VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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二対の龍の対面は




インパクト・オブ・ザ・ワールド 〜双龍と人達の宴は華やかに〜

覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)と天覇のジークヴルムの邂逅。其れは世界の何処かで本人とドッペルゲンガーが巡り合った結果、何方かが消滅して残った方が存在として確立されると言う。

 

片や世界に生まれし龍刃と、片や世界に再誕せし龍王………(ふた)つの龍が同じ場所で相見えた時、果たして何が起きたのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜、では皆さん!あーくん達の海中進出無事達成とアスカロンの修繕、其れから魚人族の名匠鍛冶師ジニシィちゃんの育成計画の発足による、成功祈願と致しまして…………乾杯!!!」

『乾杯ッ!!』

『カンパーイ!!』

『ワオーン!』

「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えば、龍神楽とジークヴルムの双方共に『何も起きなかった』。

 

寧ろ龍神楽を手に取ったジークヴルムに対して行われたドラグマ面接に、ジークヴルムが父親で産みの親たるジーク・リンドブルムから教えられた『英雄とは何たるか』を熱く語り、蘇った今は『もう一度人類の守護者として戦い、何時の日か再び門番として彼等彼女等の前に立つ事こそが、己自身の見定めた道である』と語り。

 

対して龍神楽もまたジークヴルムの決意や覚悟を『面白い』と言いながらも、其の言葉は嘲り等では断じて無い『芯が通った強い眼差し』を以て答えた事により、ドラグマ面接に合格した。

 

そんな一幕の後、エルドランザを祀る海上社に遠征メンバー達と共に移動、前線拠点に住在中プレイヤーや亜人種NPC達も加わり、約束通りにルストから天将王装と海王を返却された後に、遠征に出たプレイヤー達が成果として深海性のモンスター達の素材を見せた事で興奮が起こり、まるでドミノ倒しの如く酒や食材に鉄網と薪等を持って来た生産職関係面々によって、流れで『バーベキューパーティー』を開く事になり。

 

魚人族(マーマーン)の鑑定で判別された食べられる魚や貝を火で炙って、鉱人族(ドワーフ)達がホルヴァルキンから持って来たり、此の地での商いで得た酒樽や酒をハイテンションで開いてジョッキに注いだ後、ペンシルゴンの音頭を以てパーティーは開幕した事で、現在海上社を中心として開拓者と亜人種に職業の垣根も越えたドンチャン騒ぎになっている。

 

「んん~、美味い!シャンフロの酒って『脳を炙る感じが無い』んだけど、上質な炭と高温で焼いた魚や貝が加わるとイイ感じになるのよね〜♪」

「そうなの?」

『脳を炙る………確かに此の酒とやらは刺激が弱いな』

『我が父も『すもーくういすきー』だったか、其れを氷と水で程良く薄めて飲んでいたぞ。アレは中々綺麗な色であった、クックック………』

「………今サラッとジークヴルムさんから、『ジーク・リンドブルムさんの趣向品に関わる話』が出て来たんですけど………」

「神代人類もやっぱお酒が好きだったんですね〜」

 

神代の頃にも酒に関する話がジークヴルムから飛び出し、ジークヴルムの産みの親で最後の神代人類だったジーク・リンドブルムは、生前にスモークウイスキーをロックで飲んでいたという話も出て来た。

 

「味覚制限が解除される美食舌を持ってても、何でか『酒だけは』リアルと同じにならないと言いますか………」

「VR全盛期の時代にリアリティを突き詰めたシャンフロで、酒だけ制限状態ってそんな事有ります?」

「どうだろう?『酒の味覚制限解除する為の』、そんなユニークやらが在るとかの可能性が?」

「うーん…………」

「ペッパーさんはどう思います?」

「えっ!?」

 

龍神楽が酒を飲み、其の酒を薄める様にペッパーが水を飲ませていた所、他のプレイヤーが彼にいきなり話を振って来るとは予想外。

 

酒に関しては其処まで詳しくは無い上、現実(リアル)では未成年の現役バリバリ大学生につき酒は飲めないし、VRで酒を飲んだ事自体そもそも無いので、如何様に答えれば良いのか解らないである。

 

