超昂大戦SS 時駆ける超昂戦士! 未来少女の架けた虹   作:環 藍河

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第6章 罪深き力! 野望の残渣は時の狭間に

未来少女・ミキが身を挺して教えてくれた、ダイビートの危機。

その思いに答えようと東奔西走するアカリたち超昂戦士。

2つの思いが敵の罠を徐々にあぶり出し、ダイビートは少しずつ、真の敵に近づいていた。

 

同じその時、とある廃校の跡地。

体育館を改装し、魔力で隠匿した、実験体の保管施設。

 

 「ク…クソッ…タレエエエッ!」

 〔ハナセ…ワレラヲ…!〕

 【イヤダ…キエタク…ナイイイッ!!!】

 

「ちぇっ、エスカルビーと、見たことねえ新人のガキ。

デビュー戦で釣れたのは、たった2人かよ…。

本当は今回で、い~っきに超昂戦士どもにばらまくつもりだったが…余らせちまったぜ。」

 

 拘束され、怯えるクレイドたちを前に、忌々しげに独りごちる白衣の男。

 

「まあいい、はぐれクレイドが大量発生したら、その都度こいつらを混ぜてやる。

毒泥まみれの戦士をゆ~っくり、じ~っくりと増やしていけばいい。」

 

 【ナゼ…ワレラを…ツブス…ッ!?】

 

「おめえらみてえなバケモンども、ず~っと飼ってたら足がつくだろうがよお。

心配すんな、おめえらの種は採取済みだ。ダイビートを襲うたびに覚醒させて、また種を取って保存。

おめえらの子ども、孫、ひ孫、やしゃご…子孫ぜえ~んぶダイビートにけしかけて、毒泥キャリアの超昂戦士をちょ〜っとずつ増やすための捨石に使い倒してやるからなあ。」

 

 かちっ。

 「【[〔ク…クレエエエッッッ!!!〕]】」

 しゅううう…っ…

 

「な~んだよ、ちょお~いとばっかし知能が出ても、断末魔はお~んなじクレクレかあ…。」

無慈悲にスイッチ1つでクレイドたちを抹消し、若き研究者は足早に、理科室跡地の研究施設へ向かう。

 

 ぷしゅうっ。

 

(あ…あああっ…)

(もう…いやあっ…)

(かえり…たい…よおお…)

 

自動ドアの向こうには、培養プールに浸された数十人の、人間…だった石。

石が漬けられた液は、人間で言う五感の全てを刺激し、石から接現力を抽出し、横のタンクに蓄える。

だが、吸い上げ続ける接現力のゲージはぴくとも動かず、タンクはほぼ空っぽ。

 

「幻魔王さまを潰せる、致死量の接現力…このストレージ一杯分を溜めるにゃあ…数十年かかるってか。人畜どもを攫いすぎっと、足がつくからなあ。

仕方ねえ、のお~んびり、搾り取っていくかあ。」

人を石化させ、接現力を吐き出し続ける生体プラントにする行為。

それは幻魔王オルタナスタインが、ダイビートとの決戦以降、すべての幻魔に禁じたはずの、おぞましき人体実験。

 

 

「…ったく、毒泥は1次感染から10年以上空けねえと発症しねえわ、接現力は豚のよだれをプールに貯めるみてえな激遅だわ…。

あのクソジジイ、もお~っと効率的な技、作ってから逝けってんだ。…使えねえ奴。」

独りごちる研究者は…超昂と幻魔・双方の壊滅を企て、人からも幻魔からも見えぬ闇夜で爪を研ぐ。

 

……

 

「…ダメっ、ダメだああああーーーーっっ!!!」

「科学の網でも、魔法の眼でも、索敵不能だねえ…業腹だ。」

 

敵の能力と狙いは見えたにも関わらず。

肝心の…敵の居場所が割り出せない。

さやか率いるダイビート科学班、ルカ率いるNAU科学班…考え得る最高峰のインテリジェンスを駆使しても、なお真の敵は深い霧の中にあった。

 

「閂市内すべてにレーダー網をかけた! 

魔力でも物理エナジーでも、人でも幻魔でも!

怪しい動きさえあれば、AIと人的監視で必ずキャッチできるのにいっ!」

「それだけ巧妙に息を潜めているということだねえ。足がつかないよう、何年もかけて少しずつ呪いクレイドを繰り出していくつもりだろう。」

「そんなのを待っていたら、ミキちゃんの体が持たないよ!」

「だが…敵が動かないのでは、索敵は不可能…!」

 

八方ふさがりに思われた、そのとき。

 

「ふっふっふっ…。

天知る地知る、人ぞ知る。闇を晴らせと我を呼ぶ! 

