HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜   作:伝説の超三毛猫

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大変長らくお待たせしました。

このお話は、黒服とスバルが出会うちょっと前の話です。
……というか、最終章に入るまでは黒服との出会いよりも前の話が続くと思います。
ぶっちゃけ、書きたいもの書いてたら時系列すっ飛ばして展開を先取りしすぎた。本当に申し訳ない……


爆発オチなんてサイテー!

「あ!うちの部長と互角に戦った人だ!」

 

「?」

 

 ある日、ミレニアム自治区のとある技術館にネタ探しに来ていた所、メイド服を身にまとった少女に声をかけられた。

 タッパもおむねもお尻もおっきくて、大人の女性と勘違いするレベルの彼女は、満面の笑みを向けて手を振ってきた。

 

「ア…じゃなかった、どっかで会ったかな?」

 

「うん!」

 

「そっか…」

 

 彼女―――アスナは、キヴォトスではほぼ初対面だ。

 だがブルアカでは☆1のキャラで当たり前のようにガチャで引けるし、入手難易度も低いから友好度も稼げてキャラストーリーも網羅している。

 

 一之瀬アスナ―――ミレニアムの3年生にしてC&Cのコールサイン01(ゼロワン)。全てを持ち前の勘で突破する、ある意味恐ろしい子だ。彼女を始めとしたメイド部がメイド服を着ているということは、何かのご奉仕(お仕事)中なのかもしれないが………

 

「一応、自己紹介しとくよ。

 トリニティ総合学園1年、プレアデス性団の間島スバルだ」

 

「私は一之瀬アスナ、17歳!ミレニアムの3年生だよ!

 よろしくね、ごしゅ…スバルちゃん!!」

 

 うーーん、こんな人当たりのいいボンキュッボンなメイドさんなんて声をかけるに決まってるじゃんね。

 大型犬じみたところもあるが、それはそれとして秘めているエロスもかなりのものだ*1。ブルアカの過酷(シ○)はすべてアスナから始まるとイッても過言じゃあない*2

 ……というか今俺のことをご主人様と呼びかけなかったか?

 

「で、アスナは何してるんだ?」

 

「お仕事!なんかね、闇銀行に動きが見えたっぽいから私達で調べてるんだよ!」

 

「…ここ技術館だぞ?」

 

「え〜、でもなんかここに本拠地がありそうな気がしたんだもん!」

 

「そっかぁ……じゃあ間違いないな…」

 

 アスナの勘の精度は完璧だ。それこそ、一種の未来予測なんじゃねーかとイッていいレベルのもの。

 そんな彼女が「ある気がする」というのだから、きっとここに闇銀行の拠点とやらがあるのだろう。俺には、ただの技術館のどこにそんなモノがあるのかは分からんが。

 

「でも結構広いぞここ?

 いくらアスナでもこの館の中からその手がかりを見つけるなんて―――」

 

「あ、あったー!」

 

「早ッッ!?!?!?」

 

 アスナの声に反応して追いかけてみると、なんとトイレの個室…その壁が隠し扉になっているのを見つけたアスナが。

 隠し扉は見た目普通のトイレの壁のようで、パッと見じゃあ見つけられない。しかもドアに隠されていたタッチパネルも確認できた。ここに隠し扉があると分かったとしても、その先に関係者以外入れない為のセキュリティだろう。

 これをノーヒントで見つけて突破できるって、どんな勘してんだ。分かってたけど衝撃的だわ。

 

「スバルちゃんはここで待っててー。ここからはアスナ達の仕事だから!」

 

「イヤ、そうもいかんだろう。

 隠し扉を突破されたことがバレてる可能性がある。

 ここで引き返すよりかは、闇銀行の摘発に協力した方が良い」

 

「えー、良いのかなぁ?」

 

「大丈夫だろ。俺の実力なら、知っていたじゃあないか」

 

「それもそっか!」

 

 それもそっかになったところで、俺はアスナと共に行動を開始した。

 一応、こんな隠し扉の奥でナニがされているのかは個人的にも気になるところだし、運が良かったらエロ漫画のネタに巡り合えるかもしれないからな。

 

 

 

 

「待ちなさい! ここから先は通さな…ってえぇぇぇーーーーーっ!?!?」

 

「「「「…………」」」」

 

