VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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新コンテンツを前に、人はどうするか?




ガンゲイル・アテンション

サンラクが発見し、リヴァイアサン統括AIの勇魚(イサナ)によって判明したアボカド君、正式名称をB2:市民用補助機装(シビリアン・サブデバイス)「アグアカーテ」の更なる強化プラン『特務用執行機装(SPデューティ・エクスキューデバイス)「ワカモーレ」』。

 

確か名前の由来はアボカドに色々混ぜた、スペインやアメリカの料理に使われる野菜ソースの『サルサ』だったか、其の機装(デバイス)を獲得・運用する為には専用のライセンスが必須であり、早速其れを獲得せんとするサンラクだったのだが…………

 

 

「いやでも違うじゃん?銃ってのは基本的に『完成した時点で完全体』だから、此の世界の鍛冶師の常識に当て嵌めても進化や真化で『一つの武器から更なる発展形が出現する』ってのが、そもそも僕としては慣れない概念であって其の観点からすると、隠し要素で特務用とか出されても僕としては対応出来ませんっていうか、いや対応はするけど初見で気付くのはちょっと無茶というか。取り敢えず特務ライセンスは一旦置いといて、僕と一緒になんか適当に大冒険して特務規定を達成から、其れを終わったらちょっと休憩して貰って、其の間に僕が特務用執行機装作るから………」

 

そう述べるヤシロバードと。

 

「シャンフロの武器って強化に進化が其の特性を伸ばし、真化を行うと持ち主の武器種其の物が変わったり性質がピーキーになったりしますが、ロックオンブレイカーがマッドネスブレイカーになって其処から取り込んだ鉱石によって、小鎚達が三系統の進化体に派生する訳で、銃火器って存在は『普通の方法』では別の姿に出来ないんでは?と、ウェポニアやS·F·G·F·Aでも議論されてまして………」

 

そう言ったアヴァランチと。

 

「特注のチューニングとは古来からロボリストの間で連綿と受け継がれ続けた御約束であり、特定のタイミングで主人公機やライバル機がユニットや二号ロボとの合体で更なる強化や別機体に乗り換えるロボ好きの観点からして避けては通れない伝統的なイベントであり、美しくも儚い神聖なる儀式であり、そして物語を加速させる為に絶対必須の通過儀礼であり、其れ故にこそ私は避けて通る事は断じて否であり…………」

 

別の観点から語るルストが居て。

 

即ち此の三人は『銃火器の未だ見ぬコンテンツが解放されるのは良いが、其れは其れとして一番乗りは自分がしたいからちょっと待て』と言いたいらしい。

 

そんな銃キチと銃火器集団トップにロボキチの三人衆に対し、当のサンラク本人はと言えば…………

 

「特務ライセンス取り行くから、其処さっさと退いてくれ三人衆」

 

…………と言った具合にザックリと、見事なまでに無慈悲な一蹴を決めてやった。

 

サンラクというプレイヤーは、其処の辺りが『ドライ』な一面を持つ、彼に要求を通したければ相応にメリットとなる物を叩き付けなければ駄目だろう。

 

カードゲームに例えれば、互いにメリットになるカードを精査し、其の上で互いに納得して後悔が無いトレードをする…………みたいな物だ。

 

「「ずるいだろ(でしょう)、そういうのーーーーー!?!」」

「ネフホロで覚えてろ、ギッタンギッタンのボッコボコにする…………!」

「家のルストが本当にすいませんッッッッ!!」

「俺がズルいんじゃなくて、お前等がスットロいんだろ」

 

『へッ』とでも言いたげな視線で三人を一見するサンラクに、ヤシロバードとアヴァランチがインベントリを操作し始めたので、何を仕出かすのかと警戒しつつ、ヒトミに覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を持って貰って自分は聖盾イーディスを取り出した所で、彼が『マーニ入りの革袋』を取り出して渡しに来た。

 

