超昂大戦SS 時駆ける超昂戦士! 未来少女の架けた虹   作:環 藍河

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第2章 ドキドキ! 学園デビューとタッグバトル

職員会議で午後放課の閂学園、居残る生徒もまばらな校舎の屋上。

 

「えへへっ…皆さんと同じ制服だあ…!」

自ら未来から持ち込んだ学園の制服に袖を通し、ミキは喜色満面、すっかり体験入学気分。

 

「アカリっち…すまん、思考が追いつかないぞ。」

「見た目、アカリの数歳年下…つまり、アカリが乳幼児のときに出産、ってことでいいか?」

「カンナあっ?! そんなわけ、ないでしょお?!」

「…正直、こんな冗談でも言わないと、精神の安寧が保てないんだ…。」

 

 

…1時間前。

『…アカリっち。3行で説明したまえ。』

 

 《…出会った女の子が、

  未来から来た私の娘で、

  学園を見学したいんだって…。》

 

『なるほど。…わからん。』

〘とにかく、その子を学校案内すれば、いいんじゃない? ホントにアカリの娘かどうかは、あとあと考えても遅くなくね?〙

 

突然の電話の内容はほとんど無茶振りなのに、何とかお膳立てをしてくれるカンナとよっしー…本当に良い友を持った。

 

そして今。

「こちらでは初めまして! カンナさんとよっしーさん、ですね! 未来でもママともども、いつも可愛がってもらってます!」

彼女を…ミキを信じることを前提とすれば…3人の友情は数十年続いているらしい。

 

「…あ〜、ミキくん。今の我々は、君の知る我々と見比べて、どうかね?」

「え? …え〜と、見てすぐわかりましたよ。カンナさんはスマホ片手ですし、よっしーさんもおしゃべりの口調がそのままですから。面影も同じです!」

「…それって、あたし…成長が無いってコトかな…?」

「私も…このぽっちゃりは不変で恒久なのだろう…。」

 

 …はああ…っ。

 

穏当な未来を喜ぶよりも、ため息が先に出るカンナとよっしー。

 

 はっ…!

 

(あ…あの、コレ、聞いていいかわかんないんだけど…。)

(はい?)

 

本人に聞こえないよう、カンナがアカリに背を向けてポジションを取り…

(き…君のお父さんって…誰?)

 

 …!?

 

(バ…バカ者っ! それを聞いて何とする!?)

(だ…だって、当然知るべきだろー…?)

 

 くすっ。

 

(残念ながら、直接は教えられません。ごめんなさい。)

(そ…そうか。)

安堵半分、嘆息半分の2人。

 

……

「突然すみませんでした。校舎見学、いろいろありがとうございました!」

「あ〜…と言っても、ありふれた校舎ゆえ、君が何を見れば喜ぶかわからなかったのだが。」

「いえ、ママが青春を過ごした場所を見て、どんな日々を送ってきたか…少し覗けただけでも満足です。」

「ミキちゃんって、アカリのこと好きすぎる? そうだよね、それで過去まで来ちゃったくらいだもんね〜。」

カンナの冷やかしは、案外核心を突いていた。

 

…きりっ。

「ミキくん…一つ問おう。君は母君と同じ超昂戦士を希望だと言ったね。それをお父上に反対され、はるばるこの時代まで家出してきたと…。」

「…はい、そうですよ?」

「なぜだい?」

「…なぜって…?」

きょとんとするミキに、真摯な眼差しで母の親友が続ける。

 

「アカリは…君の母君は、『みんなを護る力が欲しい』って誓って、平凡で無力な女子学生だったのに、ダイビートに身を投じたのだよ。」

「? …はい、聞いています。」

「でも…そのときのアカリの覚悟と決意は…隣で見ていた私には無謀に見えたよ。」

「…!!」

ミキの表情が、一転引き締まる。

 

「実際、その強い想いを貫いて、最後は地球まで救ったエスカルビーも…途中は何度も苦しんで、迷って立ち止まったし、実際に死にかけた。

アカリじゃなければ…他人を我が事のように想って命がけで動ける、あの子でなくば…あんな絶望、超えられなかっただろうね…。」

(よっしーさん…)

 

「だから私は…人並み程度の覚悟で超昂戦士になるのは、かえって君にとっても不幸なことだと思ってる。

…ミキくん。超昂戦士を目指すにあたり、君の覚悟はアカリに負けないものかな? それとも、単なるママへの憧れかい?」

よっしーの話は、友の娘だからこそ、厳しく。

 

「…負けません! 私だって、みんなを…。

ママを護りたい!」

 

…?

 

「アカリっちを…護るの?」

「エスカルビーを? 地球の救世主を?」

「あっ…!」

一瞬の沈黙が場を包むも。

 

「い…いつかママがエスカルビーを安心して引退できるように、私がママ以上に強くなる、ってことです!」

「あ〜、アカリも寄る年波には勝てないもんなあ。」

「ひ…ひどくない、カンナ?!」

「まあ、未来でもまだまだママは現役ですけどね。私の憧れ、目標です!」

 

一応、その場は落ち着いた。

 

……

「お話、とても面白かったです! 今日は本当にありがとうございました!」

「おうおう、まだまだアカリの秘話は無限ストックがあるぞお。いつでもこのカンナさんに聞き給え!」

「やめてええっ! は…恥ずかしいよおっ!」

 

「あ、アカリっち、ちょいと。」

(?)

帰り際に耳打ち。

 

(ミキちゃんのこと、よく見ておくのだぞ。何か無茶をしかねない予感がする。)

(…えっ? …何?)

