行軍の大原則
戦乱の世の時代に置ける行軍とは、時に迅速な行動を求められる場面が多々有る。
中国大返し或いは備中大返しと呼ばれる、戦国時代に起きた大規模強行行軍は豊臣 秀吉が主君たる織田 信長を本能寺の変で自害に追い遣った、明智 光秀を倒して仇討ちを果たすべく『約230kmの道を甲冑等を纏った状態で、およそ十日という時間で舞い戻って仇討ちを行える準備を整え、見事に討ち取って天下人への名乗りを上げた』という伝説が在る。
「いやちょっと流石に速くないですか、ペッパーさん!?」
「ノワなら出来るって思ったが、やっぱり凄いぞノワ!」
『ワウン!』
リュカオーンの分け身たるノワは、本来縮めていた自身の身体を元の状態まで戻し、其の背に数人のプレイヤーとジニシィにヴォーパルバニー達を乗せながらに海岸線を
─────────傍から見ると此の光景は『リュカオーンに追い掛けられている開拓者の構図』にしか見えないが、其れは其れとしてノワの機動力は此処最近目を見張る物が有る。
シャンフロのwikiではテイムされたモンスターはプレイヤーのステータスに影響を受ける部分が有り、ジークヴルムとの決戦に備えたレベリングの最中にステータス確認が出来たアイトゥイルは筋力とスタミナに敏捷の伸びが強く、ディアレ自身もMP以外で死なない事を前提とするスタミナが付き始め、ステータス確認が出来ないノワでも動きのキレに持久力の高さが随分と箔が付いた。
次いでに『敵の動きに合わせて効率良くカウンターを叩き込むか』という要素も併せ、自分の動きを少しづつ着実に『改良している』様にも見えなく……………間違い無く
(何れリュカオーンの本体倒した後、ノワがリュカオーンとして七つの最強種の玉座に座るんだろうか…………)
ユニークシナリオEX【黒は始まり、闇皇へ至る】。
夜襲のリュカオーンの影を打倒して発生させた、ユニークシナリオEX【夜闇を祓うは勇気の灯火】とも異なり、リュカオーンの分け身と行動を共にしながらリュカオーンの本体を打倒するのか、はたまた別の何かをするのか未だに全容が掴めていない
そうして頭の中に作っている記憶の本棚で区分けした、夜襲のリュカオーンに関係する区画へと収納し、予定通りにリヴァイアサンを目指して海岸線を突っ走り、其の後を背中に多数の生命達を乗せたノワが地を蹴り、走って追い掛けて行くのであった…………。
********************
*******************
******************
ユニークモンスター・天覇のジークヴルムのユニークシナリオEX【来たれ英傑、我が宿命は幾星霜を越えて】を新大陸のプレイヤーや亜人種NPC達、そして青と黒の二柱の色竜を加えてクリアによってワールドストーリーが第四段階に移行と同時に、旧大陸・神話の大森林に現れた緑の
世界の真理書【天覇編】を手にした者達の情報と、実際に接敵及び戦闘を行った者達の情報によって、此のモンスターは『駝鳥の特色を持つ緑色の孔雀であり、木へと擬態して
最初の接敵から約二週間、縁大緑が投げて来る乗っ取りの大前提の果実は、『着弾後から十五秒以内に超火力の熱で身体に染み込んだ液体を蒸発させる事』で縁大緑の手駒にされずに済む事が判明し、高度な擬態も深淵のクターニッドの撃破で共通報酬として渡される『深淵の警鐘が鳴らす音響方向に存在する事』が解り。
そして視覚系スキルの中でも、組み合わせる事で『発動者はフィールドやモンスターにオブジェクトを立体透視が出来るコンボたる、
更にベヒーモスにて象牙から縁大緑の情報を得た『あるプレイヤー』が、討伐戦中のプレイヤー達に加わった事によって、遂に嬲る縁大緑は追い詰められ、自身の持つ『奥の手』を───────即ち『
「あああああ!くっそ、七面倒くせぇぞチクショウ孔雀野郎がぁああああ!!!」
「『二次感染しないクローンゾンビパニック』か何かかよ!?」
「いやもう『グリーンスプラッタ』でしょ、どう考えてもッ!?」
「俺達から奪った体力やら魔力にスタミナで『取り込んだ奴等から一番優れた奴を
嬲る縁大緑の始源回帰、其れは『過去に自身が取り込んだ生命の中で最も優れた存在を呼び起こす』。
過去に己に挑み、己が産み付けた雛達によって手中に堕ちた、哀れな生命体を現在へと起こして、生きとし生きて己を倒さんとする者を退けんとする、嬲る縁大緑の
コレを使わざるを得ない事、其れは嘗ての時代に黄金の龍王と共に居、黄金の龍装を纏った神代人類達に辛酸を舐めさせられた記憶を思い出すに等しく。
何より嬲る縁大緑が駝鳥と孔雀の特色を持ち、過去の記憶を想起・現出する事に集中する為に『足を地面に根差し、
