VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

1055 / 1076


地図を見て何を思う




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の十三〜

無双の双剣(モラ・ベガルタ)のディルナディアにスクショ許可を貰い、写した物のサイズを調整して半洋紙に引っ付けた後に、改めてヴァイスアッシュより巨人族(ギガント)へ代々受け継がれた座標図もとい世界地図を見る。

 

新大陸の海岸線の範囲や湿地帯に、火山の大まかな位置からシグモニア前線渓谷にキャッツェリアの位置も判る程度には、稚拙さは有れども座標図としての役割を果たすだけの力を宿しており、此れをヴァイスアッシュが一人で作成したのか、そうでないのかは解らないが、凄まじい労力を以て作成されたというのはハッキリと理解出来た。

 

「いやホントスゲェ………見てるだけで時間潰せるわ」

「ですね…………」

「此方は寄り道で本筋に関わる物を見付けた気分だけどね…………」

 

世界の景観を一目出来る世界地図、或いはユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】の七つの最強種に関わりし神代製パワードスーツの在処を示す宝の地図に、ワクワクが止まらない三人の話し声の中、ディルナディアは何かを『決意』して言葉を発した。

 

「………時にアラドヴァルのサンラク、グランシャリオのペッパー・天津気(アマツキ)太極の剣(パラドクス)のサイガ-0よ」

「あん?」

「はい、何でしょうか?」

「えっ?」

「お前達は………旅兎ヴァイスアッシュと、会える立場に有るのか?」

「…………まぁ、そうだな」

 

真剣な眼差しを向けているディルナディア、喋るヴォーパルバニー………ヴァイスアッシュの実系の家族を連れて世界を歩いているからなのか、他に別の理由が有るのかは解らない物の、雰囲気から真面目なタイプの話だと三人は解ってか彼女の方を見て、代表としてサンラクが答えた。

 

「そうか………」

「………どうした、ディルナディア」

「『此れ』は、ドルダナ本人が望んだ事では無い………と、父から聞いた言葉なのだが………。ドルダナは死出の戦いに赴く直前、村の者に遺した『言葉』が在った」

「其れは………『遺言』、ですか?」

「あぁ。ドルダナはすぐに忘れてくれと言ったそうだが………其の言葉は巨人族の垣根を越えて、現在(いま)に至るまで受け継がれているのだ」

 

連綿と紡がれた言葉、彼が遺した最後の遺言。人であれ、獣であれ、想いや願いは誰かの手により受け継がれ、過去から現在、そして未来へと繋がっていく物。

 

「ドルダナの意に反する事は承知している、だがそれでも……私は、伝えるべきだと、思った」

「…………伝えます。先生に、必ず」

 

ペッパーが力強く頷き、ディルナディアへ視線を注げば、彼女もまたドルダナが遺した遺言を三人に伝えた。

 

「では………ヴァイスアッシュ殿に、此の言葉を送り届けて欲しい。─────『死せど、離れど』…………と」

「…………受け取りました」

 

僅か七つの言葉、其れでも想いが込められた言葉を受け取って。

 

「あ、ディルナディア。巨人族に伝わってる武術とか………こう、戦闘的な流派とか拳法みたいな(モン)っての、教えてる奴を知ってるか?」

「流派?」

 

サンラクは冥響のオルケストラ攻略の為、戦略拡張に向けた本題を巨人の長へと問い掛けたのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………はぁ」

「其の、元気出して下さい」

「巨人族の戦い方、武器前提で魔力(MP)消費を前提にしてる事からして、多分亜人種の流派って改宗(コンバージョン)を前提にしてる気がするね………」

 

ディルナディアから巨人族の流派を教わり、大使館を後にしてラビッツへ帰還。目的沿った物では無かった事に肩を落とし溜息を付いたサンラク、励ますサイガ-0、亜人種の戦闘流派は種族変更を必須とするのではと考察するペッパーに分かれていた。

 

そんな三人と四羽に三匹と三機が居るのは兎御殿、ドルダナが遺した遺言をヴァイスアッシュに届けるという重大な任務を果たすべく、御殿内に居る着物を着たヴォーパルバニー(ヴァイスアッシュの愛兎)の案内で謁見の間へと通されれば、本兎が味の有る人参型の煙管と升酒を楽しんでおり、此方の雰囲気を察してか手を止める。

 

「先生。先程新大陸の前線拠点に居を写した巨人族の方々に会い、其の長である無双の双剣のディルナディアさんと話をしていました」

「そうかぁ、そうかぁ…………」

 

世界で起きた事を大体知っている、未来で世界に起きる事を知っている()を持つ不滅の名を冠する最強種(ヴァイスアッシュ)

 

世界の何処かを漂っている『人工衛星』を搭載しているのか、月に居るらしいバハムート一番艦・ジズと『繋がっている』のか、はたまた世界()()()を『別の視点から見ているのか』、ヴァイスアッシュ以外で此の場に居る誰にも解らない。

 

「内容としては俺が兄貴から預かったアラドヴァルの話と、兄貴が巨人族に伝えた座標と約束を聞きやした。─────ディルナディア曰く『死せど、離れど』、との事で…………」

「………そうかよぅ」

 

伝えられた言葉、聞き届けたヴァイスアッシュは暫く沈黙し、昔を懐かしむ様に言葉を溢す。

 

「そいつぁ………くだらねぇ、むかぁし昔の『言葉遊び』ってやつよォ。皆で集まって、盃掲げてよぅ………」

 

過去話を聞く時は余程の事が無い限り、相手の言葉を黙って聞くのが正解であり、そして真理でも有る。

 

煙管で煙を吸い、天井にスモークリングを放って消えるのを見たヴァイスアッシュが、今は亡きドルダナを想ったのかは三人含めた者達には終ぞ解らなかった。

 

「…………湿っぽくしちまったな、覚えておくこたねぇよ」

「は、はぁ…………」

「そんな事よりもよぅ、サンラク………。おめぇさん、随分と『手間ぁ取ってる』様じゃあねぇか………」

 

多くは語らず要点のみ、其れでも要点のみで彼が何を言わんとしているかは理解出来る。

 

俺等(おいら)ぁよう、おめぇさんの道を無理に歪めるつもりぁねぇ。そして『あいつ等』の意思を削ぐつもりもねぇ。………ただ、黙って歌声を聞いてるだけじゃあ、オルケストラは越えられねぇぜ?」

「…………挑んだのは未だ二回、其れでも手の施し様が無い訳じゃ有りやせん。色々模索して、奴の突破口を探しやす」

「カカカ………良い意気じゃあねぇか………」

 

グランシャリオでクターニッドの分析反映能力解放による戦闘訓練中、サンラクが語ったオルケストラは『倒すまでは周回可能なタイプのユニークモンスター』である可能性が高く、第一から第四楽章のボスラッシュの特徴からも其の線が濃いとの事だ。

 

そんな中、ヴァイスアッシュがサンラクをジッ……と見詰め、静かに告げた。

 

「………『風を凪ぎ、渦と雷を従えて、星明かりに道を見出した時』………俺等(おいら)ぁん所に来な」

「其れは…………」

「そん時ゃあ───────ちぃっとばかし俺等(おいら)も『力を貸してやる』よぅ」

 

煙管を振って放たれた風が、此の場に居たヴァイスアッシュ以外の背中を一挙に、まるで『ザラリとした何か』で撫でられた様な、そんな異様で不気味な感覚に襲われた。

 

果たして『其れ』が何なのかは、此の場の誰にも解らなかったのである…………。

 

 






伝えた言葉、イベントのフラグ


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。