 案の定というべきか、予定調和と言うべきか。

 隠し扉を進んで出た広間っぽい空間で、便利屋68が待ち構えているのに出くわした。

 真ん中で仁王立ちしていたアルちゃんが俺を見るなり、白目(顔芸)を晒してしまっている。ハルカ・カヨコ・ムツキと他の社員も勢揃いだ。ムツキだけ俺を見て面白そうに目を細めたが、あとの二人は俺の登場に目を見開いた。

 

「…よぉ、お前ら。

 一斉に会うのはハルカの退院以来だったかな?」

 

「……………そう、だね」

 

「ハルカは元気そうで何よりだな!」

 

「えっ、あ、はい! ごめんなさい!」

 

 何故謝るハルカ。

 ちなみにムツキは、俺の方を指さしつつアルちゃんをつっついて「ねーねーどうするの?スバルちゃんと戦う?戦っちゃう?」と煽っている。流石メスガキ……じゃなかったムツガキ。

 アルちゃんはといえば、かつてのクライアント相手にどうすればいいのか分からないまま白目で固まっている。

 どうせ彼女らのことだから高給に釣られて、クライアントが後ろ暗い野郎だって事を知らないまま引き受けた護衛依頼なのだろう。

 

 カヨコはなんとなく察してそうだが………本拠地(暫定)でバッタリ会った以上、そこら辺の説明はしても無駄か。こっちにも説得材料ないし。

 なら、俺に出来る事は一つ。―――このまま押し通ることだけだ。

 

「アルちゃん」

 

「あ、アルちゃんって呼ばないで!」

 

「俺は、ヒナちゃんとタメを張れる」

 

「!!!」

 

「ミカとも戦ったことあるし、ツルギ先輩をブッ飛ばしたこともある。

 ミネ団長の救護からは何度も逃れてるし、あとこのアスナんトコの部長ともタイマンした」

 

「そうだねー、あれは見てたよ!部長があそこまで押されるのは初めて見たかな?」

 

「…マズいよ社長。今出てきた名前、ウチの風紀委員長並みの強豪揃いだよ。正面から戦うのは絶対ヤバい。すぐに撤退して―――」

 

 アスナの同意に、カヨコがアルちゃんにアドバイスを送る。

 だが無駄だ。彼女は俺の狙いに気付いたようだが、逃げるより先に言わせて頂こうか。

 

 

「―――いやならやめてもいいんじゃよ?

 

 声色、口調、表情……絶妙に苛立たせるソレを持ったマート翁特有の迷言を堂々パクった挑発に。

 ピシリ、とアルちゃんの動きが一瞬、止まった。

 かと思えば、即座に俺を睨み返す。その瞳には、闘志が宿っていた。

 

 

「―――随分甘く見られたものね? ウチも……」

 

「あーあ、アルちゃんの闘志に火が付いちゃった♪」

 

「はぁ……そんな気を使わなくって良いのに…」

 

「あ、アル様、ご指示を……!す、す、すべて消し炭にします!!」

 

 

「ふ…悪いなアスナ。コイツ等のことだから、仕事なんだろうが……戦えるか?」

 

「もっちろん! 私もお仕事だから大丈夫!」

 

 こうして、俺+アスナVS便利屋4人との戦いが始まった。

 

 俺が最初にやったことは、先手必勝の、ブレーン狙い。

 なんだかんだギャグ要因として描かれハードボイルド(笑)な活躍をしてきた彼女達への小手調べ。

 リボルバーに弾を込め、引き金を引いた。カヨコに視線を向けて、そのまま―――アルちゃんに向けた銃口から弾を放つ。

 ミスディレクションってヤツだ。ドッヂボールで敵の最前線を見ながら、油断している端の人間にボールを投げる、みたいな。

 そうして放たれた弾丸に対して……カヨコは、アルちゃんを肩を掴んで下がらせ、射線から彼女を逃した。

 

「よく見てやがる…!」

 

「アル様になんてことを…! 死んでください死んでください!!!」

 

 ハルカが殺意を迸らせながら、ショットガンを乱射して突っ込んでくる。

 俺がそれに選択したのは……防御。弾が拡散するショットガンである以上、『擬・見聞色』では躱しきれない。『擬・武装色』を纏って防御する方が合理的だ。

 

「死んでください!死んでください!死んで死んで死んで―――」

 

「ぐっ…凄まじい勢いだ…」

 

 鬼気迫るという表現がピッタリかのように歩みを止めず、弾切れも厭わずに攻めてくる。彼女の殺気と思い切りの良さは大したもんだ。

 

「―――だが!」

 

「死――っ!?」

 

「ソレが通用しない相手にはどう食い下がるのかな!?」

 

 ショットガンの銃口を掴んで逸し、空いた手をハルカの腹に当てる

 そして……そこから、衝撃波を放つ!

