VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

1034 / 1075


天を翔る者




レッドブート vs クロウマックス

貪る大赤依の見た目や性質の悪辣さは、一度は戦って其の能力目撃した者達からしても、運営のドス黒い悪意を感じざるを得ない。

 

恐竜や其のキメラ、戦闘地点によってはエルフや獣人等の亜人種や征服人形(コンキスタ・ドール)、或いは通常の一号人類種にテイムモンスター達が赤い舌で絡め取られ、取り込まれて咀嚼されれば問答無用の、文字通り『即死』の結末のみが待ち構え、シャングリラ・フロンティアの世界に置ける(ルール)によって『二度と蘇る事は無い』のだ。

 

其れ故に(貪る)大赤依(だいせきい)を含めた始源眷族や眷属(レイドモンスター)達を相手取るならば、NPC達は即死攻撃をしなくなる状態になるまで戦闘に参加させない事が、一つの前提条件になる。

 

『Fefvuuuuiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!』

「熱々の視線(殺意)だな、全く!」

『ペッパーの心拍も全開(Powerful)だぜ!かく言うミーもそうだけどNE!!!』

 

空中に浮かぶ大火力の熱線砲撃要塞の全門斉射(フルバースト)を潜り、星天秘技(スターアーツ)と培った空中関連のスキル達を駆使して夜空を駆け走り、射程圏内に入った事で此方を鎧と機獣を纏めて噛み砕かんと伸びる貪る大赤依の首達。

 

対してペッパーは流動型(リュウドウガタ)連接棍(レンセツコン):流冥(リュウメイ)轟斬型(ごうざんがた)太刀式(たちしき)武装(ぶそう):大天咫(オオテンタ)が合わさった薙刀を持つ左手、右肩に付いたサブアームに握った覇皇獅将の両刃長剣(ネメア・キングソード)、撃鉄で現れた雲の両腕でアスカロン・リバースと覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を冥王の風切先端部のブーストを乗せ、回転しながら一挙に振り抜く。

 

流動型連接棍:流冥は其の名が示す通り『連接棍』であると同時に、外面を覆う無数の装甲が可動+棍内部のワイヤー………其の設計思想が後にウェザエモンの遺産の一つ・規格外武装:鋼線型【キープアウト】に受け継がれた物が稼働する事で、使い手の意思により双節棍や三節棍に蛇腹鞭へと『戦闘中に形態変更を可能にする』。

 

そして此の武器は振り抜いた際の『モーション補正を強化』、其の実態は『装備プレイヤーの振り抜き・斬り下ろし・斬り上げ等のモーションを、常時()()()()()で算出』する能力を搭載している。

 

即ち其れは鞭や鉄鞭と言った撓る武器と、斧槍(ハルバート)等の遠心力を加えての切断に秀でた武器、其の二つを扱い熟して来た者がスキルの補助を加えて用い、渾身の力で振るうと何が起きるか?

 

 

『RdeAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaa!?!!?』

「「「「斬ったぁ!?!」」」」

「「「「ぶつ切りぃ!!!」」」」

「「「「「「すっご…………」」」」」」

「おぉ〜、一発で首落としましたねー」

 

 

適正距離を以て振った事、用いたスキル達の出力が高かった事、覇皇獅将の両刃長剣に覇刀:龍神楽、そしてアスカロン・リバースの斬撃による御膳立ても有った中、文字通り四つの刃による一撃で『斬首』の結果を示したのだ。

 

「赤水晶を破壊すると中から出て来るキメラは、貪る大赤依の最終形態時の総合ステータスに関わる!地上に落としたら一気に乱戦になるから気を付けて!」

「了解でーす!」

「ヨッシャ、結晶塔をブチ壊せ!」

 

今し方の攻撃結果はプレイヤーと貪る大赤依、両陣営に少なく無い影響を与えた。

 

片やテンションを高めに高め、片や殺意の視線が更に濃密で過密と言える物へと変貌し、たった一人の『ちっぽけな人間と機械鳥』に全ての視線を向ける。

 

「……………()()()()()()。やぁっと、此方に目を向けてくれたな?」

 

貪る大赤依は『左方始源獣エレボスの血液』であり、人間で言う所の『赤血球』であり、プレイヤー達の視点では『赤い飛蝗の大群』である。

 

