吸血鬼(に関わったら胃が)すぐ死ぬ   作:ケツアゴ

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魔法少女ボーイズ再び?

 個性を使うのは楽しい、要するに思い切り体を動かすのと同じ事だからだ。

 だから個性の制限を食らった状況じゃ不自由さを感じる訳で、ルールという大義名分の後ろ楯をもって使って遊ぶという信条の僕だって機嫌が悪い時にはついつい使いたくなる訳で、とある能力を使ってしまったのが現状に繋がっているんだよね。

 

 

「……完敗だな。右と左の両方を使ってたとしても負けたと思う」

 

「うむ! ジョン君も凄まじいが君も凄いな」

 

「てか、あの電撃って指向性持ってたし、ぶっちゃけ上鳴の……」

 

「駄目だぞ、耳郎さん。個性の一部だけで上位互換等と言っては!」

 

「いや、ウチは途中までしか言ってないよ、飯田」

 

 そして普段は包装ビニールを切る程度にしか使っていなかった血刃を振るってみた結果がこれだ。

 顔に見覚えがあるから全員ヒーロー科だろう連中に囲まれて称賛を浴びている。

 いや、称賛の言葉は良いんだよ。

 称賛の言葉自体は大好きだ、思う存分僕を誉めろ、もっと誉めてくれて構わない。

 

 

 たださあ、囲まれているってのが面倒なんだよなあ。

 

 

「あの威力は上鳴君の最大出力と同程度? いや、あれが全力とは限らないし、無差別放電みたいに広範囲に放出可能かは別にして、体内で発電しているのか充電する必要があるのか。上鳴君は全力で放電すると頭の働きが低下するけれど、充電だった場合の必要時間や何かしらのデメリットがある必要も……ブツブツブツブツ」

 

 それと緑谷君は普通にドン引き。

 

 

 

「本当に凄いわね。ヒーロー科の授業は受けていないんでしょ? なのにあれだけ動けるだなんて」

 

「おや? 見慣れない顔だね。渡我だよ、宜しく」

 

「私はメリッサ、此処で研究者の卵をしているの。それであの、ちょっと急で驚くかも知れないけれどお願いがあって……」

 

 そんな風に言い淀む彼女から聞いた話では轟君と此処には来ていない爆豪君が個性を魔法少女に塗り替えられたって話に少し興味が出たらしい。

 何でもミラクル トドロキって言葉に不思議がられたから轟君が説明したらしくってね。

 

 

 まあ、滅多に使えない力だから使うのは問題ないんだよ。

 マイフレンドもホークスもトゥワイスさんも使わせてくれないし、ジョンに使っても可愛いだけだし。

 

 

 

 

「じゃあ、えっと……」

 

 確か眼鏡の彼はイイダって呼ばれていたなと思い出せばトーナメントで飯田って名前を聞いた記憶が甦る。

 

 

 

 

「ミラクル トドロキとラジカル▲ミドリヤとリリカル◆イイダのどれが見たい?」

 

「「「!?」」」

 

「選択肢が男の子オンリー!? えっと、そうじゃなくって私、私に使って欲しいの」

 

 なーんだ、少し残念。

 いや、研究者の卵なら実験対象には外側から接すると思って彼らを魔法少女ボーイズにする口実になると思ったのに、と顔には出さずにメリッサさんに触れれば瞬時に緑のフリフリドレス、ハートの飾りが結構目立つデザインだ。

 

 

「わあ! 本当に服装が変わるのね。それで魔法少女ってくらいなんだから空を飛んだり出来るのかしら?」

 

「空を飛ぶぞって気合いを入れて飛び上がるイメージで飛べるけれど……こんな所で飛んだら大勢にスカートの中身見えちゃうよ? 実際、マジカル☆バクゴーとミラクル トドロキはモザイク付きだけれどテレビで生放送されたしさ」

 

 あの時は背後の爆風で二人のスカートが捲れちゃって、普段スカートを穿かないと気が付かないのか引っ掛かって捲れたままの状態でゴールしたんだよね、あの二人。

 

 指摘された時の爆豪君ったら僕を殺す気だって勢いで睨んでててさ、凄く愉快痛快大爆笑。

 

「あっ!」

 

 忠告はしたんだけれどメリッサさんは既に腰の辺りまで飛び上がっていて、その時に一陣の風がミニスカートを大きく捲る。

 その後ろには緑谷君が居て……。

 

