VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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最終楽章の考察




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の十九〜

「先ず私から最終楽章に関して説明すると、さっき二十回目の挑戦でやっと最終楽章に到達しましたよ〜。其の時はルートエンド・ミノタウロスの歴戦個体との戦闘で、毎度ギリギリの戦いの後から本当にするっと最終楽章に入ったので台詞はハッキリと聞き取れませんでしたね〜…………。ホント、ゴメンネ」

 

ルートエンド・ミノタウロスの歴戦個体…………連盟クラン会談時にペッパーが言っていた、ユニーク小鎚三兄弟の一つ・アーテクレイブレイカーから別武器種に派生するユニークシナリオをクリアする際に倒すべき相手であり、戦いに勝利した後に手にするドロップアイテムを使って作り上げる物が歴積重大戦斧(グレイドネス・グァルックス)という大斧に属する武器である。

 

そう考えると残りの二つの小鎚達も其々の別武器派生のユニークシナリオをクリアすれば、斬撃属性の武器化を果たすのではとサンラクは考えを抱きつつも、ミレィの話を………即ち最終楽章に関する事柄を聞く。

 

「聞き取れる限りじゃ、確か自身が歌う理由みたいな物を言ってた気がします。其れと口述する『最終楽章に登場する敵についての描写』も有りましたね」

「確かにミレィが言う通り、最終楽章に移行する時にオルケストラは歌を歌ってたな」

 

自分(サンラク)の場合は『遠く、遠く、根無しの旅人。数多の世界を見つめる数多の眼。ならば貴方は『渡り鳥(ミグラント)』。さぁ立ち上がって、私の英傑。そして、歌う事しか出来ない私に代わって、問い掛けて』───────と言う物であり、忌々しい上位互換を産み出し送り付ける歌姫(オルケストラ)の歌を頭に思い浮かべ、ミレィが対面した最終楽章の情報を聞かんとし。

 

「IQ120の脳みそで思い出しますと〜……あぁそうそう、確か其の時は『()()()()()()ローレライ』でしたかねぇ……」

「…………ん?」

 

ペッパーが纏う三部位一体の名前隠しの装備は、オルケストラが送り込んだ影法師の試練を四度越える事で手に入り、四度目の戦いに勝利すると装備と共にオルケストラから『渾名』を与えられる。

 

自分が渡り鳥(ミグラント)でミレィがローレライと、オルケストラはプレイヤー其々のプレイスタイルないし、プレイヤーが『此迄にプレイして来たゲームでの歩み』から名付けでもしているのかと思うが、真相はサンラクにも解らない。

 

「最終楽章に入ったら、オルケストラの独白と同時に彼女の背後にいた貌のない演奏団達に『変化が起きましたねぇ』。()()()()()()()()、其の後に最後の敵が現れました………。サンラク君の方も、大体そんな感じなんじゃないかなぁ?」

「………そう、だな。俺の時もそうだった」

 

ミレィの言葉に有る違和感、第一から第四の楽章を説明していた時の彼女の言動から、相手の意図に気付いたサンラクは『カマ』を掛ける事にした。

 

「………其の後に現れた最終楽章の敵、アレは流石の俺も初見時はビビったぜ。斯く言うアンタもそうだったろう?」

「………そうですねぇ〜。いやはやまさか、()()武器とかバトルスタイルを『コピー』してくるとは思いませんでしたねぇ」

「む………?」

 

秘密を暴こうとした所、出された答えはまさかの『コピー』。だが何故か言い回しというべきか、拭い切れない『違和感』がくっ付いたままの嫌な感じが付いて回る。

 

「此方の手の内を『完全に読み切ってる』感じでしたよねぇ」

「ん〜………、そうだな──────ってか順番で説明するんじゃなかったのかよ?」

「アハハ、ごめんなさい………」

「はぁ………まぁいいや。御恥ずかしながら俺の方は完敗した、こっちの動きを完全に読み切ってる上に、武器の性能まで『完全模倣』されてたわ」

「私も『似た感じ』でしたねぇ、私のメイン武器とわざわざデザインまで似せてきた徹底ぶりでしたから。オマケに性能もですよ、ボスキャラの癖に『自己強化』は反則でしょう」

「幾ら()()だからって、一々こっちの『上位互換』を出してくるんだから、流石に参るね」

「そうですねぇ、()()()()()()ですよねぇ………」

 

此処までミリィの話を聞くと、彼女が挑んで辿り着いた最終楽章も自分と同じ人型の相手らしい。

 

のっぺらぼうのマネキン音楽団員の数も減り、最後の一人になった所で仮面を受け取り変化して襲い掛かる点も似て、武器に戦闘スタイルもコピーするとなると、彼女が辿り着いた最終楽章も同じかと睨むが、此処でライブラリのメンバーの一人が挙手し言った。

 

