VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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殴りて吹き飛ばし




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の十六〜

蛸極王装の巨剛触手(きょごうしょくしゅ)+右腕の九腕によるスキルを含めた拳撃連打で殴り飛ばし、アスカロン・リペアが引っこ抜かれたアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"の巨体が海中を舞う。

 

 

 

『規定連撃回数観測、条件達成』

『達成者プレイヤー名:ペッパー・天津気(アマツキ)

『称号【最大連撃(ラッシュホルダー)】を獲得しました』

 

 

 

「トドメをッ!!!」

「フィニッシュは任されよ!」

 

世界に新たな極点(レコードホルダー)の誕生を報せるシステムアナウンスが響く中、ペッパーの叫びが轟いたと同時にヒュクノティムが海を駆け、足裏で力強く海中を踏み締めるや一気に跳躍。

 

クラン結成からフィフティシアの浅瀬で幾度も繰り返した海中戦、ベヒーモスのレベルキャップ解放から新大陸に渡り、魚人族との交流を通じて培われた挙動は一切の曇り無し。

 

「良い所無しじゃ、スペリオルアビスのリーダーとして終われないッッッッッッッ!!!」

 

アトランティクス・レプノルカは斬撃よりも打撃が有効だと、実際にルルイアスで幾度もリスポーンして討伐したSOHO-ZONEから聞き、ペッパーが最大連撃によって証明した事で彼が取った選択肢は海上に脚を向けた、所謂ドロップキックの様な体勢ながらも、其処から繰り出すは単なるドロップキック等に非ず。

 

嘗てペッパーが掲示板に流したスキル再習得の方法と、スキルアタッカーとしての出力を高める極意を知り、衝撃を受けたヒュクノティムは自身の習得したスキルの中で、海中戦闘下で今も切札としている無重律の恩寵(スペースチャージ)に着目。

 

レベルアップ、元となったスキルの再習得、スキルの育成、レベルアップに合成を繰り返し、無重律の恩寵の持つ能力や真髄を理解した事で、彼は海中と言う限定的な局地下で三次元殺法を可能にする、凄まじい機動力と攻撃力を得たのだ。

 

「食らえ必殺、無重律の恩寵(スペースチャージ)爆撃突貫蹴技(インスティーク・ボンバー)の、天底逆転徹甲砲弾(シュナイダー)ドロップキィィイイイイーーーーーーーック!!!!」

 

半回転からの重力ベクトル変更で増大した両脚合わせの飛び蹴り一閃が、蒼空と海の果てを見た勇者に千発以上殴られ既に瀕死の状態の覇頭衝角に、駄目押しの一撃が直撃が深海を貫く覇槍掲げし帝王の息の根を完全に止めたのだ。

 

蹴り込んだ反動でヒュクノティムの食いしばりが発動し、巨体を構築するポリゴンが崩壊と『ブレ』を起こし始め、体内から憑依一体の分体達が海中に放出されて、本体にダメージフィードバックされた事による巨大な怯みモーションと、口から吐血を彷彿させるポリゴンが吹き出て。

 

反動で吹き飛ぶヒュクノティムの身にペッパーが纏う蛸極王装の巨剛触手が巻き付き、武器狂い共々一気に引き戻して深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の【弾けよ(Poping-up)】で海中を蹴りまくり、全速力で泳ぎ出した其の直後。

 

アトランティクス・レプノルカ種が共通して持つ最後っ屁(広範囲自爆)が炸裂する中、先んじて襲い掛かった衝撃波に蛸足を真っ直ぐに伸ばして体勢を真っ直ぐに変え、星天秘技(スターアーツ)グラヴィトン・レイの重力ベクトル変更と【収着せよ(Sorptionting-up)】による海中空間に踏み止まり、そして天獄を傘の如く構えての壁として衝撃波から二人と己を守り抜く。

 

「いやはやヒュクノティムさん、良い一撃でしたよ」

「ははは………。流石に身体操られて何も出来ずに戦闘終了、何て事になったら数日ログインしないくらい凹んでましたからね………」

「憑依一体も未だ健在とは言え、分体が入っていた覇頭衝角が落ちた御陰で大ダメージを負ったのは確か。後はサンラク達が相手してる分体入りの通常種を倒せれば、少なくとも此の戦いに決っ…………!?!」

 

蛸足の一本が物凄い勢いで揺れ動き、周囲警戒を続けつつも片目を横に向ければ、巻き握るアスカロン・リペアが震え、熱く赫い熱と蒼く冷たい冷気が『更に強まり』、剣刃と峰の間………刀で言う『(しのぎ)』に当たる場所が、朝日が昇る瞬間や夕陽が沈む瞬間に起きる『グリーンフラッシュ』の如く、其の剣刃に『鮮やかな翡翠の光を含む状態』に成ったのだ。

 

まるで歓喜に湧き立ち──────嘗て魚人族(マーマーン)の英傑ル・ゲネテレの元で振るわれ、幾多の死線を越え、最期にアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"に敗れた時から、ずっと復讐(リベンジ)を成し遂げんとしていた畝る剣身は、覇頭衝角打倒を成(過去の柵を解決)した事で『アスカロン・リバースに至る為の準備が出来た』と言っても過言では無い。

 

「お、おぉ、おおお……………!?」

「こ、此れがアスカロン・リバース………なのか?」

「いや、武器名はアスカロン・リペアみたいだけど………フレーバーテキストは『嘗ての敗北は払拭された』とある………」

『フム、此の剣からは良い力を感じるな』

 

英傑武器(グレイトフル)に置ける再構築(リビルド)派生が『過去の柵を断ち切り、其の武器の所有権が前の持ち主から今の持ち主になった事を認めさせる事』で至り、武器の出力も其れに応じて調整されるのが特色である。

 

対して再生成(リバース)派生は『過去の持ち主が最期に戦い、敗れた相手をリペア状態で討伐する事』で移行条件を満たし、名匠以上の鍛冶師に頼んで直すなりの方法を取れば、アスカロン・リバースに移行完了なのだろうか?

 

「──────って、今は憑依一体の足止めに行かなきゃ!!分体入りのアトランティクス・レプノルカ(通常種)が倒れなきゃ、憑依一体自体が討伐出来ない可能性が有る!!」

 

深海世界は気を取られては、足元を掬われるのは日常茶飯事。仮称:アスカロン・リペア・再生成可能状態をインベントリアに収納し、SOHO-ZONEとヒュクノティムを巨剛触手で運び、憑依一体足止めの為に行動を開始するのだった………。

 

 

 

 

 

無論、覇頭衝角の希少な素材達は全速力で泳ぎ、纏めて回収し切ったが。

 

 

 

 






滾る力は止められない


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