VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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戦闘終了の後先に




終わった後の宴は寂しく、そして閑散と過ぎ去る

「アトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"。己が生命を分けて敵を乗っ取りて操り戦う、生きとし生きる者達へ脅威を振りまきし深海の魂縛王よ、俺達はお前の事を決して忘れない。そして憑依一体に操られた生命達よ、どうか其の御霊が安らかに在らん事を…………」

 

足止めしている間にサンラクが分体入りのアトランティクス・レプノルカを倒した事で、ダメージフィードバックによって力尽きて倒れた憑依一体と、其の分体に操られて襲い掛かった深海性のモンスター達に、ペッパーは鎮魂の言葉を手向ける。

 

「…………あ"〜………めちゃくちゃ、つかれた………」

 

猛烈に、そして壮絶なまでに疲れ果て、口からゾンビみたいな声が出る程、本当の本当の本当に彼は疲れた様に声を出す。

 

クターニッドの鎧有りとは言え、シャンフロのアバターを動かす中身は人間で、最大連撃(ラッシュホルダー)を取った際の拳撃連打(ラッシュ)の反動は、暫く確り休まないと取れないと確信する程度には大きい。

 

「ペッパー君、ペッパー君!いやはや凄まじいですね、深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の性能は!限られた時間とは言えど反転による不条理を押し付け、剰え海中戦闘に置ける絶対的優位を獲得する、神代人類の素晴らしき叡智の結晶!!!」

「…………相変わらず元気だね、SOHO-ZONEさん」

「憑依一体の仕業とは言え、海中での身体主導権奪取はエグかった…………」

 

疲れている筈だろうに元気満タンな声を上げ、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を片手に持って空いた手でペタペタと触りまくる旧友に、握られている龍神楽も彼に半目を向けている。

 

力尽きてポリゴンが崩壊したアトランティクス・レプノルカ"憑依一体"を始めとし、戦いに巻き込まれた深海産のモンスター達の素材も回収。共有状態のインベントリアに収納していれば、サンラク・ルスト・モルドが泳いでやって来た。

 

「おっす、おつかれ~……」

「めっちゃつかれた、ねむい」

「だね………まさかアバターを操られるなんて、シャンフロでも早々出来ない体験にはなったかな」

 

深海の環境は地上よりも遥かに混沌としているのが解り、そうなると空もまた天空領域に適応して真化したカムイ種を含めた、頂天の環境も此処と同じか其れ以上の殺伐具合なのだろうか。

 

「ヒュクノティムさんには此れを、フィニッシャーなので受け取って下さいな」

「あ、確かにそうだね。では」

 

インベントリアに入れていたアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"の素材達を、ドロップキックでトドメを刺したヒュクノティムに渡し、結果的に憑依一体をブッ飛ばしたサンラクには憑依一体の素材が共有状態のインベントリアに入ってる事を伝える。

 

(まぁ海中で色んなモンスターと戦えて、水圧耐性持ちの武器達も経験は積めたし、ちょっとずつ強化していこうかな………。休憩込みを加味した上で、動くのは数日後くらいにはなるだろうけど………)

 

ビィラックによって作られた紅蓮海の撃鞭(レガレクス・ウィスパー)大海鐘(だいかいしょう)海喰の雑剣(バスタード・ブルー)、深海のモンスターによって強化された紅暴龍魚の臥掌斧(レ・アルガ・ミティオン)海蝕晶剣(ヴォルブレアナイフ)も、今回の深海大激戦で数多の敵を屠って其の身に経験値を蓄積させた。

 

特に紅蓮海の撃鞭は豪武神の超技(マルス・スペリオール)蛇昂咆這撃(サルナール・エリナヴィス)の存在も有り、五種の武器では一番耐久値が減りながらも一番用いた武器の為、最初に強化育成対象とする事を決心すれば、遠くに見える巨大な影が薄っすら映り、警戒を元としていればエルドランザの巨体と頭に乗ったレーザーカジキ、青竜の背中には複数のプレイヤー達の姿が。

 

「ペッパーさーん、サンラクさーん、皆さーん!」

『むぅ………どうやら終わっていた様だな…………』

「何か凄い爆発音したりしましたが大丈夫でした!?」

「ペッパーさん、最大連撃ってマジですか!?三冠達成マジですか!?」

 

続々とプレイヤー達から質問を投げ掛けられ、疲労感に苛まれながらも程々に答えを返し、一先ずは海底都市アルトランティアに帰って魚人族(マーマーン)の名匠鍛冶師ジニシィや魚人族の王たるルルクヌス20世に報告する事が優先と、エルドランザの背に乗って海を駆けて帰路に着いたのだった…………。

 

其の海道中、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"の出産や、自分達が海中戦で何を体験したかの情報交換をしたりと、一時の刻を過ごしながら…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海底都市アルトランティアに帰還した時には朝の五時を回って、現実世界(リアル)では既に朝日が昇っていてもおかしくない。

 

アスカロン・リペアによって入れ食いの連打の中、本命のアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"をアスカロン・リペアを用いて討伐した事を報せるべく、ペッパー達一行は頭蓋の王城の門を叩き。

 

兵士の案内で王城の廊下を進んで王座の間まで通されれば、ルルクヌス20世とジニシィが視線を向けて来たので、ペッパーは空かさずアスカロン・リペアを取り出し掲げ、高らかに述べる。

 

「ペッパー・天津気(アマツキ)、そして其の仲間達一同…………アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"を見事に討伐し、此処に英傑ル・ゲネテレ殿の敗北をアスカロン・リペアと共に払拭しました」

 

赫炎の刃と蒼冷の峰、鎬たる境界線に翠光を宿したアスカロン・リペアが姿を見せ、ヒュクノティムが覇頭衝角の素材達を取り出した事により、其の言葉が真実で有ると理解したルルクヌス20世は驚愕の表情を、一方のジニシィは瞑目しながら海上を見上げて額に手を当て、隠した顔から数粒の涙が海中に溶けて消えて行く。

 

斯くしてペッパー達はアスカロンを再生成(リバース)派生に至らせる為、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"を討伐するという過酷なる条件を達成し、自らが宣言した約束を果たしたのであった。

 

 

 






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