「戦闘面の考察は倒してからじゃないと明確にならないなら、一旦オルケストラの設定考察を優先した方が良くないか?」

「「「確かに一理有る」」」

「では二人共、戦闘中に何か気付いた事は有るかい?些細な事でも構わない」

 

切り替えが早いのは良い事だ、旅狼(ヴォルフガング)が此の手の類で煮詰まった場合はペッパーか誰かが打開策を閃くか、最悪一旦置いといてからの別視点で思考を回す為に置き去りに、そして思い出すまで忘れてしまうというパターンだったりするので、第三者が意見を言ってくれるのは助かる所だろう。

 

「ん〜………仮に最終楽章を倒したとして、本当に『オルケストラは攻略出来るのか?』ってのはあるな」

「………と、言いますと?」

「ユニークモンスターのユニークシナリオだからな。ウェザエモンしかり、クターニッドしかり、ジークヴルムしかり、其れから忌々しいリュカオーンの影しかり。俺やレイさん、家の面々が戦って来た奴等は少なからず『納得して倒された』ってのが理由だ」

「でもそうなると『最終楽章で終わらない』………そんな『詐欺じみたトラップ有り』みたいになりませんかねぇ?」

「演劇を見届けた後にアンコールないし、カーテンコールやらを終えて初めて終わり………なんてパターンも有るかも知れないだろ?」

 

母方の遠い親戚には特撮鑑賞やら舞台鑑賞を趣味の者が居るらしく、クターニッドや(むさぼ)大赤依(だいせきい)が複数形態持ちである点を含めて着目すると、オルケストラも『其の類い』に入る可能性が高い。

 

「成程、確かに良い着眼点ですねぇ〜。皆さんはどう思います?」

「可能性としては有りそうね」

「だがクラシックタイプのオーケストラで、最後にアンコールなんてやるか?」

「名前はオーケストラだが中身はオペラだろ?再唱って意味なら破綻しない」

「いや、そもそも土台が定まってない気がする。学校の廊下真っ直ぐに進んでるだけで、他の教室やらの扉を開けて中を見てない気がする」

「オルケストラとの戦闘中に何かを見出すのではなく、事務所に来るまでに何かを見出す必要が在るのか?」

「征服人形に関わり有りなら、やっぱりベヒーモス関係洗い出す必要有るよね?」

「リヴァイアサンの可能性は?第五殻層の叡智で獲得出来るデータファイルに何か在るかも知れない」

「いやいや、ベヒーモスの統治者だったアンドリューとミレィが持って帰ったエリーゼの名前は、どっちもジッタードールで同じだったんだぞ!此れが無関係とは絶対に思えない!!」

 

一つの議論が起きれば其処から無数の考察要素が広がり、鼠算の如く次々と話し合いが波及して流動し、留まり滞る所かサラサラと流れて怒濤の如く突き進む。

 

「キョージュ!オルケストラを攻略したら確実にワールドストーリーは進展しますよね!?オルケストラクリアもプレイヤー毎に一回個っきりじゃないですか!?」

「其れに関しては以前から指摘されてはいた。嘗てペンシルゴン君に見せて貰ったウェザエモンの真理書、アレを見る限りは此の世界(ゲーム)において起きる『おおよそ全ての事象に挑めるのは一度きり』だ。幾つかは『クリア済でも再発可能』では有るが、ユニークモンスターのシナリオしかり、他シナリオしかり、其々の物語の結末で起きる『分岐変化』は十分に有り得る」

 

クターニッドが随分特殊な部類なのかも知れないがねと、キョージュは何処か楽しげに言いつつも、参加者全員を見ながら言う。

 

「………其れ故にこそ招待状を得た者を招き、検証パターンを増やしたくも有る。だがワールドストーリーが進行する以上、確実に世界や始源関係にも何かしら起きる可能性も有り、其れを踏まえて攻略を止めたくも有る訳だが………。いやはや現在進行形の考察とは中々どうして、老骨の心も沸くという要素(モノ)だね」

「随分と人生楽しそうだな」

「フフフ………全くだ。深く掘られた設定を紐解き、歴史を知ろうとする者にとっての『運命(サガ)』さ。…………さてミレィ君、そろそろ『種明かし』をして貰って良いかね?」

「種、明かし………ですか?」

「彼女はこう見えて、答えを出すのを勿体ぶって回りくどい話し方をするという、困った『悪癖』が有ってね………。今回も見事に其れが話の節々に出ていたよ」

「悪癖だぁ………?」

 

思い返せばミレィとオルケストラの最終楽章について喋っていた時に感じた『違和感』、其の正体がキョージュによって明らかとなり…………そして当の本人はあっさりと答えを述べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ要点だけ先に言うと───────多分サンラク君が戦ってる最終楽章は『人型』で、私が戦った最終楽章は『全長三メートルは下らない化け物人魚』だったんですけどぉ………。コレ既に、彼と私とで()()()()()()()()()()()って事ですよねぇ〜………」

 

 

 






ルートは二つ在った


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