「おーおー、でっかい木になっちゃってまぁ………」
「『かたあしだちょうのエルク』を冒涜された気分だ………!」
「駆除名目で除草剤撒いて良いよね?」
「火炎放射有りっすか?!」
「まぁ待てお前等。何の為に『コレ』使って来たんか、解ってるだろ!?」
「はい、ぶった斬りィィイイイイ!!」
彼女等は死の概念を結晶化した、多種多様な黒の喪服を纏っている。
彼女等の一部は白百合の紋章が刻まれた、巨大なる墓標の剣を持っている。
緑の卵から孵る雛達は分体でありながら、実態は小さなMOBの集合体である。
黒い死の嵐達が緑の津波を細切れに変える中、一人の女が巨樹化しても尚も災禍を撒き散らす縁大緑を見据えて、準備を整えながらに睨み付けて叫ぶ。
「
彼女の名は『エターナルゼロ』、ベヒーモスの統括AIで
深淵のクターニッド・天覇のジークヴルムを撃破した後、ベヒーモスでのアバターのリビルドとレベルダウンによる基礎能力の強化によってレベルは10まで下がったが、普段は『五歳児の赤ん坊フォーム』・性別反転の聖杯で『マッシブな女性プロレスラーフォーム』の、自分なりのシャンフロアバターの『答え』か、或いは『到達点』に辿り着いたプレイヤーなのだ。
「決めるぜ『
シャンフロには
高らかに放つは勝利宣言、鎧闘士に就いた者に齎される其の奥義たるスキルは、文字通り自分の行動を宣言した上で成功させた場合、其の威力を更に高める。
其処へ重ねるスキルは、高潔なる精神の具現化と言える『
「ッ………シャア!行くぞ、
リヴァイアサンで機装に関わる情報ライセンスを片っ端から所得し、ルルイアスにて討伐したスレーギウン・キャリアングラーの素材をベヒーモスで使い創り出した、
ペッパーが齎したスキル再習得要素、シャンフロのスキル検証班達によって徐々に『ヤバい側』のスキルと認識され始めている無重律の恩寵で空中を飛び、
「超火力っ─────────、延髄斬りャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
『GyaAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?!?!?!』
汚いブーメランの様な軌道を描いて跳んで行き、縁大緑の首が千切れ掛ける程の衝撃と威力に折れ曲がり、後ろに在った大森林の巨木に頭から突っ込んで顔面をズルズルと引き摺り、地面に落ちるエターナルゼロ。
ポリゴンが崩壊し始めながら、最後に取ったサムズアップが喪服を纏いし開拓者の視界に映り、其れが彼女等の攻撃の合図となった。
「決めるぞ、お前等!!」
「
「
「おおおおおおおおお!剣神断覇ァアアアアア!!!」
特大で相手には鈍重な、自分からは鳥の羽根程の軽い墓標の鋒が、緑の巨樹たる始源の
小さな雛達を宿主に寄生・成長させ、足らなければ諸共を
奪い、奪い、奪い続けた其の果てに、今の今迄に自分がして来た事を意趣返しされ、最後の手段すらも逆手に取られた事により、悪辣なる右方始源眷族の緑は……………遂に倒されたのである。
『Gyu、kurorororo…………、kuruuuuuuuuuu…………─────────』
「…………また出て来るんだろうが、そん時はもう一回確り潰してやるよ、嬲る縁大緑。開拓者嘗めんな」
誰かの捨て台詞じみた言葉の後に、青々と茂る緑の巨樹は崩れ落ちて朽ち果てながら、緑一色に染まっていたプレイヤーやモンスター達も多彩な色を取り戻した中、彼等彼女等の前にはリザルト画面が表示された。
『緑、みどり、寄り取りみどり…………生命を吸い尽くし、己の手中に堕とす、緑の厄災。奪い、奪い、奪い尽くし、されど奪われ、奪われ尽くし、最後は何をも無くして地に朽ちる。しかし油断ずべからず………緑とは輪廻の中、再び地へ這い出す
『モンスター
『討伐対象:
『レイドバトルが終了しました』
『参加人数:181/200』
『次レイド開始:719:59:38……』
「……………っあ〜あ〜あ〜〜〜………メッチャ疲れた…………」
「いやぁ、まさか準備含めて此処まで時間が掛かるとは…………」
「やってみりゃ何とかなるもんだな…………」
「おーい、皆ー!縁大緑の倒れた場所に、駝鳥の卵を数倍にした球体が人数分落ちてるぞ!」
「俺達エタゼロさん戻って来るの待つわ、報酬確認どうぞー」
「りょーかーい!」
始源眷族の一柱を打倒、其れもペッパーが持っている神代の大いなる遺産を持ち得ずとも、自ら思考の果てに答えを探し、見付けて証明した者達。
其れは紛れも無く、彼等彼女等が『開拓者』であり、神代人類が敗北した始源の波濤を前に『抗い抜いた』事に相違無しなのである。
緑を倒して