかるぞ絶対」
「ちょーっと、ハードルが高かったかもしれませんね」
辛うじて理解できたのはスバルとハナコ、そしてプレアデス性団の数名のみ。それにしても最初の十数行だけでこの有様である。
前世の記憶で明星ヒマリのパーソナリティを知っていたスバルは、彼女が“全知”と呼ばれている理由を身を以て味わい、安易に煽った事を後悔していた。
こうして、ミレニアムから手に入った情報……論文という名の拷問に悪戦苦闘している間に、日は暮れていったのであった。
⋆
結局、その日のベージュのメンダコはヒフミが預かる事となった。
日が沈み、湯船に沈みながら考える。
トリニティの執務室に紛れ込んだ、奇妙な生き物……あの子は何者なんだろうと。
あの後、メンダコちゃんのごはんをすっかり忘れていたヒフミ達は、大慌てで様々な食料を用意して、メンダコに並べてみたが……結果は予想外のものとなった。
『みっ…』
『あ、あれ?』
『みー…』
『ど、どれにも食いつきませんね……』
『うーわ、マジっスか…? あらゆる小エビを買ったのに、全部ハズレとか萎えるっスよー…』
『お腹、減ってなかったのかな?』
『これ以上悩んでも仕方ありません。一旦休憩にいたしませんか?』
『みー!』
『ど、どうしたの?』
『まさか欲しいの?そのクッキー』
『え。い、良いのかなぁ…』
『クッキーの原料は小麦粉と卵と砂糖……害がある、とは限らないが…』
『ほら、あんたにはこっちがあるでしょ?』
『みっ!みっ!』
『あっ!!』
『ヒフミの持ってるクッキーに飛びついたッス!?』
『も、もう…』
メンダコが好みそうな甲殻類には一切食いつかず、ヒフミの持っていたクッキーを食べ、紅茶まで飲む始末。
誰も予想しなかった結果なだけに、謎はますます深まるばかりであった。
考えても考えても、あのメンダコちゃんの正体が分からない。
そう思っていると。
「みー!」
「えっ、みーちゃん!? 駄目ですよ、ここまでついて来ちゃあ…」
メンダコ―――ヒフミは鳴き声から「みーちゃん」と呼ぶことにした―――が、浴室のドアから呼ぶ声がした。
ヒフミはそんなみーちゃんの行動を諫めたが……鳴きやまないみーちゃんの声に、仕方ないと言った様子でドアを開けた。
「もう、待っててねって言ったのに……仕方のない子ですね」
「みー!」
「…一緒に入ります?」
「みー!」
嬉しそうに声をあげるみーちゃんを抱き上げて、再び湯舟に浸かるヒフミ。みーちゃんには、お湯を桶によそい、専用の湯舟を作った。みーちゃんは、湯船を嬉しそうに泳いでいる。
「みーちゃん」
「みー?」
「貴方は一体、どこから来たのですか?」
「みー……」
ヒフミの問いかけに意味はない。
けれど、この短時間でも、ヒフミはこのメンダコのような謎の生き物を知りたくなった。もっと、仲良くなりたいと思うようになった。
みーちゃんは、ヒフミの言葉を分かっているのかいないのか、みーと鳴いて考え込むかのように動きを止めてから―――ヒフミの顔に触手でお湯をかけた。
「きゃあっ! やりましたね!この!」
「みーみー!」
「あはは…!」
「みー!」
人間と小さな生き物がお湯をかけあう楽し気な声が、浴室に響く。こうして、ヒフミと謎の生き物の夜は更けていった。
―――そして、夜が明けた時には、ヒフミの傍らで寝ていた筈のメンダコは、影も形もなくなっていた。まるで、全てが儚い夢であるかのように。
⋆
補習授業部を中心とした謎生物の捜索があった翌日。
ティーパーティーの執務室は、地獄と言わんばかりの書類作業に追われていた。
その中心に立っていたのは、亜麻色の髪をなびかせた、凛とした少女・桐藤ナギサである。
「ナギサ様!こちらの確認をお願いします!」
「はい、あと貴女にはこちらを追加で!」
「うぅ……ナギサ、随分手際が良い…いや、良すぎやしないか!? こっちが追い付かないぞ!」
「ご迷惑おかけしますセイアさん! 今持ってきた物が最後です!」
「ナギサ様ぁ!昨日は我々に何も言わずにどこ行ってたんですかぁ!?」
「その件は本当に申し訳ございません!この不手際は、本日お返しします!」
目を見開く程の速度で仕事をこなしていくナギサ。
その効率の良さは、分身でも使っているのではと思えるくらいの仕事ぶりであった。
