サンラクが挑んだ、冥響のオルケストラの第三戦。
繰り出された内容としては、初手に始源眷属・貪る大赤依から入り、当時最大速度を取った臨界速分解してたので再現と戦闘に面倒な時間を掛け、続く帝晶双蠍はそこそこ時間が掛かった物の、前回で対面した事と其の時の歌詞を覚えているので休憩含めたボーナスタイム。
そしてFM'sクリサリス"戦災孤児"は歌詞で補完しながら超高速の拳撃でブン殴って粉砕し、第四楽章に出されたのは懐かしきラビッツ防衛戦でペッパーと共に対峙した『黒ツチノコ』こと『無尽のゴルドゥニーネの分け身』。
戦闘も当時使った勇魚兎月【金皇照】と【冥帝輝】が有るので、合体状態:閠永月にした後、晴天流「疾風」で首と毒剣を一緒に叩き斬ればクリア出来る………のだが、今現在『重大な問題』がサンラクを襲っていたのである。
「オイ、サイナ!!せめてバグってないで動けッ!!!其のまんまじゃマジで死ぬぞ!?」
「わ、当機は………演算、精査、処理、中断、再開………中断、演算、演算………き、拒否………」
第二楽章時にインベントリアから出した、彼と契約している征服人形のエルマ=317が突如として『バグった』事だ。
其れはジークヴルムのユニークシナリオEXの決戦フェーズにて、慈愛の聖女イリステラに対面した時のバグり具合に似ながら、其の根底はまるで違うという物と同時に、サイナ自身が『何かに怯えている』様な──────そんな気配を醸し出して。
「嘗めんなよ蛇女ァ!ハンデ背負った俺が、お前如きに勝てないとでも思ったか!?」
二連結同調『双天唯流』と『風火二輪』、そしてリミットオーバー・アクションとリミットオーバー・アクセル、駄目押しに迅雷刹華と専心情熱にボルテージ・ブースターを連続起動し、開拓者最速の一端を以て再現ツチノコゴルドゥニーネを金皇照と冥帝輝で斬り刻む。
臨界速を分解して元になったスキル達の中でもボルテージ・ブースターは複数のスキルを使えば使う程に出力が上がり、同じ系統に属するスキルに重ねて使う事で総合力は更に上がる、況してや限界突破という大層な名前を冠し、数秒という刹那を掛けるスキルと共に扱いて、空中を駆けて連続ジャンプをする連結スキルと併せたならば、其の行動は超高速三次元立体と変貌し、其処に覇神剣顛極・血縁鏖殺陣を乗せて攻撃と転じれば、敵を嵌め殺す事すら朝飯前。
然してサンラクが狙うのは、ツチノコゴルドゥニーネの楽章を最速で終わらせる為に金皇照と冥帝輝の合体ゲージを最速で溜め切る事と、バグって動けないサイナの元に最速で迎える状態にする事で。
「怯めァ!!」
剣道に廻し打ちと切り上げを徹底した挙動を持つ、クリティカルを出し続けると確定で一秒の怯みが襲い、理論上は敵を封殺する事すら可能な大技で、ゴルドゥニーネの脚をズタズタにして立つ事を困難にさせた上で膝を付かせ。
『────輝きを、束ねて、雷を……風を………放つ────!』
「其れは知ってる!再現ペッパー、ちょっくら再現ツチノコニーネを頼んだぞ………!」
音楽団がペッパーとツチノコゴルドゥニーネとの戦いを演出し、歌姫の歌詞が来たる閠永月による疾風一閃に向けて曲調を上げる中、本命の金皇照と冥帝輝を合体させたサンラクはサイナに全速力で駆け寄った。
「………契約者………」
「今戦えるか戦えないのか!其処だけハッキリしろ!どっちだろうと責めやしねェ!」
「わ、当機、は………征服人形は、オルケストラ・プロトコルへの………積極的、介入を………想定して、おらず………。ああ、でも、当機は………演算した仮定を、其れ、でも………」
オルケストラ側から征服人形に対する何かしらの『アプローチ』が入っているのか、はたまたサイナ自身が『何か』に葛藤しているのか、そして自分自身が『重要な事』を見逃したまま挑んでしまったのか………。
其の答えを出すには、時間も何もかもが足らない。歌詞を奏でる歌姫と、曲を奏でる楽団員達は止まらない。
『────恐れ、怒り、憎悪、嫉妬……踏み越えて、切り拓いて……!!』
「そっから先は『全部知ってんだよ』ッ!輝皇閠月!そしてぇ…………!」
パラベラム・ルーティーンより進化した必勝の先触れ、進化前よりも出力と効果倍率が上がった事で撃鉄系アクセサリーとの更なる親和性が高まった其れを用い、雷と星の引金を引いて黒雷と星明かりを其の身に纏い。
「更にッ!駄目押しッ!んでもって───────!!!」
畢竟雲耀 レベルMAX・多重的円周運動・摩天縮地の初見殺し雷速初歩移動コンボで背面を取り、真界観測眼と星幽界導線で補強されたゴルドゥニーネへの攻撃ルートを視界に写し。
「食らえっ!!!」
『カッ……─────!?!』
目的地点到達よりヘルメスブートで空を疾駆、閠永月の専用スキル『致命の閠月』によって、一つに重なり合わさった対刃が元の二振りの水晶剣に戻り、貫通ダメージとなる深帝覇獰と晴天流「疾風」の斬撃が、あの時は『斬る』だけだったゴルドゥニーネの首を見事に『斬り飛ばし』。
再現された蛇女の顔は驚愕の表情と共に宙を舞って、数瞬の内に世界の摂理に従い落ちて…………終にはゴトンと地面に転がった。
第四楽章は終わり、最終楽章に移行する。再現された上位互換の『サンラク』が出て来る前に、サンラクが成すべきはサイナを少しでも行動可能にする事だ。