VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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負けぬ為に出来る事を




流転する武具、変遷する御業

(むさぼ)大赤依(だいせきい)を倒すには、兎にも角にも取り込まれたモンスターから得られたリソースを空っ穴にする事、そして何より相手に餌や食事を()()()()()が大前提である』

 

リヴァイアサン第五殻層「叡智(エイチ)」にて考察クラン:ライブラリのリーダー・キョージュによって解放された『眷属名「貪る大赤依」戦術的考察』のファイルを元に、同クランによって作成・纏められた『始源眷族及び始源眷属・戦術指南項目「貪る大赤依編」』には、此の様に書かれていた。

 

此の世界で初めて接敵し、紆余曲折の大苦戦の果てに一度は倒したレイドモンスター、前回は火山地帯かつ周りにモンスターは無く、取り込まれたのがドゥーレッドハウル+他モンスターだけだったのが幸いだった物の、今回は周りは樹海に恐竜キメラと恐竜モンスターの『踊り食い』に等しい環境では、討伐難易度は天と地に等しい違いを見せる。

 

「恐竜キメラと恐竜モンスターを大赤依より先に倒して、奴にエネルギー供給をさせない事!!戦闘参加メンバーをモンスター対処と大赤依対処に分けて下さい!大赤依は此方が受け持ちます!!」

「俺達でキメラ達の処理に当たるんで、ペッパーさん頼みます!!」

「なら私達は遠距離から援護を!!」

「解りました!其れから赤溜まりには特に注意を、いきなり奇襲を掛けて来るので!!」

 

刀剣大神(とうけんだいしん)剛鐵戴神(ごうてつたいじん)の補助を乗せ、アスカロン・リバースを大地に刺すや封雲の撃鉄(タイタントリガー)(スペリオル)で産み出した雲の巨腕に握る、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)刻毒銃(ウォーポイド):強暴過乱(イシュアナ)をインベントリアへ。

 

切り替え(スイッチし)双極撃銃斧(パラボラル・ガナックス)覇皇獅将の両刃長剣(ネメア・キングソード)を顕現から左手でイムロン作の片手斧、雲の巨腕に魚人族(マーマーン)と地面に刺した己の英傑武器(グレイトフル)を取り、キメラの首に左右から叩き付けて首チョンパ(ギロチン)の刑に処し、其の隙に双極撃銃斧を右手五回タッチしてフィールドを一瞬見た後に銃口側を向けて引金を引けば、緑の威吹が閃光を抱いて空間を五度跳弾して赤い肉の樹に着弾、幹に風穴を穿つ。

 

「翼が生えた!?」

「ゲェッ、気持ち悪ゥ!?!」

「いや違う、何か変態してる!」

「あのキメラレッド、私達が戦ってたドラクルス・ディノコアトル"三面六臂(アスラフィーム)"を一番先に食ったんですよね〜。其処からドラクルス・ディノケラスにドラクルス・ディノパキケフルやら、手当たり次第取り込んだもんですからホント参っちゃいますよ。ペッパーさん」

「ツインヘッドプテラノドンの不世出個体がベース………あれ?」

 

戦闘メンバーの中で聞き覚えが有る声が一つ。記憶を辿れば冥響のオルケストラの考察に関して、ライブラリの新大陸側拠点で話し合った時、質問して来たメンバーの中に居た………。

 

「あ、えっと………あ、思い出した!確か『ミレィ』さんでしたっけ!?」

「おー、凄い。正解ですよ〜、相変わらず凄い記憶力で」

 

ライブラリは考察クランであるが、単に考察だけで食っているクランでは無い。

 

其の中には鍛冶や調合関係、スキルと魔法に武器や防具等の『検証』や、得て来た情報を元にしてモンスターやクエストにシナリオの『攻略』を行う(チーム)が在り、彼女(ミレィ)はライブラリの中でも攻略を中心にしているプレイヤーだ。

 

巨大で分厚い両刃の斧(ラブリュス)…………七天極星(グランシャリオ)会談で公表したアーテクレイブレイカー・ダンジョンアックスを所持した状態で発生するユニークシナリオ【太古を知る小鎚、迷宮の闇を裂く戦斧】をクリアすると手に入る、歴積重大戦斧(グレイドネス・グァルックス)を両手で担いで利き腕の肩に乗せ、「よっこいしょ!」と一言述べて振り下ろし、レッドキメラの一体を叩き割る。

 

「第一第二は耐久戦なんで、ギミック対処に集中すれば良いんですけど、さっきから血溜まりが広がってて被害が更に拡大してるのですよ〜。此方はキメラを対処しますから、ペッパーさんは大赤依本体の対処御願いします」

「大赤依を見た感じ、だいぶグチャグチャになって来てると言うべきか、第三形態突入前の状態に近いと言う『GyNooooOOOtuaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!』ッ!!?来たッ!」

「えっ何が!?」

「大赤依、何か苦しんでる………?」

 

貪る大赤依が響き上げた雄叫びは、ドラクルス・ディノコアトル"三面六臂(アスラフィーム)"の悲鳴、或いは断末魔に等しい声を上げながらに、赤い血のドリルが薙ぎ払い広げた樹海の大地に突き刺し、砕いて穴を掘り開け穿つ。

 

『GvuDaosyaoooooooo!!!!!Fureaaaaabiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!!!』

 

