HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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前回のゲームの元ネタ全部分かった人はいただろうか?
特に「ジーチャファイター」のネタが分かった人は多分同世代。
とうとうアビドス編が始まります。

Q.あれ?でも前回アリスが出てこなかった?
A.今度余計な事を言うと口を縫い合わすぞ(訳:こまけぇこたぁいいんだよ!)


vol.1 ちょっと暗躍?アビドス編
檄!覆面水着団


「スバルちゃん! このことは黙っててほしいんです!!」

 

 とある日。

 こう頼み込んできたヒフミのその鬼気迫る表情に、俺は面食らった。

 彼女が少し目を盗んでブラックマーケットに入ろうとしたので、ちょっと捕まえて話を聞こうとしたら、こんなことを言ってきたのである。

 

「お願いです! ペロロ様の限定グッズがどうしても欲しかったんです!! だからどうか!!」

 

 ―――なんてな。

 俺は勿論、ヒフミがブラックマーケットにいずれ行くだろうことは知っていた。そう踏んで彼女を監視していたのである。本人には申し訳ないが。

 

 というのも、この阿慈谷ヒフミ、アビドス編に登場するのだ。

 カタカタヘルメット団を壊滅させたアビドスの子達は、ヘルメット団が使っていた戦車の破片から、そいつがブラックマーケットから取り寄せられたものであることを知る。

 そこで、自分たちの借金の手がかりを探るため、彼女達は“先生”と共にブラックマーケットを訪れる。ここで合流するのがヒフミなのだ。

 

 だから、ヒフミにはブラックマーケットに行ってもらわないといけないし、そのタイミングを見計らって色々と準備していたのだよ。

 

「お、落ち着けヒフミ。何も、頭から否定する気は俺にはないよ」

 

「じゃ、じゃあ……」

 

「俺も連れていけ。護衛にはなるだろ」

 

「え! そ…そんなの危険だよ!!」

 

 俺の行動は最初から一つ。

 ここでブラックマーケットに行くヒフミを捕まえて、俺も同行する!

 これしかあるまいて。根はお人好しな彼女からは危険だと言われ同行を拒否されそうになる。

 俺の戦闘力なら前に見た筈なのに、気にかけてくれて嬉しい事だ。だがこっちも考えがある。今回ばかりは俺の要望を押し通してもらうぞ。

 

「危険だからこそ俺も一緒にいた方が良いだろう。俺がどれだけ戦えるかはヒフミも知ってる筈だ」

 

「でも………」

 

「それでも一人で行くと言うつもりなら、俺とここで一戦する覚悟を持て」

 

「うぅぅぅぅ~~~~!! それは卑怯ですよ、スバルちゃん!!!」

 

 知ってるとも。

 俺と戦っても勝てる気がしないのだろうヒフミは、「俺も一緒に連れていくことを条件に黙っていてもらう」という要求を呑むしかない。

 悪いな。こちとら精神年齢だけは大人だから、大人な手*1を使わせて貰ったぞ。

 

「さぁ行こうか。不法と色欲に満ち溢れたブラックマーケットへ」

 

「し、色欲に満ち溢れた!!?」

 

 落ち着けヒフミ。半分弱は冗談だから。

 

 キヴォトスには各学園の自治区と、連邦生徒会の管理地域「D.U.」で構成されているが、それだけで全て統治しきれている訳ではなく、裏社会に属する組織に実効支配されている地域も存在する。

 今回赴くブラックマーケットはその代表格だ。不法、悪徳業者、違法な武器の流通など何でもありである。だが、その分普通では取り扱えない品が数多く並んでいるのである。

 ヒフミと行くことになったブラックマーケットだが、トリニティの制服だと面倒そうなので、私服で向かう。

 

「なんでスバルちゃん、制服じゃないの?」

 

「なんでって、トリニティはお嬢様学院だぞ。悪い奴に身代金目当てで拉致られたらどうするんだ」

 

「あっ! しまった、そこら辺考えてなかった…今から着替えに行ったらペロロ様が売り切れちゃうかもしれないし……」

 

「次から気を付ければ良いだろう」

 

「……っていうか、スバルちゃんがその辺を気にすると思わなかったな」

 

「待てヒフミ、俺を何だと思ってるんだお前は」

 

 拉致される・されないと無用なリスクを避けることは別物だろうが。

 ヒフミが持っているであろう、盛大な誤解を解けないまま、俺たちはブラックマーケットへ足を踏み入れる。

 

 

「オイオイ、トリニティのお嬢様がなんだってこんな所にぱッッッ!?!?

