吸血鬼(に関わったら胃が)すぐ死ぬ   作:ケツアゴ

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体育祭


 始まりは中国で光輝く子供が生まれたとか何とか、まあ、簡単に説明するんだったら個性って呼ばれる特殊な力を持つ人達が生まれ始めたって所かな?

 

 

「行ってきまーす!」

 

 太陽が出るよりも少し前の時間帯、もうすぐ空が白み始めるよりも前に僕は日焼け対策をバッチリして張り紙だらけの玄関から出て日課のランニングを開始した。

 人殺しやら出ていけとか嫌がらせの文字が大きく書かれた張り紙も僕は特に気にならない、精々暇だなって所かな?

 

「今日は何処まで行こうかな? この前は死ぬかと思ったからなぁ」

 

 今じゃ人口の八割が個性を持っている時代、だからこそ無個性の人への差別が凄まじいし、個性持ちが出始めた頃から異形系の個性持ちへの迫害はチラホラと、この前も海外で災害が起きた時に異形系個性の人をシェルターに入れるのを拒否したってニュースがあるんだから世も末だ。

 

 僕も死人みたいに血の気が引いた肌やら尖った耳や鋭い犬歯と異形系の分類に入る、ギリギリ普通の見た目だから……おっと、個性無関係の見た目が普通って時点で僕にも差別意識が有るって事か。

 

 ぶっちゃけ個性が混ざりあって制御不能になりつつあるって終末論やら個性を使った犯罪、それに対応するヒーローの戦いをショーか何かみたいに眺める一般人やら、個性の規制で爆発した結果が姉さんだったり、もう個性って神様が遠回しに人間を滅ぼそうってしているんじゃないのかな?

 

 

 

 おっと、自己紹介が未だだったね。

 

 僕の名前は渡我裏奴(とが うらど)、趣味はランニングと他人をおちょくる事、個性は吸血鬼さ!

 

 

 まあ、吸血鬼っていっても一部の能力は少しだけ変な感じなんだけれどね。

 

 

 

 

「……よう」

 

「やっほー! いい朝だね、マイフレンド。今日は体育祭だけれど体調は万全かい?」

 

 今日は僕が通う雄英高校の体育祭、スポーツ競技が個性の出現で殆ど廃れた今じゃオリンピックみたいに盛り上がるんだけれど、同じくランニングをしていた友達の心操にとっては少しばかり重要なイベントだ。

 

 

「活躍を見せて編入が決まれば良いよね、ヒーロー科」

 

 僕も彼も普通科だけど、心操は元々ヒーロー志望。

 だから活躍を見せてヒーロー科に入りたいんだって、僕には全然理解不能だけれどさ。

 

「ああ、他の連中をどれだけ蹴落としても俺はヒーロー科に入る。……おい、渡我。お前は本当にヒーローを目指さないのか? お前の個性だったら……」

 

「僕がヒーロー? 姉さんの事が無くたって有り得ないよ、そんなのさ。今はオールマイトの存在もあってヒーロー飽和社会だけれど、普通に考えて他人の為に命を張る危険な仕事なんて面倒だもの」

 

 ショーかなんかみたいな気分でヒーローの活躍を眺めて、巻き込まれたら罵倒される糞みたいな民度が今の日本だし、平和の象徴だって今じゃあ五十代、そろそろガタが来る頃じゃ無いのかな?

 

 

「……そうか」

 

「そうだよ!」

 

 僕は身内が個性犯罪者な上に吸血鬼なんて化物みたいな能力で、心操だって洗脳だからね、周りから犯罪者予備軍みたいに見られて遠巻きにされているんだけれど、そんな共通点を持つから引っ越し先で出会ってから仲良くなったのさ。

 尚、さっきのオールマイト関連への意見は言わない方が良いって心操から言われているけれど、普通に同じ事を思っている人は多い筈だよね?

