双子の弟は小柄な少年   作:赫夜叉

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やっと1話終わりました。
話書くのって大変なんですね……。


1話

雨が降っている町の中、赤いチャイナ服を着た少女を目つきの悪いパンダが追いかけていた。

 

「なんだアレ……」

 

「パ、パンダ……だよなぁ?」

 

やはり町中にパンダがいるのは珍しいのか、町の人達は食い入るように少女を追いかけるパンダを見ている。

 

「ちょっとは周りの目も気にしなよ……」

 

そんな1人と1匹の少し後ろを歩きながら、僕はそうつぶやいた。

ちなみに傘はしっかりとさしている。

 

「ねえ、あの子可愛くない!」

 

「確かに、ちっちゃいし女の子かな?」

 

やっぱり言われてる……言ってる人の目線からして対象は僕だ。

確かに僕は小柄だし女の子みたいな顔つきをしているけど、ちゃんとした男だ。まあ言われるのは慣れてるからそこまで気にはしないけど。

 

「だいたい最初から気が進まなかったんだよ!勝手に許嫁なんて、決めやがって!!」

 

ふと見ると少女がパンダに背負い投げを決めており、少女は荷物をもって来た道を引き返そうとしていた。

しかしすぐに起き上がったパンダは側にあった看板で背後から少女を殴り気絶させると、担いで再び元の道を歩き出した。

 

「何してるの………許嫁かぁ、今頃どうしてるんだろう……っていけない、見失っちゃう!」

 

立ち止まって考えてる間にいつの間にか遠ざかってしまったパンダに追いつくため駆け足で追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって天道家では、天道早雲が自身の娘であるかすみ、なびき、あかねを居間に呼び出していた。

3人揃ったところで早雲からの口から話されたのはとんでもない内容だった。

 

「はあっ!?許嫁っ!?」

 

そう驚きの声を上げたのは天道家三女のあかねである。

なんでも父とその親友が昔から約束していたことで、自分達三姉妹の誰かと親友の息子を結婚させてこの道場を継がせたいらしいのだ。

でもその肝心な相手のことを父は全く知らないらしく、分かっているのは相手は双子の兄弟で早乙女乱馬と早乙女祐希という名前ということだけだという。

 

「冗談じゃないわよ!私は男が大嫌いなのに、ましてや許嫁で居候までさせるつもりなんて、あたしはやだからね」

 

「そうよ、会ったこともない人といきなりそんなこと」

 

あかねに続いて長女であるかすみも難色を示す。

 

「離せバカやろー、離せっつってんだろ!」

 

話をしていると玄関の方から声や物音が聞こえてきた。

 

「おや、来たみたいだ。待ちかねたぞ早乙女くん!」

 

「イケメンだと良いんだけどなぁ〜」

 

早雲はきっと話していた早乙女親子だろうと思い、小走りで玄関に向かった。

次女であるなびきもそのあとに続く。

その後にかすみがついていき、あかねも顔くらいは見ておこうとついていった。

そして玄関に着くと早雲となびきが立ち止まっており、その視線の先にはパンダとそれに担がれた少女が、その後ろには担がれてる少女とおなじくらいの身長の子が傘を持って立っていた。

 

「お父さん、パンダの友達なんていたの?」

 

「いやいないいない」

 

かすみの言葉に早雲は首をぶんぶんと振って否定する。

するとパンダは担いでいた少女を下ろし早雲の前に差し出した。

 

「き、君は、もしや……」

 

「早乙女乱馬です………すいません」

 

乱馬と名乗った少女は恥ずかしそうにそう言った。

 

「おおっ!君がそうか!ということはそのパンダの後ろにいるのが!」

 

「初めまして、僕は双子の弟の早乙女祐希と申します。これからしばらくお世話になります」

 

傘を畳んで軽く頭を下げながら女の子に見える少年は早乙女祐希と名乗った。

 

「へぇ〜、あなた男の子なんだ。ずいぶん女の子っぽい顔つきじゃない。背も低いし。」

 

「もう慣れてるので、ここに来るまでもそうでしたし」

 

彼の容姿になびきがそういうと、祐希は言われ慣れている様子でそう返す。

 

「いやー、とにかくよく来てくれた!」

 

早雲は感激した様子で乱馬を抱きしめるが、何か柔らかいものが身体に当たり固まる。

 

「ん〜?女の子じゃない」

 

なびきが乱馬の胸を触りながらそう告げる。ちなみに乱馬は胸を触られ頬を少し赤くしていた。

 

