Pinkdama-is-awesome   作:てふてふぼうず

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3話/サーカス

 

 

ー教育部門ー

 

「いた!『開始の歓声』だ、何かを起こす前に速攻で片付けるぞ!」

「はい!」「了解!」

 

 

 

 

 

「早く…早く倒れろ…!」

「シシシシ!」

 

 

 

 

 

「…クソッ…間に合わなかったか。管理人!奴はどこへ…」

「ビ、ビ、ビルさん…この収容室って……」

「…!ははっ、マジかよ。よりによって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして()()()なんだ」

 

 

 

『教育部門に『働き蜂』が出現しました。付近のエージェントは、至急鎮圧に向かって下さい』

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、速すぎるだろ…」

 

 俺たちは今、息を切らしながらあのピンク玉を追っていた。

 追いついたと思ったらすぐ振り切られ、回り込めば頭上を飛び越え、疲れる気配を見せずにずっと走り続ける。アブノーマリティと人間の違いを、いやというほどわからされる鬼ごっこだった。

 

…結局追いつけなかったが。

 

 廊下に座り込み、休憩する。

 それにしても不思議なものだ。あのピンク玉は俺たちが追いかけている間、ずっと反撃をしてこなかった。今日の作業でもそう。やはり、あのアブノーマリティは他とは少し違うのだろうか。

 

 

 …いや、『F-04-83(妖精の祭典)』のときに誓っただろ。惑わされるな。ここはロボトミーコーポレーション。少し気を抜けば、油断すれば命の保障はない。

 

「…よし、鬼ごっこ再開だ。管理人!『O-02-k20』の行き先を教えてくれ!」

 

 息を整え、仲間と共に再び追跡を再開する。…いや、()()()()()()()()

 

「ダニエル、ウィル、デイビット!今すぐ教育部門に()()()向かってくれ!厄介なアブノーマリティが脱走した!」

 

「……なっ!了解!」

 

 管理人からの連絡が入り、足を止める。追跡を中断してまで優先することだ。なにか良くないことが起こったのだろう。

 

「2人とも、急ぐぞ!」

 

 俺たちは武器を握り、教育部門へと向かう。

 

 

 

 

 

 

ーコントロール部門ー

 

 

「ふぅ、やっと仕留めました。本当にこの人形は厄介ですね」

「なに悠長に喋ってるのよ!こいつら、死んだ後に爆発することを忘れたの?」

「…!そ、そうでした!早く逃げましょう」

 

 

「ここまで離れれば…あ、誰か来ました」

「管理人の指示が届かないってことは、オフィサーかしら。おーい、ここは危ないわよー」

「……ん?あれ、アブノーマリティじゃないですか?しかもこっちに来てる…」

「え、嘘でしょ?!早く武器を構えて!」

「でもなんか立ち止まって……あ、人形を食べた…って、うわ、まぶし!」

 

「………あ、あれ?アブノーマリティは?……いない」

 

 

 

 

 

 

 俺たちが教育部門のメインルームに着くと、そこに広がっていたのは凄惨な光景だった。

 首から上のない裂けた死体と、真っ赤な部屋を我が物顔で歩く、巨大な蜂のような化け物。そして、その蜂と交戦する職員たち。

 俺たちは職員と合流すると武器を取り出し、その戦いに加わる。

 

「よう、ダニエル、また会ったな!お前と生きて会えれて嬉しいよ!」

「…そうだな、俺も嬉しいよ、ジョシュア」

 

 前線の方に、丸鋸を振り回すジョシュアがいた。他にも、人数は少ないが、『深紅の白昼』のときにいた顔ぶれが集まっている。

 エージェントの被害はあまり無いようだ。

 ということは、廊下の死体のほとんどはオフィサーたち。どうしてこんなに…逃げられなかったのだろうか。

 

「先輩!よかった、生きてて…」

「メア、お前も無事だったか。本当に良かった。…ところで、なんなんだ?この蜂どもは」

 

 俺がそう尋ねると、飛びかかってきた蜂の一匹を槍で貫きながら、メアが説明を始める。

 

「こいつらは『T-04-50(女王蜂)』の胞子から生まれたアブノーマリティ、『働き蜂』です。『T-04-50』のクリフォトカウンターが0になった瞬間、教育部門中に胞子が撒き散らされたらしくて……」

