戦女神放送局-Commuting Turns into Despair- 作:矢矧草子
ポン、ポン、ポン、ポーン
カシュッ
ゴクゴクゴクッ
「あ゛ー。
「お前ら、元気かー。
「通勤お疲れ様です。お仕事頑張りましょう。パーソナリティーの
「お前らの通勤を絶望に変える飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間だ」
「3月も最終日ね。早いものでラジオも開始して3か月がたったわ」
「時間の問題よりも、客がどんだけ増えたかのほうが問題だろ」
「確かにね」
「同時接続は20人を超えたな」
「2月に入った時とそんなに増えてないわね」
「なにかしら大転換がいるだろうな」
「だらだらやってても限界があるってことね」
「ま、その辺はおいおいだな」
「早く決めたほうがいいんじゃない?」
「オリジナル曲だぜばもうちょい変わるだろ」
「だといいけど」
「まあ、朝一に同時接続を求めるほうが限界があることはよく分かってるがな」
「結局は再生数とチャンネル登録数?」
「まあそういうこった」
「お友達にもぜひ広めてねー」
「あと、演奏してるやつも絶対に聞け!」
「話は変わるんだけど。昨日、本を買ってきたわ。住野よるさんの最新作、『恋とそれとあと全部』。ちょっと立ち読みしたら面白くって」
「興味ない」
「あんたが興味なくても、聞いてる人に刺さるかもしれないでしょ。えっと、あらすじはねー。
片想い男子とちょっと気にしすぎな女子。二人は友達だけど、違う生き物。一緒に過ごす、夏の特別な四日間。
めえめえ(瀬戸洋平)は下宿仲間でクラスメイトの女子サブレ(
「じゃあ一緒に行く?」「うん」思いがけず誘われためえめえは、部活の休みを利用してサブレと共にじいちゃんの家を目指す。夜行バスに乗って、二人の〝不謹慎な〟そして特別な旅が始まる――。ってね」
「不謹慎ってなんだよ」
「私もまだ読んでないから分かんないわよ」
「早く読めよ」
「読む時間があったら読んでたわよ。この週末に読むから。月曜日には感想が言えると思うけど。どうしようかしら」
「どうってなんだよ」
「ネタバレがね」
「あー」
「感想は、チャンネル概要欄に書くわ。読み終わったら更新しとくから。ぜひ定期的に確認してね」
「よし」
「最初のメール。ピースの夜までバナナさん。オナニーRTAして」
「いいんじゃね」
「どうやってやるのよ。撮るの?」
「撮らねえと証拠も何もねえだろ」
「顔出しNGよ?」
「いいだろ」
「むしろ、いいの?」
「仕方ねーだろー。姐さんが顔出してくれりゃ万事解決すっけどさー」
「ごめんなさいね。というかそもそも動画なんか撮ってもどこに投稿するのよ」
「ん? ここでいいだろ」
「YouTubeじゃ規制的に厳しいでしょ。たとえば音だけとか、全面モザイク入れるとか」
「それじゃ何の意味もねーだろ。ん-、なんか探しとけ。花純あたりが詳しいだろ」
「ま、PornhubかFC2か。あとなにかしらね」
「なんでもいい。明日やるか」
「急ね」
「こういうのは思いついた時がいいんだよ」
「企画を思いついたのはあんたじゃないけどね」
「ただなー、私オナニーは得意じゃねえんだよな」
「あら、意外」
「セックスするから。事実あんまりオナニーはしない」
「そういうことね」
「その点、姐さんは得意だよな」
「どういう偏見かしら」
「前言ってたもんな。週に何回かしてるって」
「エッチすると時間取られちゃうから。寝たい気持ちを抑えられないのよ」
「ちなみに道具は禁止だな」
「私は別に何でもいいわよ」
「自信満々だな」
「やるからには1位を目指さないとね」
「じゃ、終わるぞー」
「はいはーい。この前の日曜日に、
「絶対聞け」
「画面下の動画説明欄にメールフォームあります。メールください」
「NGなしだ。何でも来い」
「チャンネル登録といいねもよろしく」
「今すぐしろ」
「今日は
「じゃあなー」
「行ってきます」概要
概要
お前らいつもご苦労!
『チャンネル登録』、『いいね』まだしてねえ奴、今すぐやれ!
メールもよこせ! ラジオネーム忘れんな!
あと、喫煙者は煙草の銘柄も書いとけ!
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