VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

1048 / 1075


再現サンラクの実力や




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の六〜

『……………』

「ッ、ぬ、ごぉお!?」

 

傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)傑鎚との憧焉終鎚(エリサ・ドゥタール)、そして再現されただろう傑剣との憧焉終刃と傑鎚との憧焉終鎚がぶつかり合い、劇場に音を響かせて火花を散らし合う。

 

そして其の結果はサンラクが力で負け、仮面を着けた『サンラク』がサンラクの持つ傑剣との憧焉終刃の柄尻を傑鎚との憧焉終鎚の鏡面で軽く………まるでソフトタッチの如く殴り付けて手からスッポ抜けさせ、再現された深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)のロー狙い…………と見せ掛けた肝臓狙いの三日月蹴り。

 

『サンラク』の蹴りを認識していた事で、サンラクが習得しているマクセル・ドッジアーツの半オート回避スキル:相対的立体運動(ソリッド・マニューバー)が発動し、身体が後ろへと飛ん─────────

 

「ぐぶっ!?」

 

ボンッ!と言わんばかりの圧縮された空気の解放に似たSEと共に、三日月蹴りを放った『サンラク』の間合いがグンと伸び、サンラクが右肘を差し込んだ直後に脇腹を赤い籠脚の爪先で蹴り抜かれた。

 

先程の回避で五メートルは開いていた間合いが、深厳戟響脚の機能たる【収着せよ(Sorptionting-up)】と【弾けよ(Poping-up)】による連動と、()()()()()が見えなかった飛翔と加速の連接攻撃が行われた事で、一気に距離を詰められたのだ。

 

「こんの…………!」

 

受け身と転がりで立ち直すも、体力を四割削られた挙句に右肘は痺れが伸し掛かる。二刀流は相手に分が在り、単純な力比べで『負けた』事実からして相性が悪い。

 

何より相手は歌姫から仮面を授かる前が、ヴァイオリニストのマネキンという『口を持たないのっぺらぼう』である事も、サンラクからすれば『非常に不味い』。

 

何せ甦機装(リ·レガシーウェポン)に共通する機能を『言葉』を発さず使える点は、発動するタイミングを相手に『悟らせない』………要するに『情報のアドバンテージを握らせない』点をして、対人戦下では圧倒的な理不尽を押し付けるに等しいのだ。

 

ならばとサンラクが取り替え、右手に握るはビィラックが作りし片手剣、形状こそ雑種の剣(バスタードソード)なれど素材に用いられている帝晶双蠍の特性で、昼夜の時間帯で刃の形状と色と搭載した能力を変える『境光の宝剣(ルーメリディアン)』。

 

夜間の起動の為に生み出される刀身は赤く、刀の如き曲剣の姿を示し、昼間で得られた日光の魔力を参照・其の量に応じて飛ぶ斬撃を飛ばす『夜光刃(やこうじん)』が生えて光り、左手に持つは特務用(SPデューティ)ライセンスを取って生まれ変わったアグアカーテ(アボカド銃)、今の名を『特務用執行機装(SPデューティ・エクスキューデバイス)タイプ:ワカモーレ「エアリアルPD(パイルドライバー)」』。

 

銃剣の二刀流、物量で襲い掛かるクソゲー(コスモバスター)で用いたスタイルで構え、果たして『サンラク(向こう)』が何をするかと見定めた瞬間、『サンラク』が取り出したのは、サンラクというキャラが好んで使う巨大なガントレット…………月光の輝きを其の身に蓄え、水晶の柱を飛ばし育て、損壊を度外視すれば必殺の超火力を担い手に約束する、ビィラック謹製の傑作機装・煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)

 

楽章の合間でワカモーレには予め魔力をチャージし、境光の宝剣も昼間の時間帯にチャージ出来るだけ貯めて備え、装填弾丸より三発発射と共に、夜光刃の飛翔斬撃を手数重視の連斬として繰り出す。

 

狙いは兎に角『サンラク』の間接部と急所、足周りは深厳戟響脚・腕周りは煌蠍の籠手が覆い、狙える部位が必然的に絞られるが、『ふくらはぎ付近』を狙われると嫌で有り、其処以外を連動して狙われた時に一番嫌な箇所は『太腿と鎖骨の近辺』なのは、他でもない自分自身(サンラク)が一番理解している。

 

防御行動を取れば、確実に取捨選択を迫られる、鎖骨を守れば太腿と鳩尾が空き、太腿を守ると当然鎖骨が空く。そして両方を面制圧の如く狙われたなら、ダメコンか防衛専念と必然的に取れる選択肢は狭まれ絞られ、収束して最後には決定的な隙となるのだから!