 

「…一瞬で、全滅したということか」

 

「先輩も気をつけて下さい。こいつらにやられると、その体を突き破って新たな『働き蜂』が生まれます」

「!わかった、ありがとう」

 

 蜂が人を襲い、そこからまた蜂が生まれ、人を襲う。急いで倒さなければどんどん被害は拡大していくだろう。

 

 そうはさせない。俺たちができる限り引きつける。

 

 

 

 

 蜂どもが羽音を響かせ、牙の生えた丸い口をガチガチと鳴らしながら行進する。

 8本の脚を斬る。頭を潰す。炎で包む。羽をもぐ。精神を狂わせる。

 だが、奴らの勢いは衰えを知らない

 

「クソッ、多すぎる。もしかして、繁殖してるのか…!」

 

 明らかに数がおかしい。職員1人で一体なら、とっくに鎮圧が終わっている。

 そのとき、奴らの内の一匹が職員の体を掴み、どこかへ飛んでいった。奴らは見た目からして、虫のような特徴をもっているのだろう。

 つまり、あの死体の行き先は、

 

  …奴らの親の元だ。

 

「管理人!『T-04-50(女王蜂)』の収容室はどうなってる!」

『……あー…そのことなんだが、ダニエル。奴の収容室は砂嵐がかかって見えない。だが、収容室の前の廊下に『働き蜂』が職員を積み上げてるのは見えるな』

「…ならきっと、それがこの大量発生の原因だ!」

 

 原因がわかれば、後は簡単だ。()()()()。そうすれば、この蜂どもの発生も抑えられる筈だ。

 

『ダニエル。俺が原因に気づいていない訳がないだろう?残念だが、おまえの考えていることは不可能だ。

 収容室の扉の前には、孵化したばかりの『働き蜂』が大量にいる。それに、胞子の濃度も高い。お前たちでは、たどり着くことはできない。そこで増援が来るまで耐えててくれ』

 

 そう言って通信が切れる。

 

 

 

  …なんだ、無理だって言うのか?

  俺たちにここで耐え続けろと?

 

 それこそ無理だ。奴らは無限に増え続ける疲れ知らずの兵。対してこちらは人間。みんな、疲労が溜まってきている。試練から今まで、動き続けたせいだ。

 

 

 

 

 

 

「…は?おいっ、ダニエル、何してんだ!」

「…!先輩、待ってください!」

 

…これ以上待つわけにはいかない。

 手前の蜂を大砲で殴り、奥の一体を炎で包む。そして、それに怯んだ蜂どもの間を駆ける。目指すはその先、エレベーターへの扉だ。

 

 こちらに気づいた蜂どもが、近づいてくる。

 床を滑り、噛みつきを回避すると、脚で捕らえようとしてきた奴に、大砲を撃つ。そして頭の吹き飛ばされた蜂を押し倒し、エレベーターに飛び込んだ。パネルに腕を叩きつける。行き先は上の階。『女王蜂』の収容室前だ。

 俺は到着までの短い時間で、息を整えた。

 

 

 

 

 扉が開くと、そこに広がっていたのは地獄絵図だった。積み上げられた職員の死体。その死体を運ぶ『働き蜂』。今生まれようと、死体の中で蠢く『働き蜂』。

 

 俺は『女王蜂』の収容室を探し…見つけた。

 

「……あそこか。」

 

 埋もれかけた収容室の扉に何匹もの働き蜂が挟まり、扉が閉まるのを阻止している。…予想が正しければ、あれを取り除いたとき、『女王蜂』は収容され、『働き蜂』の大量発生は収まるだろう。

 

 廊下に足を踏み入れると、無数の働き蜂の頭がこちらを向く。

 

「…ッ!」

 

 あまりにも悍ましい光景に、一瞬怯みそうになるが、歯を食いしばって踏ん張る。

 奴らは驚いたのか、それとも喜んだのだろうか。一瞬、蜂の動きがとまる。

 しかし、それも束の間、比較的近くにいた蜂の3匹が、気味の悪い羽音をたてながらこちらへと飛んできた。

 

「うおらああぁあぁぁぁ!」

 

 扉の蜂を吹き飛ばす。ただそれだけだ。

 覚悟を決めて、走り出す。

 

ダァンッ

 