 

「『ぱ』って面白い断末魔だな」

 

「スバルちゃん何やってるんですか!!?」

 

 残念なことに、ヒフミと共に立ち入ったブラックマーケット内では、限定ペロログッズより先に馬鹿が見つかってしまったようだ。

 寄って来てヒフミを攫おうとする大馬鹿野郎(女)を、デコピン一発で闇の店内にご招待(強制)させてやると、それ以降ヒフミに寄ってくる馬鹿が激減した。ゼロにはならなかったが。

 攻撃したことを心配されるが、別に殺してはいないぞ。死ぬより酷い目に遭っているかもしれないけど。

 

「こんなに暴れたらマーケットガードが飛んできますよ!?」

 

「(そんなに暴れてないような)……あぁ、確かそんなのもいたっけな。確か、ブラックマーケット内の軍隊だったか?」

 

「そうです!だからあんまりトラブル関係は…」

 

 だが、俺のスマートで一番手っ取り早い解決方法*2は、ほぼ護衛対象のヒフミによって禁止にされてしまった。

 まぁ…俺なら軍隊相手でも戦える気はするが、そういう対応はカイザーみたいな後腐れなくブッ飛ばせる輩にやりたいものだ。今マーケットガードと事を構えるつもりは毛頭ないから、俺も異論はない。

 次に変なのに絡まれたら、ヒフミの希望に沿う形で彼女を守る手を打つしかないようだ。

 

「ところでヒフミ」

 

「なんですか?」

 

「その…お前がここに来てまで欲しがる“限定グッズ”とは何のことだ?」

 

「ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定ぬいぐるみです」

 

「コラボぬいぐるみ?」

 

「期間限定に一定額以上アイスを買った人しか貰えないグッズなんですけどね。私としたことがコラボの存在に気付くのが遅れて…。

 しかも限定生産だったので、目標額アイスを買う前にコラボグッズが売り切れちゃったんですよ……」

 

 成程、期間限定な上に限定生産か。

 そういう系は手に入れることが出来る期間が限られている上に、二度と手に入らないかもしれないものが多いからな。

 かつてはエロゲーだったFateも、大衆向けに販売されて、やがてありとあらゆる企業とコラボ商品を出すようになっていた。アレみたいなものか。

 ヒフミからコラボ限定ペロロの特徴を聞きつつ、それがありそうな店を片っ端から回ったところ、目的の品は見つけ出すことが出来たようだ。

 

「1個2千円ね」

 

「2千!!? そ、想定外の高値ですが…これもペロロ様のため…」

 

 ……出来たんだけど、ヒフミがなんかカモられそうなんだけど。

 この店主のジジイ、トリニティ生だからってふっかけようとしちゃいないか?

 流石に見逃すことは出来ないので、俺がちょっと交渉してみよう。

 ジョジョで習った交渉術を見せてやる。

 

「待てヒフミ。いきなり財布を出そうとするんじゃあない。

 なぁ店主さん、俺達がトリニティ生だからってバカにしちゃいけないよ。高い高い」

 

「スバルちゃん…!」

 

 不安そうな顔で見てくるが、日本の常識的に考えても掌大のぬいぐるみ1個2千円は高すぎだ。

 加えてここはブラックマーケットで、こちらはお嬢様学校の生徒。世間知らずな温室育ちはすごくカモられてしまうだろうよ。

 更に最悪なのは、おそらくブラックマーケット内ではカモることは悪くなく、寧ろ騙されて買ってしまったヤツがマヌケなのだ、という常識がありそうな点だ。

 もし、俺の考えていることが当たっているなら、店主のジイさんはここで…

 

「へぇ。じゃあ幾らなら買ってくれるんだい?」

 

 ! 来たッ!