「お、女の子………」バタッ

 

「お父さん!」

 

乱馬が女であったことにショックを受けたのか、早雲はその場で倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後倒れた早雲を居間まで運んで布団に寝かせた。

 

「お父さんよっぽどガッカリしたのね。」

 

「あら、でも祐希くんは男の子じゃない」

 

「そうか!そうだったな!」

 

なびきの言葉に反応して早雲は布団から飛び起きた。

 

「そういう訳で祐希くん!是非娘達のうち誰かを許嫁に!」

 

「ちょっとお父さん!」

 

祐希の肩を掴んでそう言う早雲に声をあげるあかね。しかし……

 

「すいません、僕にはもう別に許嫁がいるのでお断りさせていただきます」

 

「…………」

 

祐希から自分にはもう許嫁がいると聞かされ、早雲は布団の中へ逆戻りすることとなった。

 

「何?祐希くん許嫁いるの?」

 

「はい、昔から約束してて今は花嫁修行してるらしいんです。近いうちに会いにいくってこの前の手紙で言ってました」

 

「へぇ〜、お熱いことで」

 

なびきから許嫁がいたことを尋ねられ祐希は嬉しそうに話す。

 

「ま、まあ遠路はるばるきてくれたんだ。ここを自分の家だと思って暮らしていいからね」

 

布団の中から早雲は祐希たちに向けてそう言った。

 

「ねえ2人とも、道場見にいかない?私はあかね、仲良くしてね」ニコッ

 

そういうとあかねは乱馬と祐希を連れて道場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

【祐希side】

 

あかねさんに連れられて、僕達は道場にやって来ていた。

 

「あなた達拳法やるんでしょ?ねえ、ちょっと手合わせしない?軽くだから大丈夫よ」

 

あかねさんから手合わせを申し込まれ、最初は乱馬がやることになった。

 

うーん、こうして見ると乱馬手加減してるなぁ、僕とやり合ってる時と比べて明らかに手を抜いてる。

そう思いながら見てると決着がついた。結果は乱馬の勝ちだった。

 

「あなたけっこうやるわね。あなたが女の子で良かったわ、あたし男の子には絶対に負けたくないの」

 

その言葉を聞いて乱馬は微妙な表情をしていた。まあそれはそうだよね。そして次は僕が手合わせすることとなった。

 

「手加減はしないで、本気で来て良いから」

 

乱馬と手合わせした時と違って顔が少しこわばっている。ああ言われて手を抜いてしまうのも失礼だ、そう思い少し本気でやることにした。

 

「じゃあ行くわよ、せいっ!!」

 

あかねさんはそう言うと正拳突きを放ってくる。僕はそれをかわすと彼女の背後に回り首元に手刀を振り下ろした。

 

「うっ………(っ!?速い……)」

 

手刀を受けたあかねさんは気絶してしまった。

 

「お、おい祐希!」

 

『大丈夫、気絶させただけだからすぐ目を覚ますよ。本気できてって言ってたんだから手を抜く訳にはいかないじゃん』

 

それから10分ぐらいして、あかねさんは目を覚ました。

 

「う、うーん……」

 

「あ、気がついたみたいですね」

 

「あーあ、一瞬で負けちゃったかぁ。悔しいけどあなた強いわね、見た感じあたしより背が低いのに」

 

「背についてはもう伸びしろはないと思ってますから。」

 

最初は背が伸びなかったことに落ち込んだけど、今はそれも受け入れている。それに今の自分にはもう一つの姿もあるしね。

 

手合わせを終えて母屋の方へ戻るとパンダの姿はなくなっていて、代わりに自分や乱馬にとって見慣れた中年の男が早雲さんと向かい合って話をしていた。

 

「あら、戻ってきてたの。お風呂が沸いてるから先に入っちゃって。まずは乱馬ちゃんからね。」

 

「えっ、いやいいです……」

 

「だめよ、道場で運動して汗かいてるでしょ。女の子なんだから早く汗流してらっしゃい。」

 

そう言われて乱馬は風呂場の方へ歩いていった。乱馬いつになったら話すつもりなんだろう、このままズルズル引きずってもいつか大変なことになると思うんだけど………。

 

「祐希くんはこっちに来て、これから寝泊まりする部屋に案内するから」

 

「分かりました」

 

かすみさんに言われ僕は置いてあった荷物をもってついていった。家の二階に上がって奥にある和室に案内される。

 

