VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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目覚めた場所は




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の七〜

「……………あ、サンラク君…………!」

「サンラクさん!」

「鳥の人!」

「ブビィ!」

 

『サンラク』の痛烈なるノックバックジャブで暗転した、サンラクの意識が戻り。視界に映るのはサイガ-0とエムル、エクシスとウォットホッグが覗き込む様に此方を見て、意識が戻った事を安堵している。

 

「サンラクさん!オルケストラを倒したですわ?」

「負けましたわ、バカヤロー」

「ふぇえ!?」

「そんなに、強かったん………ですか?」

「そーなんすよ、レイさん」

 

第一から第四楽章を通じて解ったが、クターニッドの後にウェザエモンが来た時点から物凄く嫌な予感を抱き、黒死の天霊(トゥルー・クワイエット)の後に金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)が続いた事で『確信』を抱く程度には、オルケストラの催すボスラッシュの基本的部分が解った。

 

(『ランダム』、かぁ…………)

 

古今東西ランダムとは乱数の女神との戦いであり、ゲーマーならば絶対に避けて通る事を許さない(許されない)戦いであり、常に選択の取り間違い一つで全てが水泡に帰す戦いでもある。

 

ウェザエモンにクターニッドを出された時点で、ボスラッシュには黒ツチノコ(ゴルドゥニーネ)クソ狼(リュカオーン)英雄大好き人造龍(ジークヴルム)のユニークモンスターが絡むのは『ほぼ確定』、金晶独蠍や黒死の天霊も出た事からも蠍関係やユニークシナリオも含まれ、ジークヴルム関係なら赤竜ドゥーレッドハウルに白竜ブライレイニェゴ、始源連中(レイドモンスター)関係だと(むさぼ)大赤依(だいせきい)彷徨(さまよ)大疫青(だいえきせい)も入る。

 

クターニッドが居た事で深海関係も出されるならば、深海の帝王(アトランティクス・レプノルカ)不世出個体(覇頭衝角や憑依一体)海の冬将軍(コーラルホエール)キメラモンハナシャコ(キリューシャン・スフュール)空母鮟鱇(スレーギウン・キャリアングラー)不世出個体("傀儡羅針")要塞ヤドカリの不世出個体(アーコリウム・ハーミット"廃罪玉座")

 

シグモニア前線渓谷(フロントライン)まで範囲を広げたなら列車砲百足(トレイノル・センチピード)要塞蜘蛛(フォルトレス・ガルガンチュラ)其の女王個体(ドーラとエンプレス)帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)FM's(フォッシルマイヤーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"と、そうして思い付く敵の数々は、此の世界(シャンフロ)(サンラク)が激動の人生(ログ)を送っている事にほかならない、何よりの証拠となる。

 

(オマケにプレイヤーも再現してるって事は、PVPで戦ったムラクモ氏も出て来たり………するんだろうなぁ〜……はぁ………)

 

ユニークモンスターのユニークシナリオ、現実世界の現象や摂理を忠実に再現してのけるリアリティからすれば、ボスラッシュ()()()運営が手を抜く事は『断じて無い』。

 

第一から第四の楽章で行うランダムなボスラッシュに最終楽章のプレイヤーの上位互換のトレースAI、進行する戦闘の性質からして武器装備の温存や絞り込みは『逆に悪手となる』だろう。

 

幸いオルケストラからの招待(挑戦)状は手元に其のまま、つまりはクリアするまで『何度も挑める』事をして、ボスラッシュの歌詞は『複数回聴いて覚えろ』と推奨されている可能性が高い。

 

「ん〜…………。ただもうちょいで『掴めそうな』気がするんだよな………」

「掴め、そう………ですか?」

「引っ掛かりには届きそうで届いてない、ちょっとモヤモヤする感じ………と言いますか。…………よし、二週目行って来る」

「頑張って下さい………!」

「行ってらっしゃいですわー」

 

重い扉は開かれて、再び意識が遠退いて。

 

挑戦者(サンラク)へと贈る音楽会は、再び此処より開演する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中世の劇場にて覚醒し、壁に埋め込まれた音楽プレイヤーの前まで歩み寄り、改めて其れを見る。

 

見れば見る程にスマホ一台在れば事足りる此の御時世、釣りキチの父親が言っていた一時代前の音楽プレイヤーの形状と似通っているが、よくよく観察すれば『あまりにも綺麗過ぎる』のだ。

 

「ユニークモンスターですら数千年生きてる連中揃いなのに、コイツだけ新品なんて有り得るか?リアリティを追求してるシャンフロが、其処に手を抜くなんて『絶対に無い』だろ」

 

水を被れば故障するし、風化すれば錆びるのが、現実とシャンフロの常識だ。其れを防ぐにはタイムカプセルで保管されたか、修繕と手入れされたくらいしか原型は残らない。

 

取り敢えずスクショを撮って、水晶画面を傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)の鋒で突付き、傑鎚との憧焉終鎚(エリサ・ドゥタール)の鏡面で叩くが、音楽プレイヤーには傷一つ付かずに弾かれた。

 

「此の音楽プレイヤー『其の物』が、オルケストラなんだろうな…………。まぁ、再生っと」

 

エリーゼ・ジッタードールとアンドリュー・ジッタードール………同じ姓を持つならば少なからず血縁関係は有る、つまり此の音楽プレイヤーについて何かしら知っている可能性は高い。

 

幸いリヴァイアサンとベヒーモス、神代人類が宇宙の旅の後に此の星まで辿り着いた宇宙船も在るので、製造メーカーやら所有者のデータを虱潰しに調べ尽くす心持ちでいる。

 