 客に値段を決めさせようと探ってくる。

 

「1個250円にしてくれよ」

 

 ここで、「こんなに安く言っちゃって悪いな~」くらいの値段を言う。

 すると、店主は「マジ~?常識あんのお前~?」ってな笑いで人を小馬鹿にしたように…

 

「そんなに安かったら俺たちの家族が生活できねーよ!帰んな帰んな!」

 

 ―――と、圧をかけてくる。

 だがここで気負けしないで……

 

「じゃあ~ほかの店で買おうかな」

 

 帰るマネをするのだ。

 実際に見て分かったがブラックマーケットは広い。この手を使えば、必ず引き止めてくるはず―――!

 

「あぁ~わかったわかった。嬢ちゃん達は可愛いからオマケしてやる。1700なんてどうだい?」

 

「1700ぅ? 300にしろよ」

 

 かかったァー!

 値段交渉、開始だ!!

 

「1500!」

「400!」

「1200!」

「550!」

「1000!」

「700!」

「900!」

「800!」

 

「「850!」」

 

「買ったッ!!」

 

「まいどあり~!!」

 

 ここで初めてヒフミに財布からお金を出させた。

 ハッハッハ、ざまぁ見やがれ。

 半額以下まで負けてやったぞコノヤロー。儲けた儲けた。

 これに懲りたら二度と吹っ掛けるんじゃあないぞ。

 

「す、スバルちゃん、すごい…!」

 

「とある筋で習ったテクだ。今度教えてやる」

 

「あ、あはは…それはちょっと、いい、かな?」

 

「そんで、これがコラボペロロか?

 ……アイスに溺れて死んでるようにしか見えんが…」

 

「まだまだですねぇスバルちゃん。これがかわいいんじゃないですか―――」

 

「なんだぁ?こんなところにトリニティのお嬢様がいるぞぉ!?」

 

「攫ってくれって言ってるなぁコレは!!?」

 

「拉致って交渉してやるぜェェェ~~ッ!」

 

 うわ、こんないいタイミングで今度は馬鹿なチンピラが徒党を組んで絡んできやがった。

 俺からすればこんな連中何てことはない。何秒で全滅させられるかタイムアタックを仕掛けても良いくらいなのだが、ヒフミにソッチ方面の手段は禁じられてしまっている上、マーケットガードを相手取るのも良くない。早いところ、アビドスの面々と会わなきゃならんのだよこっちは。

 

 なので、ヒフミに目配せをして、二人同時に逃げる方向とタイミングを伺う。

 そして、俺達は雑魚相手に逃走中を始める事と相成った。

 

「逃~げるんだよォ~~~~ッ!! スモーキーッ!!!」

 

「スモーキーって誰ですかぁぁぁぁ!!?」

 

「くっそ、追いつけねぇぞアイツら!?」

 

「めっちゃ足速えじゃねぇか!?」

 

「待て!待ちやがれ……待ってっ…」

 

 ヒフミを置き去りにしないように注意しつつ、マーケット内を走っていく。

 足を止めないようにしながらも、行き交う人々の中から、アビドスの面々と先生を探す。

 アビドスの子達は揃いも揃って美少女しかいないし、先生も長身のイケメンだから、人外の見た目が殆どのキヴォトスで、見失うわけがない。

 落ち着いて探していけば…………! いた!!

 

「ヒフミ、あっちだ!」

 

「はい!」

 

 そのまま、彼女達に合流するルートに逃走経路を変更。

 こうして、原作通りにヒフミはアビドスの面々と出会う事に成功したのだった。

 合流した際、たまたま近くにいたシニヨンのボインちゃん………十六夜(いざよい)ノノミに話しかける。

 

「ヘイ!そこの可愛いお嬢さん方!」

 

「私達ですか~?」

 

「今ちょっとダルいヤツに追われててな…一緒にブッ飛ばすのを手伝っちゃあくれないか!?」

 

 即座に振り向いて戦闘態勢を取る。

 それに対応しきれなかったヒフミが転びそうになったところを、砂狼(すなおおかみ)シロコが支えた。

 その間に、先生も見つけたので「よっ!奇遇っすね先生!」と軽く挨拶だけをしておく。

 そうして、無謀にも飛び掛かってきた不良三人を……

 

「えい☆」

「ふん」

「よっと」

 

「「「ぎゃ―――」」」

 