 

「4分の1―――『擬・六王銃』ッ!!」

 

「うぐぅっ!?!?」

 

「ハルカちゃんっ!?―――うわぁ!あたたたたっ!」

 

 俺の片手で放った六王銃をマトモに食らったハルカが膝をつく。

 ムツキがそれを助けに来ようとしたのが見えたが、即座にアスナに妨害されているのが見えた。

 次の瞬間、『擬・見聞色の覇気』が警鐘を鳴らす。

 

「!!!」

 

「ちっ、外した…!」

 

 俺の頬を掠っていった、スナイパーライフルの尖った弾丸。

 それは、先のやり取りを見たアルちゃんが撃ったものだ。

 彼女の狙いは完璧だ。狙いにタイミング、射撃の位置………もし俺に『見聞色の覇気』がなかったらマジで命中していたかもしれない。

 

 これは、もしや…アレか。

 「普段はギャグしまくってて情けない連中がいざシリアスになると本気を出し敵を圧倒する」パティーンか。

 

 そう思っていると、今度はカヨコの銃が火を噴いたのが見えた。

 『覇気』が反応しなかった。つまり……俺を狙った銃撃じゃあない。俺の方を向いていたにも関わらず。

 その違和感の正体は、爆音が教えてくれた。キィィンという甲高い音が聞こえたかと思ったら、何も聞こえなくなる。

 

「こ……これは、まさかッ!?」

 

 カヨコのEXスキルか!?

 そう思ったのも束の間、俺の周囲が爆発し、更に足元が爆発した。

 ハルカが切り込んでカヨコで動きを止め、ムツキで広範囲を爆発。アルちゃんがトドメに狙い撃つ、って寸法なのだろう…基本的に。そして、戦い方を臨機応変に変えられる。凄い連携だ。

 そうか、便利屋68は、4人で一人の狩人なんだな。

 しかし俺も負けていられねぇ!

 

「ネタの可能性がある限り…退くワケにはいかんのだ!!」

 

「…やっぱりこの程度じゃ効かないか…!」

 

 全身に力を漲らせ、そのまま―――床を踏み砕く!

 

「『擬・破壊殺脚式――流閃群光』!!!」

 

「わあっ!?」

「なっ――」

「え――」

 

 蹴りを全て叩き込まれた床は耐えきれず決壊。

 それによって便利屋68の皆は、足場を失い動揺する。

 それに加えて砂煙が立ち、視界を奪っていく。

 そのスキに、俺はアスナに声をかけた。

 

「アスナ!俺の足に!」

 

「うん!」

 

 それだけで通じたのか、回転し蹴り出す直前の足にアスナが飛び乗った。俺はそのまま、足を振り抜く。

 

「『空軍(アルメ・ドレール)―――」

 

「おぉ?」

 

「―――ゼロワンシュート』!」

 

「わああぁぁぁーーーーっ!」

 

「「「「!!!?」」」」

 

 強靭な脚力を利用した、人間カタパルト。

 それに載せられて、アスナは嬉しそうな声をあげながら便利屋68の頭上を飛んでいった。

 これこそが、俺が狙っていた一手。先にアスナを向かわせて、俺が便利屋と戦う。それが俺がはじき出した答えだった。

 ちなみにアスナの着地については心配していない。彼女のことだ、運良く裏銀行のボスでもクッション(物理)にしながら着地できているだろう。

 

「くっ…突破された!」

 

「最悪だね……間島スバルが後を追わせてくれるとは限らないし…」

 

「安心しろ、すぐに終わる―――!」

 

 銃口を向けられる。

 それに対する俺は、銃を一切使わず追撃しようじゃないか。

 手を伸ばし、しならせる。そこから突きの予備動作。

 からの、突く。突く、突く、突く……残像が1個や2個レベルじゃ済まない程の攻撃。

 見様見真似だが……これぞ、ニューカマー拳法・44のエステ奥義!!!

 

 

『擬・夢打撃処裏拳(むだげしょりけん)』ッッ!!!

