VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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神は其れを如何に見るか




インパクト・オブ・ザ・ワールド 〜神の視点より見る、龍神楽(ドラグマ)という存在〜

海底都市アルトランティアにてサンラクがウェポニアの面々から甦機装(リ·レガシーウェポン):深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)についての質問攻めに遭っていた頃。

 

現実世界(リアル)でシャングリラ・フロンティアを運営するユートピア社の地下十階に存在する原典閲覧室、其処にはユートピアエンターテイメントソフトウェアの創業者、或いはワールドクリエイティブ・アドミニストレーター、或いはシャングリラ・フロンティアの産みの親、そう言われる存在の継久理(つくり) 創世(つくよ)はジト目で『其れ』をモニター越しに観て。

 

「………………はぁぁああ……………」

 

大きな、其れは其れは大きなまでの溜息を付いた。

 

深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の性能をほぼフルパワーで扱って、アトランティクス・レプノルカ"憑依一体(エピタフ)"を倒すとは………ね」

 

自分が深海の奥の奥、深海三強の素材を用いた三種の神器全てを揃え、初めて到達可能となる深海深層───────其処に隔離(という名目で追放)した『喰纏種(キメラ)モンスターのアトランティクス・レプノルカ"三位一体(トリニティ)"』のデータを元にサーバーに流して産み出させた、深海の王のキメラ個体。

 

死なずが故に死なずの空母鮟鱇たるスレーギウン・キャリアングラー"傀儡羅針(コンパペット)"を喰らって分体を産み出す術を得て、生者死者問わず魂魄を操り襲わせる怪物と化し、もし玉座の要塞寄居虫ことアーコリウム・ハーミット"廃罪玉座(ルインスロン)"を喰らおう物ならば、新たなる三位一体が産まれていたと言っても過言では無い存在は、ペッパーやサンラクを含めた六人のプレイヤー達によって、深夜から朝方に掛けた一徹近い時間を掛けて討伐された。

 

クターニッドの一式装備(パワードスーツ)にウェザエモンの一式装備(パワードスーツ)、更には海中戦闘用の試作型戦術機獣の投入と戦闘、地上とは異なる海中下の戦闘に彼等彼女等は大苦戦を強いられる形にはなったが、最終的に憑依一体は倒される結果に終わったのである。

 

「とは言え…………やはり憑依一体討伐に漕ぎ着けた、一番の要因は『コレ』か」

 

彼女が見つめるは、ヴァイスアッシュから受けた依頼で神業を探す神匠鍛冶師を探し、マグヌスとの出会いと彼が見せた鍛冶魔法の極致たる概念形成(コトナリ)を学び、世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)権能(チカラ)ジークヴルムの角(霊角の残影)と黄金のマグマを使って、自分の世界(シャングリラ・フロンティア)創り(産み)出し。

 

不滅の名を冠する最強種が嘗て使っていた、ジークヴルムの角より創り出した鍛龍(タンリュウ)に比肩する業物ながら、自らが思考を行いてマナ粒子と結び付ける事で事象に()()し、自己進化と自己変革を続ける()()を持った武器………ペッパーが命名せしは覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)という一本の龍刃だった。

 

「マナ粒子を通じて事象に適応し、敵に対するメタを構築による討伐………ジークヴルムの持つ特色を加味して、使う者に己が世界で何を成すかを問い掛ける武器………」

 

神代最強のマナ・キラーであり、大元のジークヴルムがリスポーンによって大半の力を失った今、其の覇刀は鍛龍に匹敵する力を持っている。

 

其の上、プレイヤー達との会話から生物の意思疎通(コミュニケーション)に魂の波長とリズムを知り、霊体や分体による支配を断ち切り、幽霊やポルターガイストの存在を直接斬れる武器狂い(SOHO-ZONE)命名の魂魄切断(タマダチ)を戦闘中に会得。

 

何よりヴァイスアッシュ……………SS7曰く『冥響のオルケストラにも模倣出来ない代物』が此の覇刀であり、彼が持つ『ある武器達』と同じ模倣不可能のカテゴリー側に存在する事も、創世本人も龍神楽という武器を『異質極まる存在』と見るには充分な理由になったのだ。

 

「………ヴァイスアッシュが見込んだだけはある、という事かしら?『問い掛ける』という点をしても、ウェザエモン達が『何を求めているのか?』をペッパーが考え、そうして彼が纏った鎧が読み取り、龍神楽に色濃く反映している証拠………」

 

七つの最強種(ユニークモンスター)とは問い掛ける存在(モノ)であり、既に滅び去った神代の力を以て開拓者へと力を示す存在(モノ)であり、己自身を賭して答えを求める存在(モノ)

 

墓守の英雄に名と魂と鎧、そして未来を託された事で得た『天津気の襲名者』。

深淵の盟主に己と力を分けた鎧の継承者と認められ、鎧を託された『盟主の威光を授かる者』。

黄金の龍王に時代を作り切り拓く、大いなる英傑と認められた『龍王が認めし英傑』。

 

創世をしても頭一つ所か、確実に三つは抜けているイカれた思考深度を持った彼は、世界の物語が第四段階に移行して世界に蠢き潜んでいた始源存在が現れ、放置した先に存在している『最悪の未来』をプレイヤー達に語り、自らも彷徨(さまよ)大疫青(だいえきせい)討伐に一役買って出た事も有ってか、プレイヤー達も『始源存在達の放置は危険』との認識を広げたのだ。

 

事実、プレイヤー達も各地に散らばり始源存在を探す者、新大陸で亜人種達との連絡と連携を模索する者、各所の危険地帯の近辺に拠点を作って素材獲得を目指す者と、其々が其々なりに道を探して出来る事をやり遂げようとしている事が、プレイヤー達のログの変化から察する事は容易い。

 

「………チートを使っていないし、自力でやっているのも解る。ウェザエモンやクターニッドに、ジークヴルムの事を理解しようとしたのも、まぁ良い………。でも其れは其れとして、やっぱりムカつく………!もう少し苦戦するとかしなさいっての………!」

 

継久理 創世という人間は、承認欲求と独占欲の相剋による二重螺旋で出来ている。

 

そして彼女をしてペッパーというプレイヤーは、自分と御爺様の素敵な世界(シャングリラ・フロンティア)の読解力が高い読み手で有りながら、設置した高い壁を次から次に軽々と越えて行く蝶や蛙か、はたまた別の何かという印象を持っているのだ。

 

認める部分は認めはするが、其れは其れとして認めたくは無いという、気難しさを通り越して地雷原が一切解らない荒野の如き心持ちの人間であり、彼女はオルケストラに搭載した…………もといペッパー対策の為に解禁した正典(カノン)プログラムを見直し始め、今回の戦闘データが入っている事を確認した上で北叟笑む。

 

「オルケストラ。ペッパーが攻略に掛かった際に『最も有効となるモンスターを行動ログから選出、複数のパターンを演算して最も効く順番を幾つか導き出して』」

 

彼というプレイヤーがオルケストラの鎧を手に入れる鍵を持つ存在であり、何れにせよオルケストラへと挑む以上は此方も最大限やれる事をやるのが、世界を作った神としての成すべき事だと。

 

神が筆を取り、軌跡を描きて世界は変わっていく…………。

 

 

 






神は試練を課す


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