黒き死に捧ぐ嘆き(レクィエスカト・イン・パーケ)別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)の様な、群体存在に対して絶対的優位を確保する武器やアイテムが在る様に、自らが作り出した赤いキメラ達を構築する飛蝗の一匹一匹に『死亡判定が働く事』で、二つの武器達は凄まじい出力を持ち主へと齎す。

 

サンラクの戦い、貪る大赤依の特色、其れによってペッパーはある一つの『仮説』を抱いた。意志亡き始源の鼓動たる存在の一柱で、左方始源の赤たる此の飛蝗の大群には一匹一匹に…………或いは『集団(クラスター)に最も脅威となる存在を見分ける事は出来るのか?』という疑問を抱き。

 

そして今宵、其の仮説は確かな『確信』に変貌する。

 

「貪る大赤依の思考ルーティンは『ミツバチのスクラム』に近しい!一番近くて一番脅威になる奴を集中的に、と言っても八割の視点を対象目掛けて攻撃し、残り二割を周辺警戒の形で補強している!前線は俺が張るから、他の皆さんでレッドキメラを兎にも角にも倒しまくって、最終形態時のリソースを空っ穴に追い込んでッ!!!」

 

サブアームの覇皇獅将の両刃長剣より変えるは、生と死の二面を鎚面に宿すディトライヴブレイカー、首と熱線の包囲網を掻い潜って懐に飛び込み、六同調連結『破戒と共に勅めて(シン・ザ・ブレイクエレフ)』起動。

 

死を宿す鏡面で胸部を殴り、回避される事すらも折り込み済みと、此方の意思を読み取った冥王が各部ブースターをフルパワーで解放、瞬発的に向上した加速挙動で一撃を振り抜くも、貪る大赤依が其の攻撃を『更に大きく後ろへ回避』する。

 

「……………避けたの()想定外、御陰で『距離は足りている』」

 

ドラクルス・ディノコアトル"三面六臂(アスラフィーム)"の弱点かは定かで無いが、避けるという行動を取ってくれた事はペッパーからすれば『僥倖』に等しく。

 

戦闘開始から十五分経過の条件を満たした致命極技(ヴォーパルヴァーツ):太刀型(たちがた)晴謳(ハレウタイ)】に致命秘奥(ヴォーパルひおう)【タチキリワカチ】、神剣大義(フツヌシノギ)覇神剣顛極(アマトノシンギ)瞬魔光塵咲(マタタクマニヒラキ)を乗せた流冥と大天咫の薙刀居合一閃で、赤い六翼の片側二枚をバッサリと斬り落とし、返す刃で胴体に深い斬撃を刻み付ける。

 

『GyNooooeeeeeeDuaaAAAAAaaaaAaaaaaa!?!』

「地面に落っこちて、最終形態に突入してくれると助かるが…………む」

 

どうやら此方が貪る大赤依相手に単身ヘイトを買っている間に、地上ではソードメン装着者にミレィ含めたプレイヤー達が結晶塔を破壊して、大多数のキメラを討ち取ったらしい。

 

『FureaaaaaDeeEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!』

 

そんな中で胴体から墜落して地面に激突、胴体に刻まれた傷口と斬り落とされた翼を吸収したエネルギーで補填し、体内に取り込んだリソースが足らないと判断した大赤依の咆哮が轟き、キメラ達が一斉に主人の元へと戻る。

 

「おっと、そうはさせないのが御約束だ!」

「やりますよー、皆さん!!」

 

鬱憤を晴らす様に剣や銃がキメラを貫く、残った一部は逃した物の其れでも吸収されたキメラの数は前回の時より多いが、其れでも確実に敵を追い詰めていると誰の目にも明らかだった。

 

貪る大赤依の背中に赤い竜巻が起き、其れは同時にペッパーのアクセサリーの一つ、混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)(スペリオル)の稼働も最高潮に達する合図となる。

 

「見せてやる、とっておきの切札って奴をなっ!」

 

大地に降り立ち冥王との合体を解除、薙刀以外をインベントリアの冥王は専用格納空間に入れて武器を取り替え、雲の手に持つは宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)皇金剣(アンティアレス)

 

多重変形の弩弓剣(アーチブレイド)と皇帝陛下の聖剣の鋒達を、甲冑を纏った勇者が赤い暴食の化身に向けた。

 

戦いはクライマックスを向かえる。

 

 

 






其れは黄金の皇帝の遺産達


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。