 

 

 残像が出来る程の連続突き。

 それに対してアルちゃん達が放った銃弾や爆風を、ひとつずつ受け流していく。

 手の甲で弾の側面から軌道を逸らし、爆風を突いて切り裂いていく。

 まるで、ムダ毛を処理するかのように。

 

 これは、俺が発見したものである。

 この技―――夢打撃処裏拳(むだげしょりけん)は、本家「ONEPIECE」において、あまり詳細が語られていない。使用されたのも、エンポリオ・イワンコフがマゼランを足止めする際に使った一回のみ。

 そこで俺は動きをマネ、その結果何が起こるのかを検証した。そこで判明したのは……コレは、見た目よりも攻撃的な技だということ。前面180度から来る攻撃。生半な敵の迎撃を食い破りながら突き進む。わがまま言って付き合ってもらった俺の部員達が放った銃弾や爆撃を、この技は受け流したのだ。

 広範囲から攻め、相手の反撃を最小限のダメージで受け流しながら攻撃する秘拳。本来の拳法とは違うかもしれないが……これが俺のエステ奥義である。

 

 連続突きをしながら駆け抜けた俺は、4人を軽く轢いた感触を覚えたので、そのままアスナを吹き飛ばした方向へ走り抜けていく。

 

 

 アスナを蹴り飛ばした方へ走っていくと、アスナは首輪を付けられている生徒達を解放しているところだった。傍らには、スーツを着たパグが泡を食ったままぐるぐる巻きにされている。

 おそらく、ここでは人身売買が行われていたのだろう。そして、このパグはソレの元締めをしていた、といったところか。

 

「アスナ、手伝うぞ!」

 

 即座に捕まっていた子の首輪を外そうと、重厚な鉄の首輪に手を伸ばす。

 

「! 待ってご主人様、だめ!」

 

「え―――」

 

 アスナらしからぬ鋭い声。

 それに動きが一瞬、止まった。

 直後。

 

 

 バァァァァァァン!!!

 

「ぶわっっ!?!?」

 

 首輪が大爆発した。

 俺は鍛えた体が幸いしてダメージはさほどでもない、が…

 

「あぐっ……けほっ、げぼっ…!」

 

「ヤベェ…!!?」

 

 首輪を付けられていた子が、ダメージを受けてしまった。信じられないくらいの量の血を、床に吐き出す。

 首と胴体が泣き別れこそしていないが……こんな爆発をあと1,2回受けたら、首輪を付けられている普通の子はマジに死んじ(ヘイローが割れち)まう。

 俺としたことが……首輪を付けられて奴隷にされかけている子なんて2度の人生でも初めて見たから、ちょっとばかし冷静じゃあなくなってたか!

 

「これ、私がやるから! ご主人様は首輪に触れないでね!」

 

「お、おう……」

 

 俺を押しのけたアスナが首輪をいじると、俺の時とは違い呆気なく首輪は錠を開き地面に落ちた。

 つまり、あの首輪は…外し方を間違えると爆発するのか! 俺がミスったのにアスナが成功させているのは……類稀なる勘を冴え渡らせて、偶然爆発しない方法で首輪を外しているからに他ならない。

 と、なると……下手に手伝うのは逆効果か。首輪自体はアスナに一任するしかないか。

 

 そうなったら、俺のやることは一つ。

 目の前の、ダメージを負ってしまった子に目を向ける。

 苦しそうに息をするこの子は、俺のせいで傷ついた。知らなかったとはいえ……償わねばならない。

 

 俺は、呼吸を整える。

 切り替えろ……あの呼吸に。

 かつて修行した時に、身体を癒すために使用したあの呼吸から生まれる生命エネルギー……あれを引き出せ。

 そして……今苦しむこの子に、渡すんだ!

 

 

「『擬・波紋』」

 

 彼女の胸ににそっと触れる。

 彷徨う手を、逆の手で握る。

 両手から、少しずつ……俺の生命エネルギーを送り込む。

 

「『癒しの波紋疾走(オーバードライブ)』」

 

 波紋疾走、という割には穏やかな流れ方。

 まるで、ほんの少しだけ傾けたまな板の上を水が流れるように。

 だがそれでいい。弱った身体には、急激な変化はヤバい。少しずつ…少しずつ穏やかに、がいいんだ。

 俺の自己流の波紋を受け取った彼女は、少しずつだが呼吸が擦れたものから普通のソレに戻っていき、顔色も土色からほんの少しだけマシになった。

 

「何したの?」

 