そうして血の奥より噴き出した赤い血が貪る大赤依の全身に振り注いで、三つの頭と巨大な六翼の羽根を生やしながら形を確かな物へと変えて。

 

胸部にはドラクルス・ディノサーベラスの三ッ頭に、胴体にはドラクルス・ディノウルの鎖帷子の鱗、翼骨や足骨に首を守るが如くドラクルス・ヴィルザークの刃鱗を各部に生やし、同時にフィールドには赤い血溜まりからは赤い結晶で出来た、幾数の結晶塔が地より生えて聳え立つ。

 

一連の流れの中、彼等彼女等の前に新たなシステム画面として表示された事で、大多数のプレイヤー達は貪る大赤依が『本気モード』へ、一度は貪る大赤依を倒したペッパーは相手が『第三形態』へ突入した事を確信したのである。

 

 

 

 

 

 

『貪る大赤依の力が循環する───』

 

『赤色の記憶が渦を巻く───』

 

始源解帰(Primal Revolve)!』

 

 

 

 

 

「貪る大赤依の本気モード、正式には第三形態!此れを乗り越えた後に最終形態!相手が群体系始源である以上、黒き死に捧ぐ嘆き(レクィエスカト・イン・パーケ)別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)が特攻級にブッ刺さる!結晶塔は破壊すると中からキメラが飛び出し、一定時間経っても自動で砕けて中から出て来る!左方始源の赤は『飛蝗の集合体』から成る存在なので、対群体系に圧倒的優位を取れる二つは大赤依には有効!問題は奴が飛び始めたから、俺とドラゴメン持ちで奴を地上に叩き落とす!」

 

ドラクルス・ディノコアトル"三面六臂"を元にした貪る大赤依が六翼を羽搏かせ、巨体を空へ持ち上げんとする中でペッパーは指示を飛ばしつつ、流れる様に武装達をインベントリアに入れ、ゴルドステラ・スーツシリーズから別の装備へ切り替えた。

 

彼が其の身に纏うは、中世の剣と魔法のファンタジーが主な世界観だった時に見れば『異質であり浪漫』な、世界の真実の一端が暴かれて以降で有る今ならば『納得と素晴らしさ』が両立する、日本古来の戦人が纏った甲冑ながらも、神代人類の天才と賢人達が束ねた技術の結晶其の物。

 

墓守のウェザエモン…………ウェザエモン・天津気(アマツキ)将軍が生前、神代最強の英雄へと至る過程で彼の為にセツナ・天津気(アマツキ)達によって作られ、運用データを元に規格外戦術機や規格外武装、そして其の量産品のタイプメンに機装達が産まれる『源流』となった、悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)

 

神代の歩みを知るパワードスーツが夜天に現れ、白い雪の様な鞘より轟斬型(ごうざんがた)太刀式(たちしき)武装(ぶそう):大天咫(オオテンタ)を引き抜き、鋒を月に向けたペッパーが『其れ』を呼び出す為の言葉を述べる。

 

質量転送(エクスポート)及び展開(サモンコール)………!試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)冥王(メイオウ)】──────来たれ!」

 

彼の唱えし言葉と共に、背後に顕われるは紫色の巨大な六芒星の魔方陣。天へと飛び立ち舞い上がり、月光を背に広げる巨翼が地上に影を作った後に、ペッパーの後ろに羽搏き降りる。

 

其れは機械の鳥にして鴉、然して其の足は鴉や鳥類に猛禽類が持つ二足では無く、日本神話に置ける伝説の鳥たる『八咫烏』を彷彿とさせる三本足。

 

全長約三メートルの其の機獣、広げた翼は其の二倍近い長さを誇りて、風切に当たる部位はブースターを搭載、二対の主翼には格闘用のブレードと、此の戦術機獣からは狼双戦争(デュアルウルフウォー)の先鋒戦でレーザーカジキに使われた、規格外戦術機鳥【朱雀(スザク)】を思わせる意匠が多々有る。

 

「見せてやる、貪る大赤依。お前が空に羽撃く翼竜ならば、此方は神代人類の遺した希望の翼だ!やるぞ、冥王ッッッ!!!」

了解(Oh,Yeah)ァ!ノリッノリ&キレッキレで踊ろうZE!Foooooooo!!!』

 

天王の口調(UI)は感情の起伏が少ない王道のサポートメカ、海王は恥ずかしがりやな病弱系妹キャラ、此の二つの王機に負けず劣らずの滅茶苦茶ハイテンション、そして言葉遣いは何処か『ネチョさ』を含んだ冥王の叫び(シャウト)

 

其れは貪る大赤依と戦闘していた三十名強のプレイヤー達へ、唐突なボディブローとして突き刺さっただけで無く、幾つかのプレイヤーは笑いのツボをクリティカルでやられ、崩折れた事で他のプレイヤーが援護に入る羽目になったのである………。

 

 

 






ギャップで殴る系戦術機獣


※因みに冥王のネチョさはディープスローターには敵わずとも、聞いてる内に好き嫌いがハッキリ分かれるタイプのAIをしてます。ペッパーは大丈夫なんだが、仮にサンラクが天将王装を着て冥王を呼び出すと、其の口調を聞いた後に数十秒悩んで格納空間に戻します。

幾ら空を自由に飛べるとは言え、奴の声を常に耳元ヘビーローテーションはクソゲーマーでもキツイのだ………。

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