吸血鬼(に関わったら胃が)すぐ死ぬ   作:ケツアゴ

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「いやー、怖い怖い。僕ってヒーロー科に編入希望じゃ無いんだぜ? ヒーローが一般人に威嚇飛ばしてどうするんだい?」

 

「だったらさっさと消えろや! やる気がないなら俺の前に現れるんじゃねえ!」

 

 準決勝開始直後、僕を殺す気だとさえ思える形相で睨んで来る爆豪君、これじゃあエンデヴァーと同様にヒーローの役割である暴力装置以外の面で評価が下がりそう。

 

 それにしても前に現れるな、ねぇ。

 

 

「やーだよ。折角の学校行事なんだし、エンジョイするのが青春って物だし……そもそも君達って僕のお情けで第二競技を突破出来たのって分かってる?」

 

「……」

 

「おやおや、その顔は分かってるって顔だね。そう! 僕があの時に全員の鉢巻きを念動力で奪って時間一杯逃げ切るのは容易だった。だってギリギリ対空性能を持っているのは君と轟君と八百万さんだけ、それだってバリアなり念動力なり飛行で回避なり出来たんだよ。その後で他チームを改めて決めたとして、それって敗者復活戦だよね。マジカル⭐バクゴー、いや、負け犬バクゴー」

 

「ぶっ殺す!」

 

 ブチブチって血管が切れそうな勢いで怒り出した彼は僕の顔面に向かって爆破を使おうとしたけれど、狙いが怒りで雑だ。

 屈んで、跳び跳ねて、転がって、僕は彼の猛攻を避け続ける。

 手のひらの汗を爆破しているみたいだから徐々に威力が上がっているけれど当たらない当たらない、あっ、少しポニテの先が焦げた。

 

 

「当たれや、糞がっ!」

 

「嫌だよ、ヨイのヨイ!」

 

 彼の攻撃は基本的にパーの状態、僕はチョキ、つまりジャンケンは僕の勝ち。

 

 

「野球拳の強制、面白いだろう?」

 

「面白くねぇわ、変態女!」

 

 彼、才能に溢れているなあってのが靴を手早く脱いでいる彼の姿を眺めながらの感想、実際に僕の回避に少しずつ対応してきだしているんだからね。

 

 

「そんな君に素直になれるプレゼント」

 

 それはそうと彼と遊ぼう、訂正、彼で遊ぼう。

 僕の手から放たれる波動を靴を脱ぐ動作に入った爆豪君は正面から食らうんだけれど、当然体には一切影響が見てとれない。

 ああ、それでも警戒はして当然だよね、爆豪君 

 

 

 僕から距離を開けた彼は自分の体に視線を向け、何も無かった事に少しだけ安堵した様子だ。

 

「おいおい、魔法少女の衣装がトラウマかい? 個性封じと動揺を狙った訳だから謝らないよ。僕は悪くないんだから」

 

「一人暮らしの俺を心配する綺麗なお姉さんに甘やかされたい!  !?」

 

 今彼は『必要ない。ぶっ飛ばして借りを返す』って言おうとしたんだけれど、口から出たのは秘めていた願望。

 自分の口から全国中継で何を言ったのか、それを理解するまで数秒、彼が気が付いたのは僕が立っていられないのと同時だった。

 

「ぶふっ! あひゃひゃ、ふははははははははっ!」

 

「おっとり系のお姉さんの魅力を否定するのか、テメェ!」

 

(特別意訳:何をしやがった、テメェ!?)

 

「あははははっ! ちょっ、ごめ、今、笑いを納めるからちょっとだけ、ぶひゃひゃひゃ!」

 

 突っ伏して手でバンバンと地面を叩くけれど笑いは次々に込み上げて来る。

 う、うん、ちゃんと説明してあげないと悪いよね、流石にさ。

 

 

 

「Y談波、言葉も文字も全部性的嗜好をさらけ出す以外は出来なくなるのさ。尚、三十分はその状態だから決勝に勝ち上がっても猥談を叫び続ける事に、うおっ!?」

 

「膝枕してる途中で眠ったお姉さんの胸が顔に当たる!」

 

(特別意訳:絶対に何がなんでもぶっ殺す!)