 ノノミとシロコが手刀を打ち込み、俺が眉間に弾丸をお見舞いする。

 それで見事に、チンピラ共は地面に沈んだ。

 

「悪人は懲らしめないとですね☆」

 

「うん」

 

「…スバル、躊躇いなく撃ったけど……?」

 

「勘弁して下さい先生。素手でやったらこの辺り一帯の地形が変わっちまいます」

 

「……冗談でしょ?」

 

 こうして、俺はアビドス高等学校とコンタクトを取る事に成功した。

 

 

 

 

 事情を交換しあった俺とヒフミ、そしてアビドスの子達はマーケットガードとの交戦を避けるため、チンピラの相手をそこそこに撒くことに成功した。

 その間に自己紹介等は済ませておいた。つまり、俺がシャーレ所属なことも明かしてある。今回、先生たちと合流したのはホントにたまたまだけど。

 

「アヤネちゃんには、戻ったらあげますね。私達だけでごめんなさい…」

 

「お、そういうことならノノミ先輩、こっちもお土産に持って行ってくれ」

 

「わぁ☆いいんですか? ありがとうスバルちゃん!」

 

「スバルちゃん、たこ焼き買ったんですか?」

 

「おう。たい焼きも良いが、こっちもオツなもんだ」

 

 たい焼きとたこ焼きを買ってブレークタイムに入りつつ、ヒフミによるブラックマーケット講座が開かれているのを見守っていく。

 アビドス……シロコ達は、戦車の部品の出処を求めてブラックマーケットに来たワケだが、手がかりはほぼナシ。

 だがブラックマーケット内において、それは例外だとヒフミは言う。曰く「ここの企業は開き直って悪さをするから、普通変にここまで徹底的に隠さない」とのこと。うーん混沌。ゲヘナより終わってる感ないかね?

 

 だがそこに、マーケットガードに連れられたカイザーローンが登場。

 闇銀行に入っていった運び屋とトラックが、なんとアヤネが利息を払っていた業者と同一であったことが判明する。

 現金の受け渡しとサインをした集金書類が闇銀行の中に入っていくのを見たシロコは、ある方法を提案した。それこそが―――!

 

銀行を襲う。

 

 キターーーーーーーーーーーーーーーッ!

 これよこれ! コレが見たかったんだよ俺はァ!

 いい! 生でアビドスの皆を見れた事といい、脳内の起動してなかった部分が刺激されていくようだぜッ!

 そう思っていると、何故だか先生が俺に声をかけてきた。

 

「…やけに冷静だね、スバル」

 

「冷静なんかじゃあありません。興奮してるんですよ、俺。

 こんな刺激的な経験、滅多にできませんからね。絶対にマンガのネタにさせて貰います」

 

「そっかぁ………」

 

 こうして会話している間にも、ホシノやノノミ、セリカが順々に覆面を被っていく。

 

「ごめん、ヒフミ、スバル。あなた達の分の覆面は無い」

 

「大丈夫っすよシロコ先輩。

 こんなこともあろうかと、自前で準備しといたんですから!」

 

こんなこともあろうかと思ったのスバルちゃんッッッ!?!?!?!?!?

 

 取り出したのは、たい焼きを買った時についてきた紙袋と、たこ焼きを買った時に1枚余計に貰って来たレジ袋(黒)。これに目をくりぬいて、被れば覆面の女子高生の完成DA!!!!!!

 

「ヒフミちゃんが5番でスバルちゃんが6番ですね☆」

 

「見た目はラスボスじゃない? 悪の根源だね、親分だね~」

 

「わ、私もご一緒するんですか!? 闇銀行の襲撃に!?」

 

「何を当たり前のことを言っているんだヒフミ。こんな経験、めったに出来ないぞ」

 

「めったに出来ないどころか、やらない方がいい経験ですよね!?」

 

「人生は経験だぞヒフミ。あ、そうそう。コードネームはどうする?」

 

 状況が飲み込めていないヒフミを紙の覆面女子高生にしつつ、俺はレジ袋の覆面女子高生に。そこでさりげなくコードネームの話題を振る。

 原作では「クリスティーナ(ノノミ)」「ファウスト(ヒフミ)」「ブルー(シロコ)」以外は謎だったからな……他はかなり気になるところだ。

 

「そんなの普通に色で呼べば良いんじゃないの?」

 

「え〜! そんなの可愛くありません!