 

 

 

 

 

「まあ、僕も将来の就職や進学の為にも体育祭で目立ちたいし、何よりも堂々と他人に個性を使う機会だからね。必要な時以外は互いに妨害無しって事で」

 

「ああ、分かった。……所で後半の方が主だろ?」

 

「うん、正解! だって人で面白おかしく遊ぶの楽しいからね!」

 

 

 

 

 

 

 そして開始した体育祭、第一競技は障害物競走。

 コースアウト以外は何をしたってオッケーな最高の競技だ。

 

 

「わわっ!? 危ない危ない!」

 

 頭が赤白の子が開始直後に張った氷で足元が一気に凍結、それを読んでいたA組の面々は避けたし、心操も他の生徒を操って避ける。

 

 僕? 僕は当然こんなの避けたよ。少し驚いたけれどね。

 

 

 

 

『おおっと! 普通科の渡我が空を飛んで先頭を走る二人に追随! 少し後ろを飛び続ける!』

 

 

 第一関門も第二関門も二人の後ろを飛び続け、残るのは最後の地雷原。

 僕の一メートル程前、トップを走る轟君と爆豪君がそれぞれの個性で地雷原を走り続け半分まで来た時だ、そろそろ後続も来たから僕も勝負に出るとしようか。

 

 

「君達、魔法少女は好きかい?」

 

「あぁっ?」

 

 おっと、片方は無視でもう片方はガラが悪いな、怖い怖い。

 怖いから一気に加速、二人を抜く寸前に肩に軽く触れてあげれば、ポンって軽い音と共に二人をピンクの煙が包む。

 それが晴れた時には……。

 

 

 

『こ、コイツはビックリだぁ! 二人が学校指定のジャージからフリフリのドレスに早着替え! 全国放送で女装はキッツいな、おい!』

 

 追い抜いてからは見ないようにしようと思っていたんだ、流石に悪いからね。

 でも、実況を聞いちゃったら我慢出来る訳が無い、ついつい苦手な後ろ向きの飛行に切り替えちゃったら……ぶふぅ!

 

 

「あひゃひゃひゃ! ちょっ、ごめん、ぶふふふふふふっ!」

 

 爆豪君は赤を基調としたミニスカート、胸元には星のマーク。

 反対に轟君は青のロングスカートで胸元には三日月のマーク、二人揃って自分に何が起きたのかは完全に飲み込めて無いんだけれど、僕が何かをしたってのは分かったみたい。

 

 あっ、先に爆豪君が状況を飲み込んだみたいで鬼の形相で襲い掛かって来た。

 

「死ねや糞がぁあああああっ!」

 

 右手を僕に向けての爆破、かと思いきや個性は発動しない、それは地雷原を凍らせて走っていた轟君だって同じだ。

 

 

「残念だったね魔法少女ボーイズ達! 僕の個性でその格好になった場合、三分間は個性が魔法少女になるのさ。じゃあね、マジカル⭐バクゴーとミラクル トドロキ! ぶふえっ!」

 

 や、ヤバい、ツボに入った!

 

 腹を抱え二人を観察しながら笑いを必死に堪える。

 駄目だ、既にお茶の間の笑い者になりそうな二人をこれ以上笑ったら……だひゃひゃひゃひゃ!

 

「笑ってんじゃねぇぞゴラァアアアアッ!」

 

 普通に掴み掛かって来たけれど軽く避けて置き去りに、凝視は悪いから背中は向けてあげたんだ、優しいだろう?

 

 

 

『誰がこの光景を予測したでしょう!』

 

 僕と心操、それと多分テレビが見れていたら姉さんも予想しているんじゃないのかな?

 明日にでも面会に行って聞いてみようっと。

 

 

『第一種目一位は……普通科・渡我裏奴!』

 

 背後で大きな爆発音がしたけれど気にせず勝利のVサイン! うーん! 僕、目立ってる!

 

 

 

 さてさて、次の競技はなーにかな?

 




姉さん、何処の何身子なんだあ? 尚、一卵性の双子です
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