「サバイバアルやSOHO-ZONEに、お前含めて『俺に金の山出せば大抵は何とか出来る』みたいな共通認識あんのか?」

「いやほら、『孤島』でサバイバルしてると現実(リアル)で金の力が身に染みるというか………。やっぱり経験則かな?」

「教えて貰ったりサービスを受けるには金が必要不可欠ですし、何にせよ金が絡む話で『なーなー』にするのは良くないので」

「ヤシロバードの其れは『後遺症』って言うんだぞ、全くよ………。はぁ〜………、あ〜何か『道路に落ちてる生ゴミ』を放置出来ない感じになってきた」

「銃の為なら、僕は生ゴミにもなるさ」

「其れで良いんすか、ヤシロバードさん………」

「人としての尊厳(プライド)くらい持てよ」

 

ヤシロバードやサバイバアルにSOHO-ZONEがサンラクと会話をしている時、其の会話で必ずと言っても良い程に出る『孤島』というキーワード。

 

此迄に得て来たワードは『殺し合った仲』『同郷の友』『銃』、そして『χのアサシン』『サイレントキル幼女』『μ-skY』『ゲーム仲間』で、此の内サイレントキル幼女とμ-skYは同じ存在でサンラクの事を指し、μとχは『ギリシャ文字』である事から其の文字は集団かつ、異名は其の集団内でトップか有名な者を示す可能性が有る。

 

つまりSOHO-ZONEはχの集団かグループ内で、サンラクはμの集団かグループ内で実力か名が知れ渡っている存在だと思われ、此れだけの考察要素が有れば彼等が言う『孤島というゲームの名前や内容』も調べられるだろう。

 

「話で脱線したが勇魚よぉ、最終的に特務用をゲット出来るスペシャルエージェントになるには、何すりゃ良いんだ?第五殻層で神代関連のライセンスを粗方開放する?其れとも特定のモンスターの討伐必須?推定ラインはユニークモンスターの討伐か?」

「サンラク。クターニッドはパーティーで何とかなるけど、ジークヴルムは流石に無理だよ」

「其れならクターニッドを討伐してる私とモルドも、ライセンス獲得権利を持ってないからおかしい」

 

ルストの意見は正しいとモルドも頷く中、彼女の疑問に対して勇魚はこう答えを返す。

 

『…………厳密な『ライン』を説明する事は出来ませんが、特務ライセンスは一人……或いは二人での戦略を判定するのです。そうですね………『現地環境における頂点捕食者の討伐』等でしょうか?行動ログを確認しましたが、サンラク様はアトランティクス・レプノルカの通常種に不世出個体、ペッパー・天津気(アマツキ)様はアトランティクス・レプノルカの通常種だけで無く、レオ・ネメアレクスの不世出個体を始めとして様々なモンスターを討伐してますから』

「…………勇魚さん。そういう所を今から直さないと、本当にラスボス呼ばわりされますよ?」

 

個人情報保護はどうなっているの!?と問い正したい勇魚の発言に、ペッパーがジト目を向けていれば周りの者達から視線が向けられる。

 

そんな状況下、激流の中で助け舟がやって来るが如く、サイガ-0が勇魚に質問して来た。

 

「頂天、捕食者…………、あの、勇魚さん。ベヒーモスの地で学んだ、事なんですが………其の頂天捕食者は『カムイ種』や『緋色の傷(スカーレッド)』も、当て嵌まりますか?」

『そうですね。片や空の成層圏内で十全に動き回り、生命活動其の物が厄災とも称される天空領域の絶対覇者、片や此の新大陸の樹海地帯で二号人類種達の猛攻を幾度も退け続ける、単体戦闘力ではおそらく最高峰の実力を備えた亜竜ですからね〜』

「「……………スカーレッド、かぁ…………」」

「「カムイ種、ねぇ…………」」

 

ペッパーとサンラクが両手に着けているアクセサリー・撃鉄(トリガー)シリーズは、死して地面に堕ちたカムイ種の血肉や骨やらが長い年月を経て凝固され、ローエンアンヴァ琥珀晶として水晶巣崖の地に現れた物。

 

等級:(ハザード)(スペリオル)で圧倒的な出力を発揮する其の元と成った存在で、未だに姿を目視出来た事例は極僅か、オマケに死した瞬間すらも環境に大打撃を齎すともなれば、必然的に倒す位置にも気を付けねば多大な迷惑を被る結末が待っている。

 