 

よっしーは気づいていた。

ミキの不自然な失言の瞬間、かすかに表情から血の気が引いたこと。

単なる家出というのは…嘘なのだろう。

 

そして…「アカリを護りたい」の真の意味は…、

未来のアカリが、護らねばならないほどの危機に晒されていること。

 

少女は単身、時を超えて来た。

これは、ミキの決死のミッション。

その使命を…この時代の誰も、まだ知らない。

 

……

 

閂市は春の陽気に包まれながらも、まだ日が落ちるのは早い。

夕暮れの学園を後にし、基地への帰り道。

 

 ぎゅっ…。

 

「あの…ミキちゃん?」

「はい?」

「どうして…腕を組んでくるのかな?」

「だって…未来のママったら、私が大きくなったからって、もう腕を組んで一緒に歩いてくれないんです。だから、こっちのママならオッケーかな、って。」

「あ…あはは…!」

姉が好き過ぎる妹のように、アカリにべったり引っ付くミキ。

 

「…当たり前ですけど、私の知るママと、同じ香りがします…。ぬくもりも、一緒です…!」

「ミキちゃん…?」

 

アカリに芽生えた違和感。

ミキはこの年頃にしては、しっかりしているのに。むしろ、母親への反抗期でもおかしくないのに。

どうしてこの子は、こんなにも私に甘えるのだろう。

まるで、いま甘えておかなければ、もうチャンスは無いかのように…?

 

 〘クレッ!〙【クレクレッ!】

 《クレエエエッッ!!》

 

「『!!』」

 

その空気に水を差し、幻魔・クレイドの群れが2人の行く手を阻む。

 

「ミキちゃん! 隠れて!」

「ママ!?」

ミキをかばい、アカリが戦闘体勢に入る。

「フラックスプロージョン・ビートチェンジ!」

 

 しゃきいいんっ…!

 

「長官! 敵出現です!

ポイントC−8、詳細は省略。

なお、要保護者が1名。市民の避難誘導と並行して、保護の手配をお願いします!」

《ルビー、こちら司令室だ。状況はこちらでも確認した。

応援の到着まで無理をするなよ。》

「了解、保護を最優先します!」

 

通信で概況を伝達し…

 

「エスカルビー、出撃します!

はあああーーーっ!!」

ミキからクレイドの目を逸らすように、ルビーは敵を自分に引き付け、孤軍奮闘する。

 

「やあっ! はっ! たああっ!」

どがっ! ばしっ、がつっ!

〘クレッ!〙《クレッ…》

【クレエエエッッ!】

 

倒すための攻撃ではなく、複数のクレイドをミキに近づけないため、常に間に割って入りながら拳を繰り出すルビー。

保護対象者・ミキはその意図を汲みながら、ゆっくり後退する。

クレイドがこちらに来ないか、視野を広く持ち…そして。

 

 「これが全盛期の…

 エスカルビーの、生の勇姿…。」

 

自らも襲撃を受けている真っ只中のミキは…

 

 「…すごい…!

 私とそんなに変わらない歳なのに…!」

 

尊敬する戦士の一挙手一投足を、瞳に焼き付けた。

 

……

 

〘グボッ!〙《ゲフッ…》【ガアアッ!】

(えっ…?!)

 

戦闘は続き、ルビーの優勢は変わらない。

だが、ルビーとミキは異変を感じていた。

高い知性を持たないはずのクレイドが、次第に言語を発し、ルビーを包囲し始める。

 

 〘…チョウコウノ…チカラ…!〙

 【ワレラヲ…ホロボス…モノ…】

 《サキニ…ホロボス…!》

 

「ふ…普通のクレイドじゃない!

 ミキちゃん! 基地まで逃げて!」

 

非常事態を悟り、ミキの安否を真っ先に案じるルビー。

だが、護るべき、無力で平凡なはずの少女からは…。

 

「…こいつらだ…。

 こいつらが…ママを! みんなを!」

「っ…? ミキちゃん?!」

 

湧き上がる気迫と闘志で、後ずさる脚を反転。

 

「フラックスプロージョン・ビートチェンジ!」

 

 しゃきいいんっ…!

 

少女を包む、白くまばゆい光。

その輝きは温かく、力強くミキの五体を抱擁し、勇気をまとわせる。

 

「えっ…えええええっっ!?」

 

「永遠なる光は無限の銀河!

 純白の超昂戦士、エスカ・ダイヤ!

 悪の現場に、只今参上!」

 

「ミ…ミキちゃん、変身できるのお!?」

「はいっ!」

 

その意匠は、憧れの母の雄姿を受け継ぐ、セーラー服。だが、襟から背中までを包むカラーとレオタード、プリーツスカートから成る戦闘服は、煌めくピンクゴールド。

パールホワイトとのツートンカラーで戦士を包むバトルスーツは、虹の煌めきをたたえる胸の輝石とともに、無垢なる希望を闘志に変え、若き戦士を護る。

カチューシャ型ヘッドガードと左右のギアでツインテールに纏めた赤髪は、伝説の戦士を継ぐ決意の体現。

 

(でも…ミキちゃん、パパが反対してるって言ってたのに…?)

 

ふと湧き上がる、ルビーの疑念。

だが、未知の敵と対峙し…その疑念を掻き消すように、若き戦士は気丈に吼える。

 

「エスカ・ダイヤ、援護に入ります!!」

 

【続く】

 

 




作者の環です。第2話お届けです。
オリキャラ、しかも未来の主役の娘という、読者さまによってはアレルギーを持たれるポジションなので、受け入れていただけるか怖いのですが…寛大に許容してお楽しみいただけましたなら幸いです。
次回、ルビーとダイヤのタッグバトル、スタートです。
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