イベント後に、
「ペッパー君、ペッパー君。先程のジニシィさんからの依頼、つまりは『そういう事』ですよね………?」
「SOHO-ZONEさん達含めた、大方の『予想通り』かと」
道具等を持ち運ぶ大型のリュックに鍛冶道具を入れ、身形を整えてリヴァイアサンが浮上した水面を目指して出立の準備をするジニシィを横目に、シャングリラ・フロンティアという
ユニークシナリオ【深き海より、真たる鍛冶を目指し】─────────アスカロン・リペアを
ビィラックのガンスミスライセンス獲得のユニークシナリオ【
天覇のジークヴルムとの決戦後に行われた
今度はビィラックやジニシィを加えた、六人の渾身の力作を比べ合って世界に普及させ、戦力を増大させるのも悪くはないだろうか?
「ジニシィさんが古匠鍛冶師になるのは良いけど、海中じゃ神代関係の機械は耐水耐圧含めて、深海より海上とかに置かないと駄目っぽくないですか?」
「其れこそスペリオルアビス含めた、生産職面々渾身の海上施設兼ギルドに鍛冶場を設置して、其処で仕事請け負って貰うのが良いと思うんですよねー」
「深海で掘り出せる鉱物で作った方が良くない?やっぱ其々の得意とする場所で作った方が、本来の実力を発揮出来るみたいな」
「おぅ、アンタ等。此方は準備出来たぞ」
そうこうしている内にジニシィはリュックに道具やらを詰め込んで、リヴァイアサンで魔力運用ユニット探しの出立準備を完了したらしい。
自分の鍛冶場に暫しの別れを告げた彼女と、彼女がリヴァイアサンに向かう事を伝えるべく、一同は一度魚人族の王城へと向かい、ルルクヌス20世にアスカロンの
アルトランティア内に転がっていた骨やらで偽装し隠していた、クラン:スペリオルアビスの所有する潜水艇拠点アビス・ベル=ニールの出立準備も別働隊が整え切り、一部の魚人族もリヴァイアサンの目視の為に付いて来るらしく、皆準備を整えていた。
同胞やプレイヤー達に見送られた一向は海底都市アルトランティアを出発、何時でも海上に戻れる準備をしていたエルドランザとレーザーカジキ、そして魚人族改宗プレイヤー達と新たに加わった魚人族NPC達と共に、新大陸の海上ギルドを目指して数日振りの浮上を開始したのである………。
海底から海上へ戻る難易度は、海上から海底に沈むよりは『比較的穏やかである』……………というのがクラン:スペリオルアビスの格言との事らしい。
実際『らしい』なので断定こそ出来ない上、自分がやろうと思うのは自分に大いに関係有る場合に限るが、深海の猛者達は深層や漸深層の領域に入って来る連中に対して過剰と言えるくらいに敏感で、其処から出て行く者は鈍感な程に追い掛けて来ないのだとか。
─────────何と言うかシグモニア
「まぁ、とは言えだ………。ジニシィさん達に害を齎すなら
滅多斬りのボッコボコにされるコーラルホエールを見つつ、周辺警戒と共に改めて左手に握ったアスカロンを見る。
ジニシィの手で
水圧による耐久値減少無効化だけでも有り難い上に、水棲系と海洋系のモンスター相手に発揮される特攻倍率がイベント時の対象ユニットの倍率と同じか、其れ以上とも言える出力と時間経過による装備の特攻補正強化は、装備者の水中に置ける『漁』を更に優位にしてくれるだろう。
始源眷族と眷属相手にもダメージ補正上昇が発揮されるので、今後始源存在達を探し出して戦う際に出力チェックは怠らないのは確定したと同時に、ウェポニア・スペリオルアビスの面々の視線から後々『検証』に付き合わされる事も確定したが。
そんな事を思っていれば、エルドランザとレーザーカジキの水属性のコンビネーション攻撃で怯ませた隙に、サンラクとヒュクノティムによる脚撃クロスボンバー炸裂が決め手となり、コーラルホエールの巨体を構築するポリゴンが崩壊していく。
「コーラルホエール。海の冬将軍と呼ばれし、冷気にして霊気を撒き散らし生きとし生きる生命を止める、堂々たる一角を掲げる白鯨よ。また此の海中で出会える時を俺は心から待ち望むぞ」
シャンフロでペッパー・
「氷属性とは異なる霊気属性かぁ………」
「武器にしたら良い物作れそうですねー」
「あの一角白鯨の角、レイピアの素材にうってつけな雰囲気をビシビシ感じますよ」
「アンデッドにも効くのかな?」
まだまだ未知の深海性のモンスターから取れた素材を見ては、ワイワイガヤガヤする魚人族に
脱落者が居ない事を確かめた後、再度浮上を再開し海上ギルドへの海路を辿って行くのだった…………。
炎熱冷氷の刃