VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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役者戻りて




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の八〜

「…………………」

「あ、あの………サンラク、君?………負けて、しまいました?」

「……………えぇ、まぁ…………」

「そんなに強いんですわ?」

「海の冬将軍に要塞蜘蛛の女王、ジークヴルムと帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)だったぞ。全部倒したけど」

「ふぇえ!?」

「前回はクターニッドにウェザエモンと黒死の天霊(トゥルー・クワイエット)金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)だったけどな?」

「控え目に言っても地獄ですわ!?」

「ボスラッシュ………ですね」

 

碧羅(ヘキラ)&金漆(ゴンゼツ)の合体大剣と別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)の大剣二刀流によるイニシアティブ奪取…………再現ジークヴルムとの戦闘中に閃いて実行に移したが、まさか『サンラク』が冥王の鏡盾(ディス・パテル)女帝城の顕壁盾(ヴォーバン・ガルガンチュラ)に変えた直後、巨大盾で見えなかったが持ち手で体勢を横向きに起こして深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の【収着せよ(Sorptionting-up)】と【弾けよ(Poping-up)】を合わせた『大質量のシールドチャージを掛けて来た』のは流石と言うべきで、彼処で戦闘の優劣とイニシアティブは完全に敵に渡ってしまった。

 

そうしてハッキリ理解したのは、オルケストラが再現した『サンラク』という存在…………アレは武器の扱いやスキルの仕様にアクセサリーの使い方を含め、此方の癖やら挙動をガンメタレベルで対策し、尚且此方よりも二割増のステータスで押し潰しに掛かるという事、要するに『此のままでは勝つ可能性は細い糸程度しか無い』。

 

幸い碧羅&金漆のゲージ蓄積と別離れなく死を憶ふの累計軽量化効果に関して、此方は計四楽章分の戦いで引き継げるが、相手は最終楽章でしか出て来ないので引き継げず、二刀流で扱うなら刀剣大神(とうけんだいしん)を『絶対に』使わなくてはいけない事が、ハッキリと解った。

 

「取り敢えず臨界速(ブラディオン)は分解して、別の連結スキルの作成に補強、アンドリューやらベヒーモスにリヴァイアサンで調べ物…………ヤツを対策すんなら質より手数、速攻にはカウンターが定石。…………つまり答えは───────」

「「「「「答えは?」」」」」

「俺の動きを()()()()()()()、そんな逸品を持ってる『ヤツ』の力を借りて、対オルケストラの新しい戦略を構築するッ…………!」

 

答えに至る為の道筋が少し見えた。取り敢えず事務所で休める場所と、ライブラリとゴルドゥニーネに関する話し合いをしてからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、サンラク君にサイガ-0君。…………其の様子だとオルケストラの攻略に難儀している様だね」

「まぁな。二回挑んで二回とも負けたけど」

 

相変わらず察しが良いと言うべきか、情報を求めながらも得られた断片からも真実を解き明かすのに心血を注いでいるクランというべきか。

 

ゴルドゥニーネと手を組んだプレイヤーや、其のゴルドゥニーネが従えてる蛇の情報をライブラリから得る為、事務所(ドールフロント)内の一区画にライブラリが作った教室に来たが、彼等彼女等は此方がオルケストラに挑んだ感想やらを聞く気満々で待ち構えていた。

 

オルケストラの最終楽章で己に向けられた、見えない視線の数々に似た言い知れぬ悪寒が背筋を撫でて、イニシアティブを取られると面倒な気配が有るので情報連打で先手を取る─────────!

