「露出の多い服から覗く肌や拘束フェチよりも無駄毛の剃り残しが至高であると誰かが示さねばならぬ! 俺が認めるのはヒーローに多いピチピチタイツではなくチラリと見える脇だけだ!」
大勢のヒーローを殺傷したヒーロー殺しステインこと赤黒血染が気を失う直前に残した言葉と迫力はその場に居たヒーロー逹を釘付けにし、その様子を捉えた動画は削除と投稿のいたちごっこになる事になる。
「いやぁ、何か凄い事になったなぁ」
早朝、校内の器具トレーニングジムを使って運動をしながら目を向けるテレビではヒーロー殺しについてのニュースばかり、コメンテイターもネット上のコメントも絶句してたり明らかなドン引きだったりと僕としては笑える、爆笑、大爆笑!
「今日も愉快だ、ご飯が美味い!」
「ヌーヌヌ!」
だから朝御飯を茶碗で三杯、焼きタラコと卵焼きを二個ずつお代わりしちゃったんだ。
ステインが逮捕された日、同時に起こったヴィラン連合の襲撃事件もあって仲間であると認識、これまでの言動も合わせ様々な理由から出た結論は一つ……彼等は自分達の性癖を認めない社会を引っくり返して堂々と性癖をオープンにするのが目的の集団である、と。
その様な理由でと憤る者、ドン引きして近付きたくないと思う者、ヴィラン連合が変態集団であると認識されてかテロ紛いの連中扱いの時よりも恐怖は蔓延しないものの逆に侮って危機意識が足りていないのを危惧する者逹。
そして……。
「我が血族逹よ。向かうべき場所が決まったぞ」
とある森の中、尻と足が生えた花逹を従えた裸マントの男が携帯電話で動画を見ながら……。
「拘束も無駄毛もエッチですよね」
異形型にしても少々見た目が奇妙な珍獣は古いエロゲをする為に古いパソコンを求めて向かった電気街の大型モニターでニュースを見て……。
本来ならば小さく行き場所も無い悪意……いや、変態性の者逹はヴィラン連合という受け皿をステインのカリスマ性と叫びによって示された事によって集う。
「あぁあああああああっ!? 俺は拘束フェチじゃねぇええええええええっ!」
「私の事も覆面フェチだと……」
ネット上で完全に変態扱いされてキレ散らかし、絶賛ストレス性の胃炎を発症中の男の元へと変態逹が集おうとしていた。
「敵に回さなくても引っ掻き回されちゃったか。……あれ? 下手したら僕は変態の元締め扱いされる? だけど此処まで手間暇を掛けての計画を放棄するのもな。ああ、本当に……反抗期とは困ったものだよ」
同時にとある巨悪の弱りきった胃に割りと深刻なダメージを与えている最中であった。
「え? 僕が自傷癖のドMだって掲示板で……」
更にはヒーロー志望の涙腺ゆるゆる少年にも飛び火しているし、何なら体育祭でのマイクロビキニ巨人の映像も流出している。
たった一度Y談を強制的に喋らせようとしたのが此処まで広がりはしたものの、他の生徒は有意義な職場体験を過ごした者や微妙な気持ちのまま終えた者と差があれども無事に五日の期間を終えた。
そして……。
「次は期末試験だし、演習試験に向けての特訓に付き合って欲しい? 別に良いけれど……」
職場体験が終わったばかりの休日、私有地までマイフレンドとやって来て武器を構えて向き合う。
心操は刺又、僕は一般人だから武器なんか持っていないから縄跳びの持ち手を二つ同時に持って鞭みたいに構えていた。
「拳藤が先輩から聞いた話じゃロボット相手らしいからな。俺は
「今は、か。ふーん、その内電子機器まで操りたいんだ。向上心が有るじゃないか」
