双子の弟は小柄な少年   作:赫夜叉

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第2話です。

今回も暇つぶし程度にお楽しみください。


2話

「学校?」

 

「うむ、これからこの家でお世話になるんじゃ。義務教育もしっかり受けなければならん」

 

天道家にお世話になることになった翌日、朝の稽古を終え朝ご飯を食べていた時、祐希と乱馬は玄馬から学校に通うよう言われた。

 

「あたしやあかねと同じ学校だからよろしくね。あたしは先に行くから、じゃあねー」

 

「待ってよお姉ちゃん!あたしも一緒に行く」

 

家を出ようとするなびきにあかねは身支度をしながらそう言う。

 

「何言ってんのよ。乱馬くんはあんたの許嫁、祐希くんも同じクラスなんだから、ちゃんと学校に連れてってやんなさいよ」

 

なびきはそう言うとさっさと家を出て行ってしまった。

 

「………ハァ」

 

残されたあかねは無言で乱馬の方を見て、小さくため息を吐いた。

 

「ほら、早く準備して。遅刻するわよ」

 

「お、おう」

 

「うん、わかったよ」

 

あかねに言われ、2人はすぐに学校に行く準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「言っとくけど、あたしとアンタは他人だから、学校で気安く話しかけないでよね」

 

「あったりめーだ」

 

「ハハ……」

 

家を出てからしばらく無言で歩く中、最初にした会話がコレである。余りの仲の悪さに祐希も乾いた笑いしか出ない。ちなみに祐希はちゃんと高校の制服を着ているが、乱馬は普段のチャイナ服姿だ。

 

「祐希くんも学校ではあまりあたしに関わらない方が良いと思うわよ。ごめんね、変なこと言って」

 

「いや、大丈夫。(でもなんで関わらないなんて……?)」

 

「俺と違って祐希とは仲良いんだなお前」

 

「何よ、なんか文句でもあるの?」

 

「へっ、別にねーよ。そもそも俺はお前みたいな可愛げのねえ女、大っ嫌いだからな」

 

「むっ!(怒)」

 

乱馬の発言にカチンときたあかねは持っていた鞄を投げつけようとするが、その前にどこからか玄馬が走ってきて乱馬の頭を殴った。

 

「何すんだよ親父!」

 

「許嫁になんてこと言っとるんじゃ!!よいか乱馬、ひと言だけいって『ほいっ』えっ……あああっ!?」

 

バシャーン!

 

言い終わる前に乱馬が足で蹴ったため、玄馬はフェンスから下にある川に落ちてしまった。

 

「どーしたよ親父、ひと言なんだって?」

 

「ーーーー!!(怒)」

 

乱馬の挑発にパンダになった玄馬は川から飛び上がり殴りかかるが、乱馬はそれをひょいひょいっとかわす。

 

「けっ、ざまーみやがれ!」

 

バシャ!

 

乱馬はフェンスから降りてそう言うが、打ち水をしていたおばあさんの水がかかり女の子になってしまった。

 

「何やってんの乱馬……」

 

一部始終を見ていた祐希とあかねは呆れた視線を乱馬に向けていた。

 

「……とりあえず帰って風呂入ってくる」

 

「今から帰って入り直してたら遅刻しちゃうわよ。とりあえず、お湯を被れば良いんでしょ?ちょっとついていきて」

 

 

 

 

 

 

あかねにつれられ、乱馬と祐希は小乃接骨院というほねつぎ屋にやってきていた。ちなみに祐希は水を被ってないためお湯はいらなかったのだが、道案内も兼ねていたあかねが寄り道をしたため一緒についてきた形である。

 

「あーあ、朝っぱらからついてねーなぁ」

 

「らんまが余計なこと言ったのが原因だけどね」

 

「うるせぇ」

 

2人がそんな話をしていると、突然らんまの肩に骨の手が置かれた。びっくりしたらんまが振り返るとそこには骨格標本を持った眼鏡をかけた男性が立っていた。

 

「おや、これは失敬。驚かせちゃったかな?恐れることはありませんよ、これは骨格標本のベティちゃんですから」

 

「いや、標本でも驚くと思いますけど。だって骨ですもん」

 