 私、『クリスティーナ』が良いです!」

 

「銀行強盗に可愛さって要るんですか…?」

 

 お、真っ先にノノミが決まった。

 ならこっちも早め早めの手を打たせて貰おうか。

 

「じゃあヒフミは『ファウスト』、俺は『メフィスト』で頼む」

 

「ファウスト!? 私、ファウストなんですかっ!?」

 

「アヤネは……無難に『ナビ』とかどうだ?」

 

「ん、了解。他に意見が無いなら…先生、号令をお願い」

 

 あれ。セリカもホシノも、特に何も言わなかったんだけど。これってもしかして、作戦中に俺が名前決めていい系のやつだったりする??

 

「それじゃあ、みんな…銀行を襲うよ!」

 

 そんな事を思いながらも、先生の号令で俺たちは銀行に突入した。

 眼鏡をかけたイケメンがその指揮の台詞は笑いどころしかないんやけど。

 

 

*

 

 

 ノノミ(クリスティーナ)のミニガンによってマーケットガードがなぎ倒され、シロコ(ブルー)やセリカ、そして(メフィスト)が撃ち漏らしを確実に仕留めていく。

 

「ここにいる全員、動かないで」

 

「動いたら痛い目を見ちゃいますよ〜☆」

 

「あ…あはは…みなさん、動かないでくださいね…」

 

「少しでも動いたと()()()()()()()撃つ!」

 

「警備システムはハッキングして動かないから無駄だよ〜」

 

 シロコ(ブルー)から銃を突きつけられたロボット銀行員が、必死に集金記録やら現金やらを袋に詰め込んでいく。

 俺は俺で、伏せている客たちを見回して……あ、便利屋いた。

 じゃなくて、周りをよく見て、怪しい動きをした奴をヒフミ(ファウスト)に撃って貰おう。

 

「ファウスト」

 

「な…なに? ス……メフィストちゃん」

 

「あそこの銀行員ロボットを撃て。

 あの柱に一番近い所でうずくまっている…アイツだ」

 

「え、えぇぇっ!?」

 

 イキナリの射撃の指示に戸惑うファウスト(ヒフミ)

 落ち着かせるように、すぐに理由を説明した。

 

「大丈夫、当てなくていい。

 ただアイツ、マーケットガードに通報しようとしてやがる」

 

 周囲の警戒のために、『擬・見聞色の覇気』『擬・念能力・円』を併用することで、たった今見つけたのだ。

 怯えきっていたり、動揺している人々の中で唯一、あのロボットだけが「何かをしようとしている」意志を発していたのだ。ロボットが意志というのもおかしな話だが……

 ともかく、アレは見逃せない。ほっとくと確実に通報でも何でもされてしまいそうだ。

 

「えっ!? でも警備システムはさっき先……ジョーカーとナビちゃんが止めたって…」

 

「多分、体内に装置を内蔵でもしてるんだろう。早くして欲しい」

 

「メフィストちゃんが撃てば…」

 

「お前の銃の方が効果がある。早く」

 

「あうぅ…ごめんなさい、銀行員さん……!」

 

 ヒフミ(ファウスト)が謝りながら引き金を引く。

 弾丸は件の銀行員のすぐそばの床に跳弾し、銀行内に再び悲鳴が響く。

 

「おい、そこのお前!」

 

「ヒィィィィィッ!!!」

 

「今、何しようとしたァ!!」

 

 銀行員の胸倉を捕まえて揺さぶるも、震えきっていて何も言おうとしない。

 

「当ててやろうか? 通報しようとしたんだろ? 体内の通信装置で」

 

「な、ど、どどどどうしてそれをっ! ぐああああっ!!」

 

「誰の目を誤魔化せても、我らがリーダー、ファウスト様は誤魔化せねぇ!

 お前、この場でスクラップにされたいようだなァァァァァ!!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ! い、命だけはあああああああああああっ!!」

 

 出来るだけ高圧的になるように銀行員を踏みつけながら銃口を押し付ける。

 流石にガチで(こわ)しはしないが、恐怖で動きを縛り付ける必要があるからやっておくんだ。

 決して楽しんでやっている訳ではないぞ。ホントだぞ。

 

「はいはい~、そこまでにしときなよ」

 

「ローズマリー…」

 

「え、それっておじさんのこと言ってる?