「この部屋を使ってちょうだい、自分の部屋だと思って自由にしていいからね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「キャアアアアアアアアア!!!」

 

かすみ・祐希『!?』

 

突然下からあかねさんの悲鳴が聞こえてきた。急いで下に降りるとあかねさんが居間のテーブルを持ち上げていた。

 

「あかね!?どうしたのそんなものもって?」

 

「風呂に痴漢が入ってたのよ!」

 

「おかしいわね、今は乱馬ちゃんがお風呂に入ってるはずだけど……」

 

あ、ということは鉢合わせしたってことか。よりによって最悪な所で出会っちゃったんだなぁ。

 

「あの………」

 

すると遠慮がちな声が聞こえてそっちに視線を向けると、僕にとって見慣れたおさげの男の子が立っていた。

 

「あ、あなた……」

 

「誰よ?」

 

「早乙女乱馬です。………すいません」

 

そう名乗った僕の双子の兄、乱馬は恥ずかしげにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、男になった乱馬と元々パンダになってた父さんと一緒に天道家の人達に事情を説明する。

 

「わしが父の早乙女玄馬。こっちがわしの息子の」

 

「乱馬です」

 

「早乙女祐希です」

 

とりあえず改めて簡単に自己紹介を済ませる。

 

「どういうことなのよ」

 

「あなた本当にさっきの女の子なの?乱馬ちゃん、いや乱馬くん?」

 

「うーむ、何から話せばよいのやら。とにかくこれを見てくだされ、ていっ!」

 

「どわっ!?」

 

かすみさんとなびきさんの問いに父さんは少し悩むが、突然乱馬を庭にある池に投げ込んだ。

 

「何しやがるクソ親父!!」

 

池から姿を現した乱馬はまた女の子の姿になっていた。

 

「えっ!?女の子になった!?」

 

当然それをみて天道家の人達は目を見開き驚いている。

 

「ああ、何度見ても我が息子ながら情けない……」

 

父さんは泣きながらそう言うけど、そうなったのは元々父さんのせいであることわかってるのかなぁ?

 

「人のこと言える立場かよこの野郎!!」

 

怒った乱馬が父さんを池に叩き込むと、父さんはまたパンダの姿になっていた。それからはパンダになったから喋れなくなった父さんにかわってなぜこんな体質になったのか説明した。

 

 

 

今から数ヶ月前、中国に修行に行っていた僕達は中国のガイドさんの案内で呪泉郷という所にやってきていた。そこにあるいくつもの泉にはひとつひとつに悲劇的伝説があるらしく、落ちたら大変なことになるとのことだった。でも父さんと乱馬はそれを無視して泉に立っていた棒の上で手合わせを始めたのだ。

 

そして2人はそれぞれ別の泉に落ちて父さんはパンダに、乱馬は女の子になってしまったのだ。でもその時は僕もビックリして油断してたこともあり、自分の背後に泉があることに気づかず誤って落ちてしまった。

 

「あー!男溺泉に落ちてしまた!そこは千六百年前に若い男が溺れた悲劇的伝説がある泉!以来そこで溺れたものは若い男の姿になってしまう!!」

 

泉から上がると明らかに自分の声が違くて、目線もなんだか高い。

手を見てみると落ちる前より確実に大きくなっていて、泉を覗き込んで自分の姿を確認してみると………

 

「えっ、なにこれ……?」

 

そこに映っていたのは高い身長に男らしい端正な顔立ちをした青年の姿だった。でもなんで、自分は元から男の筈なのに………。

 

「お客さんかなりの女顔に容姿だから泉が女として認識したのかもしれないよ」

 

「そんなことあるんですか!?」

 

そんなことがあって僕達3人は以来水を被るとそれぞれパンダ、女の子、青年の姿になる体質になってしまったのだ。

 

 

 

「………という訳なんです」

 

「ってことは祐希くんも?」

 

「はい、僕も水を被ると……」

 

そう言って僕は自分に水をかける。すると男の子の姿から青年の姿へと変わる。

 

「わっ!なになに祐希くん超イケメンになってるじゃない!」

 

僕の変身した姿をみてなびきさんが興奮した様子でそう言う。

 

「なるほど、正に悲劇。水をかぶるとそうなってしまうが……」

 

早雲さんそう言うと、どこからかやかんをとりだす。

 

「お湯をかけると元に戻るわけか」

 

そう言いながら父さんにお湯をかけている。あれ確実に熱湯だから熱いと思うんだけど………。

 

