VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一先ず成すべきは成され




一流なるプロフェッショナルとは即断即決が出来る事も条件

一日で第五殻層まで辿り着いてル・ジニシィを古匠にする為に必須な魔力運用ユニットを探し出したり、ヤシロバードによって神代ジョブの銃手(ガンナー)になる為に必須な銃手ライセンスが有ったり、リヴァイアサンやベヒーモスに在る機装達を特務用執行機装(SPデューティ・エクスキューデバイス)に出来る特殊なライセンスの存在が発覚したりと、また激動の時間を送った其の翌日。

 

特殊殻層『(ヤシロ)』に張ったセーブテントにて覚醒(ログイン)したペッパーは、ノワと一緒に自主練習をしていたアイトゥイル・ディアレ・カルネ=ヒトミ、其処から離れた場所でル・ジニシィが覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)損傷修復(ダメージリペア)で直しているのを目視した所、修繕に集中しているル・ジニシィ以外が此方に気付いて一目散に合流して来た。

 

「ペッパーはん!」

「やぁ、ペッパーさん」

「おはようございます、契約者(マスター)

『ワン!』

「やぁ皆、何かしてた様だけど………」

「ペッパーはんの御役に立てる様に、ワイ達で特訓してたのさ!」

『グルルン』

「補足:契約者の戦闘経験を判断し、我々は敵対存在の攻撃前もしくは攻撃後に生じる隙を狙い、其処を打つ事を重点とした戦いを模索。各々の遠距離攻撃手段や位置取り等を当機()が客観的な視点より精査、行動の度に修正案を幾つか提示して調整を行った」

 

ヒトミが自身の目をカチカチと切り替えて映像転写を行えば、ホログラフィックで映し出されるは三人・四人・五人で行う戦術フォーメーションと、アイトゥイル達が動いた後に残った動線の軌道跡。

 

「当機達の動線を把握し、動く際に起きる『クセ』を直すのでは無く、寧ろ其のクセを『逆に利用する』………。契約者(マスター)ならば此のやり方を『好みそう』でしたので、当機達も其れを模倣して練習していました」

「成程………」

提案(其処で):我々各自の新しい強化プランニングを提示する」

「新しい強化プラン………」

 

再びカチカチと切り替わるホログラフィック画面、描かれるはカルネ=ヒトミ・アイトゥイル・ディアレ・ノワの四人に関わり、複数の武器や装備のアップデート案が投影された。

 

契約者(マスター)の戦闘中の行動履歴を参照した所、三次元高機動挙動かつインターセプトによる自身と他者の生存を重要視する『高機動タンク』の傾向が強く、其の動きに対応出来る者は次世代人類種の中でも更に限られており、契約者(マスター)に『くっ付いている状態か抱えられている状態』で無くては、狙撃手や弓使い等くらいしか動きに付いていけないと言える」

「…………とは言っても、自分自身の耐久値にステータスはあまり振り込んで無いし、当たらなければ大体何とかなるのはサンラクが証明してるってのがね………」

 

当たったら負ける、つまり当たらなければ何とかなるし、状況やパーティー次第では逃走しても確実に逃げ切れる。其の上で最大高度(スカイホルダー)最大潜水(ダイブホルダー)、戦闘面は最大連撃(ラッシュホルダー)として最大火力(アタックホルダー)とも毛色は違うが大火力を約束され──────あ、つまりそういう事か?と、ペッパーは気付いた。

 

「…………あぁ、そうか。俺が『オンリーワン過ぎるせい』で、ヒトミさん達は『強化案を絞り込む事が逆に難しい』のか」

肯定(そうだ)契約者(マスター) ペッパー・天津気(アマツキ)の持つ能力値を我々が客観的に見ても、高水準に至っているのは明確。個体名アイトゥイル及びディアレから聞いたが、契約者(マスター)の手首に在る其の腕輪は『開拓者の驚異的な身体能力向上を意図的に抑え』、かつ『マナ粒子の影響力を常時半減させている事』を確認している」

 

ヒトミが指差す先、ペッパーの手首に在る致命魂(ヴォーパルだましい)腕輪(うでわ)が社の照明に照らされ、キラリと一瞬輝く。

 

ヴァイスアッシュが其の昔に作って、エフュールが改良したアクセサリーであり、経験値を半減させて装備者の獲得ステータスポイントを1.5倍に引き上げる事によって、最終的ステータスが通常状態でレベリングを行ってきた者達と明確に一線を画す物。

 

致命魂(ヴォーパルだましい)首輪(くびわ)の獲得ステータスポイントの倍率には劣るも、経験値半減効果を据え置いて育成出来る点からして『充分な御釣りやアガリ』を約束されている其れを、未だに付け続けてレベルキャップ到達を目指しているのだから、他者からすれば『頭がオカシイ』と思われても仕方無いのかも知れない。

 

「…………其れなら『全部の強化案』を試してみよう。必要な物資と金は此方が全額負担する」

「全部………ですか」

「全部なのさ?ペッパーはん」

「全部ときたか、ペッパーさん」

『ワゥ』

「そう。皆の強化に繋がるなら、出し惜しみなんてしてられない。無論ル・ジニシィさんのアスカロン修繕の為に必須な、神匠育成計画も同様にね」

「へぇ、随分大見得を切ったじゃないか」

 

視線を向けた先には龍神楽を修繕し終えたル・ジニシィが居り、以前よりもピカピカに成った黄金の龍刃を此方に渡して来た。

 

「アンタのトコのヒトミが龍神楽の修理を依頼しに来てね。ル・アラバが持ってる武器とも違う、武器其の物が意志を持ってる武器。世界は広いもんだね」

『彼女の御陰でオレの身体のコリも良くなったぞ』

「武器でも身体が凝ったりするんだ…………」

 

武器にしか解らない例えだが、ヒトミが龍神楽の状態を見てル・ジニシィに診て貰ったのだろう。龍神楽の作り手として状態確認する等の自覚が欠如してる所が有るので、ちゃんとしなくてはと心にて叱咤と喝を入れて左手に握り締める。

 

「其れとだ、ペッパー。アタシは古匠に成れた訳だけど、古匠として此れから先の鍛冶で『機械関係にも強くならなきゃいけなくなった』。要するに海中の鍛冶をする場合、機械がブッ壊れる危険を抱えてる以上、地上でやらなきゃならねぇんだ」

「……………つまり『ル・ジニシィさんが地上でも水中と同じ様に活動出来る様な環境と、其れに適した鍛冶道具類を用意する』という訳ですね」

「…………あぁ、うん、そういう事だ。いやホント、アンタの読みは相変わらずというか…………」

 

海底都市アルトランティアで向けられた視線に近しい物を感じながら、取り敢えずは一度前線拠点に戻って久し振りにウィンプとサミーちゃんに顔を見せて、ノワにスペリオルオマージュ・フロストボディのステーキ 〜柑橘系ソースを添えて〜 を御馳走。

 

其の後に地下都市ホルヴァルキンで鉱人族(ドワーフ)達に『耐水性に富んだ鉱石』は無いか聞く事に決め、一行はディアレの魔法【座標移動門(テレポートゲート)】でファストトラベル─────────

 

「あ!ガンスミスライセンス!ル・ジニシィさん、ガンスミスライセンスを取りましょう!」

「いや、唐突過ぎないかい!?」

 

危うく忘れる所だった。

 

 






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