男の言葉に祐希がそう返す中、あかねがお湯の入ったやかんを持って戻ってきた。

 

「お待たせー……っ!東風先生」

 

「やあ、あかねちゃん。おはよう」

 

「おはようございます///」

 

東風と呼ばれた男はあかねに挨拶をする。それに対してあかねは頬を少し赤らめながら挨拶を返した。

その間に乱馬は受け取ったお湯を被って男に戻っていた。

 

 

 

 

乱馬が男に戻り東風に別れを済ませると、再び学校への道を進み始めた3人。といっても寄り道をしたため駆け足で向かっているが。

 

「あいつ相当強いだろ」

 

「えーっ、分かる?そうよ、強いのよ東風先生。見た目はそんな風にみえないでしょ。あたし小さい頃から怪我するとあそこに世話になってたのよ」

 

「でもあの人男の人だったよね?あかねちゃん男嫌いじゃなかった?」

 

あかねが大の男嫌いと知っている祐希はそう問いかける。

 

「……そうよ!あたし男なんて……」

 

そこまで言ったところで学校が見えてきた。すると校門から大量の男達が出てくる。

 

「大っ嫌い!!」

 

そう言い放つと男達に向かっていくあかね。男達はあかねに僕の青春やら交際してくれやら言っているが、彼女はうんざりした様子で男達を次々となぎ倒していく。その光景を乱馬と祐希は唖然とした顔で見ていた。

 

「2人ともー、早く校舎に入りなよ!」

 

ふと声が聞こえそちらに視線を向けると、校舎の2階の窓からなびきが校舎に入るよう言っていた。

 

「ああもう、毎朝毎朝鬱陶しい」

 

全員を倒して少し息切れしながらそうつぶやくあかね。どうやらこれは毎日登校するたびにあるらしい。

 

「まったく、無粋な連中だな」

 

するとどこからか今度は男の声が聞こえ、その直後あかねに向けて薔薇の花が飛んできた。あかねはそれをキャッチすると、誰なのか分かったようでこれまで以上にうんざりした表情になった。

 

「みんな君に勝ったあかつきには、交際を申し込むらしいが……」

 

「あ、九能先輩。おはようございます」

 

木の陰から現れた剣道着を着た男、九能に対しあかねは引きがちな顔で挨拶をする。

 

「さて、天道あかねくん……お手合わせ願おうか」

 

そう言うと九能は持っていた木刀を構えた。

 

 

 

 

 

 

【祐希side】

 

どうしようこの状況。この場合止めた方が良いのか干渉しない方が良いのか分からないなぁ。他人の物事に勝手に首突っ込むのもなんか違うし………

 

「お前、意外と人気あるんだな」

 

そう思ってる間に乱馬があかねちゃんに話しかけていた。あかねちゃんは怪我するからどいてるよう乱馬に言っている。

 

「こら貴様。あかねくんに対し馴れ馴れしいぞ!」

 

そのやりとりが気に入らなかったのか、九能先輩(と呼ばせてもらおう)は乱馬に木刀を突きつける。

 

「貴様、一体何者だ!いや、人に名を問う時は自分から名乗るのが礼儀だな。よし、僕から名乗ろう!」

 

そう自己完結して九能先輩は名乗り始めた。

 

「僕は2年E組、九能帯刀。剣道部主将にして連戦連勝、高校剣道界期待の超新星、その強さは計り知れず。人呼んで……風林館高校の蒼い雷!」

 

長い自己紹介を言い切った九能先輩。この人蒼い雷なんて呼ばれてるのかぁ……。

 

「蒼い雷だって、知ってた?」

 

「いいや、初耳」

 

いや、どうやら自分で名乗ってるだけみたいだ。なびきさんやその友達の人の会話でそう呼ばれてないのが分かる。

 

「えっと……俺は天道道場の居候の……」

 

九能先輩に困惑しながら乱馬も名乗ろうとしている。ていうか僕完全に蚊帳の外だよね?ここは乱馬に任せて先に教室に行こう。僕は気配を消してその場を立ち去る。後ろの方から乱馬が勝負を受けるとか言ってるのが聞こえるけど、流石に転校初日に遅刻は嫌だ。

