スーパードクターU   作:黒い平方四辺形

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はじめに断っておきますが、K2は真摯な医療漫画です。
バトル漫画ではありませんよ!
でもこの話にウマ娘を絡ませたかった。


命の番人①

~あらすじ~

 

本編から数年後、医学生となっていた一也が何者かに襲われた。

その正体はロシアに存在するカルト宗教『命の番人(ストーロジ・ジーズニ)』。

過激な思想を持ち、目的のためにテロ行為も厭わない危険な集団である。

一也が教団の教えに反した「クローン人間」であることを知ったストーロジ・ジーズニは、

一也を抹殺すべく日本にやってきた。

VXガスを用いた襲撃で一也は瀕死の重症に陥ったものの、ストーロジ・ジーズニを追い、

時を同じくして日本に来たハバログラード大学の男、ビクトルによって命を救われた。

一也は体が回復していないため一也の関係者によって匿われているが、

ストーロジ・ジーズニは一也を確実に抹殺しようと再び襲いに来ることは間違いない。

一也の関係者たちはそれに対抗すべく、戦いの準備を進めるのだった。

 

 

 

命の番人(ストーロジ・ジーズニ)

ロシアのカルト教団。

元々は医者だった者が始めた宗教。

教団の教えでは「この世の理はすべて創造主たる神のなせる業。

人間の運命もまた、神の意志によって決められている」という。

考え方が急進的になるにつれ、人間の寿命を左右する最先端医療も否定するようになった。

さらに行動そのものも極端になっていった結果、テロ行為も辞さない集団へと変貌。

その結果遺伝子研究を行う研究所にVXガスによるテロを行い、150人を殺害した。

その際に研究所で見たのデータから一也がクローン人間であることを知り、

神の教えに背く存在を抹殺するために襲撃を始めたのである。

 

 

 

 

一也が襲われたことを知ったアグネスタキオンは、

貴重なサンプル一也を守るために防衛隊として参加することを決め、

戦力としてKと関わりのあったウマ娘にも数名声をかけていた。

するとライスシャワー、ナリタブライアン、サトノダイヤモンドが協力を申し出てくれた。*1

 

「と言うわけでだ。君たちには一也君を守るために集まってもらったわけだ。

最初に話しておいたが、本当に命の危険があるが大丈夫かい?

今夜にも連中の襲撃が来るだろう、考え直すなら今だよ」

 

アグネスタキオンが念を押すが、3人の目に迷いはなかった。

 

ナリタブライアンはKに救われた経験を思い出す。

「ドクターKには借りがある。彼がいなければ私の歩みは遥か昔に止まってしまっただろう。

その礼をするにはいい機会だ…一也はドクターKの親戚なのだろう、守って見せる」

 

ライスシャワーは一也に命を救われた経験がある*2ため、それ以来友人となっている。

また麻純とも面識があるので、一切の迷いなく協力を申し出た。

「私は一也くんに命を助けてもらったから。だから今度は私が一也くんを助ける番だよ…!」

 

サトノダイヤモンドはメジロマックイーンやトウカイテイオーの治療にKが携わったことを知り、

それをきっかけにサトノ家の医療チームなどにドクターKの教えを受けるなどをして縁があった。

また、そこからの繋がりでサトノグループは帝都大学とも関わるようになっている。

「ドクターKにはサトノ家も大変お世話になっております。

その家族の方が危険に晒されているというのなら、私たちがお守りします!」

 

3人の気合が入った顔を見て、アグネスタキオンは少し嬉しそうだった。

 

「よし、それじゃあ頼むとしようか。戦力が増えるのは有り難い話だね。

それにしても君たち、命がかかっているからだろうが随分気合が入っているね。

まさか全員勝負服で来るとは…」

 

そう、アグネスタキオン以外の3人は自分の勝負服を着ていたのだった。

決戦の舞台にはやはり、自分の魂を込めた勝負服が一番だと考えたらしい。

一方でアグネスタキオンは対テロ用の完全防備の格好、フルアーマータキオンとなっている。

 

「しかし…現役のダイヤ君はいいが、ライス君とブライアン君はよく着れたね。

勝負服を着るのは数年ぶりなのでは?」

 

