VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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見えてきたモノ




唯一人(ただひとり)へ贈る歌 〜其の二十〜

ルート分岐─────────其れは古今東西のありとあらゆるゲームに置いて、ジャンルを問わずシステム上に組み込まれた要素であり、人によっては一本の大樹から枝分かれした無数の枝とも、大地に張り巡らされた木の根とも例えられる。

 

プレイヤーの選択肢によってストーリーやリザルトに影響を齎し、選択されなかったルートの先でしか見られないエンディングやCG、果てには武器の入手経路に目的地の変更、本来エンディング後で無ければ行く事も出来ないが、其のルートに限り先んじて行ける………という様な違いが生まれるのだ。

 

「ルート分岐………だと?」

「そです、サンラク君さっき最終楽章説明で人型って言ったじゃないですか〜………。其の感じから私とサンラク君は、既に別ルートに入ってるんじゃないかと」

 

回りくどい言い回しが無くなっただけで、要点を確り纏めて説明出来るじゃねーかと彼女にツッコミたくなったが、先程までの違和感は無くなった点を加味すれば『言ってる事は事実』だと解かる。

 

「先程も言いましたが、私の最終楽章は楽団員の代表一人が全長三メートルの化物人魚に変貌して、楽団はフルオーケストラで演奏し出しました。持ち物にスキルやらもコピーして襲って来ましたよ………サンラク君はどうでした?」

「………俺の場合は楽団員が減って、最終的に一人だけ残った後に歌姫が其奴に『仮面』を渡した。んで、其の後は襲い掛かって来たし武器にスキルとアクセサリー、諸々含めて『完全コピー』して戦ったな」

 

最終楽章に辿り着いた者同士による会話。新たな燃料(考察)が焚べられれば、一気に勢いを増すのは当然の帰結であり。

 

「フルオーケストラと独奏………違いは何だ?」

「サンラクさんはレコードホルダー持ちだから特別仕様だったり?」

「可能性有りそうだな」

「仮面………もしやオルケストラのクリア報酬が、サンラク氏が挑んだ相手に与えられた仮面なのか?」

「あぁ其れだ、仮面舞踏会!演劇を観る時に仮面着けて見る的な奴か!」

「演劇の点から見ても、其の仮面がオルケストラの攻略報酬として見て良いわね………」

「そうなると分岐条件が益々解らない………何を条件にしてるんだ?」

「ホルダー持ちじゃない?」

「じゃあホルダー持ちをルートαとして、そうじゃない者をルートα’に設定すると、偏り過ぎないか?元レコードホルダー持ちの検証も必須になるぞ」

「いや待て、オルケストラは『世界で成し遂げた偉業』を参照してルート分岐してたりする?」

「一理有るな、確かペッパーさんもオルケストラからの招待状を受け取ってるし、サイガ-0さんも同様の物を持っている」

「此処は一人でも多く招待状を受け取った人をオルケストラにぶつけて、分岐条件を明確にするのが先決だ」

「ホルダーだけがルートαに行けるのか、其れとも別の要素も含んでルートαに行けるのか………」

 

ワイワイガヤガヤと話し合いながら、ルート分岐条件の一つに『プレイヤーがシャンフロで何を成し遂げたかを、オルケストラは見ているのでは?』という仮説が立てられた。

 

「サンラクさん、サンラクさん。サンラクさんの最終楽章のサンラクさんの完コピは、どんな感じの仮面だったんですか?」

「サンラクのワードがゲシュタルト崩壊してない?」

 

そして次なる議題はサンラクが最終楽章に突入し、オルケストラが『サンラク』に与えた仮面についてに焦点が向き、全員の視線が集まる中で彼は忌々しい『上位互換(サンラク)』の着けていた、多彩な眼達と炎にペストマスク形状の仮面を思い浮かべ言った。

 

「あ~…………俺の完コピヤローが着けてた仮面は、ペストマスクみたいな嘴に彩り豊かな虹彩を無数に宿した多眼、そんでもって無数の目が炎の中に浮かんでた」

 

一瞬の沈黙、其処からライブラリの考察は一気に動く。

 

「えっ、何すか其れ」

「見た目怖くない???」

「ペストマスク………あのペストマスク?」

「炎の中に浮かんでる無数の目………?」

「目が複数って、どのくらい有るんすか其れ」

「さぁ?俺でも正確に把握してねぇんだ」

「…………最速でイラストに起こしたら、こんな奇っ怪な見た目になったんですが、サンラクさん…………」

「あ、そんな感じだ。早描きもさるながら、正確に特徴捉えてんのスゲェな」

「此れがサンラクさんの完全コピーが使う仮面………なんですね………」

「一つ一つに視界有るんかねコレ」

「閃光弾なんかで視覚潰したら、どんな反応するんだろ?」

 

あーでもないこーでもないと話し合いをしつつも、会議を通じて要点を纏めた結果、冥響のオルケストラは以下の四つの仮説が建てられた。

 

 

1:オルケストラの戦闘形式は一対一で、第一から第四と最終楽章からなる五連戦、或いは第一から最終の五形態を持っている。

 

2:オルケストラは条件を満たす事でルート分岐が発生し、以後独奏ルートorフルオーケストラルートに分岐する。

 

3:独奏ルート突入条件はシャンフロで成し遂げた事を基準とし、レコードホルダーを取る事を含めた偉業の是非を判別材料にしている可能性が有る。

 

4:独奏ルート時に完全コピーされたプレイヤーに歌姫が渡す仮面が、オルケストラの攻略報酬の可能性が高い。

 

 

其の他にも『オルケストラが武器やスキルに魔法等、其のプレイヤーが持つ物をコピー出来るが、他プレイヤーが所有権を持つ武器やアクセサリーはコピー出来ない』事が、影法師の試練に挑んだライブラリのメンバーや情報提供プレイヤーによって判明している。

 

「ざっとこんな感じですかね〜」

「だいぶスッキリしたね」

「そう、ですね………」

「よし、攻略行ってくるわ」

「行動早っ!?」

「ゲームで『よし死んでくる!』ってノリと勢いで出来る人、早々居ないんですよね………羨ましいというか」

 

エムル達を引き連れて迅速にオルケストラへと挑みに行ったサンラク達に遅れる形で、キョージュ含めたライブラリのメンバー達も一斉に動き出した。

 

歌姫の奏でし英雄譚、其の勝者となる者は果たして誰か。

 

 

 






攻略を目指して


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