「ほんの応急処置だ。俺が仕出かしたことは、俺が責任取らなきゃな」

 

「見つけたわよ!観念な…さ……い……ぇ…?」

 

 聞き覚えのある声がした。

 アルちゃんだ。たった一人で、俺とアスナと……今まで捕まっていた生徒達の姿を見て、あまりの動揺に言葉を失っているように見える。

 

 

「お、丁度良かった。

 手伝ってくれアルちゃん。まだまだ捕まっているヤツが多そうだ」

 

「え?え?え……?」

 

 俺の頼みに対して、アルちゃんはただ、状況が分かっていないかのように戸惑うばかりであった。

 

 

 

 

 アルちゃん達便利屋は、やはりというか何と言うか、依頼主の正体を知らなかったようだ。

 まぁ当然か。銀行のフリして、裏で人身売買……そんな事を知ったら、根は良い子のアルちゃんが手を貸すワケがない。なんだかんだ理由をつけて、依頼主を裏切って爆破するだろう。

 

 詳しく説明するまでもなく、アルちゃんは彼女達の解放を手伝ってくれた。

 

「こ、これは……そう!債務不履行よ!

 私たちは、依頼主がこんな事をやるなんて聞いていない。仕事については説明してくれると言ったのに、人身売買についてはじの字も出てこなかった。

 それに依頼主が捕まった以上、どの道報酬なんて貰えそうにないからね……好きにやらせてもらうわ」

 

 などと言っていたが、本当はこんな非人道的な商売が気に食わないだけだろう。

 俺はアルちゃんの素をブルアカのストーリー等で知っているから間違いない。

 その後、カヨコとムツキも合流して、事情を知った彼女達も手伝ってくれた。

 

「あーあ。今度こそは報酬貰うって息巻いてたのに、またパーになっちゃったね、アルちゃん。くふふ♪」

 

「うるさいムツキ! ここから巻き返す策はもう練っているんだからね!!」

 

「……はぁ」

 

「締まらないな。だが、便利屋らしくていい」

 

「あんた私達のことをなんだと思ってるのよ!?」

 

「ハードボイルドでイカした集団だと思ってるぜ。肝心な時だけはな」

 

「! そ、そうよ!本当はこんなこと絶対にしないんだからね!!」

 

 アルちゃんが突っかかってきたのを適当に誤魔化す。

 狙って誘導したようなあからさまに飾った言葉で気を良くするアルちゃんを見ていると、何とも言えない気持ちになる。ちょろ過ぎてマジに不安だ。

 マルチ商法に引っかかるセリカもそうだが、アルちゃんもいつか悪い人に騙されて変な商売に……

 

 あ、待って良いネタ思いついた。次のヒロインのモデルはセリカとアルちゃんにしよう。

 

「ねぇスバルちゃん。スバルちゃんってさー、詐欺で一山儲けたことでもあるのー?」

 

「……変な言いがかりをつけるな」

 

 …と、ムツキの問いかけに思わず否定する。

 けれど、かつての俺に心当たりがないでもない。

 まぁ終わった話だし、どちらにせよ碌でもない大人の悪い例なので、子供の前で出す事は絶対にないが。

 

「しっかし、お前らもタフだよねー。『夢打撃処裏拳(むだげしょりけん)』食らって立ってられるんだもん」

 

「文句ならこっちが言いたいよ。そんなふざけた名前から、あんな技の威力ある?普通」

 

「知らないのか? あの手の技はハジケた方が強いんだ」

 

「まともに聞いた私がバカだった……」

 

「なになにー? ムダ毛処理?」

 

夢打撃処裏拳(むだげしょりけん)だ。知りたきゃアスナにも教えるぞ」

 

「ケアならちゃんとやってるよー?」

 

「イヤ、そうじゃあなくってだな………」

 

 こんな感じのたわいない会話をしながら、事後処理をしていると。

 おずおずと、ハルカがやってきた。

 顔はうつむき、目は泳ぎ、ただでさえ良く無さげな顔色は真っ青になっている。

 

申し訳ありません…

 

「ハルカ?」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!これ依頼失敗ですよねごめんなさい!

 私がスバルさんを止めていれば…いえそれ以前にメイドの人を撃墜できていれば……こんなことには!

 またアル様にはご迷惑をおかけしてしまって……!!!」

 

「い、いいのよハルカ!