 

─────────が、此処で『サンラク』が取った行動は、サンラクの予想に沿いながらも其の道とは『違う物で』。飛翔する弾丸と斬撃が差し迫った中で、今此の瞬間に居た筈の『サンラク』がサンラクの前から消えたのだ。

 

「ウッソだろ!?」

 

『サンラク』の背中に靡くマント、魔法を記憶し代行する瑠璃天(ラピステラ)星外套(せいがいとう)、刻まれ記憶している魔法は発動地点から五メートルの区間を自由に行き来し、隔てられた壁をも越えて向こう側に行ける【瞬間転移(アポート)】。

 

先程の三日月蹴りで体力を削られ、瞬間転移で何時やられるか解らぬ以上、カウンターで現状打開の策を掛ける以外に『サンラク』との戦闘に置ける優劣の矢印を変える方法は、今の自分には考え付かない。

 

自分の死に直結する映像を脳内に発現する、第六感とも走馬灯とも取れる視覚補助スキルたる『フューチャー・ヴィジョン』に、使用者の視界を左右側面にも適応しつつ、敵の位置を視線が自動で追尾して身体の軸を其の方向に動かす『阿修羅の覇眼(アスラズ・ロックオン)』。

 

そして装備中の武器で軌道をなぞって当てる事で、最高ダメージ数値を叩き出す道筋(ルート)を視界内に示す『星幽界導線(アストラルライン)』の三種のスキルで対処、封雷の撃鉄(レビントリガー)の補強+ワカモーレの早撃ちで反撃の狼煙を上げる。

 

数度の打ち合いを経た事で、サンラクの脳内で打ち出された結論───────其れは此の『サンラク』のステータスは自分の()()()()()()』であり、更にはスキル・アクセサリー・武器装備の扱い含め、自分が持ち込んだ物資や物品を()()()()している存在で。

 

先ず間違い無く自分の初見殺し(クソコンボ)たる畢竟雲耀(ひっきょううんよう)多重的円周運動(オービット・ムーブメント)摩天縮地(まてんしゅくち)、音すら聞こえぬ雷速初歩移動すらも完璧に熟した挙句、其れを『更に上回る様な行動を取って来る』。

 

フューチャー・ヴィジョンによって見えた、自分の死ぬ瞬間の映像では『雷速初歩移動中に『サンラク』がウツロウミカガミを残して移動し、煌蠍の籠手から水晶弾を発射から地面を叩いて逃げ道を塞ぎ、封雷の撃鉄+臨界速(ブラディオン)で四回移動から籠手右側で勝利の神撃(ヴルスラグナ・スマッシャー)を叩き付けてくる』という光景。

 

だからこそのフューチャー・ヴィジョン、だからこその阿修羅の覇眼、だからこその星幽界導線………何れ挑む事になるだろうとオルケストラに関する情報を事前に精査し、相手が臨界速の煌蠍の籠手で殴り付けるならば、境光の宝剣を進行ルート上に投げてワカモーレを発射。

 

其の空隙に神律燼風(しんりつじんふう)の補強と、第一から第四楽章通じて軽量化された別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)で、突っ込んで来た『サンラク』をホームランかファールにする─────────そう思っていた。

 

フューチャー・ヴィジョンの通りに『サンラク』が初見殺しの雷速初歩移動と、ウツロウミカガミを移動中に残しながら水晶弾の発射、クロスカウンターの如く境光の宝剣を投げつつのワカモーレ射撃、其処に神律燼風で別離れなく死を憶ふを展開した……………其の時。

 

『サンラク』の行動がサンラクの見た予測の映像から()()()()

 

「…………は?」

 

予測された通りに『サンラク』は臨界速を使った、其処まで()良い。問題は『サンラク』が臨界速を使いながら、二歩目で瞬間転移を挟んで『三歩目を掻き消した』事。

 

百回やって二回か三回成功するかの乱数の領分に在る臨界速中の瞬間転移、其れを『サンラク』は完璧なタイミングで成し遂げ、四歩目の超加速で間合いを一気に潰し、コツンと………臨界速中で有りながらも『あまりにもソフト過ぎるジャブ』を当てた。

 

「ま、さか…………ブッ!?」

 

メギャリと、胸部が潰れる程の絶大極まるノックバック、軽い一撃に反比例した極大なる衝撃がサンラクの身体をブッ飛ばす。

 

そんな御大層な破壊力を発揮し、拳を振り抜いた際の出力で威力とノックバックの比率が変動する、其のスキルの名は不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)戦砕誇示(ウォールフェン)

 

シャコパンチを食らったヒトデの如く飛んで、幸運のステータスが一定以上保有している事で発動した食い縛りで、体力(HP)が1で持ち堪え…………直後に『サンラク』が煌蠍の籠手で飛ばし、舞台に刺さっていた水晶弾に背中から着弾した事で、なけなしの体力は削り切られたサンラクの意識は、此の瞬間にブツリと切れる。

 

そうして漸く、意識が途切れる寸前にサンラクは。歌姫より仮面を授かって立ち塞がった、『サンラク』という存在の()()に気付けた。

 

 

 

 

 

 

(()()()()()()A()I()か……、コレ─────?!)

 

 

 

 

 

 






鳥頭は正体を知る


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。