VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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イベント後に、未来(さき)を見て




インパクト・オブ・ザ・ワールド 〜ディープブルー・オブ・リターンズ〜

「ペッパー君、ペッパー君。先程のジニシィさんからの依頼、つまりは『そういう事』ですよね………?」

「SOHO-ZONEさん達含めた、大方の『予想通り』かと」

 

道具等を持ち運ぶ大型のリュックに鍛冶道具を入れ、身形を整えてリヴァイアサンが浮上した水面を目指して出立の準備をするジニシィを横目に、シャングリラ・フロンティアという世界(ゲーム)に置ける武器防具に関する事柄を徹底的に調査し、解明する事に重きを置くクラン・ウェポニアのリーダーであり、武器狂いの異名を持つ旧友(SOHO-ZONE)が一際熱い視線を、他のプレイヤー達もまた同じ視線を向けてくる。

 

ユニークシナリオ【深き海より、真たる鍛冶を目指し】─────────アスカロン・リペアを再生成(リバース)化させると、魚人族(マーマーン)の王・ルルクヌス20世とアスカロンの持ち主の子孫の名匠鍛冶師ジニシィに宣言した上で、仲間達と共に見事成し遂げた事も有ってか発生した、彼女が自身の手でアスカロン・リバースを更なる段階に押し上げ直す為に、古匠鍛冶師及び神匠鍛冶師への育成に協力する彼女の為の物語。

 

ビィラックのガンスミスライセンス獲得のユニークシナリオ【銃を識りて、銃を紐解く(ガンズノウ&ガンズアライバル)】に似た気配を持ち、彼女を育成していけばビィラックと同じ古匠鍛冶師、引いてはマグヌスやヴァイスアッシュと同じく神匠鍛冶師にする事が出来るだろう。

 

天覇のジークヴルムとの決戦後に行われた七天極星(グランシャリオ)会談で神匠の存在は公の物となり、大多数のプレイヤーは神匠に至る条件や前提は知覚され、鍛冶師プレイヤーは其の腕を磨いており、何時の日かジークヴルムとの決戦に備えてガンタック・ウェポニア・イムロン・ラピスに行った『鍛冶師達に素材を渡して武器防具アイテム製作と性能比べのコンペティション』をまた開いても良い気がする。

 

今度はビィラックやジニシィを加えた、六人の渾身の力作を比べ合って世界に普及させ、戦力を増大させるのも悪くはないだろうか?

 

「ジニシィさんが古匠鍛冶師になるのは良いけど、海中じゃ神代関係の機械は耐水耐圧含めて、深海より海上とかに置かないと駄目っぽくないですか?」

「其れこそスペリオルアビス含めた、生産職面々渾身の海上施設兼ギルドに鍛冶場を設置して、其処で仕事請け負って貰うのが良いと思うんですよねー」

「深海で掘り出せる鉱物で作った方が良くない?やっぱ其々の得意とする場所で作った方が、本来の実力を発揮出来るみたいな」

「おぅ、アンタ等。此方は準備出来たぞ」

 

そうこうしている内にジニシィはリュックに道具やらを詰め込んで、リヴァイアサンで魔力運用ユニット探しの出立準備を完了したらしい。

 

自分の鍛冶場に暫しの別れを告げた彼女と、彼女がリヴァイアサンに向かう事を伝えるべく、一同は一度魚人族の王城へと向かい、ルルクヌス20世にアスカロンの再生成(リバース)化を完遂した事を報告し、魚人族に改宗(コンバージョン)した開拓者達が一部アルトランティアに残り、ル・アラバや魚人族NPCと共に防人や鍛冶師に建築を手伝うとの事。

 

アルトランティア内に転がっていた骨やらで偽装し隠していた、クラン:スペリオルアビスの所有する潜水艇拠点アビス・ベル=ニールの出立準備も別働隊が整え切り、一部の魚人族もリヴァイアサンの目視の為に付いて来るらしく、皆準備を整えていた。

 