書店とヒーロー事務所を同時にしている所だなんてどんな体験をしたのかと思ったけれど、目付きがギラギラした感じに変わっちゃってさ。
「メールでは南斗編集何ちゃらの使い手がいたんだっけ?」
「俺に南斗編集戦斧拳の指南本を二千五百円で売り付けたのはお前だよな? ったく、フクマさんに色々教えて貰えたから別に良いんだが……編者者たる者、猫大好き、パン粉が、パン粉が……」
「本当にどんな体験を……いや、止めておこう。僕にもその程度の気遣いは可能だ」
いやはや、一瞬だけ目がヤバイ感じに見開かれたからな、マイフレンドは本当に何をやらされたんだと思いつつも好奇心を抑え込んで縄跳びを構える。
こうして訓練をするのは中学の頃からで結果は僕の圧勝、その場から半歩だけ動いて心操の攻撃を全部受け流したり避けたりしていたからな。
入学してから暫くしていないけど今はどの程度なのか気になっている僕の前で心操は自分の片目を手で覆う。
「動け、より素早く。なれ、もっと強く」
そっと手を離せば片目は洗脳された相手と同じで様子も少し変わる。
「……ふーん。じゃあ、始めようか」
ちょっとだけ騒ぐ血潮、犬歯で自分の唇を切って血を嘗めれば倍率ドン、高揚感を抑えるのが大変だ。
「ああ……」
合図と共に心操は一歩前に踏み出し、次の瞬間には刺又が僕に迫っていたのを横に跳んで避ければ既に薙ぎ払いの動作に変わっている。
ちょっ!? 少し速くなってないかい!?
「はは、はははは! 凄い凄い! 自分を洗脳して身体能力を上げたんだね」
「増強系の個性だろうが体の機能だろ。それに合った体じゃねぇから負担も発動時間も及ばないんだがな」
突き、払い、回転を加えた突き、柄を使った防御や地面を突いての移動、その全部が僕が知っている頃よりも格段に上がっていて、本当に楽しい。
縄跳びでの防御に怪力を発動しても力を受け流されそうになって、ちょっとだけ僕も本気で動く。
先ずは念動力で足を払い、刺又に手を当てて滑らせながら前に出る。
其処から肘鉄を胸に叩き込もうとしたら姿勢を低くして額で受け止められ、そのまま心操は数歩後ろに跳んで距離を開けられて、そのまましゃがみ込んだ。
「……もうヤバイ」
「発動時間は三分って所だね。でもまあ……凄く強くなったじゃないか、マイフレンド」
息も絶え絶えで涙さえ目に滲んでいる状態だけど心操は笑っている、多分暫くは再開出来ないだろうにね。
拳を目の前に突き出せば向こうも拳をコツンとぶつけようとして、途中で思い止まったみたいに手を戻す。
なーんだ、ノリが悪いんだ。
「手加減っつーか半分遊ばれた状態だ、これで強くなったと言えるかよ。少なくても昼間のお前、それも一人相手にもう少し戦えないとまだまだだ。……彼奴逹よりはスタートが遅れたんだ、追い付くのに時間が掛かる」
その場で座り込んだまま視線を送るのはB組の生徒数人、学校にまで行くのは面倒だと僕の私有地に向かう最中に塩崎さんと遭遇して、その流れで都合が付いた何人かが参加したんだ。
塩崎さんは頭の茨から中年男性の顔をした果物を実らせて白目を向き、何か口が悪い奴はマイクロビキニ巨人になって他数名を下敷きに大の字で伸びて、それにチョップしていた委員長だって子は普通に気絶、ついでに収録帰りで遭遇したから監督してくれるって参加したプレゼントマイク先生はゴキブリの通り道にいたせいで……。
「あっ、そろそろデトネラットの株主総会に向かわないと。後は頼んだ、マイベストフレンド」
「いや、後始末全部俺に押し付ける気か……今度何か奢れ」
よし、じゃあ行こうかな。
……私有地以外も飛んでいければ楽なんだけどなあ……。