吸血鬼(に関わったら胃が)すぐ死ぬ   作:ケツアゴ

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大丈夫! マグ姉が居れば弔と黒霧は胃痛が和らぐ

 ホークスのサイドキックであるトゥワイスの人生は波瀾万丈であった。

 ヴィランの引き起こした事件で天涯孤独となり、住み込みで働く事になったのだが、バイクで移動中に近くの民家で幼い双子が使った個性に驚いた事でそのまま進んでいたら飛び出し事故に遭う所だったのを回避、そのまま働き続けるはず……だった。

 

 

 大口の取引を達成した事で開催が決定した社員旅行、楽しい楽しい洞窟探検、安全なルートをガイドの案内で進むだけだったそれはヴィランによって惨劇の場へと変わり果てる。

 

 

「俺が……俺が死んだ……」

 

 生存者はたった一人、トゥワイスのみ。

 崩壊した洞窟の中、岩を個性で増やした自分によって支え続けるも、やがて限界が訪れて彼の目の前で多くの彼が潰されて溶けて消えた。

 最終的に救助を得意とするヒーローチームによって救出されるも心に負った傷は深く、彼は自分の複製を作れなくなったのだ。

 勤めていた工場も閉鎖、住む場所も無くなった彼だが救助にあたったヒーローによって知り合いの会社を紹介され、トラウマによって精神が分離しそうになりつつもカウンセリングを受けながら一般人として暮らして行くと思ったのだが、偶然遭遇した事故現場で人助けの為に個性を無資格で使ってしまい、それが彼の人生の転機となった。

 

 

「君さ、ヒーローを目指す気は有る?」

 

 それが生まれて初めての親友となるホークスとの出会いであり、彼に雇われサイドキックとして働きながら資格を得る事になったのだが……。

 

 

 

 

 

 

「強盗殺人犯、ヴィラン名マグネ確保!」

 

「ったく、折角の旅行の最中にヴィランと遭遇するなんて不運だわ」

 

「まあ、そう言うなって。一応複製は置いてきたが長期の旅行に出たんだし、これで気兼ねしないで済むだろ?」

 

「別にそもそも気兼ねする仲じゃないでしょ! ほら、さっさと引き渡して次行くわよ!」

 

「お、おう……」

 

 その仕事の最中に自分を助けたヒーローチームと再会、その一人であった土を操る個性の持ち主と結婚、完全に尻に敷かれているが幸せであった。

 

 

 

 

 

「予想はしていたんだけどね……」

 

 デトネラットは僕が所有する国内。

 株の中でも一番価値が高い奴の会社で、多種多様な個性に合わせたサポートアイテムを作成してくれる。

 

 まあ、僕は普通の日焼け止めとかで事足りるし、体のサイズも形も個性の影響は耳が長くて尖っている程度しかないんだから特に用は無いんだけれど。

 

 

「おや、相変わらずジャージなんだね」

 

「本来ならば制服でも着てこようとは思ったんだけれど、友達相手に個性の訓練をしていたんだよ、四ツ橋社長」

 

 尚、特にスーツとか持っていないから普段着で株主総会に参加している僕、株主総会後に軽いお茶会が開かれたけれど、どうも人の注目を浴びている。

 もう体育祭の熱も例の連合やらのニュースで冷めただろうし、一応学校指定のじゃなくて私物のジャージで来ているのにさ。

 

 

 

 まあ、それでも異形型の個性の持ち主には未だに魔法少女にして欲しいと頼まれるのは本当に面倒だ。

 友達でもないのにわざわざ私有地にまで連れて行くのは時間の無駄にしかならないし、僕には個性の使用資格が無いって言っても分かってくれない人まで居るんだからさ。

 

 肌以外普通の顔に生まれたお前には分からないって、そもそも人間同士で本当に分かり合うだなんて出来る訳がないのにね。

 

 

「君くらいの年頃の女の子はお洒落に興味が有るからね」

 

「え? このジャージの柄ってお洒落じゃないか」

 

「え?」

 

「え?」

 

 僕は自分が着ているジャージを摘まんで柄を見るけれど、このジャージがお洒落じゃないって本気で言っているんだろうか、この人。

 ほらね、人間同士は理解しあえない。

 

 向こうも本気で言っているのかって顔で暫く固まっていたけれど、微妙な空気を誤魔化す様に咳払いをした後で四ツ橋社長はこんな事を聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「何か将来はヒーローにはならないから個性が強力でもそんなに意味が無いみたいな事を表彰式で言っていたけれど、個性を自由に使える社会になって欲しいとは思わないのかってさ」

 

「……ふーん」

 

 株式総会の後、トゥワイスさんのお土産があるからと向かった個室有りの喫茶店にて僕がポロっと漏らしたのは四ツ橋社長だの周囲で仲良くしていた人達から多少の差があれども血の匂いが漂っていたって事。

 差が出たのは直接血を浴びるか、それとも少し遠距離から攻撃可能な手段を持っているかで、個性なのか薬品なのか痕跡はちゃんと消していたんだろうけれど、吸血鬼の血に対する察知能力の前には無駄だったって訳さ。

 ホークスもホークスの複製もトゥワイスさんも和やかだった空気を一変、僕の言葉を聞き逃さないようにしていた。

 うーん、仕事の顔になったし、ちょっとだけ余計な事を漏らしたって気分になりつつ彼と交わした会話について語る。

 

「使えたら便利だし、そうなるなら助かるとだけ言っておいたよ。直ぐに誰かに呼ばれて離れたから、それで起こるだろう事故や事件の防止や関係者のケアの仕組みがしっかりするのが前提だってのは言えなかったけどさ。まあ、無理じゃないかな? 平和の象徴が犯罪の抑止担ってる今でも制度が追い付いていないんだから」

 

「まあ、お偉いさんは現状維持が好きだから仕方無いさ。革新が必要だと分かっていても責任は取りたくないんだよ。オールマイトが居れば大丈夫って先送り先送りってやって来て、その内ツケを払うのは後の世代だ」

 

「その平和の象徴オールマイトも吐血するとか体にガタが出始めてるからどの道今動いても間に合わないだろうけどね。そうそう、異能力解放だの勧誘がどうとかこうとか言っていたし、周囲の一人はマスコミ関係っぽかったよ」

 

 それ程興味が無かったから聞こえて来た話はこれで全部、後はお土産の置物とかジョン向けのお菓子とかを貰って帰ろうと思ったんだけど、皆唖然としている。

 

「えっと、今の話をもう一度してくれるかな?」

 

「ああ、マスコミ関係だと思ったのは記事がどうとか取材だのそれっぽい事を言っていたからで……」

 

「いや、そうじゃなくってオールマイトの方。今の社会の存続に関わる話題だからもう少し詳しく!」

 

 何時も違って鬼気迫る表情で言葉も強めのホークスの手が僕の肩を掴む。

 これも余計な事を言っちゃったっぽいな。

 

 




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