緋色の傷(スカーレッド)は当たり前として、不世出個体の方の死闘の傷(スカーデッド)も強いんですよねぇ」

「スカーデッド?」

「スカーレッドもスカーデッドも皮膚硬くて、銃弾通さないから苦手なんだよなぁ…………」

「スカーデッドはダメージ受けると『其の部位に耐性が付く』し、オマケに『特定の攻撃とかじゃなくて斬撃とか打撃とか射撃とか、毒や凍傷に火傷やらでかなり大雑把(アバウト)な感じ』だね」

「そしてスカーレッドに関してはダメージを受けたり、追い詰められる程に鱗とかがカチコチになって、唯でさえ滅茶苦茶強いのに追い詰められたら更に強くなると言いますか…………」

「「「生態調査している我々SF-Zooが保証します」」」

「クソモンスかよ………」

 

防御力上昇と逆境強化、此れだけでもスカーレッドは『ヤッてる側』のモンスターと思わずにいられない。そしてスカーデッドの方も受けた攻撃に対する耐性を得て、より強くなっ……………『受けたダメージによる耐性』?

 

「あの〜…………、ヤシロバードさんにアトマイヤさん。其のスカーデッドの耐性獲得って、『此方が与えた攻撃に起因してる』んですよね?」

「え?」

「そうですね。其れがどうしましたか?」

「………はっはーん、成程な?」

 

どうやらサンラクは気付いたらしい。他のプレイヤーが首を傾げる中で、ペッパーはサンラクに視線を向ければ、彼は答えを述べた。

 

「要するにペッパーが言いたいのは、スカーデッドの耐性獲得は『ダメージをポーションで回復すればリセットされるんじゃないか?』って事だな」

「そう。話を聞いてる限りになりますが、其のスカーデッドは『自分が受けた傷から情報を得て身体に反映している個体』な気がします。人間で例えるなら『俺達が放った攻撃という病原菌を受けて、其れを元にして体内で其の瞬間に対抗出来る抗体を作っている』…………そう聞き取れますね」

 

シャンフロに限った話では無いが、ゲームに置けるモンスターや敵キャラ達には余程の事が無い限り、明確に突破出来る様に『弱点が設けられている』。

 

死闘の傷のダメージと属性耐性は、ダメージを受けて其の場所に『傷が残っている事を前提とする』ならば、其の傷が無くなれば『耐性がリセットされるのでは?』という思考に繋がる。

 

「流石に違いますかね………?」

「…………いや有り得ますね、ペッパーさんサンラクさん。我々SF-Zooはスクショをする時にモンスター達の損傷状態を軽減する為、回復ポーションで傷や状態を良くしてから行うんですが、正しくサンラクさんが語った事と『同じ事』が起きてるんです」

 

SF-Zooのクランメンバーの一人、キャット・アイの同意にドッグ・ランスとバードウォッチャーが頷いた瞬間、ヤシロバードが口元に手を当てて考えた十数秒後、ルストとモルドにアヴァランチ、更にはアトマイヤ・ベルヘットガウルまでもが行動を起こしていた。

 

「………………すまないサンラク、ちょっと用事が出来た」

「奇遇ですね、実は私も思い付いた事が有りまして」

「多分私達が考えてる事は、同じ………」

「ちょっと外に出ます。一応ポーション補充してから行きましょう」

「此方はSF-Zooで動ける者を集めますよ!」

「おぅ頑張れよ、お前等。此方はパパパッと特務ライセンス取って来るわ」

「ぐっ、…………ま、まぁ、ゆっくり取れば良いよ………出来れば三日くらい…………」

 

市民用機装を持ってプレイヤー達が工廠から出立し、此の場にはサイガ-0・緋鹿毛楯無(ひかげたてなし)・サンラク、そしてペッパー達一行のみが残った。

 

「………………よし、勇魚。特務用ライセンス、三時間で取るぞ。そろそろ眠たいし、チャチャッと獲得してやる」

『畏まりました!其れでは特務用ライセンス所得試験を開始しましょう!!!』

 

サンラクのテンションが上がるのを横目に見ながら、ペッパーは改修と修繕を終えた天将王装との合体を可能にする三王機と武装群を受け取り、機装を解体し終えて古匠になったル・ジニシィを案内した特殊殻層『(ヤシロ)』にファストトラベル。

 

無事彼女が古匠鍛冶師となった事を確認した後、セーブテントを設置して本日のシャンフロを終えたのだった………。

 

 

 






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