同胞やプレイヤー達に見送られた一向は海底都市アルトランティアを出発、何時でも海上に戻れる準備をしていたエルドランザとレーザーカジキ、そして魚人族改宗プレイヤー達と新たに加わった魚人族NPC達と共に、新大陸の海上ギルドを目指して数日振りの浮上を開始したのである………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海底から海上へ戻る難易度は、海上から海底に沈むよりは『比較的穏やかである』……………というのがクラン:スペリオルアビスの格言との事らしい。

 

実際『らしい』なので断定こそ出来ない上、自分がやろうと思うのは自分に大いに関係有る場合に限るが、深海の猛者達は深層や漸深層の領域に入って来る連中に対して過剰と言えるくらいに敏感で、其処から出て行く者は鈍感な程に追い掛けて来ないのだとか。

 

─────────何と言うかシグモニア前線渓谷(フロントライン)の地域構造が脳裏に浮かぶ、彼処も行きは地獄で大王冠も地獄、其々の門番(守り手)を打倒して初めて栄光を手に出来る点は、此処と其処まで変わらない。

 

「まぁ、とは言えだ………。ジニシィさん達に害を齎すなら海の冬将軍(コーラルホエール)だろうが、深海の猛者達だろうが斬り払って、素材を有効活用させて貰うまでだ」

 

滅多斬りのボッコボコにされるコーラルホエールを見つつ、周辺警戒と共に改めて左手に握ったアスカロンを見る。

 

ジニシィの手で再生成(リバース)化された魚人族に伝わる英傑武器(グレイトフル)のアスカロン・リバースは、アスカロン・リペアを正当強化した為に前以上に凄まじい出力を発揮した。

 

水圧による耐久値減少無効化だけでも有り難い上に、水棲系と海洋系のモンスター相手に発揮される特攻倍率がイベント時の対象ユニットの倍率と同じか、其れ以上とも言える出力と時間経過による装備の特攻補正強化は、装備者の水中に置ける『漁』を更に優位にしてくれるだろう。

 

始源眷族と眷属相手にもダメージ補正上昇が発揮されるので、今後始源存在達を探し出して戦う際に出力チェックは怠らないのは確定したと同時に、ウェポニア・スペリオルアビスの面々の視線から後々『検証』に付き合わされる事も確定したが。

 

そんな事を思っていれば、エルドランザとレーザーカジキの水属性のコンビネーション攻撃で怯ませた隙に、サンラクとヒュクノティムによる脚撃クロスボンバー炸裂が決め手となり、コーラルホエールの巨体を構築するポリゴンが崩壊していく。

 

「コーラルホエール。海の冬将軍と呼ばれし、冷気にして霊気を撒き散らし生きとし生きる生命を止める、堂々たる一角を掲げる白鯨よ。また此の海中で出会える時を俺は心から待ち望むぞ」

 

シャンフロでペッパー・天津気(アマツキ)としてプレイしている時は、最早恒例となった敵対存在の討伐後に行う御礼口上の後、コーラルホエールを構築していたポリゴンが完全に崩壊、参加人数が人数だったのでドロップしたアイテムは少ないが、其れでも新生アスカロンの出力を確認する相手として、冬将軍は充分な実力者だった。

 

「氷属性とは異なる霊気属性かぁ………」

「武器にしたら良い物作れそうですねー」

「あの一角白鯨の角、レイピアの素材にうってつけな雰囲気をビシビシ感じますよ」

「アンデッドにも効くのかな?」

 

まだまだ未知の深海性のモンスターから取れた素材を見ては、ワイワイガヤガヤする魚人族に改宗(コンバージョン)済のプレイヤーや水中呼吸手段持ちのプレイヤーを横目に、アビス・ベル=ニールがアームを展開してコーラルホエールの素材を掴み、潜水艇拠点内の格納用口に収納して行くのを見つつ、ジニシィ含めた魚人族NPCの人数を確認。

 

脱落者が居ない事を確かめた後、再度浮上を再開し海上ギルドへの海路を辿って行くのだった…………。

 

 

 






炎熱冷氷の刃


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