 

「(あかねちゃん、ごめんね)」

 

心の中であかねちゃんに謝りながら、僕は校舎に入り自身の教室である1年F組へ向かった。

 

僕が教室に入ってからしばらくして、乱馬とあかねちゃんが遅れて教室に入ってきた。そしてすぐにホームルームが始まり先生が僕と乱馬のことをクラスに話している。

 

「えー、というわけで2人は最近まで中国におったそうで、今日からこの風林館高校1年F組に入ることになった。まぁ説明はこのくらいにして、早乙女兄と天道あかねは遅刻だから、廊下に立ってなさい」

 

先生にそう言われ乱馬とあかねちゃんはバケツを持って廊下に立たされることとなった。

 

教室を出る際乱馬から恨みがましい目を向けられたけど、なびきさんから早く入るよう言われてたはずだから勝手に勝負なんかしてた乱馬が悪いんだからね?あかねちゃんは学校まで案内してくれたのにごめんね。教室に来た時謝ったけど後でまた改めて謝るから。

 

 

 

 

 

その頃、2年E組にて

 

「ぬあにぃ!?い、許嫁だぁ〜!?」

 

「そう、乱馬くんとあかねは親同士が決めた許嫁なのよ」

 

教室に戻った九能はクラスメイトであるなびきから乱馬があかねの許嫁であることを知らされていた。

 

「それと、乱馬くんの他にもう1人背の低い子いたでしょ?あの子は乱馬くんの双子の弟、早乙女祐希くんっていうのよ。あの子もうちに住んでるわ」

 

「何だと!?おのれぇ早乙女乱馬ぁ!弟の方もあかねくんと同じ屋根の下に暮らしているなど、許せーん!!」

 

「九能!廊下に立っとれ!」

 

授業中やかましく声を上げた九能は先生に怒られ、バケツを持って廊下に立たされることとなった。

 

 

 

 

 

【祐希side】

 

2人が廊下に立ってからすぐ授業が始まり僕は指定された席についた。席は廊下側で2人が立っている位置のすぐそばだ。授業中に2人が何か話してるみたいだけど窓越しだからよく聞きとれない。

そう思いながら授業を受けていると、廊下から物音が聞こえてきた。窓を少し開けて見てみると、九能先輩が乱馬に水をかけようとしていた。

 

「早乙女乱馬、許さんぞ!貴様とあかねくんが婚約など、断じて認めんぞ!!」

 

九能先輩が大声でそう言うから教室にもハッキリ聞こえたみたいで、クラスの皆も窓際に押し寄せた。

 

「なに〜!?許嫁だと!?」

 

「やだーあかね。男嫌いじゃなかったの?」

 

「ちょ、ちょっと皆……キツイよ」

 

クラス全員が窓際に集まってるからそれに押されて少し苦しい。

 

「それと早乙女乱馬、貴様の弟はどこだ。貴様もだが、あかねくんと同じ家で暮らすなど、許さんぞ!兄弟ともどもこの僕が成敗してくれる!」

 

あれ?なんか僕のことも目の敵にしてない九能先輩。居候していることも許せないのか………。

 

「だそうだぜ祐希。こいつは俺とお前をご指名だ」

 

「うん、そうみたいだね」

 

僕はクラスから抜け出して乱馬の隣に立つ。

 

「ほう、貴様が早乙女祐希か。ふっ、天道なびきの言う通り、随分小さな身体だな」

 

九能先輩は僕を見るなり明らかに自分より格下という目をしてそう言う。

 

「早乙女乱馬、早乙女祐希!僕と勝負しろ!許嫁や居候など僕は許さん!」

 

「だから許嫁は親が勝手に思い込んでる……」

 

「問答無用!ていやぁ!」

 

「っ!」ガシッ

 

「ぬぅ!?」

 

九能先輩が乱馬に木刀を振り下ろしてきたため、咄嗟に横から木刀を掴んで奪い取る。

 

「サンキュー祐希。九能、ここじゃまともな勝負はできねぇ。ついてこい!」

 

「よかろう!」

 

そう言って乱馬はどこかへ走り出し、九能先輩はどこからか新しい木刀を出してその後を追う。乱馬の走る廊下の先には窓が開いた箇所がある。

まさか……!

