VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方の者共は




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の十七〜

ペッパーが蛸極王装による九腕拳撃連打で最大連撃(ラッシュホルダー)を取って、システムアナウンスが世界に偉業を高らかに報せて居た頃、サンラク・ルスト・モルドの三人はアトランティクス・レプノルカ(通常種)との戦いを続けていた。

 

「ルスト!モルド!一分間で良い、奴の注意を惹き付けて五百メートル以上引き剥がしてくれ!そしたら奴に『デカい一撃』をブチ噛ませられる!」

「良いけど、何するの?」

「バフ無効の刻傷相殺するのに、インベントリアを使う!二属性鯱ヤローはインベントリア対策済モンス、一時的に責任転嫁して置かなきゃストーカーじみた追っ掛けしてんくんだよ!」

「…………とても面倒な気配がする」

「と、取り敢えずやってみる!」

「頼んだ!」

 

幾度目になる海中武装変更、紅蓮海の拳帯(レガレクス・セスタス)より海喰の剣(ブループレデター)に切り替えてのウツロウミカガミ起動。

 

ヘイト付与の虚像(デコイ)を海中に残し、深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)跳ね飛び(ポッピング)挙動で海を駆け、天将王装+海王の合体状態で海中を泳ぐルストとモルドに追い付き、背中に隠れる形でインベントリアを起動。

 

深海中で使えば水圧によって砕け散る地雷行動を避け、デコイが消える時間を逆算しつつ、格納空間にて灼骨砕身(シャッコツサイシン)を胸と片足に刺して刻傷を相殺。

 

五分の限られた時間で深海の王に一発デカいのを噛ます為、両手に武器を─────────左手には冥王の鏡盾(ディス・パテル)、右手に深帝の覇角槍(アドヴァンスド・ディープ)を持ち、再び格納空間から外に出れば青春コンビが注文通りにアトランティクス・レプノルカを引き剥がし、別の場所でペッパー達が憑依一体を押さえているのが見えた。

 

そしてインベントリア対策済のアトランティクス・レプノルカ(通常種)は、先程までルストとモルドを追い掛けていたと言うのに、サンラクを目視した途端に狙いを変えて泳いで来る。

 

「ハロー、シャチ公。さっき振りだな、元気してた?」

 

ルルイアスの環境下とは言え、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"を討った経験を持つサンラクは、深厳戟響脚で海中を蹴って敵との高さを調整。

 

対する深海の王は身体の上半分が燃える蒼い炎は勢いを弱め、反対に迸る蒼い雷のエネルギーが勢いが増大し、口内に収束による深海を貫く雷光の一閃が、サンラク含めた全ての者を木っ端微塵に吹き飛ばすべく放たれんとしている。

 

「さぁて、冥王の鏡盾(ディス・パテル)深帝の覇角槍(アドヴァンスド・ディープ)。お前達の大元になった王様に、御礼参りしてやろーじゃねぇか…………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥王の鏡盾と深帝の覇角槍…………深淵のクターニッドを撃破し、反転都市ルルイアスを脱出から致命兎の国・ラビッツへと帰還したサンラクが、名匠にして古匠鍛冶師のビィラックに依頼、戦略拡張の為に作製して貰ったスライド変形によって大盾となる円盾(バックラー)と、槍芯が鼓動し今も生きていると思える突撃槍(ランス)形状の大槍である。

 

 

冥王の鏡盾はアトランティクス・レプノルカの頭蓋骨の一部であり、体内の魔力を乱反射して威力を研ぎ澄ました上で照鏡骨に収束。太陽光をレンズに集めて一点集中による発火を行う様に、莫大な魔力を光として強大極まるビームを放つ特性から、普段は魔力に関する悉くを弾き返す他に必殺機構で『魔力を吸収し持ち主へ転用する能力』を持ち。

 

深帝の覇角槍は其のアトランティクス・レプノルカの不世出個体の照鏡骨に当たる部分が異常発達し、体内の魔力(マナ)を異常発達した頭角に収束・蓄積した上で、通常種以上の破壊力を秘めた深海貫く覇槍の輝きを放ち、其の必殺機構は『莫大なエネルギーを用いる事で初めて解放される』。

 

ビィラックは言った─────────『深帝の覇角槍が真価を発揮するには、冥王の鏡盾との同時運用が絶対条件』だと。

 

即ち其の条件とは『冥王の鏡盾の吸収転用を用いても尚も吸収出来ぬ程、強大な魔属性攻撃を叩き付けて来る敵に対する最高峰のカウンター』なのだ。

 

「よし来いやシャチ公!超過機構(イクシードチャージ)……………!!」

 

冥王の鏡盾が握るサンラクの握力を受け、花が蕾を開く様に同族の頭蓋で出来た鏡面を曝け出した刹那、深海の王より放たれた光が一際強く瞬いて。

 

