VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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自分のやるべき事は




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の十四〜

ヴァイスアッシュに旧友ドルダナの遺言を伝えた後、サンラクに対してオルケストラ攻略の『助太刀イベント』らしきフラグを立てた。

 

其の助太刀は新しい武器の製作か、はたまた別の何かは解らぬも、サンラクとサイガ-0は仲間達を連れてエルクの元へと向かって行き、其れから数分後にはエルクの歓喜の声が響いたが多くは追求しない…………数億マーニは積まれたのだろうけれど。

 

そして此方も此方でやる事は沢山有る、なので冷静かつ迅速な、其れで居て怒涛の如く一挙に駆け抜ける………!

 

「ル・ジニシィさん、終わりました?」

「あぁ、ペッパーか。頼まれてた宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)皇金剣(アンティアレス)の修繕、キッチリ終わったよ」

 

先にエイドルトに在るエンハンス商会本店にファストトラベルし、其処で有りっ丈の回復ポーションやマナポーション、一定時間能力値を高めるブーストポーションやリジェネ効果を齎すリジェネポーション、更には各種状態異常回復薬を購入して共有されていないインベントリアに収納から、数時間振りに戻って来た前線拠点・海上ギルド内鍛冶師組合『鐵打ち達の集い』。

 

魚人族の名匠鍛冶師で古匠鍛冶師にガンスミスライセンスを取得し、亜人種NPCの鍛冶師の中でも一歩やニ歩も先の領域に進んだル・ジニシィに預けた、此の世界でも一際知られた黄金と金色の業物二振り。

 

他の鍛冶師プレイヤーやNPCに利用客が視線を向ける中、彼女から武器を受け取ってインベントリアに加えれば、魚人鍛冶師はこんな事を言ってくる。

 

「あぁ、そうだペッパー。アスカロン・リバースを次の段階に押し上げる為に必要な素材の一つに、魚人族(アタシ)達の王が言ってた『冥府の深海の底に在りし王水』を手にする必要が有るが、其奴の入手は深海三強や其れに迫る強者の素材で作る『水瓶』が必要だ。もし其れに準ずる素材が有れば………」

「こんなのとかですかね?」

 

そう言ってインベントリアを操作、取り出したのはアルトランティア遠征前の最大潜水(ダイブホルダー)獲得の際に潜って手に入れた、アーコリウム・ハーミット"廃罪玉座(ルインスロン)"にスレーギウン・キャリアングラー。

 

そしてマウアナ海窟の水熱源石(ブレイズストーン)確保の為に深海の数多の強敵を屠り、乱入して来たアトランティクス・レプノルカやコーラルホエール等、ビィラックに武器強化の為に預けた分を加味しても未だ大量に残っていた素材の中の、ル・ジニシィの要望に該当する素材の数々を取り出してカウンターに乗せていけば、当然ながら彼女含めて周りの視線は釘付けになる。

 

「………アンタ、自分が『相当な事してる』って認識してるかい?」

「無論ですとも。あ、アトランティクス・レプノルカの照鏡骨が在るので、ル・ジニシィさんの作る冥王の鏡盾(ディス・パテル)が見てみたいのですけど、良いですかね?見本はこんな感じなんですが…………」

「構わないよ。で、此れが実物かい…………成程ね、そういう感じか。大体一日半有りゃ、其の盾と件の水瓶は作れる」

「よろしく御願いします」

 

素材とマーニを手渡して工房へ持って行くル・ジニシィを見送れば、入れ替わりで他の鍛冶師プレイヤー達がペッパーの元にやって来る。

 

「ペパ子ちゃん、ペパ子ちゃん。何かグッドな素材有ったら防具や服に仕立てたいんですが………如何です?」

「あ、抜け駆けすんなコノヤロウ!!!」

「ズリーぞ畜生!!?」

「俺が一番乗りしたかったのにッ!!!」

「ペパ子ちゃん用のビキニアーマー作ったんですけど………」

「いーや、白ワンピースと麦藁帽子一択だね!其処は絶対譲らんぞ!」

「そんな事より自分とツーショットオナシャス!」

 

青の聖杯を使った事で今の状態がペパ子ちゃんという、シャンフロ界隈でも性癖破壊の権化として知られる姿の為に、当然ながら刺さった手遅れ気味の者達が次から次に、我こそと名乗りを上げては一触即発のバチバチムードを繰り広げ。

 