 まず先頭の一匹を倒し、少し後ろに飛ぶ。目の前で、ガチンッ!と音を立てて、蜂の口が閉じる。そこに大砲を撃ち、左の蜂を燃やす。

 残りの一匹の攻撃は、腕のEGO(防護服)で受けとめる。そこを狙って…

 

ダァンッ

 

 最後の一匹を倒した。

 

「よし…これで…」

 

 大砲の照準を収容室の扉に合わせる。そして、

 

 大砲を撃った。

 

 

 が、射線に入り込んだ『働き蜂』によって、それは防がれる。

 

「っ!クソッ、ならもう一発…」

 

 大砲が再び発射可能になるまでに、『働き蜂』は次々と現れる。

そして奴らは1秒、2秒とまたずに廊下を埋め尽くす。

 

「…がっ!」

 

 大砲の照準をあわせようとした時、横から奴らに体当たりされ、吹き飛ばされる。

 

 

……失敗…か。

 

 

 『働き蜂』の開いた口が目の前まで迫り……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぽーよぉー!!」

 

 

 

 ()()()()()ピンク玉が、目の前の蜂の集団に突っ込む。

 

「……へ?」

 

 ピンク玉はそのままバウンドし、突如現れた火の輪をくぐって着地した。

 

 その頭には、カーニバルテントに、髭の生えた顔をイメージさせる飾りのついた、カラフルな帽子をかぶっている。

 

コピー能力《サーカス》

火のわくぐってトランポリン

アクロバティックに、ワザをきめろ!

 

 

 

「ダニエエエェェル!!」

「せんぱぁーい!」

 

エレベーターから見知った声が聞こえる。

 

「ジョシュア!メア!どうしてここに…」

「メア、()()を頼む」

「了解!」

 

 2人はそう言うと、こちらを見て、

 

ドゴォ

 

 メアが槍の柄で殴ってきた。

「メア!パニックからの復帰は回数が大事だ!殴りまくれ!」

「はい!」

 

「イタイ、イタイイタイ!やめ、やめて本当に。その武器、BLACKだから!物理入ってるから!」

 

「…チッ、このバッカヤロォ!1人で突っ走りやがって!アブノマの大群に1人で乗り込むやつがいるか?!」

「そうですよ!先輩!私たちがどれだけ心配したか…」

「っぐ、…すまない、2人とも。()()…」

 

ドゴォ

 

「まだパニックなんですか?先輩」

「アッイエ、ダイジョウブデス」

 

 ウチの後輩ってこんなに怖かったっけ…

 

「……それにしても、どうしてここまで来れたんだ?『働き蜂』は…」

 

「あー…それなんだが…」

 

 ジョシュアの視線の先には玉乗りをするピンク玉が。

 

「あいつのおかげなんだ」

 

 

 

 後から知ったが、管理人の言っていた増援がこのアブノーマリティなんだとか。エレベーター(俺が使ったやつの反対側にある)から続々と蜂が降りてきて、やられそうになった所を助けてくれたらしい。

 

 俺もピンク玉を見る。

 

ピンク玉は、大玉から降りると風船を膨らませる。その風船はどんどん大きくなり…大きな衝撃波を伴って破裂。辺りの『働き蜂』を吹き飛ばした。

続いて火の輪を生み出し、炎を纏いながら廊下を跳ね回る。その炎は蜂の苗床へと燃え移り、卵や蛹を焼き尽くす。

 

 

 

「すごいな……」

 

 その言葉しか出なかった。いや、出せなかった。

 蜂を猛獣のように扱い、多彩なワザを駆使して炎の中で戦う様はまるでサーカスの芸の様に、危険で美しい。

 その動きを追うのに精一杯で、声を出そうとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 とうとう廊下から蜂の姿が消えた。

廊下の真ん中では、ピンク玉が不思議なダンスを踊り、(多分)勝利を祝っている。

 

 

 

 

 

T-04-50(女王蜂)』の鎮圧が、終了した。

 

 





困難に立ち向かうために必要なのは友情だって古事記(週刊)にも書いてあった。



※この物語は、他の方の考察、設定、独自解釈の引用が含まれております。
偉大な先人の功績に圧倒的感謝を。
※体力の偽造、攻撃方法の捏造をお許し下さい…
※カービィ成分が足りない?私もそう思いましたので、どうか次回にご期待下さい…
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