 

「手っ取り早くおもてに出ようぜ!」

 

やっぱり!

 

「乱馬!ここは3階だよ!」

 

僕がそう言ったのよりも早く、乱馬と九能先輩は窓から飛び降りてしまった。乱馬はともかく九能先輩はこの高さからはマズイよ!すぐに窓に駆け寄って下を見てみると、幸い飛び降りた先はプールで2人はそこに落ちたようだった。乱馬は大丈夫みたいだけど、九能先輩は落ちた衝撃で気絶しちゃってるっぽい。

 

「(とりあえず無事で良かった……)」

 

まあ乱馬はプールに落ちて女の子になっちゃってるけど、そこは下をちゃんと確認しなかった乱馬の責任ということで。そしてふと気づくとあかねちゃんもいつの間にかいなくなってる。多分乱馬のところにいったんだろう。

 

「とりあえず、僕も様子を見に行こう」

 

そうつぶやくと、僕もその窓から飛び降り壁を蹴った勢いで着地する。ちなみに九能先輩から奪い取った木刀は背中に背負っている。そしてそのままの足で乱馬を探そうとするが………

 

「待て、早乙女祐希」

 

背後からそんな声がして振り返ると、そこにはびしょ濡れの九能先輩が木刀を持って立っていた。

 

「早乙女乱馬の前に、まずは貴様と勝負だ。僕に勝てば天道あかねの家に居候することを認めてやろう!」

 

そう言って九能先輩は木刀を構える。僕としては早く乱馬を探したいんだけど、居候の件で僕も目の敵にされてるからここで断ると後がめんどくさそう。それなら今ここでハッキリ決着をつけておいた方がいいか。

 

「分かりました。その勝負受けましょう」

 

そう返し僕は背負っていた木刀を手に持つ。せっかくだから使わせてもらおう!

 

「ほう、僕と同じ剣で勝負か。その小柄な身でどこまでやり合えるかな?」

 

「小さいからって甘くみないでください。背の低さと強さは比例しないんですよ!」

 

「ならばそれを証明してみろ!いくぞ!」

 

そう言うと同時に九能先輩は素早い突きを連続で放ってくる。僕はそれを全て見切ってかわすとジャンプして木刀を振り下ろす。しかし九能先輩はすぐさまそれを自分の木刀で受け止める。

 

「僕の攻撃を全てかわすとは、やるな貴様」

 

「それはどうも。でも先輩、忘れてませんか?僕は木刀を右手だけで持っていることに」

 

「なっ……!?」

 

そう、だから今僕の左手は空いている状態だ。対し九能先輩は両手で木刀を持って僕の攻撃を受け止めている。そんな絶好の隙を逃す訳にはいかない。

 

ていやぁ!!

 

「ぐはぁ……」

 

僕は左手の手刀を九能先輩の頭頂部に振り下ろした。攻撃を受けた九能先輩はふらつきながらその場に倒れた。

 

「ぐぁ……頭がクラクラする……動けん」

 

九能先輩は人体の急所の一つである頭頂部をやられたことで力が入らず起き上がれない様子だ。

 

「どうですか九能先輩、僕の勝ちで良いでしょうか?」

 

倒れてる先輩の顔を覗き込む形で僕は尋ねる。

 

「……ああ。認めたくはないが、僕の負けだ」

 

「じゃあ天道家に居候の件は?」

 

「許可しよう。二言はない」

 

九能先輩は不満気な顔をしつつも負けを認め、居候の件も許してくれた。

 

「ありがとうございます。それと木刀勝手に使ってすいません、お返しします」

 

「いや、それは貴様にやろう。……早乙女祐希、今回は貴様の勝ちだ。だがいずれ僕はまた貴様に勝負を挑む。今度は小さいからと油断はしない、覚悟しておくがいい」

 

「いつでも受けて立ちますよ、九能先輩。木刀ありがとうございます」

 

そう言うと先輩からもらった木刀を背負い直し、僕は乱馬は探すため歩き出した。

 

 




平日は仕事で疲れてちゃうので大体これくらいのペースになります。

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