「ペッパーさん、ペッパーさん。ペッパーさんってシグモニア前線渓谷(フロントライン)にも行った事が有るんですよね?」

「えぇ、そうですね。ちょっと帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の素材が必要なので、此れから取りに行くんですけど………其れがどうしました?」

 

声を掛けたプレイヤー………名前を『プレジデント:ノンウィズリー』なる彼は、ペッパーにとっては『耳寄りの情報』で有りながらも、他者からすれば『恐れ知らず』とも取れる依頼をしたのだ。

 

「実は其の前線拠点近辺でゲーム仲間が『地下駐屯地』を作ってるんですけど、食料が底を着いて子蜘蛛のゼリー肉で飢えを凌ぐっていう、傍から聞いても地獄な状態でして………。此方が食糧とか水やら購入したので、ファストトラベル持ちの貴方に頼めるなら運んで欲しいと言いますか………」

「ふむ………。其の御使い、承りましょう」

 

此の瞬間、プレジデント:ノンウィズリーは此の場に居た誰よりも『勝利者』となった。

 

「お前お前お前お前お前お前ぇえええええええええ!?!」

「おま、何て事をッ………!!!」

「よし処刑する!!!」

「奴を顔洗い場に連れてけ!」

 

ネットミームの一つ『コロンビアのガッツポーズ』をした彼が食材やら水やらを全部取り出した後、満足気な表情で他プレイヤー達に拘束・連行されて行くのを見送り、物資の内容確認からインベントリアに入っているノワとヒトミに物資の事情を伝え、ペッパーは鐵打ち達の集いを出てアイトゥイルにゲートを開き、次の場所に向かう…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に来たのは鉱人族(ドワーフ)の故郷・地下都市ホルヴァルキン。

 

アスカロン・リバースの強化に必須となる黄金のマグマ獲得の為、水晶蠍の皇帝陛下の遺産を使って作り上げたビィラック謹製の皇金桶(おうごんとう)カイザーバケットを片手に、ミダス28世に顔を出して黄金のマグマを汲む事を伝える。

 

赤竜ドゥーレッドハウル討伐戦の立役者なのも有り、顔パスで神殿の最奥部…………正式名称:ホルヴァルキン大祭殿最奥『黄金の泉』まで通され、到着した後に事故防止の観点から外縁部にセーブテントを設置。

 

アイトゥイルとディアレをセーブテントで待機させ、カイザーバケットを持って空中を高速で駆け走り、中心に湧き上がる金色に燃える熱い地脈を引き上げて、其のままマグマダイブで死亡から青の聖杯の効果を解除(リセット)から元の性別に戻す。

 

「よし、インベントリアに『皇金桶カイザーバケット(黄金のマグマ)』が加わってる。此れでアスカロン・リバースを次段階に持って行くのに必要な素材の片割れは手に入った」

 

無事に黄金のマグマを入手して神殿より退出、迅速にミダス28世の元へと向かい、彼に実物を見せた上で報告する。

 

「………という訳で無事に入手出来ました」

「貴方は本当に行動が早いと言うべきか…………。もし、ペッパー殿。実は貴方に相談したい事が有るのですが、よろしいでしょうか?」

「相談したい事、ですか?」

「えぇ。赤竜ドゥーレッドハウル討伐戦以降、此の地に残った同胞や赤系竜人族(ドラゴニュート)と共に此のグレイブヤード積竜火山内で『新たに坑道』を掘っていたのですが、つい先日に物凄く硬い岩盤に当たってしまい、採掘が滞ってしまっていまして………」

 

ミダス28世の台詞から所謂『御使いクエスト』の気配を察知、内容を注意深く聞いて何を必要としているか、何を求めているのかを判断線とし。

 

「──────以前ペッパー殿がガンタックに渡した、アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアル。其の余りで作った『樽爆弾』を用いた所、岩盤を大きく削る事が出来ました。もし協力頂けるなら、アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルを『五十個』程、ホルヴァルキンに納品して貰えるでしょうか?報酬としては其の時に作った『樽爆弾のレシピの写し』になりますが、貴方に差し上げます」

 

 

 

『ユニークシナリオ【未開の坑道、未知を拓く】を開始しますか?【Yes】/【No】』

 

 

 

鉱人族の長から届いた、種族の発展に関わり得るシナリオの発生。

 

シグモニア前線渓谷で地下駐屯地を作らんとする者に補給物資を届ける次いでに、アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルと帝晶双蠍の素材獲得の為、ペッパーは迷う事無くシナリオ受注のYesボタンをタッチしたのだった。

 

 

 






サブクエ連続発生


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