「────【吸転換(コンバート)】&【濤貫撃(シュリンダー)】ッッッッッッッッッ!!!!」

 

サンラクが合い言葉を唱えた瞬間、雷光が深海を照らして海中が沸騰する程の熱波が発生、其の絶大極まるエネルギーがプレイヤー達の悉くを─────────『呑み込まなかった』。

 

()()()()()、盾だけでは絶対に防げずに砕け散る結末が待つ愚行で有れど、雷光と雷閃に熱波と衝撃、魔力によって発生したという『現象』が故にこそ、冥王の鏡盾は中心点で王の光を受け止められ、サンラクに力を与え。

 

同時に莫大な魔力を穂先に蓄積し続ける生態より作られた槍の穂先は、鏡盾が受け止めた余剰極まる魔力を次から次へと喰らい続け、サンラクの身に余る強化分を槍に回して行けば、備わる鋸形状の刃からは蒼炎が噴き出し、穂先には蒼雷が唸り迸りて、鋒には小さな光が輝きを帯びて。

 

ビームが鏡盾に吸い込まれ、サンラクが再使用時間(リキャストタイム)を終えた清明界玉到観(クリスタル・アドバンテージ)界域を見定む眼(ターゲ・ザ・ワールド)のコンボスキルを起動し、槍武器の刺突攻撃時に敵の核や心臓部に穂先を合わせる『スキェルツ・ナイツレイド』でアトランティクス・レプノルカの核に狙いを定め。

 

「ファイヤアアアアアーーーーーーーーーー!!!」

 

最後の一押し、体力(HP)魔力(MP)瀕死(1)になるまで消費し(喰らっ)て放った、不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)破統昇格(プロモスピア)を乗せた光が衝撃と共に深帝の覇角槍の鋒より『飛び出し』。

 

反動による食いしばり発動と深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の【収着せよ(Sorptionting-up)】でサンラクが踏み止まり、槍から放たれた深海を奔る一閃が深海の王の巨体に直撃、一瞬で核を貫いた。

 

深海の王の最後の悪足掻きたる魔力暴走による自爆を行うまでも無く、自分が自分の放った攻撃で死を迎えたと知る間も無く、アトランティクス・レプノルカを構築するポリゴンは崩壊。同時に核に生命力を分けた分体を入れていた憑依一体もまた、分体消失によるダメージのフィードバックの発生で体力と精神力が底を付き、遂には力尽きる。

 

「は…………っ、ぶねぇええ…………」

 

ビームを受け止めてバフに変換した、冥王の鏡盾と深帝の覇角槍が嫌なスパークを走らせている。アレだけの大火力を受けても壊れなかったのは、乱数の女神の機嫌が良かったかはサンラク本人にも解らず。

 

深海中に身を投げ出し漂う行動をし始めた彼を置き去る様に、プレイヤー達の勝利を報せるレベルアップのSEと、スキル変化や習得のウィンドウ、そして不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)習得のシステムウィンドウが表示されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モンスター不世出(エクゾーディナリー)……解明(クリア)!』

『討伐対象:アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"』

『討伐者プレイヤー名:ヒュクノティム』

『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』

『称号【帝王終焉(エンペラーエンド)】を獲得しました』

『称号【深海を照らす威光】を獲得しました』

『討伐者プレイヤー:ヒュクノティムが不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)破統昇格(プロモスピア)】を習得しました』

 

 

 

 

 

『モンスター不世出(エクゾーディナリー)……解明(クリア)!』

『討伐対象:アトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"』

『討伐者プレイヤー名:サンラク』

『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』

『称号【魂魄散滅(ソウルブレイク)】を獲得しました』

『称号【溶け落ち消えた霊魂】を獲得しました』

『討伐者プレイヤー:サンラクが不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)兵威逸体(エピタフ)】を獲得しました』

 

 

 

 

 






此処に死闘は決着す


※サンラクが行った冥王の鏡盾+深帝の覇角槍のカウンターのイメージは、遊戯王の罠カード『魔法の筒(マジックシリンダー)』を倍増させて打ち返していると言えば解り易いと思います。






不世出の奥義(エクゾーディナリースキル):兵威逸体(エピタフ)


習得条件:アトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"を討伐する。

効果:使用者のHP及びMPを半分とし、此迄の行動・戦闘のモーションを参照にした分霊体を生成、AIによる制御の下で使用者と共に行動及び戦闘を行う。

此のスキル発動後、プレイヤーは分霊体が死亡によって消滅するまで体力と魔力の回復が出来ず、死亡時に現在の体力が半分減少する。再使用時間(リキャストタイム)は四日で、イメージとしては『ルイージマンション3』に登場した『グーイージ』を半透明状態にした物。


魂のエネルギーを放ちて、生者も死者も操る力を手にせし、深海の王の秘めたる魂の波動。其れはある種の生きる為の力の現出、其れ故にこそ不世出の奥義。




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