 

「あー…………ウェザエモンにクターニッド、ジークヴルムや金晶独蠍に帝晶双蠍、別離れなく死を憶ふのユニークシナリオで出て来た黒死の天霊も再現された。オルケストラの選出するモンスターはプレイヤーが挑んだ強敵や難敵であり、攻略法は其の当時の状況を再現する事。其れと武器によっては楽章を跨いでも効果が継続して、イムロンが作ったハンドメイドガンに見せ掛けた片手剣の碧羅と金漆のゲージ効果、別離れなく死を憶ふの効果は継続したから、状況次第で別のモンスター相手にも有効」

 

一瞬の静寂、其れは巨大な地震や津波が来る前の不気味に近い静けさと似ながら、然してシャンフロという世界(ゲーム)で五指に入る程の超有名なプレイヤーが張った情報は、ライブラリの面々を熱狂の坩堝へ叩き落し。

 

剰え放った張本人すらも巻き込んで、海の底まで引き摺り込まんとする程の力強さ、或いは圧力に似た凄まじい『熱』を以って襲来する。

 

「ユニークモンスターも対象なのか!?」

「ジークヴルムって………天覇のジークヴルム?!マジなの!?!」

「碧羅と金漆の搭載能力がオルケストラに有効!?」

至高思金(オモイカネ)シリーズに使われた鉱石や宝石の事についてッ!詳しく知りたいッッッ!」

「今はオルケストラだろ!で、楽章は何処まで行ったの?」

「ジークヴルムの再現………撃破じゃないのか?」

「オルケストラはゲームより吟遊って線が濃厚って言ったじゃん!サンラクさん、其処の所についてどう思ってるか聞いて良いですかね?」

「となるとユニークモンスターの呪いを掛けられる様な、敗北の戦闘も吟遊するみたいなパターン有る?」

「じゃあ仮にモンスターAを倒す際に持っていた武器を喪失していた場合は?激闘が条件なら今は雑魚のボスも出てくるかも知れないし、当時のスキルが残ってないケースも在ってもおかしくない筈だ」

「勇魚ちゃんに象牙マッマから聞いたけど、サンラクさんとペッパーさんが使った特殊なビーコン!アレが無いとバハムートは起きないって話はホントなん!?!」

「其れ譲ってとは言わないけど、どこで手に入れたのかは是非とも聞きたいッス!!」

「いやそれよりもレイドモンスターだ!旧大陸は緑と青は倒されて赤の位置は把握されてるが、黒に白は情報少な過ぎる!」

「新大陸のレイドモンスターは赤がさっき倒されたアナウンス有ったけど、他の四色は未だ見付かってないから情報を聞くのが先決だ!」

「いやいや待て待て、やはりサンラク氏にはユニークモンスターについて聞くべきだ!どう考えても彼は既に七体目の、或いは不滅の最強種の情報を掴んでいるッ!」

「サードレマで噂になってる白布お化け(メジェド様)って、やっぱりサンラクさんなの?黒い流星がペッパーさんだよね?」

「海洋メインなんだけど、アラバ様が言ってた海の森や海の冬将軍について知りたーい!」

「いーや!あの炎の槍みたいな魔剣、巨人族(ギガント)英傑武器(グレイトフル)アラドヴァルの事で質問!!」

遺機装(レガシーウェポン)甦機装(リ·レガシーウェポン)機装(デバイス)関係中心に考察してます!何か一言!!」

「あ、それ私も気になる事があって…………」

「ぶっちゃけサンラクさんって、神匠と繋がり有りますよね!?」

「レイド───」

「ユニーク───」

「武器───」

「防具───」

 

 

 

 

『静粛に』

 

 

 

 

バチバチにヒートアップした空間に、ライブラリを統括する魔法少女の見た目(アバター)で激渋ボイスのキョージュの一声と、サブリーダーのセートの手鳴らしが、彼等彼女等の視線を集めて静かにさせる。

 

生徒(クランメンバー)諸君。君達の言葉は其のまま私の代弁でも有るが、だ…………。先ずは彼から依頼されている『蛇』──────『ゴルドゥニーネの分け身と手を組んだプレイヤーの情報を渡す事』が、連盟として成すべき仕事である筈だ。違うかね?」

 

大多数の人々を統率する者の資質には、圧倒的なプレイングスキルやネームバリューの他にもカリスマが有る。

 

キョージュは其の中でもカリスマという点に関しては、ペッパーの持つネームバリューに負けない程の強さを持っていると言えるだろう。

 

「夜も更けて、寝る者も居る。時間は許す限りになるが、ライブラリの役目を果たすとしよう」

 

 






当初の目的を果たす為


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