海中を越えて
海の中と言うのは静かであると同時に暗い物である。
夜の時間帯の海は月やらが出ていないと真っ暗であり、其の暗さや不気味具合はホラーゲームや
「まぁ俺の場合、リュカオーン関係マシマシのスキル達が有るから、色々と優位を取れてる訳だけど」
ジークヴルムとの決戦に向けたシグモニア
(『夜という概念存在』がリュカオーンなのかなぁ………。エムルさんのマナ・シェイカーなる魔法でダメージ受けてたし、サンラクはリベンジ戦でリュカオーンの影狼を幽霊やポルターガイスト的な存在って言ったし)
何時だったかサンラクとペンシルゴン、
スキルの通りが悪く、魔術の通りは良かった事。マナ粒子で闇を固める事で実体を持つが、実際は『非物質からなるポルターガイスト的な存在』だと言う事だ。
夜闇を駆け渡り、夜闇に融け潜り、夜闇より顕わる…………夜
そんな事を思いつつも、
「ルスト、モルド。一応海から上がったら、天将王装と海王を返して欲しいんだけど良い?」
「………………何故?」
「ちょっ、ルスト!?」
此方の問いに対するルストのド直球極まる返答を前にモルドが声を上げるが、リヴァイアサンの第四殻層
此れは自分だけで無く、今回使ったルストやモルドを含めた旅狼のメンバーが以降に使う場合、やるか否かで『使用感が大きく変わるレベル』になるからだ。
「今回ルストが海中で天将王装と海王を使った
ペッパーの述べた言葉は事実であり、笑顔という仮面を被って開拓者から
因みに其時の勇魚が彼に言った言葉というのがコレである。
『嘗てウェザエモン・
此処で仕損じて彼がシャンフロにログインしなくなれば、未だ見ぬ特殊戦術機達が解放されなくなる未来や、自分と同じくロボリスト達のモチベーションを失わせる事に繋がると、其れだけは絶対に避けねばならぬと脳内回路で約一秒の演算で弾き出したルストは、彼に対する『条件』を提示する様にこう言った。
「複腕か複脚のネフィリムを作って、ネフホロで私
「ルスト………」
「モルド、ペッパーを相手する時は全力サポート御願い」
「解ったよ、ルスト」
「了解した。とびっきりのネフィリムを作って、ネフホロチャンピオンコンビに挑戦させて貰う」
海底都市アルトランティアでルストが蛸極王装を見て、そう言っていたのが此の条件に当て嵌まっていると答えに辿り着き、交渉は早々と成立からの握手を交わし。
エルドランザが祭り上げられている社で天将王装の受け渡しを行う事となり、遅れる形にはなったがペッパー達も水面へ到達し、新大陸の前線拠点から溢れる灯りを頼りにして海岸線まで泳いで行ったのであった…………。
「やぁやぁ、
『グルルルルルルル……………!』
知ってた、何時もの、様式美、実家の様な安心感、其の他含めてetc.と、ニッコリ笑顔のペンシルゴンと身体を擦り付けて尻尾を足首に巻き付けたノワによる、独占欲全力全開の睨み合いと火花散る光景から、そんな言霊が頭を過ったのは偶然では無い。
おそらくはサンラクかSOHO-ZONE、或いはヒュクノティムか別の誰かにペンシルゴンが『ペッパー達が海底から帰って来るタイミングを報せて』と、先んじて依頼を出していたのだろう…………で無ければ、ペンシルゴンやリュカオーンの分け身のノワに、大多数のプレイヤー達が此処に集まっている事に説明が付かないのだから。
「で、オハナシってのは?」
「ん〜、実は『私達から』って訳じゃないのよね」
「…………どういう事?」
『俺から、と言った方が早いか』
背筋と鼓膜が振るえる感覚、ペンシルゴン達が左右に分かれて道を作れば、羽搏き近付き着地する人間大サイズの黄金の龍王─────────決戦に置いて一度は死して、リスポーンによって蘇った現在、修行中の身である『天覇のジークヴルム』其の龍が居たのだ。
「ジークヴルムさん、御久し振りです」
『ウム。して、ペッパー・
ジークヴルムがジークヴルムの刀剣との対面を望んでいる。ジークヴルムの角と黄金のマグマを使い、此の世界に生まれた龍神楽はジークヴルムと同じ声をしながらも、ジークヴルムとは異なる存在である。
ドッペルゲンガーの様に同じ存在が対面したら片方が消滅する…………とは思いたくは無いが、果たして如何なる結果が訪れるかはペッパー本人にも解らない。
「ジークヴルムさん。今其の龍神楽は寝ている状態では有りますが、大丈夫でしょうか?」
『構わない』
インベントリアを操作して覇刀:龍神楽を取り出した其の時、龍神楽がパチリと寝惚けた様子で目を開いた瞬間に、ジークヴルムと目が合った。
『オマエは…………』
『…………フム、良い声だな』
世界に生まれし龍刃と、世界に再誕せし龍王。
出遭いし双龍、果たして何が起きるか。
黄金の邂逅