其々のリアル
※少し短いです
「お、おひゃようございます…………!」
「おはよう、斎賀さん」
学生の本分を疎かにしては趣味を楽しむ事は出来ない、成績を落とせば当然後々にやらかした分のツケは回る、故にこそゲーム同様に現実でも手を抜かずに生きる事こそが大事なのである。
「其の………昨日構築した、新しいスキルの、感覚は………?」
「蠍相手に試したけど、一本一本の出力も高い代わりに取り回しがムズい、一種の
「相手が、相手………ですからね………」
秋の空気が満ちる通学路を二人並んで歩き、学校に着くまでに想いを馳せるは
挑戦者が此迄に挑んだ強敵難敵を無作為に抜粋から、挑んだ時の環境すらも再現し、四度に渡るボスラッシュの後には挑戦者の上位互換と言えるステータスを持った、仮面付きのマネキンを用いて襲い掛かり。
オマケとばかりに挑戦者のトレースAIを搭載してスキル・魔法は勿論、アクセサリーに武器防具さえ
「戦略は出来てる、後は俺自身の頑張り次第………」
「あ、あの………!」
「ん?」
ブツブツと独り言を呟く楽郎に、玲は声を掛ける。ほんのりと赤みを帯びた頬とうなじが覗く中、彼女はこんな質問を彼氏たる男にする。
「陽務君は、其の……進学とかで、大学は何処とか、決めてたりは………」
「進路?
「…………私も、来鷹なんです」
「へぇ〜…………」
受験で別々の大学に行く事になって別れる、そんな恋愛ゲームのシチュエーションを
「えっと、受験シーズンに………なったら、一緒に勉強、しませんか………?」
「良いよ、斎賀さん。あ、其れから今年の期末テストなんかも一緒に勉強出来ると良いな」
唐突に玲から申し出た受験勉強の御誘いに対して楽郎は、至極あっさりと了承し片手を差し出して。完熟した林檎の様に水蒸気爆発を起こした玲は、恐る恐る其の手を取って二人は並んで学校へと歩いて行く。
其の様子を見ていた通りすがりの通勤途中のサラリーマンは、コンビニで買ったブラックホットコーヒーを一目、グビッと一気飲みした後に秋の朝空を見上げて呟く。
「──────コーヒー甘ぇ…………」
*********************
*******************
*****************
*****************
******************
*******************
「まだ先だけど、今の内に卒業論文のテーマを決めて置こう………」
所変わって現役バリバリの大学生として文学に励んでいる
そもそも大学という物は入学した人が成績に箔を付ける為だったり、自分が向かうべき道の先を明確にする為に行く物であり、梓自身も先々での就職に際した時に『自分はこうなりたい』という未来のビジョンを定める物。
卒業論文とは其のビジョンを語源化し、目標として設定する所謂『儀式』の様な存在と、梓本人は考えている。
「サークルとかに入ったりするのも有りだろうけど、収入や先々を考えると『アレ』が第一候補な訳で………。ただ此れを選ぶとなれば、親父や御袋に相談しなきゃいけないからなぁ………」
梓が言う『アレ』とは、ゲーム仲間で日本最高峰のプロゲーマー・K………もとい
年が離れた昔の腐れ縁的知り合いから紆余曲折を経て恋人となり、そして一線を越えた先のデートのやり取りが大多数に見られた事と、其の状況がSNSを通じて拡散された事によって彼は一気に有名人となった。
未だ知る者は少ないが、GGCにて
其の身バレも既に時間の問題だろうが。
「人間が自分で集中状態に意図的に入る方法とか、並列思考処理に至る為の方法は………流石に頭弄った方が早くない?って言われそうだし。………うん、パスだな………」
まだ数年先の未来である物の、意識しなければ時間はあっという間に過ぎ去って、立ち向かわなければならない時が訪れてしまう。
故にこそ彼は『備える』事を選択し、其の時が訪れたとしても堂々と掴み取れる準備をするのが、彼の生き方であるのだから………。
未来を見据えて