果たすべきを果たす
「……………えぇ……………」
「此れは、何というか………」
「酷い有様なのさ」
「同意:流石に目も当てられん」
『グルン』
ミダス28世からシグモニア
同地点に居る
「ノワの影潜りで潜って透視スキルで遠くから渓谷内を観たけど、フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスとトレイノル・センチピード・ドーラ、其処にフォルトレス・ガルガンチュラとトレイノル・センチピード・グスタフが出て争ってるって、何したらそうなるの………?」
「女王個体を両方倒したペッパーはんが言うと、重みが段違いなのさ」
「本当にあの時の君は凄まじい勢いだったからね」
「同感:あの中で成果を上げたのは、
谷底で動く無数のアーミュレットと数人の人影、取り憑かれて爆発する前に列車砲百足の轢き潰しと、足払いでバランスを崩した要塞蜘蛛の重量圧殺で諸共巻き込まれ、下層の有象組に上層暮らしの蠍達がブチ切れビームをフルバースト。
此の惨状を起こした面々が消えて百足と蜘蛛が争い、蠍がビームを降らせる状況に戻り、ペッパーは透視スキルが残っている間に周辺を見渡せば、プレジデント:ノンウィズリーが言っていた『地下駐屯地』を発見。
見た目は蟻の巣の様に左右に一段ずつ部屋を作り、ベッドルーム・キッチン・休憩所・倉庫とエリア毎に区分けし、最下層は谷底ギリギリに岩を積み上げてカモフラージュしている出入口が有り、内部に数十人のプレイヤーの姿が在る事からして先ず間違い無くリスポーンしたと判る。
「………よし。ノワはアイトゥイルとディアレを影潜りで抱えたまま、駐屯地に潜入。俺は駐屯地のプレイヤーにわざと見付かる様に動いて、自然な形で駐屯地入りをする。ヒトミさんはインベントリアへ」
『ワウン!』
「了解した、武運を祈る」
ノワ達の移動と同時に迅速にセーブテントを構築、帝晶双蠍が繰り出すビーム攻撃の射程距離はシグモニア前線渓谷の外縁部も軽々と越え、水晶群蠍に見られる『弱った相手にフルボッコにする追撃を叩き込む
無論此方も簡単に蜂の巣にはなってやらんと、アーテクレイブレイカーを片手に両脚には
駄目押しに
上層から飛び交うビームを回避、空飛ぶアーミュレット砲弾の上を次々と飛び移り、渓谷内を直走るドーラの抱えた列車砲に着地から、ビームや毒砲弾の迎撃を潜り抜けて取り付いたアーミュレットを叩き潰しつつ、最低限のゼリーマテリアルを回収。
着弾から爆発する嵐の道を駆け抜けて、ドーラの頭を目指して走りながらに
「ちょっと、やってみたい事が出来た………!」
今思えば集律視標着目は『敵を挑発してヘイトを買い、仲間を敵の攻撃対象から引き剥がす行動』が前提となり、三桁の領域に踏み込んだ事で此のスキル習得に繋がったのではと思う様になったし、敵の視点を強制的に上へと向かせるコンボスキルとして運用し続けて来たからこそ見えた、今し方至った『新しい組み合わせ』を此の戦況下で試す絶好の機会と捉えられた。
「よっしゃ来いっ!今考え付いた新しい戦略の実験台になって貰おうか!!」
飛来するビームにアーミュレット砲弾と毒砲弾、深海の王の頭蓋骨より作りし盾と不屈なる勇者の盾を雲の巨腕に抱え、片足で軽く跳躍しての
此の変流式回転防衛、使用者の身体の一部が地面或いはモンスターの身体に接触するまでの間、回転を用いてのパリィが確定成功とパリィ時の反動ダメージ完全無効を両立したスキルであり、全方位から複数の敵による波状攻撃も盾の耐久値が0になって砕け散る等の事が無い限りは、大抵の攻撃を此れ一つで何とかなってしまうという凶悪さを含む。
そして極論にはなるが、此れを『盾二刀流やらで回転中に身体が敵や地面に接触し無い様に
では、そんな状態で振り注いだ魔力のビームを確定パリィが約束されている、魔力の悉くを跳ね返す鏡面が受けたならばどうなるか?
──────正解は傍から見れば『ミラーボール』、他者から見れば『近寄る者の悉くを薙ぎ払う光を弾き返している者』という、此の場に居る全ての命からすれば『ヤバいヤツ認定』されても仕方無い行動で。
然して結果はペッパーが変流式回転防衛の後隙を埋める
「目、目が回る、けど………!こんな状態になる程だからこそ、やった価値は有るってもんd『バカやろぉぉぉおおおおおおおおおお!?!?!早く此方に来いィィイイイイ!!?!?』………ぜ?」
武器をインベントリアに撃鉄を解除した直後、戦場の爆音轟音に紛れた人の声。何処から伴無く現れた複数の人影が渓谷内に溢れたアーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルやトレイノル・センチピードにフォルトレス・ガルガンチュラの素材を最低限回収し、其のまま一直線に突撃してペッパーの身体を抱え上げた。
『急げ急げ急げ急げ、退散退散退散ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
「ちょ、待っ───────!?」
有無を言わさず半ば強引に連れ去られ、其のまま外縁側の壁に在る穴までペッパーは運び込まれ。そうして直ぐ様出入口は閉ざされて、百足と蜘蛛の大乱戦とブチ切れの蜘蛛による戦争は熱を帯びて、更なる苛烈の坩堝に堕ちていったのである…………。
駐屯地に運ばれて