数年たっても体形が現役時代と大差ない2人を見て感心するアグネスタキオン。

迸る覇気から、実力も大きくは衰えていないであろうことが伺える。

ナリタブライアンとライスシャワーは少し誇らし気にしていた。

 

「私もライスシャワーもトレセン学園でトレーナーをやっているからな。

いくら引退後とはいえ教え子に簡単に負けるようでは話にならん。

現役中ほどではないが今もずっと鍛え続けているというわけだ」

 

「うん。教える側が実力を見せないと従ってもらい難くなっちゃうもんね。

それに…もうピークはとっくに終わってるってわかっていても、

走りで負けると悔しくなっちゃうんだよね。

並走で負けた後は自主トレーニングしてるんだ」

 

「熱心なようで何よりだねぇ。ただ少し問題があるな…

君たちのその勝負服、それとこれを同時に装着できるかな?」

 

そう言ってアグネスタキオンが取り出したのはベスト。

勿論防寒やファッション用のものではない。軍事用の防弾ベストである。

 

「連中は銃を持っているという話だからこっちもそれなりの装備を用意したんだ。

防弾性能はもちろん防刃防爆性能も高く、刺突や薬品耐性もあるからつけた方がいい…のだが。

ダイヤ君のはいいけど他2人はそのままだと服に合いそうにないね。

仕方ない、ちょっと加工して形を合わせるか」

 

アグネスタキオンがナリタブライアンとライスシャワーの勝負服に合わせ、

防弾ベストの加工を始めた。

先に渡されたサトノダイヤモンドは渡された防弾ベストを見て目を輝かせている。

 

「わあ、防弾ベストですか!初めて見ました!これを着ればいいのですね?」

 

「ああ、それがあれば胴体部の頑強さは桁違いになる、着ておきたまえ。

それにダイヤ君の勝負服はいいねぇ、私の勝負服を思い出すよ。

そのいわゆる『萌え袖』と表現される袖。かわいいという評価とは裏腹に、

手を隠すことで手先の動きを敵に動きを悟られにくくなり、

内部に色々仕込むこともできるから戦闘に向いている服装だよ」

 

アグネスタキオンとサトノダイヤモンドの勝負服は、

長い袖により手がすっぽりと隠れている『萌え袖』の服装。

それは手に何かを持っていても見えず、手がどのような動きをしているか隠すことができるのだ。

 

ナリタブライアンとライスシャワーがサトノダイヤモンドの袖をまじまじと見つめる。

 

「ほう…タキオンやダイヤの袖にはそんな意図があったのか。

なかなか好戦的なものだな。まさか戦いを想定されていたとは」

 

「そういえば、物語では暗器使いの人がそういう袖だったのを見たことあるよ」

 

「ええ~!?私の勝負服はそんなつもりじゃありませんよっ!?

でも、役に立つならいいのかなぁ?」

 

いまいち嬉しくない評価に、少し困惑するサトノダイヤモンドだった。

 

「デリンジャーのような小型銃ならば袖の中にそのまま装備できるよ。

君が良ければ用意するがどうする?」

 

「い、いえ!銃は大丈夫です!

そんな物騒なものを使わなくても、私には鍛えた体とSPの皆さんもいますから!」

 

サトノダイヤモンドが手をたたくと大勢のSPが現れた。

それはサトノ家に雇われているSP軍団である。

仕事上トレセン学園に入る場合があるのでウマ娘のSPが多いが、

今回の場合は総力を挙げての出動であるため武術家の人間なども混ざっているようだ。

 

「お嬢様、防弾ベストをお着せ致します」

 

SPの数人が防弾ベストを着せるべくサトノダイヤモンドを少し別な場所に連れて行く。

アグネスタキオンはその姿を見送りながら、そばにいたSPに声をかけた。

 

「こんなにSPの皆さんが来るとはね。申し訳ないが君たちの分の防弾ベストは用意してないよ」

 

「お嬢様を守るためですから、サトノ家の総力を挙げてサポートいたします。

せめて数日あれば我々の方でも対テロリスト用装備も用意できるのですが、

この短時間では無理でした。

暴徒鎮圧用の催涙スプレーやテーザーガンは用意できましたが…。

しかし、いざという時は命を賭してもお嬢様を守る覚悟です」

 

「その姿勢はご立派なものだが、そもそもダイヤ君を参加させないようにはできないのかい?