 

 

「ヌヌ」

 

 ジョンが咄嗟に股間を光らせて目を眩ませた。

 

「目が、目がぁあああああああああああっ!?」

 

「因みに指でハートを作って『ラブラブパワーMAXチャージ・ラブリービーム』って叫んだらビーム出るよ」

 

「こ、この状況で普通に説明するのね。……デク君大丈夫かな」

 

 目を押さえて転げ回る緑谷君を心配する様子を見せつつもメリッサさんは着地するなり指で作ったハートを空に向け、一瞬だけ恥ずかしそうに固まってから意を決した感じで表情を変える。

 

 

 

「ラブラブパワーMAXチャージ・ラブリービーム!」

 

 顔を真っ赤にして叫んだ彼女の指が光ってハートを作った指の縁から空に向かってピンクの柱が伸びて行く。

 それが上空の雲の中心を貫いた瞬間、周辺の雲が一斉に吹き飛んだ。

 

 

「……えぇええええええええええええっ!?」

 

 うわっ、大きな声が出るなあ……。

 

 

「ねぇ、これって不味いんじゃないの?」

 

 此処は世界中から優秀な学者が集まり、明日のプレオープンに備えてエキスポのお客が大勢集まって居る訳で……。

 マウントレディが呟く中、けたたましい音量のサイレンが鳴り響いてしまった。

 

 

「大変だね、現場に居た唯一のプロヒーロー。監督義務とか色々なのが有るだろうけれど頑張って」

 

「ア、アンタっ!?」

 

 いやあ、実際この島が個性使用自由だっていっても、明らかに危険な行為はプロヒーローとしては止めるべき行為で、易々と見逃しちゃったのはね。

 

「しっかし、人によって差があるんだけれどメリッサさんは魔法少女の適正が高かったみたいだね。多分感覚的な物で不確かだけれど、僕が解除しない限りは何時だって魔法少女に変身可能だよ。変身の呪文を唱えれば何時だって魔法少女になれるのさ」

 

「私に個性が……」

 

「まあ、三十代でも五十代でもミニスカートのフリフリ衣装になるんだけれど……」

 

 さて、警備ロボがやって来たし此処は大人しくしていようかな。

 

 

 

 

 

「にしても警備員に怒られたなあ」

 

「アンタなんて未だ良いじゃない。私なんて帰ったら始末書よ、始末書。世の中は本当に理不尽よ」

 

 あの騒動の後、事情説明をした僕を待っていたのは不用意に強い力を使った事へのお説教、予想外の事だったとはいえ警備システムをおもいっきり刺激しちゃった訳だしね。

 

「あっ、また初見殺し」

 

「このクソゲーが!」

 

 まあ、その他には実は無個性だったらしいメリッサさんに個性因子の反応があったとか、研究に協力を求められたとか、それと……。

 

「個性を奪ったり与えたり出来る個性の持ち主について何か知らないか、か。オールマイトが随分と真剣な顔をして訊いて来たけれど、都市伝説では聞いた事があるくらいだからな」

 

 いや、後から思い出したら曾お祖母ちゃんからも聞いた覚えがある様な。

 

 

「まあ、当時は僕がヤバい反動の能力を使ったせいで十ヶ月の昏睡状態に陥る前とか姉さんの事件があったりで慌ただしい頃だったからな」

 

 あの時は出席日数の不足のお陰で留年するって話になったんだよね。

 

「いや、なに急にとんでもない事言ってるのよ、十ヶ月の昏睡って」

 

「ヤクザがヤバいことをしている場面に遭遇してさ。逃げるの無理だと思って使ったら倒れちゃって、更正させたそのヤクザが病院まで運んでくれたんだけれどね」

 

 両親は両親で姉さんの在り方を否定して抑え付けようとするばっかりだったし、それで事件が起きれば肯定していた僕の責任にする。

 僕が口をきいていない二年間に昏睡の期間は含まれていないのさ。

 

 

「そんな事よりもアイテムが出現したよ」

 

「即死トラップじゃないわよね……」

 

 パーティまで残り少しとなる中、僕とマウントレディは喋りながらコントローラーを握る。

 伝説のクソゲーの続編『クエスト・オブ・ソウルゲート2』は体育祭で優勝するよりも難しかった。

 

 

 因みに取ったアイテムは即死トラップだったよ。




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