スポットライトが注がれ、音楽が流れ、エリーゼが現れて………楽器を持った楽団員達が現れ、音楽を奏でる中で歌姫は楽章を奏でた。

 

『サンラクの紡いだ物語。第一楽章………【冷気、海よりも深く】』

「はい、ランダム確定ィィイイイイ!!?オマケに装備変えなきゃヤバーイ!!?」

 

劇場が一気に変わり、リアリティに満たされた()()が足元から徐々に競り上がり。

 

サンラクが装備やアクセサリーを切り替えれば、劇場内部は深海へ沈んだ様な静けさと演奏の喧騒が入り混じる、混沌とした状況下で海水温が『一気に下がった』。

 

「上等じゃゴラァ!ブッ飛ばしてやんよ、イッカククジラァ!!!」

 

歌姫が奏でた歌詞と海中環境、其の中で泳ぎて海を凍て付かせるは、一角を掲げし白鯨にして海の冬将軍こと『コーラルホエール』だった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乱数や 求めてないから 消えてくれ

 

オマエ嫌いだ マジで赦さん

 

サンラク、心の一句

 

 

 

「はぁああああ……………乱数ってホッントに、クソッッッッッッッッッ!!!」

 

よりにもよって海中までも再現するオルケストラの歌詞や、海中で戦ったコーラルホエールの後に事故率が高い場所(シグモニア前線渓谷)でフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスと続き、其の後に天覇のジークヴルムからの帝晶双蠍と、長期戦に長期戦と長期戦を連打で叩き付けられた上に、既に時刻は深夜真っ只中という一徹上等状態まで持ってかれた。

 

今回挑んだボスラッシュも全てが初見だった物の、其の全てをクソと断じるのは早計であり、オルケストラの奏でる楽章にはプレイヤーが守るべきタスクにして、演じるべき要点が歌詞として示され、コーラルホエールとジークヴルムは共通して『角を破壊する』、エンプレスは『アーミレット・ガルガンチュラを一定数撃破・エンプレスの砲塔を破壊・ドーラ陣営の勝利』、帝晶双蠍は『一定回数変色・一定回数ビームを反射・一定速度以上の連続攻撃で撃破』を条件として指定していた。

 

更にオルケストラの楽章内で行うタスクには『ある程度の自由』が効き、此れはおそらく『自爆技対策』である事も予想出来、次にボスラッシュをする時は『同じ武器が複数の楽章内で必須となる場合』、オルケストラは如何なる対応を取るかを調べたい所である。

 

「さてと、さっき振りだ。相変わらず変態な格好してるなァ、オイ」

『………………』

 

無数の目が此方を見詰め、一瞬の静寂で御互いに動く。

 

此方(サンラク)碧羅(ヘキラ)&金漆(ゴンゼツ)で、相手(『サンラク』)冥王の鏡盾(ディス・パテル)&槍焔剣(そうえんけん)アラドヴァル。

 

ハッキリと解ったのは最終楽章のトレースAI『サンラク』は、此方に対して明確な『メタ』を張り、其れも『ガンメタレベル』で刺さる様な相性不利を押し付けて来る事。

 

片手武器二刀流なら質量鉄拳、魔力関係武装は魔法反射と炎熱爆破武器、重量武器なら遠距離武器で殴る様な()を持った『サンラク』に、対抗する為の方法は有るのか?

 

「いや、少なからず………有るッ!」

 

プレイヤー鍛冶師最高峰のイムロンが作った碧羅&金漆、銃剣(ソーデットガン)という名のハンドメイドガンに見せ掛けた片手剣達は、ゲージを蓄積・MAXまで至れば合体する対刃剣に似た能力を搭載。

 

本人曰く勇魚(イサナ)兎月(トゲツ)金皇照(こんおうしょう)】と【冥帝輝(めいていき)】に感銘を受けたリスペクトウェポンで、此の武器が蓄積するゲージ効果は別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)の軽量化効果と同じく楽章を跨いでも『持ち越せる』、つまりは─────────!

 

「合体して大剣だオラァ!!」

『……………!』

 

最終楽章前までにゲージMAX状態にし、何時でも合体可能状態にした今こそ合体させて大剣化、刀剣大神(とうけんだいしん)の補助を乗せて別離れなく死を憶ふを片手に持った大剣二刀流に移行!

 

刀剣による攻撃で相手の武器か身体にダメージを与えればスタミナ減少とダメージ補正向上、二刀流なら其のブースト量は二倍となる覇神剣顛極(アマトノシンギ)血縁鏖殺陣(チツムギミナゴロシ)でイニシアティブを渡さぬまま、先手必勝の速攻を掛ける─────────!

 

 

 

「死に晒せやぁあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 






届かせろ



覇神剣顛極(アマトノシンギ)血縁鏖殺陣(チツムギミナゴロシ)

覇神剣顛極の『皆』に属するスキルであり、モーションとして『刀や剣の刃で敵を斬った数秒以内に更に斬り、其の数秒以内に更に斬るを連続して繰り返す』事を行い、其の挙動は『廻し打ちと切り上げを徹底した攻防一体の連撃』に等しい。

刀武器や剣武器による連撃を行いながらも、其の連撃の大多数を高確率でクリティカルを発生させるプレイヤーが一番最初に習得する傾向を持ち、斬撃によってクリティカルを発生すれば『対象に確定で一秒の怯みが襲い』、理論上クリティカルの連続発生が起きれば『確実なる死が確定する』、覇神剣顛極の中でも『総合的なダメージ数値は一番』の大技。

イメージは『テンカイチ 〜日本最強武芸者決定戦〜』の出場した『剣術無双』柳生宗矩の必殺技『柳生新陰流禁伝 無極円還』。

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