 やめてよ~、そんな洒落たの似合わないって~。

 おじさんはおじさんで良いよ~」

 

「いいわけねーだろ、カッコ悪い」

 

 と、ここでローズマリー(ホシノ)が止めに入ってきた。

 ちなみに、彼女のコードネーム「ローズマリー」の提案者は俺だ。「ホルス」ってあだ名があったんじゃと思うかもしれないが、見え透いている地雷を踏みに行く程バカじゃない。

 でだ。そんな彼女が言う事には。

 

「私達の目的は()()だけでしょ。通報されたら逃げればいいだけのこと。無闇に手を汚す必要ないんじゃない?」

 

「あのねローズマリー、俺とて本気でやるつもりじゃなかったさ。ほんのちょっとだけ脅しただけ」

 

「うへ~、アレで? おじさんにはそうは見えなかったな~」

 

「なかなかの名演だろ? 主演女優賞は俺のモンかもな」

 

「自信たっぷりで羨ましいね~。

 おじさんには、真似できないや」

 

「…アンタ、何年生まれだ?」

 

「ま、そこはおいおい。

 とにかく、その銀行員さん離してあげなよ。

 気絶してるのに、怖いお姉さんに掴まれてるなんて可哀想だ」

 

 分かっちゃいたけど、ホシノの口調って超独特だな。絶対覚えてられる自信あるわ。

 最初にガチャで当てた時も一人称の「おじさん」に超ビックリした記憶もあるしな。

 ゆるゆる~でなでしこ~な雰囲気からは、とても大人を一切信用していないようには見えない。

 ストーリーを追ってないと分からない辺り、この人相当本心の隠し方上手いよな。

 

「ちょっとメフィスト! 早くしなさい! 逃げる準備はもう出来てるわよ!」

 

「何? 本当かスカーレット!!」

 

スカーレットって…もう例のブツの詰め込みも終わったのよ!早く!」

 

「分かった!」

 

 とっくのとうに意識を手放している銀行員ロボを放り投げて、逃走用の車に乗り込む。

 マーケットガードの追手こそあったものの、初動が遅れたのか統率が取れておらず、俺達は奴らを振り切る事に難なく成功した。

 こうして覆面水着団は、初仕事と最大の目的を達することができたのだった。

 

 

 

 

 書類を手に入れた俺達は、ついでに手に入った現金1億円を捨てることを決断し、ついでにファン精神で追ってきた陸八魔(りくはちま)アルにあることないこと*3を吹き込んで撤退したのち、アビドス高等学校に戻ってきた。

 まぁ…この“間島スバル”からすれば、初めて見る高校だ。だが、俺自身からは「懐かしい」という感情が湧いて来て、なんだかちょっと変な気分。まるで母校じゃないのに母校かと思えるような田舎の学校のようだ……………まぁ、ノスタルジーを感じるにしては、いささか砂の多い母校だがな。

 

「ヒフミちゃん、スバルちゃん、変な事に巻き込んでしまってごめんなさい……」

 

「良いんだよ、俺達も楽しめたしな!」

 

「あはは……私はちょっと楽しむ、って余裕というか、なかったんですけど…」

 

「それに…今度は俺達トリニティに来てくれると嬉しい。その時には、俺が描いた漫画を紹介しようじゃあないか!」

 

「ん。スバルの漫画、ちょっと楽しみ」

 

「シロコ、それは止めた方が―――」

 

 余計なことを言いかけた先生に人差し指を立てて「黙っててくれ」とジェスチャーを送る。

 頭を抱えて空を仰ぐ先生をよそに、俺はシロコに、あるものを投げ渡した。

 

「これは…?」

 

「あっ、ウェーブキャットさんじゃないですか!」

 

「良いの?」

 

「当然だ。一緒に銀行強盗した仲じゃあないか。

 そっちの現状は大変だし、それに対して俺らが出来ることは少ないかもしれないが……

 本当にガチで困った時は、そのウェーブキャットを通じて、助けを呼んでみてくれ。

 もしかしたら、()()()()()()()()()()()()助けに来るかもしれないからな!」

 