 

 一層激しくなる猛攻、流石に狭いフィールドの中で笑いながら避け続けるのは難しいし、今、顔を掠めたぞ!?

 

 

「あははははっ! ひ、ひひ、痛い、お腹すごーく痛い。黙って攻撃した方が良いんじゃないのかな? わわっ!?」

 

 お腹の辺りに手を当てられて、咄嗟に後ろに跳んだけれど爆破の熱と勢いに少しだけ押されてしまう。

 うーん、流石に遊びが過ぎたし、このまま続けたら怪我をしそうだ。

 

 嫌だよ、たかが体育祭で怪我するまで競技を続けるとか馬鹿らしい。

 

 

「女の子相手に酷い奴だな。綺麗で優しいお姉さんに叱られちゃうぜ?」

 

「暑い日にクーラーが壊れたからって涼みに来た薄着にドキドキする!」

 

(特別意訳:殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すっ!)

 

 爆破の勢いを乗せての突撃、それに僕は右手を前に突き出した。

 

「ヨヨイの……」

 

 再びの野球拳、それを警戒してか爆豪君の動きが一瞬だけ強張り、僕が前に出るのには充分な時間だ。

 腕の内側に飛び入り、小さな蝙蝠に変身して腕に一瞬だけ噛み付いた僕は元の姿に戻ってそのまま彼を踏み台に距離を開ける。

 

 

 

 

 

「最初に朗報、僕の個性は吸血鬼だけれど君を噛んでも支配は不可能だ。流石にこれは謝っておくね、ごめん! あひゃひゃひゃひゃひゃっ!」

 

 謝る、謝るけれど笑いを押さえ切れない、だって、だってさ……。

 

 

 

 

 

「マイクロビキニの着心地はどうだい?」

 

 彼、マイクロビキニになっているんだもん!

 

 

「ほろ酔いのお姉さんが甘えて来たー!?」

 

(特別意訳:何じゃこりゃぁあああああああっ!?)

 

 ほぅ、結構良い趣味をしているじゃないか、彼。

 

 トゲトゲイライラしている爆豪君だけれど、実際は年上に甘えたいんだとホッコリ。

 寧ろ普段からオラオラって感じなのはそれを隠す為なのかと、言葉と服装がアレなのを除けば可愛らしいけれど、既に形相はモンスターレベルだ。

 

「ブチギレだぁね、マジカル⭐️バクゴー。でもさぁ、これってガチバトルだし、相手の冷静さを奪うのは戦略なんだから喰らった方が悪いよね? 寧ろこんな時こそ、クソデカ光線」

 

 会話の途中で真上から念動力で押さえ込む。

 まあ、爆破で強引に脱出するんだろうけれど、一秒あれば光線が出せる。

 

 避けようとしたけれど命中、ダメージは一切無いけれど視線の高さに気が付いただろう。

 足が線からはみ出る程に巨大化した自分にね。

 

 

 

 

 

 

『せ、青春真っ盛りの少年達! 半ズボンから覗く健康的な足は何処かしら?』

 

(特別意訳:爆豪君場外。勝者渡我さん! ……それで、彼って直ぐに戻せるのかしら?)

 

 あー、先生にもY談波が届いていたんだ。

 

 

「えっと、クソデカ光線は自然に戻るんだけれど個人差が大きいから。そして先生、ごめんなさい」

 

 マイクロビキニ? 無理、アレは服を変化させる奴だから。

 

 

 

 

 

「いやー、彼が戻るまで休憩だなんて参った参った」

 

「当然だろうが、馬鹿」

 

 巨大化した水着マジカル⭐️バクゴーは怒り狂って暴れ出したからミッドナイト先生が眠らせて、元の大きさに戻るまで臨時の休憩、ちょっとふざけ過ぎだとマイフレンドに叱られるけれど、先生達は何も言って来ないし別に良いんじゃないの?