 それに今回の依頼、あっちも悪かったんだから!!」

 

 なんだ、いつものか。

 ハルカが結果を変に拡大して解釈して、過剰に謝りアルちゃんに諫められる。

 これもまた、便利屋で見たいつもの光景だな。

 そう思って、拉致られていた生徒達の応急手当を再開した。

 それが、いけなかったのだろう。

 

 

「こんなことを先生や風紀委員会に知られるわけにもいきませんよね…

 あの、アル様!全部爆破して私ごと消してしまいましょう!!

 

「「は?????」」

 

 

 爆破する?

 なにを?

 

 ―――決まっている。この地下にある闇銀行の拠点すべてをだ。

 ハルカはもとよりその気らしく、なにかスイッチらしきものをもう持っていた。

 それに、俺とアルちゃんの声が揃った気がした。

 

 

「ま、待ちなさいハルカ!!早まっちゃダメ―――」

「お、おいやめろ!俺らごと生き埋めにする気―――」

 

「私にはこれでお詫びするしかないんです!ごめんなさい!」

 

 二人の決死の引き止めも空しく、ハルカは申し訳なさそうに、だがそれはもうアッサリと、起爆スイッチを押した。

 

 

 

 

 

ドッッッガアアアアァァァァァァァーーー…………ン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 その日。ミレニアム自治区の技術館のひとつが、地盤ごと沈んで大打撃を受けるニュースがキヴォトス中を駆け巡った。

 技術館の地下からは大量の火薬跡と、ミレニアムやヴァルキューレが追っていた闇銀行の頭……そして、C&Cの一之瀬アスナとプレアデス性団の間島スバル、そして行方不明になっていた生徒総勢142名が発見された。

 人物に負傷はないが………彼女達の証言から爆破の実行犯が便利屋68であると判明。追って調査を行うとのことである。

 

 

 

 

 いやーーーーーーー、マジにひどい目に遭った。

 爆破後、俺は瓦礫から拉致された子を守るのに精いっぱいで、アスナ共々生き埋めになっちまった。

 すぐにネルパイセンとトキが救出に来たのは驚きだが………なんにせよ、攫われた子があの爆発の余波で怪我してなくって良かったよ。

 ネルパイセンには、勝手に捜査に参加したことについて怒られたが、ちょいと手合わせ的なサムシングをしたら程々にしろ、と説教が軽減されて解放された。あの人、脳筋の説があるかもな。

 

 爆発だらけで火薬の多い取材になっちまったが………得られた物もゼロじゃあなかったから、いい収穫になったよ。

 

 ちなみに、だが―――

 

 

「あの…スバルちゃん」

「どったの? ヒフミ」

「ムダ毛処理拳って何ですか?」

ブフォッ!? な、なんでその名をお前が知ってんだ…!?」

「あはは…ゲヘナ学区やミレニアム学区で噂になってますよ?

 間島スバルが使用したらしき、トリニティに伝わる技なんじゃないか、って…」

「アレはムダ毛処理じゃあなくって、夢打撃処裏拳(むだげしょりけん)っていう名のニューカマー拳法の一つであってだな…」

「にゅー…かまー???」

 

 

 どういうワケか、夢打撃処裏拳(むだげしょりけん)がトリニティ秘伝の奥義なのではという噂が流れだしたそうだ。

 おいヤバいって。トリニティがこれ以上面白くなっちゃったら、流石に俺1人じゃ責任とれねーよ。

*1
個人の見解です

*2
個人の意見です





Tip!
ミレニアム自治区の技術館の爆発の真相を、当事者以外で知っているのは先生だけだ!
スバルから聞き、アスナと便利屋に裏を取った形で知ったそうだ!



おまけ・ご主人様?

スバル「そーいや、なんでアスナお前、俺の事ご主人様って呼んだの?」
アスナ「え? 呼んだっけ?スバルちゃんのこと」
スバル「覚えてねーのか? 俺が首輪に触れた時のことだよ」
アスナ「えー?」
スバル「ピンとこねーのかよ……そんで?ご主人様ってのは先生のことじゃなかったのか?」
アスナ「うん、そうだよ? でも…なんでだろうね? あの時のスバルちゃん、ご主人様みたいだったから、間違えて呼んじゃったのかな?」
スバル(間違えた、か…アスナに限って勘で俺の前世当てたとかありそうで怖いんだけど……もしや、何も考えてなかったのか?)

ブルアカの生徒達の中に、自分の身内と同じ名前の子が…

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