VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の頃、別視点




プロフェッショナル・マスタースミス

時間は新大陸の前線拠点にて貪る大赤依の再出現報告を聞いたペッパーが、金龍王装で夜空を飛んで出現場所を目指して猛進していた頃まで遡る。

 

「私はッ…………遂に、成し遂げたァ!!!」

 

致命兎の国・ラビッツに在る、限られた者のみが足を踏み入れる事を許された兎御殿と呼ばれる建物、其の一画に与えられた部屋を改修し、自らの鍛冶場兼工房とした場所が在り。

 

サンラク・サイガ-0・オイカッツォの三人とパートナーのヴォーパルバニー達の目の前で感涙する、見た目は中年鉱人族(ドワーフ)のおっさん・中身は草臥れたOLと言える改宗(コンバージョン)によって人から亜人となった開拓者(プレイヤー)

 

或いは他多数の開拓者から聖槌ムジョルニアの所持者とも聖槌の勇者とも呼ばれ、また鍛冶師プレイヤーの中で一番深い技術に踏み込んだ者たる『イムロン』は、此の日此の瞬間を以て鍛冶師として『一つの領域に到達した』のだ。

 

「おー、完成したのか」

「みたい、ですね………」

「魔法反射と吸収の盾だっけ。いーな〜いーな〜」

「えぇ!っあ、おう!そうだぜ!」

 

(彼女)が持つは、サンラクが海底都市アルトランティアの遠征で得たアトランティクス・レプノルカの素材を使用し、魔法の悉くを弾き返して超過機構(イクシードチャージ)で魔力を強化に転用する、ビィラックが産み出して今こうしてイムロン自身も作り出すに至った、傑作甦機装(リ·レガシーウェポン):冥王の鏡盾(ディス・パテル)なのである。

 

「遂に私は作り出せた………!此れで冥王の鏡盾『は』プレイヤーにも作り出せる、即ちは再現性が有るという証明を立てられた!次は煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)に其の改良型の光帝の籠手(サナラ・ブリル)、其れから風雷皇の御手(サルダゲイル・アトゥヌ)風雷皇の擊貫斧(サルダゲイル・イドゥン)、後は宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)皇金剣(アンティアレス)を再現して…………ッ!」

「おぅ、一旦落ち着け。次から次に頼まれても、此方は蠍の素材以外は流石に直ぐ揃えらんねーよ」

「…………蠍の素材は直ぐ揃えられんの?」

「土下座してもオメーには卸さねぇぞカッツォ」

 

頬の引っ張り合いに発展し、最終的に御互い痛み分けの形で終わったが、此れから先はビィラックだけで無くイムロンも甦機装製作が可能になったのは大きい。

 

出来なく無いだろうが、二人で協力して同じ甦機装を製作・修繕に取り組めば、完成及び完了に掛かる時間が『実質半分』になったに等しい。

 

譲渡申請を承認してイムロンから冥王の鏡盾を受け取ったサンラクが早速装備、持ち手にグッと力を込めればガシュ!っと音を立て、表面を覆う装甲は円輪形に開かれて鏡面が顕になった事により、ギミックとしても武器としても確りと此の世界に存在する事が『証明』されたのだ。

 

「おー、ちゃんと開いた。此れでペッパーに借りっ放しだった鏡盾返して、此方でちゃんと盾二刀流が出来るぜ」

「さぁて、こうしちゃ居られないわ。ねぇ、皆。何か私に『作って欲しい物』とか有る?予算とか注文とかに出来る限り添える様に仕事をしてあげるわよ?」

「マジで?じゃあじゃあ、破壊者(デストロイヤー)のスクラップアンドビルドで破壊する武器を作って欲しいんだけど!」

「耐久値とレア度とかにも寄るんだけど、ベースにする素材とか決めてる感じ?」

「新大陸のモンスターならコレとかコレで、旧大陸だとコレかな。キャビンビートルにボーラドラ・マンシェルも手に入れたかったんだけどね〜………」

「…………もしかしてステ振りは軽量タンク?」

「まぁそんな感じ。藍色の聖杯有るから状況次第でスタイル変えられる。後は─────────」

 

オイカッツォがイムロンと話し始めたので、サンラクとサイガ-0は彼女の鍛冶場兼工房を後し、兎御殿を移動し始める。そんな時、サイガ-0は何かしらの話題を生み出さんとして、サンラクに質問をしてみた。

 

「サンラク、さん。えっと、此の後の予定は………?」

「実はちょっと『挨拶』に行きたい場所が有って。レイさんはサイナが渡した『招待状』の事は覚えてる?」

「はい。確かプロトコル『オルケストラ』で設定されている、規定ラインの超過…………を満たせば、贈呈される………でしたね」

「そう。で、ちょっくら腕試しがてら奴がどんな感じなのか、確かめてみようって思ってね」

 

インベントリアにイムロン製の冥王の鏡盾を収納、入れ替わりでサンラクが取り出すは八月上旬辺りに契約した征服人形(コンキスタ・ドール)のエルマ=317(サイナ)から渡された、七つの最強種(ユニークモンスター)冥響(めいきょう)のオルケストラに挑む資格を得た事を証明する封筒であり、同時にコンサートへの招待状でも有る物だ。

 

ペッパーが一番初めに手にし、サンラクは二番目に手にする形にはなったが、最近のペッパーは『始源関係で忙しく飛び回っている』ので、先に冥響のオルケストラに軽い挨拶(偵察)がてら挑戦・可能ならば攻略してみる腹積もりでいる。

 

そんな折にサイガ-0が「実は………」とインベントリアを操作し、其の手に持って見せたのはサンラクと同じ『オルケストラからのコンサート招待状』で、彼女も征服人形が定めたプロトコルの規定ラインを超過していたらしい。

 

「おぉ、レイさんも」

「はい………。少し、オルケストラという存在は、私も気になっていまして…………」

「取り敢えずカッツォには内緒にしとこう。アイツ、ユニークになると病的なまでに五月蝿くなるし」

 

何処かでユニークを聞き付け、ゾンビ映画で四脚ブリッジでカサカサとやって来る変異体になる気配しかしないので、とっとと目的地に向かうに限る。

 

影法師が落とした名無しのコートを征服人形探しに適した名無しのコートにアップデートする為、オルケストラが差し向ける影法師と四度の戦闘を行う場合、『プレイヤーが倒したモンスターの時の自分自身(プレイヤー)と戦い、其の時に習得していたスキルや魔法にアクセサリーと武器を一部除いて完コピする』らしく、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)の様な特殊な武器やアクセサリー無しでは対抗策は絞られ、厳しい戦いを強いられる事は不可避。

 

尤もオルケストラのユニークシナリオEXの発生条件の緩さから、サンラク自身はオルケストラは『再戦可能なタイプのユニークモンスター』と睨んでおり、万が一にも連敗を喫するならばスキルや装備関係を見直す方向も視野に入れている。

 

「んじゃ行こうか、冥響の歌姫とやらのコンサートに………!サイナ、オルケストラの居る場所に近い場所ってどの辺り?」

「回答:契約者(マスター)が此迄に到達した場所を合算、最寄り地名はティアプレーテンになります」

「成程。エムル、静かにティアプレーテンへのゲート開いてくれ」

「は、はいなっ」

 

ではオルケストラのコンサートへ、いざ出陣ッッッ!

 

 






先ず向かうは前線拠点


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