龍神楽の作戦
(自分が自分を操れなくなるなんて、シャンフロじゃ早々出来ない体験だ…………)
アトランティクス・レプノルカ"
浅瀬とは言えどもクランメンバーと共に、水中下で切削琢磨を続けた機動系スキル達を扱い、憑依一体の分体が入った事でAIが操作していると思しき挙動で、ペッパー達を襲う姿を。
其の自分や自分だけで無く、他の深海世界のモンスター達も相手に、武器を切り替え、武器を振るい、敵を次々に討ち取り落とし、此方を見据えるペッパー達を彼は見る。
(水中でのスキルやらは大方揃えているから、自分で言うのも何だが『海中での戦闘は強い』…………気張ってくれ三人共──────!)
(凄い………)
ヒュクノティムと同じ様に海中を漂い、クターニッドのパワードスーツに身を包み、武器を持った蛸足と無手の状態の蛸足を、まるで己が手足が複数在るが如く自在に扱い、戦う姿をモルドは目を開き見る。
人間の脳は一つ・腕と脚は二本という人体構造に置ける大前提、複数の腕や脚を扱う事は其の分の操作リソースを振り分けねばならず、ゲームでは『数』を取る事は必然『質』を落とす事であり、其れが『常識』である筈だ。
だがペッパーは…………八本の蛸足其の全てを『マニュアル』で操り、攻撃・防御・機動の三本柱を高次元で維持・取り扱い、持ち得る武器を駆使して敵を退け続けるという、ある種の『タンク職の極致』を見ている様だった。
(ルストが操縦・僕がサポートしても、あの八本全てを完全に扱えるかは、実際に使わないと解らない…………。けど、ネフホロでギガノトフォートレスで
(とても良い…………ウェザエモンとクターニッドのパワードスーツの戦いを、こうして見る事が出来るなんて)
神代人類が技術の粋を結集して作り出し、世界に遺して消え去った中でペッパーが探し出した天将王装と蛸極王装の、二つの大いなる遺産達───────憑依一体の分体によって操られ、今は霊体的存在として漂いながらも、ルストは此の瞬間に立ち会えた事に対して、少なからず『感謝』していた。
本当は自分自身の手でやってみたい事ではあったし、敵に先を越された事も少なからず悔しい部分は有れども、擬似的な『
クターニッドのパワードスーツを纏い、サンラクとSOHO-ZONEの二人を蛸足に巻き付け泳ぎ、他の蛸足で武器を切り替え、戦闘スタイルを柔軟に使い分ける姿は、まさに『深淵のクターニッド・最終形態の想像態』に等しい姿。
(何時かユニークモンスターのパワードスーツ同士で、クランメンバー全員でトーナメントしたい…………!パワードスーツ全種使った、総当たり戦をしたい…………!そしてこうやって漂うしかない私が、本当にもどかしい…………!)
三者三様の想いが海に溶ける中、事態は新たな局面を迎える。
『オレはオレ自身の刃と一角の鯱の槍と打ち合い、奴等の会話方法…………オマエ達が言うコミュニケーションにオレは『適応』した訳だが、其のコミュニケーションによって色々見えてきた物が有る』
雷撃が海中を迸り、蛸極王装で反転して相殺する最中に飛んで来る魔力弾を神代技術の盾で弾き、憑依一体が仕込んだ分体の入った深海モンスター同士の正面衝突を誘発し。
蛸足の一本に持ったアスカロン・リペアでモンスターのヘイトを惹き付け、他の足でサンラクとSOHO-ZONEを運びながらに、SOHO-ZONEに持って貰った
『奴等のコミュニケーション、其れは音という『魂から放つ波長を使う』。そしてオマエ達が倒さんと目論む憑依一体、奴は分体を使って魂の持つ波長に同化し、自身の波長に『塗り潰す事』で身体を操っている』
「あ〜、つまり何だドラグマ?要するにエピタフのヤローは、俺達の心臓の鼓動を『ジャミング』してるってか?」
『ジャミング………フム、成程良い言葉だな。即ち憑依一体とは、分体を使い、魂にジャミングし、主導権を奪う………あの鯱や亜種達は魂、或いは『核の鼓動』を多種に使い分け、様々に用いる存在という事だ』
精霊の領分に限り無く近付き、或いは片足を突っ込んでいる
普段は余剰となる魔力を蒼い炎の如く体外へ放出し、一度戦闘に成れば放出して居る魔力をも研ぎ澄ませ、頭蓋骨の一部でレンズや角の部位に収束・光として発射。結晶として筋肉線維を限り無く圧縮されて純化による透明化された場所より、巨体を動かす電気信号を雷撃に変えて放電に用いる、深海世界の食物連鎖ピラミッドの絶対的王者。