百合園セイア含むティーパーティーの面々は、終始どこか調子の良いナギサに振り回されるだけであった。
そして、ティーパーティーの仕事を、本来の時間より早く終わらせ、執務室にナギサ以外がいなくなったその時。
―――ナギサはがつん、と頭を抱えて机に突っ伏した。
「(昨日は何をやらかしてるんですか私のバカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?!?!?!?)」
その心の声が、表に出ていたらトリニティ中に響いていただろう。そのレベルでひとり懺悔していた。
「(死んだ時に変化した
そう。先日ヒフミが見つけ、補習授業部とプレアデス性団が1日間だけ触れ合ったメンダコの正体は、ナギサであった。
え?そんなことはとうに知っていた? それを言ってはならない。
ぶっ続けでティーパーティーの仕事をした結果の過労で死んだあと、何故か身体が縮んでメンダコになってしまったところを、ヒフミに目撃されて、あの出来事に至ったのである。
しかも、あのメンダコになってからの行動は、全てナギサが自分の意思で行っていた事だったのだ!
「(特にあの夜!! どうかしていました!! いくらあの姿になって…言葉が通じないからって……あれは行き過ぎです!淑女の欠片もない! うわぁぁぁぁ、もう死にたい気分です……)」
つまり……メンダコが一緒にお風呂に入ろうとしていたことも、ヒフミにお湯をかけてじゃれた事も……調子に乗っていたナギサの意思によって行われた事だったのだ!
ひとつ弁護するとするならば、ナギサはメンダコになる直前、文字通り過労死していたし、友達の家にお泊りしたことなど、数年前ミカが遊びに来て以降していなかったことだったのだ。なので、普段のフィリウス派生徒会長らしくもなくはっちゃけてしまっただけであることは念頭に置いて貰いたい。
それと、ナギサには一つ、らしからぬ行動をした原因という心当たりがあった。
「(……どうなってしまっているのでしょう、私の身体)」
普通、人間は1度しか死ぬことが出来ない。
にもかかわらず、ナギサは何度も意識を失い……というか周りの証言から己が死んでいることを知ったが……しかも、サラッと復活していた。
それだけでも十分アレなのだが、それに加えて今回、そもそも別の生き物に変身してしまっていた。夢で見た事はあったが、まさか正夢になるとは思ってもみなかった。
流石に、ナギサも昨日の一件は不安でしかなかったのだ。
それを救ったのは、他ならぬヒフミであった。
忌避感なく自分を見つけ、飼い主や生き物そのものを探す為に動いてくれた。
あのまま誰にも見つからなかったら……泣いてしまっていただろう。そういう意味では、ヒフミの行動は人知れずナギサを救っていた。
「私は……ヒフミさんに何と――」
「ナギサ様ー!!」
「!?!?」
何と言えばいいか、そう考えた矢先にヒフミが慌てた様子で部屋に入ってくる。
一瞬、不意打ちに驚きうろたえたが、ただならぬ様子に何かあったのかと尋ねると。
「みーちゃんがいなくなってしまったんです!!」
「みー…ちゃん?」
「昨日保護した、メンダコみたいな生き物です!!」
ヒフミが、変化した
ヒフミさんは、昨日のメンダコ=桐藤ナギサだと気付いていない。
メンダコになっていたナギサだが、あの夜一緒に寝た後早朝に目を覚ますと、普通の人間の姿に戻っていたのだ。
目を開けたら目の前にヒフミの寝顔があった事で、朝一番に驚き死にかけたが、ふと理性が呼びかけたのだ。「今この状況でヒフミが起きたら、一体自分はどんな扱いを受けるのか」と。
ティーパーティーとしてヴァルキューレのお世話にはなりたくなかったので、ヒフミを起こさないように、そして誰にも見つからないようにヒフミの寮室を後にしたのだ。ヒフミの寝起きが悪くて*4助かったナギサである。
それが功を奏したのか、今の所気付かれている様子はない。そして……その認識は、これから先もきっと、謎のままにしておいた方がいいと。その方が、ヒフミさんの為になると*5ナギサは考えた。
ナギサはティーカップの紅茶を一口飲んでから、ヒフミにこう伝えたのだ。
「あぁ、実はそのメンダコちゃんですが、深夜に飼い主から連絡がございまして。無事に飼い主の元に戻ったのです」