が、集ったプレイヤー達が持っている木製ジョッキやガラス製グラスから、より良い食器+美食舌+酒類の品質による三要素の複合で『酒の味覚制限が解除されるのでは無いか?』と予想を立て、己の言葉で考えを紡いだ。

 

「…………あくまで予想ですけれど、『飲む為の食器も関係している』と思うんです」

「「「「「『「「飲む為の食器」」』」」」」」

 

ライブラリ・ウェポニア・スペリオルアビス・SF-Zoo、野良プレイヤーや亜人種NPCに、ジークヴルムまでもが此方に視線を向けて来た。

 

まるで気分はレトロゲームで悪の組織の幹部が巨大なホール部下達にプレゼンテーションするイベントシーンや、記憶には懐かしき授業参観で生徒や親の前で発表会をしている自分の姿が思い浮かぶ。

 

「称号【美食舌】の獲得条件はライブラリの皆さんが公開している情報では、食料アイテムの品質や調理によって加工された物を食し、プレイヤーに設定された『味覚解除のラインを超過した』時に手に入るそうで」

「はい。其処はペッパーさんが述べた通りですが、ただ食べる物は『量よりも質の方が結構重要みたい』なんです」

「あぁ、高級な物で最高の食事が近道的な?」

「ですです」

 

食事とはより良い環境・食器・食材の三点が活かされた時、最高と言えるポテンシャルを発揮する。そんな時、誰かがこんな事を言った。

 

「フェロシタス・デレクタメンタムが美食舌解放必須だとか…………」と。

 

「──────え?えっ、マ?カッパとピラニアとエイリアンを雑に混ぜた、あのキモい生物が?ホンマか???」

「確か其のキメラ高級魚、スペリオルアビスの魚関係に強い人がフェロシタス・デレクタメンタムの読み方が、ラテン語で『獰猛で美味しい』って訳せたんだって。魚人族の皆さんも御墨付きの魚だよ」

「確かに見た目はアレだが、味や匂いはマグロの赤身や中トロに近くて、程良く火で表面炙ってガーリック風な野菜乗せて柑橘系のタレを掛けると、此れがまた酒が進むんよ…………」

「いきなり飯テロするの止めてくんない?」

『食ってみたいな、其のふぇろ何たるやらを』

『俺もだ、ドラグマよ。話を聞いてみれば、中々に美味な気配がするぞ』

『グルルン』

 

酒に関する話だからか、其処から酒と合う食べ方に発展し、オマケに龍神楽とジークヴルムにノワまでもノリノリと、此のまま何処かのバーで二次会と洒落込む気配が強まって来た事から、一先ず切り上げてラビッツに帰らないと何時ログアウト出来るか解らない。

 

「おうおう!其のフェロシタス・デレクタメンタムってぇキメラフィッシュ、綺麗に捌いて持って来たぞ!」

「「『「「『でかしたァ!!!』」」』」」

「よっしゃ、ソースやらは俺が作るぞ!火を炊けぇい!!!」

「なら此方はワシ秘蔵の酒樽じゃあーい!」

「「「「『『「いぃっやっほーい!!!」』』」」」」

 

あ、コレは徹夜確定コースだ。

 

シャンフロ酒飲み勢達がハッスルし、ハイテンションのスイッチが入った事で、ペッパーと複数のプレイヤーは一晩中ドンチャン騒ぎ不可避の状況になったと確信。

 

フェロシタス・デレクタメンタムが焼かれ、ガーリック風な野菜と柑橘系の甘酸っぱい香りが食欲と酒盛り欲を刺激する中、開拓者達が酒盛りする気配に導かれたのか、アイトゥイルとディアレが何時の間にか合流し。

 

暫く会えなかった事に対して呑兵衛致命兎の彼女は酒を飲み、怒り上戸から始まって泣き上戸より笑い上戸、そして空上戸から甘え上戸の多段変化し、まるで其れに対抗するかの様にペンシルゴンとノワまでも参戦するという、傍から見ればドが付くレベルの修羅場にプレイヤー達や酔ったNPCが湧き立ち。

 

インベントリアから出て来たヒトミがやれやれと言った表情で彼等彼女等の成り行きを見守りつつも、片手で龍神楽を持って自らもジョッキを手に持ち、アイトゥイル達の愚痴やらに付き添うのだった…………。

 

 






楽しい宴(一部は修羅場)


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