戦女神放送局-Commuting Turns into Despair-   作:矢矧草子

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1月20日

ポン、ポン、ポン、ポーン

カシュッ

ゴクゴクゴクッ

 

「あ゛ー。sveidラジオ!」

 

「みんなー、オッハー。パーソナリティーの悠衣でーす」

「通勤お疲れ様です。お仕事頑張りましょう。詩です」

「お前らの通勤に絶望を添える朝から飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間がやってきました」

「さっき思ったんだけど、アンタって私が出社してからって何してるのよ」

「なんだ、姐さん。私のことが気になっちゃうのか? 好きか? 大好きか?」

「それ、好きって言わせたいだけよね」

「そうだ」

「まあ、好きよ」

「ちょっと照れてる姐さんも可愛いな。私も好きだぞ」

「ちなみにどうやって言ってもらうのが好きなの」

「姐さんみたいに照れながら言うのも好きだし、花純みたいに真正面から好きっていうのも好きだな。ただ」

「ただ?」

「目を見て言ってくれないとやり直しだな」

「はあ」

「朱音はその点、目も合わせてくれないからよくやり直しをさせてるな。もちろん、なんでダメなのかは言わないけどな」

「じゃあ探り探り」

「そう。なにがダメなのかわからないまま、狼狽えつつ好きって連呼してくれるのは愛おしいな。あいつも女が好きなら」

「染めちゃえばいいじゃない」

「いや、あいつはちゃんと好きな男がいるらしいからな。難しいかもしれん。姐さんと違って」

「どういう意味よ」

「大丈夫。傷心中の姐さんを手籠めにしちまって、そのまま男どころか私以外の人間に目が向けれなくなった姐さんの話はしない」

「全部言っちゃってるじゃない」

「いいじゃねえか。そのうちばれるんだから」

「そうかもだけど」

「そんなことよりもだ。メールが届いてる。まずはいつものやつだ。ヒレカツ奉行。先日救急車に乗りました。経験はありますか?」

「何やってんのよ。大丈夫だったの? え、もしかして風邪のやつ?」

「いや、詳細は何もないから知らんけど」

「この時期だとたらい回しとかあるかもだけど、無事で何よりだわ」

「姐さん、救急車は?」

「大学院生の時に乗ったわ。病人として」

「なんそれ」

「ちょうどその時インフルエンザにかかってね。自宅療養してたら急におへそのあたりに激痛が走ってね。もうホントに息できないくらい。で、ド深夜よ。死ぬかと思って救急車呼んだわ」

「へー」

「結果的には、尿膜管膿瘍っていう感染症でね。たぶんインフルで免疫落ちてたせいね。抗生物質を投与されてすぐに痛みは治まったんだけど、土曜日に救急車で運ばれたから、月曜日まで退院できなくてね。暇で暇で仕方なかったわ」

「ありゃー。あれ姐さん、大学生の時は風邪ひいてないんじゃなかったっけ」

「ま、インフルを風邪症候群に含むか含まないかっていう定義の問題ね」

「なんかウゼえ話が始まったからやめやめ。次のメール。初投稿だ。餃子の香車から。レズセ配信はしないんですか?」

「はー、出てきたわね」

「なにが」

「女2人が仲良くしゃべってたら必ず生まれてくる、レズセックス大好き人間よ」

「と言ってもなあ、私たちは実際セックスしてるわけだし」

「公言してるから、それを公開しろよって言ってるだけではあるんだけどね。無理よ」

「無理ってか、きついだろな。だって顔出しNGなんだぜ、姐さん。ロッカーのくせに」

「でね、たまにいるのよ。顔隠していいからレズセ配信しろってやつが。あのね、一言もの申してあげるわ」

「いけいけ、姐さん」

「まず顔をどう隠すかだけど、マスクをつけるとか、たまにあるのは覆面をつけるとか。マスクだと結構顔見えるわけ。ダメ。そして論外は覆面。あれでどうやって興奮するというの? やってるこっちの身としては、一瞬で覚めるわ。そんなのセックスどころじゃない。ダメ」

「その通りだ!」

「次に、じゃあ顔の部分を後でモザイクなり画像なりで隠すというやり方。例えば、私たちがあげてる『magicaride』の動画みたいにね」

「さすが宣伝隊長」

「あれの弊害はただ一つ。キスが見れないこと。あのね、女同士のセックスなんてね、キスが命なのよ。常にキスよ。キスが見れないセックスは、セックスにあらず」

「それもその通りだ」

「あと細かいことを言うけど、レズセックスという単語は嫌いだわ。ただのセックスよ。気をつけなさい」

「ちなみに姐さんはキスが大好きだ。キスだけでイけるぞ」

「ちょっと。話の腰を折らないでよ。ってわけで、私が顔出しNGな限りセックス配信はしないわ。2度とこんな事言わせないで頂戴ね」

「ま、私は別に配信してもいいんだけどな」

「はあ?」

「だから、視聴者の中で顔出していい奴がいたら連絡よこせ。一緒に顔全開でセックス配信するぞ」

「そうやって言うと誰も寄ってこなくなるけどね。インターネットタトゥーは怖いわよ」

「あー、そうやって言うのか。タトゥーな」

「あー、もうこんな時間じゃん! ちょっとあと締めといて。行ってきまーす!」

「いってらっしゃーい。じゃ、締めるぞー。まずは宣伝なー。この前の日曜日にfripSideの『magicaride』をカバーしたぞ。絶対聞け。1人100回再生がノルマだ!

次! メール送ってこい! なんでもいいぞ。NGなしだからな。あとかわいい女の子からの連絡も大募集だ! 最悪、男でもいいぞ。セックス配信しような。

よし、今日はここまで。じゃあなー」

 

 




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