深海環境の混沌具合に、そんな存在がゴロゴロ居る中で頂点に立つ王の秘密の一端が紐解かれた時、
「龍神楽さん!即ち貴方は!憑依一体の分体が取り憑いた者を『傷付けずに』!『解放する術』を、此の戦いの中で自ら思考しッ!導き出して手に入れたという事ですかッッッッッッッッッ!?!」
『そうだ、ソーゾーン。憑依一体が放った分体、其れが入ったモンスターを斬って来た事で、奴の分体が放っている魂の波長に『適応』した。故にオレの刃で分体が入り込んだ存在を斬れば、分体
「あぁ、魂の
「要は『対憑依一体特攻武器化しやがったってか』。ホント…………ハンパじゃねぇなオマエ」
シャンフロに置けるレベルアップや進化は本来、相手側が逃走したり倒し切ったり、自身が倒されて死亡するまで戦闘終了とは『ならない』。だからこそ、戦闘中に新たな技能や魔法を習得するのは『本来有り得ない』。
子は親に似るとは言うが、旅兎王装一式装備状態のペッパーによって作られた龍神楽は、ペッパーと同じ様に戦闘中に得て来た情報や体験を元にして、自己変革と自己進化による敵への特攻能力を以って攻略を成すという、端から見ても『トンデモ武器』の箔を付けつつ有るらしい。
龍神楽製作の一部始終を見ていたサンラクの視線がマクティス・ヘルム越しに刺さって来るし、話を聞いていたSOHO-ZONEの放つ気配は更にネチョくなったりと、此の戦闘が終われば『オハナシ』が飛んできそうだと思いながら、再び『雷撃よ霧散せよ』の言霊でアトランティクス・レプノルカの放電攻撃を無効化。
同時に天将王装を纏ったルストと背中に乗って狙撃銃をモルド、海中モンスターの背や身体を蹴り飛び掛けるヒュクノティムを目視、先に青春コンビを切り崩す事が一番大事だと確信し、海中機動のギアを引き上げる。
「先ずはルストとモルドを救出する!蛸足で巻き付けとくから、サンラクと俺が周りのモンスター、SOHO-ZONEさんとドラグマは二人に斬撃を叩き込んで!!」
「おし、やるか!」
「任された!」
荒れ狂う嵐の中を進む船の如く、次から次へ襲い掛かる強者達をサンラクとペッパーが其々の得物で討ち落とし、討ち据えて道を拓く最中に龍神楽とSOHO-ZONEが何かを話している。
SOHO-ZONEの話を小耳にすれば、龍神楽に何やら『必殺技がウンタラカンタラ』と言っている様で、そうこうしている内にルストモルドの青春コンビと視線が合い、逆サイドからはヒュクノティムがカッ飛んでくる。
「今助けるぞ、二人共!こういう時の『とっておき』だ!」
全身の感覚を鋭利なまでに強化、深海を俯瞰の視点より見下ろしながら、敵の視線を自身の眼が在る位置に強制的に向かせる視線誘導、超広域に作用する強化版ウツロウミカガミ的コンボスキル達によって、ルスト・モルド・ヒュクノティム含めた数多の敵対存在の視線が上を向いた。
今が、今こそが好機!
「決めろ、ソウちゃん!ドラグマ!」
「やっちまえ!武器狂い!」
「『心得たッ!』」
既にルストとモルドのコンビを、ワンアクションで捉えられる距離に此方は入った。
金の龍刃で無限を示す『∞』の軌道を描き、其の中心を割る挙動は
蛸足が動き、友の身体を前に押す。
そうして一人と一本は必殺技を、決めた其の名を高らかに言い放つ…………!
「『───────
機動力を補う為に蛸足に巻かれ押され、龍神楽を握り締めて刹那に二つの閃をなぞったSOHO-ZONE。
其の二振りは確かに、ルストとモルドの内側に居たアトランティクス・レプノルカ"
其のリズムを自身が発するマナ粒子を通じて同調し、敵の持つ魂のリズムと
※1000話記念、設定開示コーナー
皓然と輝く八角を掲げし冠は、数多の偉業を成した証にして、数多の願いと想いを紡いだ証。
人の、亜人の、獣の、彼等の、そして彼女等の願いと想いを聞き届け、未だ見ぬ果て無き夢幻の地平へ踏み込み、其の脚の歩みと走りを止めず、輝きはより遠くをも照らし、流転の運命より道を指し示す。
幾多の姿に変われども決して変わらぬ信念は、永劫崩れる事無き黄金の光輝其の物である。
己が世界を駆け走り続け、駆け抜ける其の道を誰かが通り、誰かが見つめた景色を彩る、幾千幾億の星々の中心にて光り輝く、北極星に等しいが故に。