 

 マイク先生は爆笑して相澤先生に怒られたけれどね。

 

 

 

「それでブラフは仕込んだけれど轟君ってエンデヴァーの関係者っぽいし、プロヒーローのアドバイスされてるかもよ?」

 

「そん時はそん時だ。俺はやる事をやるだけだろ」

 

「前向きだね」

 

「お前みたいに人生楽しそうにしている能天気見てたら個性だので悩むのが馬鹿に思えるからな」

 

 ふーん、良いんじゃないの?

 

「しかし好き放題やったな、お前。色々やったし、反応が気になるんだが」

 

 えー? ちゃんと話もしていない連中の反応って気になる? ネットで書き込みを読んだ訳でも無いのに。

 

 

 

 

 

 

「爆豪ちゃん、どうやって励ますべきかしら……」

 

「しない方がええんちゃうかな? 多分何を言ってもキレると思うし」

 

「それにしても彼女の個性は本当に凄いな。飛行に相手の服装や個性まで変えてしまうのに蝙蝠への変身や他人の巨大化に念動力に……吸血鬼だと言ってはいたけれど、伝承の吸血鬼とはあまりに違うし、成長と共に本人の趣味嗜好が影響して……」

 

「デク君、またブツブツ言うてはる」

 

「ケロ。でも、本当にあの個性って……」

 

「「凄くエグい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

『Bブロック準決勝。轟君VS心操君! 試合開始!』

 

 開始早々、会場の気温が一気に下がる程の大氷壁が出現、僕って寒いの苦手だから炎を出したい気分だ。

 それはそうとして、一秒も経過しないで身動き不可能な心操が笑える。

 顔以外の殆どを氷に閉じ込められたし、これは絶対に触れないね。

 

「焦凍ー! 未だだ! 油断するなー!」

 

 エンデヴァーも流石はNo.2ヒーロー、マイフレンドの仕込み程度は見抜いているのか叫んでいるけれど本人は嫌そうだ。

 

「僕も両親とは二年位会話らしい会話をしていないけれど、彼も親子仲が良くないのかな?」

 

 行ってきますとか姉さんが家に居た時の癖で口にしているんだけれどね。

 

 

 

「凄い凄い。これじゃあ触れないか。それで決勝で勝つ方法は思い付いてるか? 何ならアドバイスしてやるが。あの馬鹿には普段から振り回されているんだよ」

 

「いや、良い。不必要だ。俺は俺で……」

 

 はい、洗脳完了。

 

 エンデヴァーが予め注意していたみたいだけれど反発からか従わなかったんだね。

 表情を失い、立ち尽くす轟君。

 

「ネットの書き込みも盛り上がってるぅ」

 

 犯罪者家族の僕や洗脳なんて個性のマイフレンドを上げるんじゃなく、雄英の栄光の終わりとか不作の年とかヒーロー科を下げる方だけれど。

 

 

「パパのアドバイスを素直に聞いてりゃ良かったのにな。ほら、さっさと場外になってくれ」

 

 凍ったままの姿でマイフレンドは僕に視線を送る。

 さてさて、親友をマイクロビキニや魔法少女ボーイにするのは忍びない、どうせなら個性の使用禁止で格闘戦を……あっ。

 

 

 轟君、場外前に氷で滑って転んじゃった。

 

 

 

「あーあ、終わりか」

 

 流石にマイフレンドも降参を宣言かぁ、折角の普通科だけの決勝戦にワクワクしてたのになあ。

 

 

 

「ドンマーイ」

 

 あっ、他の客からもドンマイコールだ、ノリが良いなあ。




えっとね吸血鬼死ぬ読み直したら良い能力があったのよ
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