「で、乱馬くんも今は女の子だけどお湯をかけると男に戻ると」

 

「そういうことです」

 

そう説明を締めると、天道家の娘さん方はそれぞれの反応をしていた。驚きつつもどこかゆったりとしているかすみさん、面白いものを見た目をしているなびきさん、乱馬を見てどこか納得してない様子のあかねさん。  

 

「よしよし、それならさして問題はないな」

 

早雲さんはそう言うと女の子になっている乱馬の肩に手を置き、僕にも言っていたように3人の中から好きなのを許嫁にしてくれるよう言っていた。

 

「あかねに決定ね」

 

「うん、お似合いよ」

 

かすみさんとなびきさんはそれを聞いて迷いなくあかねさんに即決していた。

 

「ちょっと!なんであたしなのよ!?」

 

「あんた男嫌いなんでしょ?」

 

「そうよ、幸い乱馬くんは半分女の子だし」

 

「お断りよ、身体は半分女でも中身は男じゃない!何より誰があんな変態と!」

 

「おい、なんだよその変態っつーのは!」

 

「あたしの裸見たじゃない、痴漢!」

 

「あのな、おれの方が先に風呂入ってたんだぞ」

 

「男と女じゃ裸見られた重みがちがうのよ!!」

 

売り言葉に買い言葉だなぁ。どっちも気が強いからお互い全然引く様子がない。まあここは乱馬が折れた方が僕は良いと思うけど。

 

「ハハハ!もうすっかり仲良くなっちゃって!」

 

「まったくじゃ、ハハハ!」

 

父さんと早雲さんは笑いながらそう言うけど、どうしたらそんな感じに見えるんだろう?どう見ても険悪な感じにしか見えない。

 

「とにかく、あたしはアンタなんか絶っ対にお断りだからね!」

 

「おれだってお前となんかお断りだっつーの!さいならっ!」

 

「こら乱馬、どこに行く」

 

どこかへ立ち去ろうとする乱馬に父さんが声を掛ける。

 

「もう一度中国に行く。完全に元に戻る方法を見つけるんだよ、許嫁どころじゃねぇっつーの」

 

乱馬は男の身体に戻りたいんだ。僕はなんやかんやこの姿も気に入ってるんだけど、やっぱり性別が変わっちゃうのはキツイものがあるのか。

 

「言っとくけど、裸見られたのはお互い様だからな」

 

ん?

 

「それにおれは自分の体見慣れてっから、今更女の裸見たってどーってことねーんだよ」

 

乱馬、その発言は女の子に対して失礼すぎない?

 

「しかも、お前よりおれの方がプロポーション良いしな!」

 

流石にこれは看過できない。

 

ゴチン!!

 

「あがっ!?」

 

「乱馬、今のは流石に失礼極まりないよ。これはお仕置き」

 

僕は乱馬の頭に拳骨を振り落とした。乱馬は倒れて気絶してしまっている。

 

「確かに、今のは乱馬が悪い」

 

父さんも僕と同意見だった。

 

「すいませんあかねさん、乱馬が失礼なことを……」

 

「い、いやもういいわよ。今ので多少はスッキリしたから」

 

「ならいいんですが……」

 

居候させてもらう身分なのに本当に申し訳ない。

 

「にしても、アイツと祐希くんでこんなに性格が違うなんてねぇ。正反対すぎてちょっとびっくりしちゃった」

 

「いや、まあ、はは………」

 

あかねさんの言葉に思わず乾いた笑い声が漏れる。実はこんなことを言われるのはこれが初めてじゃない。修行の旅先で乱馬や父さんが色々と騒動を起こして、その度に僕が後始末をしてきた。。そう言う時決まって言われるのが兄や父と全然違うなどの言葉なのだ。

 

「それとさっきから思ってたんだけど、あなたもあたしと同い年なんでしょ?だったら敬語なんて使わなくていいから、もっと気軽な態度で接して大丈夫よ」

 

「そう?じゃあこれからはあかねちゃんって呼ぶことにするよ」

 

「うん。よろしくね、祐希くん」

 

「ハハハ、祐希くんとはすっかり打ち解けたみたいだね。」

 

ちなみにその後目を覚ました乱馬が風呂場でまたあかねちゃんと鉢合わせして、強烈なビンタをくらっていた。2人が仲良くなるのはまだまだ先になりそうだね。

 

 




今後もゆっくりながらできるだけ更新していけるようにします!
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