「!!」

 

 アビドスの現状は、ハッキリ言って超厳しい。

 立て直しのチャンスの芽を、カイザーローンの連中が根こそぎ持って行ってしまっているような状態だ。

 一応俺もシャーレに所属はしているが………それでも手助けに行けるかは先生次第。

 だからこそ、保険が必要になると考えた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ん…ありがとう、スバル」

 

「じゃあな、アビドスの皆。

 シャーレで会える日を待ってるぜ!!」

 

 コレで、今俺に出来る事は終わった。

 俺とヒフミは、アビドスから離れてトリニティへ帰っていく。

 後は情報を集めつつ、今後のアビドスに注目だな。

 

 さて……この間に、新刊を描き始める準備をするとしますかね。

 幸い、彼女達に許可は取った*4。更に、元ネタがバレない方法も思いついた。

 描き上げるとしますかね。俺の魂を込めた一冊を。

 

 待っていろ、キヴォトス。

 俺の新たな物語―――『砂漠の国のハーレム』が、エロ同人界に旋風を巻き起こしに行くぞ!

 

 

*1
ただの脳筋である

*2
物理である

*3
97%“ないこと”だが

*4
当然、エロ漫画のネタにすることは伝えていない。





Tip!
覆面水着団は、キヴォトスでは有名な指名手配犯だ!初犯においてブラックマーケットで銀行強盗を5分で終わらせる、という離れ業を為し遂げていて、全区で警戒されているぞ!メンバーは以下の通りだ!

・0号「ナビ」
黄色い覆面がトレードマーク。後方支援で横長の耳が飛び出している。覆面水着団の命名者。奥空アヤネ。
・1号「ローズマリー」
ピンクの覆面がトレードマーク。アホ毛が飛び出している。自身を「おじさん」と呼ぶ。小鳥遊ホシノ。
・2号「ブルー」
青い覆面がトレードマーク。獣耳が飛び出している。砂狼シロコ。
・3号「クリスティーナ」
緑の覆面がトレードマーク。シニヨンが飛び出している。十六夜ノノミ。
・4号「スカーレット」
赤い覆面がトレードマーク。ツインテールが飛び出している。黒見セリカ。
・5号「ファウスト」
リーダー。なぜか覆面が紙袋になっている。ほんのりたい焼きの香りがする。阿慈谷ヒフミ。
・6号「メフィスト」
副リーダー。なぜか覆面が黒レジ袋になっている。ほんのりたこ焼きの香りがする。間島スバル。
・?号「ジョーカー」
役職・容姿一切不明。名前からして覆面水着団の切り札と推測される。シャーレの先生。



おまけ・陸八魔アルに吹き込んだこと

ホシノ「本当なら覆面に水着姿が正装なんだけどね~。緊急事態だから覆面だけにしてるんだ~」
ノノミ「昼間はアイドルとして世を忍び、夜は正義の怪盗として悪を懲らしめるんです! そして私はクリスティーナだお♧」
スバル「そして吾輩はメフィストである!」
スバル「(小声で)…ほら、お前達もやるんだよ」
セリカ「はぁ!?」
ヒフミ「えぇ!?」
シロコ「ん。覆面水着団、ブルー。」
ヒフミ「ふぁ…ファウストですっ!」
ホシノ「ローズマリーだよ~。おじさんには似合わない名前だけどね~」
セリカ「え、え!?え!?えーと…………す、スカーレット、だ、にゃん……」

アル「ぜ、全員キャラが立ってる…!?!?!?」

……その後、帰り道にて……

スバル「ヒフミ、スク水でも買いに行かないか?」
ヒフミ「絶対いやです」

覆面水着団の本格始動は諦めた。




アビドス編完結後、スバルがやらかしそうな事とは…

  • シロコに修行をつける
  • サクラコをスケッチする
  • イオリの足を舐める
  • アスナと悪徳組織を滅ぼす(無計画で)
  • 便利屋と爆発する
  • ゲヘナ給食部に潜入する
  • ワカモとエロ本談義(物理)をする
  • 図書委員とエロ本交渉をする
  • ベアトリーチェ…お前を殺す
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