悪の手口はあたしにお任せ! 春雛うらら、推参!」

 

ドヤ顔の乱入者は、真の天才2名にたたみかける。

 

「未来のユーノさんやさやかさんに聞いて、どの超昂戦士がいつ一度目に攻撃されたか確かめて、その人をその日、徹底ガードすればいいのよーっ!」

 

…。

 

「却下よ。ガードしても別の戦士を狙うか、日を改めるだけ…感染する順番と日時が変わるだけだもの。」

「むしろ、未来を無用に変化させ、ミキくんたちの世界と違う世界を作ってしまいかねないねえ。」

「がっ…ざんねんな子を見るようなジト目で見るなあーーーっっ!!」

うららが耳まで真っ赤にする。

 

「ああーっ、もうっ! どこかに無いのっ!?

確実に真の敵が、しっぽを出してウチらでも幻魔でも襲ってくるタイミング!」

しびれを切らしたうららが、羞恥を振り払うように叫ぶ。

 

「…もう一度…!」

「はひっ?」

「…もう一度っ、言ってみ給えっ、うららくんっ!!!」

「ぎゃーーーっっ!! ごめんなさいっごめんなさいっ、あんぽんたんの特撮脳で偉そうにっ…」

「そうじゃないわっ! うららちゃん、何のタイミング?! 真の敵がどうしたって?!」

 

「ウチら戦士でも、幻魔でも、襲ってくるタイミング…。」

 

「…ルカさん…!」「ああ…。」

 

 がっ。

 

「『それだああっっ!!』」

「ぎゃああああーーーーっっ!?」

両肩をわしづかみにされ、ステレオで天才2人からシャウトで挟撃されるうらら。

 

……

「アカリ、ミキくん、作戦の最終確認だ。」

「長官…お願いします!」

 

ゲリラ戦術で超昂戦士を襲うクレイドを…神出鬼没の敵を十年以上も警戒し、すべての超昂戦士を護衛することは困難。

だが、幻魔王オルタナスタインを消すための呪いは、確実に目標は一点であり、また膨大な接現力を送る以上、兆候や痕跡を掴む千載一遇のチャンスとなる。

 

「アカリちゃんに、このレーダーを託すよっ。必ず敵を暴いて!」

「はいっ!」

「もう一つは我輩から。レディの能力を再現する優れものさ。」

蛇をかたどるブレスレットは、アメイズのウィップの効果をルビーのパルシオンで再現するデバイス。

ADDDと連動し、変身と同時に右手首に装着され、幻魔の偽装を破る。

「最後は勇敢なお嬢ちゃんに、ウチからお餞別。ラストチャンスやー、いうときだけ使うてな?」

ルカの弟子・プカルルがミキに渡したのは、ペンのようなキャップとノックボタンが両端に付いた、棒状の物体。

「ミキちゃんの検体のおかげで、ようけ高性能化できてん。おおきにな!」

 

「アカリちゃんもミキちゃんも…自分と直接会うのは厳禁よ。タイムパラドックスが起こったら、世界が破綻するからね。」

「うっ…気をつけます。ヤバかったら逃げます。」

 

「ミキくん…すまない。作戦のためとはいえ、衰弱した君を…。」

「ミキちゃん…ごめんね、苦しいよね…」

「ううん…私の意思です。

ママ、絶対に勝とう。ダイビートを護ろう…!」

 

通常、未来への時間飛躍は困難を極める。

だが、さやかによれば、膨大なエナジーを用いて過去へ遡航した人間が未来へ戻ることは、それほど難しくは無いという。

『強力なバンジージャンプのゴムを引いて過去に戻っているから、手を放せば勝手に引っ張られて、もとの時代へひとっ飛び…ってイメージかな。』

「なるほど…ミキくんをそれで戻して、そこにアカリを相乗りさせるのか…!」

そのときアカリのバンジーゴムも引っ張られるので、アカリが現代に帰るのも難しくはないのだとか。

(それでも石は…ダイナライトはっ、ごっそり持っていかれるけどお~~っ!!)

 

「長官さん…」

「…? どうした?」

「…いえ。また必ず、未来でお会いします。ありがとうございました!」

 

アカリとミキは、未来へ旅立つ。

未来のアカリたちが倒れる少しだけ直前、オルタナスタインが呪詛に斃れる、その時へ。

 

【続く】

 




作者です。第6話をお届けします。
第5話まで毎日連載だったのが、昨日はストップしまして、ご迷惑をおかけしました。その先の展開がなかなか固まらず、慌ててその前の話を出したらマズいので…。

※と思っていたら、原作でも遡っての修正があったらしく。
第2部10章リリースと同時に、第7章の瑠璃のセリフが録り直しになったとのことです。詳細は不明で、シナリオやセリフ自体が変わったのか、単に演技だけの変更なのかは明らかではないのですが…?
※だからと言って、こっちだってやっていい、という話ではございません。最初から整合性の取れたシナリオ書かないと、読者様の不信をかうばかりでして。

第7話、いよいよ決戦です。乞うご期待。
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