防衛に参加すること自体が危険だが、参加するにしても君たちSPだけでいいのでは…」

 

アグネスタキオンは少し困ったような顔をした。

そもそもの話なのだが、サトノダイヤモンドはアグネスタキオンが呼んだわけではなく、

話を聞きつけたサトノダイヤモンドが自分からやってきたのだった。

アグネスタキオンでも現役のウマ娘を戦闘に駆り出すようなことをするつもりはなかったのだが、

サトノダイヤモンドの意志が固かったためにこちらが折れたような状態である。

そしてそれはサトノ家のSPも同じようなものだった。

 

「……我々もお嬢様には再三の提言を致しましたが、受け入れてもらえなかったのです」

 

「ああ、ダイヤ君はかなり頑固だからな。ご苦労なことだ。

SP諸君には言うまでもないことだろうが、なるべく彼女の安全を優先してくれたまえ」

 

そうこうしているうちにサトノダイヤモンドが防弾ベストを着装して戻ってきた。

ナリタブライアンとライスシャワー用の加工も終わり、2人もそれを着装した。

 

「ライス君はまだいいが、ブライアン君の方は腹部が隠れていないから特に気を付けてくれ」

 

「ああ、わかった。防弾ベストは初めてだが、少し重いが案外違和感がないものだな。

ウェイトトレーニング用の重量ベストみたいな感じがする」

 

ナリタブライアンら3人は跳ねたり駆けたりして防弾ベストの具合を確かめた。

いずれも多少重量は増したものの力持ちのウマ娘、あまり動作の妨げにはなってないようだった。

その様子を見たアグネスタキオンはこれからの作戦を伝え始める。

 

「さて、ここからは分かれて襲撃されると予想される場所での防衛に当たってもらう。

まずブライアン君はドクターKEIの診療所に行ってくれ」

 

「わかった」

 

 

「次にライス君、君は黒須さんの邸宅だ」

 

「わかりました…!」

 

ライスシャワーが強い表情と共にグッと拳を握った。

 

 

「ダイヤ君…とSP諸君。君たちは帝都大学に行ってもらう」

 

「了解しました!」

 

 

「そして私はドクターKと合流する予定だ。

テロリストの連中がどういうことをしてくるかわかったものではないが、

先ほどの装備に加えて毒物対策のアトロピンとパムを渡しておく。

誰かが毒物にやられたと思ったらそれを即座に投与してくれ。

あと一也君を守ることは重要なことだが、自分の命を優先してほしい。

それでは健闘を祈るよ」

 

 

 

 

各々が配置場所に向かい、アグネスタキオンもKと合流した。

 

「さて、私の方の増援も防衛に回ってくれた。これで何とかなればいいんだがね」

 

「そうだな。だが敵は殺人も躊躇しないテロリストだ、どうなるかわからない。

しかしアグネスタキオンがこれほど熱心に手伝ってくれるとはな。

危険な状況だ、俺たちに任せて君は現場に出なくてもいいんだぞ?」

 

「そうはいかないよ、一也君は私にとっても大切な仲間だ。

彼を守りたいという気持ちはK先生たちと一緒だよ」

 

そう言ったアグネスタキオンの表情はとてもさわやかだった。

しかしKは冷めた目でそれを見つめる。

 

「建前はいい、本音はなんだ?」

 

「うむ、一也君はおそらく世界唯一であろうヒトのパーフェクトクローン。

彼を失うのはあまりにも惜しいじゃないか!

そんなことは科学者の名にかけて阻止させてもらう!」

 

アグネスタキオンは強く拳を握りながら本音を言う。

それを聞いたKはしかめっ面をしていた。

 

「最初からわかってはいたが、君はそういう人間だものな」

 

「そういう人間だね、私は。

とはいえ同じ診療所の仲間として大切に思ってもいるんだよ?

ただ、私が命の危険を冒してでも彼のために戦う理由がそれだというだけさ!」

 

 

一也を守るため、Kの一族とウマ娘たちが立ち上がった!

*1
※ライスシャワーとナリタブライアンは引退後それぞれサブトレーナー、トレーナーとしてトレセン学園に所属。サトノダイヤモンドだけ現役ウマ娘

*2
「黒い足音」参照

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