「ほ、ほんとですか!?」
「えぇ。ですが様子を見に行ったところ、メンダコちゃんは脱走を……
でも私と飼い主さんで探して、夜が明ける前に見つけることができました」
「良かった……」
ヒフミが胸を撫でおろし、お礼を言いながら執務室から立ち去っていく。
我ながら苦しい作り話であったが、何とか誤魔化せたようだ。
緊張から解放されたナギサは、もう一度ティーカップの紅茶を飲もうとして、執務室のドアが閉まり切っていないことに気付く。
その隙間から見えたのは。
「………」
「………」
目にハートを浮かべているのかと誤認するくらいに妖艶で意味深な笑みを浮かべながらサムズアップをするハナコと。
どこかのドS不良警察のごとく、片目をギンギンに開いた血走ったウインクを見事に決めながら、親指を立てるスバルだった。
「~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!?!?!?!?」
ナギサは察した。
察してしまった。
ば…ば…―――
「(バレたーーーーーーーーーーーーッ!! この世で一番バレたくない二人にバレたーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!?)」
そしてそのまま、しめやかに意識を手放したナギサなのであった。
Tip!
ちなみに最後のスバルとハナコは、完全に分かっている訳ではなかったぞ!ナギサに対してあのリアクションを取る事で、反応を見ていただけだ!つまりただのカマかけだ!なお、ナギサが起きた後、誠意をもって誰にも言わない事を誓ったから大丈夫だぞ!
おまけ・プレアデス性団の新年の挨拶
スバル
「あけましておめでとう~!先生、早速だが姫始めは誰にするつもりなんだ?
…え?そんな事を言っちゃいけませんって?
ナニ言ってんだよ先生、新年早々枯れてちゃ世話ねぇだろうが!……で?どうすんだ?」
アギト
「先生、あけましておめでとうございます。
それで、今年は何を目標にするつもりなんだ?
え?わ、私か? 私は……そうだなぁ……
……楽しく、正しく生きる、とかどうだろう?」
ユマ
「あけましておめでとうございます、ご主人様。
本年もどうか…私に、ご主人様のご奉仕をお許しいただければと思います。
な・ん・で・も……お申し付けくださいませ?」
ノボリ
「あっ!センセイ!あけおめっす~!
今年はセンセイがいるから、去年よりももっと楽しい年になりそうっすよ~!
ジブンも頑張りますんで、よろしくお願いしまっす!」
クオン
「あけましておめでとう、先生。
今年も、共に正義の為に奮闘しますので、よろしくお願いします。
……あと、『青ノ龍』も頑張るから、応援してくれよな。」
この後欲しいものは
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正月特番・キヴォトス人格付けチェック
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ボディーチェーーーンジ!!
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カルバノク1章のどっか
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HENTAIの野望/Zero
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黒服、襲来
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大物だらけのバイト店
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便利屋とメイドの大爆破
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スバルが先生に告白
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その他(存在しない記憶をば…)